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町内会・自治会Webサイトの作成指針
町内会・自治会Webサイトの作成指針
本Webサイトを作成する過程で、全国の町内会・自治会Webサイトを参考にさせて頂きました。Google Sites®を用いて町内会Webサイトを作成する際に、気を付けるポイントを紹介します。
町内会・自治会Webサイトのリスト作成で一番大変なのが、当該町内会がどの都道府県・市町村に所在しているかを確認することです。町内会・自治会の名称だけで判別できることはほとんどなく、トップページの挨拶文にも稀にしか所在地の記載がありません。地方自治法に基づき法人化された認可地縁団体の規約では、町内会の「区域」を初出の際には市町村名から示すことが推奨されていますが、規約あるいは会則が掲載されているWebサイトの場合でも、市町村名は省略されていることがほとんどです。防災やゴミ回収関連のページの中に、市町村名を発見できたときは本当にほっとします。手掛かりが全く見当たらない場合が一番多く、当該Webサイトの中に出てくる公園、寺社、学校等の名称で検索をかけてようやく特定できる状態です。おそらく、当該あるいは近隣の町内会・自治会の会員の方には自明で、名称だけで区域を容易に特定可能なのだとは思いますが、
トップページの挨拶文
各ページのフッター
のいずれかには当該町内会の区域を市町村名から記載するようにしてください。
Webサイトの情報は、書籍と同様に内容の構造化を常に意識していないと、いわば”巻物”と同じように1枚のページがどんどん巨大化していきます。特にトップページにこの傾向が顕著です。町内会・自治会Webサイトの場合、最初から全体の構造を意識して作成するというよりは、行事の開催などに応じて書き足していくことが多いと思われます。このためか、PCの大画面で閲覧していても、スクロールを延々繰り返さないと最下端まで到達できないWebサイトが散見されます。スマートフォンのような小さな画面では、たぶん最後まで読んでもらえないでしょう。
最初からWebサイト全体の構造を決めておくことは、特に初心者にとっては難しいとは思いますが、全国の他の町内会・自治会Webサイトを参考にされて、トップページに記載する内容を極力少なくするように心掛けてください。バナーとフッターに加えて
挨拶文
最新のお知らせ
今後の行事予定
サイトマップ
等々で十分でしょう。特に、当該サイトの内容をヒット率の高いトップページで一覧表示するという意味で、サイトマップは重要です。構造化された他のページへのリンクを張ったボタンや画像をコンパクトに配置することで、すっきりした印象にすることができます。例えば
宝塚山手台自治会(兵庫県宝塚市)
をご参考になさってください。フッターにサイトマップをまとめることもできますが、フッターが大きくなり過ぎたり、他のページにも同一のフッターを付ける場合は、Google Sites®で標準装備されているナビゲーションバーと内容が重複し、少しくどい印象になるので、あまりお勧めしません。尚、トップページにサイトマップを配する場合、他のページから分岐元のトップページに戻るための工夫があると便利です。詳しくは【Tip 5】をご参照ください。
当町内会では、個人情報保護法に則り、会員本人の同意がある場合を除き、個人情報は町内会ホームページに掲載できません。しかし、町内会ホームページ運用規定(サイトポリシー)第5条4項では「役員会議事録および会議資料については、個人情報を含む可能性が高いものの、町内会運営上重要な情報であり、当該年度担当の役員のみ閲覧可能とする」と定めているため、このtipにしたがう仕様にしています。別サイトにしなくてもフォルダー単位で共有設定を変えて、個人情報を含むファイルにアクセス制限を掛けることも可能ですが、ファイル管理が少し面倒になるのと、Google Sites®の場合、アクセス権限をファイル所有者にリクエストできるため、リクエストがあったときの対応も結構面倒です。このため、役員会向けコンテンツは、町内会・自治会の本体Webサイトとは別サイトとして作成し、共有設定を役員のみに閲覧を許可して、アクセス制限をかける方法をお勧めします。尚、閲覧をするためには、当該役員の方がGmailアドレスを取得している必要があります。
意外に見落としがちなのは、定期総会後に議案書あるいは議事録を公開しているWebサイトで、役員改選の議案内容に、新役員の氏名や電話番号が閲覧可能な状態になっていることがあります。町内会の組織図の中に同様の情報がやはり閲覧可能になっている場合もあり、要注意です。
個人のメールアドレスは個人情報ですので、そのまま町内会・自治会Webサイトに掲載することはほとんどないと思いますが、町内会専用のGmailアドレスを新たに取得して、Webサイトの問い合わせ先として記載しているケースは散見されます。しかし、悪意のある第三者によりインターネット上の巡回ロボットを使って収集され、スパムメールの標的になる恐れがあるため、メールアドレスをWebサイト上に平文で記載することは今すぐ止めた方が良いです。スパムメールの添付ファイルで、ウィルス感染の危険性もあります。半角「@」マークを全角「@」や「at」に換えたり、画像に置き換えて見せるのは巡回ロボット対策としてはある程度有効かもしれませんが、手動であれば何でも可能ですので、迷惑メールを根絶するためには、いかなる形式であってもWebサイト上にメールアドレスを掲載することはお勧めしません。
代わりに、Google Sites®で簡単に利用できるフォームの設置をお勧めします。フォームは、町内会活動の中で、広報における申込、通知、確認等、および会議における書面提出、議決等を実施する便利な「電磁的方法」です。フォームから回答が送信されると、フォームのオーナーに回答があった旨をメールで通知することが可能ですが、オーナーのメールアドレスはあくまでもプログラムの中に埋め込まれているため、Webサイト上で公開せずに済みます。このため、巡回ロボットはソースコードからメールアドレスを見つけることはできません。また、フォームの回答者に自動返信することもできます。
【Tip 2】にしたがって、トップページにサイトマップを配した場合、すべてのページにサイトマップを置かない限り、分岐先のページから一旦分岐元のトップページに戻った方が、その後のページ遷移が容易になります。すべてのページにサイトマップを配するのは冗長で余分なスペースを取るだけですので、各ページ下部に「▷ トップへ戻る」ボタンを置いて、トップページへのリンクを張れば十分です。残念ながら、Google Sites®では同一ページ内のアンカーリンクを使ったサイト内リンクでは別タブが開いてしまうため、当町内会Webサイトではトップページ以外のフッター上部にテキストボックスを挿入して「▷ トップへ戻る」ボタンを設置しています。
各ページに関連する別ページやフォームが存在する場合、当該ページにボタンを設置することで、ページ間の遷移がスムースにできるようになります。しかし、Google Sites®の仕様で、アンカーリンクを使ったサイト内リンクでは、お知らせバナーあるいはフッターからのリンク以外は、別タブが開き同一タブでのリンクはできないため、遷移を繰り返しているうちに次第に新しいタブが増えてしまい、どの情報がどのタブにあったか分からなくなってしまうという問題があります。このため、各ページに設置するアンカーリンクを使用したサイト内リンクは必要最小限にするようにしてください。
当町内会Webサイトでは、個人情報に関連した次の3つの文書を制定し公開しています。
① 個人情報取扱規程
② 個人情報保護方針
①②は、Webサイト開設の有無に関わらず、個人情報を取り扱う事業者であれば、策定する必要があります。③はWebサイトを開設する場合に必要となり、個人情報保護の他に、著作権・肖像権保護、免責事項、リンクの取扱い、アクセス解析等も関わる点で①②と異なります。
①の「個人情報取扱規程」とは、個人情報の収集、活用、管理、保護、破棄等に関する利用者向け取扱ルール説明文書を指し、ウェブサイト等で公開されます。町内会・自治会Webサイトにおいて
行事への参加申込み、施設の利用申込み
フォーム・メールによる問い合わせ、照会や意見募集
電子会議室や電子掲示板の設置
Cookieによるユーザー識別やアクセス情報の収集
その他、何らかの形による個人情報の収集
を行う際には、個人情報取扱規程の制定と明記が必要とされています。
②の「個人情報保護方針(Privacy Policy)」とは、個人情報の管理に関して役員が遵守すべき内部の運用指針文書を指し、これに基づいて個人情報取扱規程が作成されます。このため、①を公開している場合には、必ずしも公開する必要はありません。
③の「町内会ホームページ運用規程」は、Webサイトの運営者が作成する利用者向けサイト運用ルール説明文書であり、「サイトポリシー(Site Policy)」とよばれることもあります。
町内会・自治会Webサイトにおいて、個人情報保護関連文書として「プライバシーポリシー」が散見されますが、この(カタカナ表記の)「プライバシーポリシー」は、少数の例外を除いて、
②を基本として、③の一部であるアクセス解析(Google Analytics®等)の機能の説明を追加した内容
③の一部である認証システム(reCAPTCHA®等)あるいはアクセス解析(Google Analytics®等)の機能の説明のみ
になっています。後者は、Google社の技術文書をコピーしただけで、個人情報保護方針には該当しません。また、いずれも利用者に対する情報提供としては不十分であり、例えば、
個人情報取扱規約(北海道札幌市)
個人情報取扱ルール(神奈川県横浜市)
個人情報取扱ルール(埼玉県さいたま市)
個人情報取扱方法(埼玉県鶴ヶ島市)
個人情報取扱基準(千葉県佐倉市)
個人情報取扱ルール(長野県飯田市)
個人情報取扱規程(福岡県那珂川市)
個人情報取扱い規程(鹿児島県鹿児島市)
等のひな型を参考にして、①の個人情報取扱規程を追加されることをお勧めします。また、個人情報取扱規程を公開する際は、すべてのページから確認できるように、フッターに該当ページへのリンクを張ることもお勧めします。
■おすすめサイト
「個人情報保護法」を分かりやすく解説:個人情報の取扱いルールとは?(政府広報オンライン,2024年9月10日)
自治会・同窓会等向け会員名簿を作るときの注意事項(個人情報保護委員会)
個人データの利活用(一般財団法人 経済広報センター)
町内会、自治会等の地縁団体(以下「町内会」という)が、その会則あるいは規約(以下「会則」という)を定めることは、義務ではありませんが、組織運営の透明性や公平性を確保するために非常に重要です。一般的に、会則を持つことで町内会の運営方針やルールが明確になり、会員間のトラブルを未然に防ぐことができるため、会則を定めることが推奨されています。特に、法人化された町内会(認可地縁団体)の場合には、会則の制定が必須の認可要件となっています(山の手Q&A【Q10】参照)。また、認可地縁団体には一定の公共性が求められるため、会則の公開も推奨されています。札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例(令和4年条例第41号,令和5年4月1日施行)第4条2項では、会則の公開は、町内会の努力目標とされています。
しかし、繰り返しますが、会則の公開は義務ではありません。定期総会の資料として町内会会員に提供することは、組織運営の透明性・公平性の担保のために最低限必要と考えられますが、会員以外に公開する義務はありません。このためか、会則のファイルにアクセス制限をかけている町内会Webサイトも散見されます。それも一つの見識でしょう。
一方で、町内会の会則に個人情報が含まれることは通常は考え難いので、他の町内会と比較されることで、会の運営に支障を生ずる事情がない限り、会則の公開を忌避する特段の理由は見当たらない様に思われます。「町内会は、その運営に関する情報の積極的な提供・公開により、地域住民の理解を深め、新規入会や活動への参加を促す開かれた運営を目指すべきである」。当町内会では、この方針に沿って、個人情報保護方針および会則、規程、細則をすべて公開しています。