山の手Q&A
「山の手」と「町内会」に関する質問と回答
「山の手」と「町内会」に関する質問と回答
【回答】自治体の助成金は、当該単位町内会が加盟する連合町内会等の会費(以下「分担金」という)と実質的に相殺され、単位町内会の裁量で使用できる金額はかなり減額されます。残念ながら、助成金は単位町内会まで十分に直接届いていないのが現状です。このため、分担金の決定にあたっては単位町内会の同意が必須です。連合町内会等の会則において、総会での承認に加えて「単位町内会会長を含む理事会等での審議」を明記する必要があります※。
※山の手Q&A:山の手連合町内会理事会は機能しているのか?参照
■町内会への活動助成金
「助成金」は、町内会・自治会がその事業を継続するための経費負担を軽減する支援制度です。申請は必要ですが、基本的に要件を満たせば受給できるもので、予算制限はありますが競争的な審査はありません。自治体が掲げるDX化などの特定目標の達成、集会所建設・整備、防犯灯・防犯カメラ設置、あるいは自治体広報の配布等の業務委託のために、その目的に合致した事業を行う町内会を支援する「補助金」とは違い、町内会の経常収入の大きな柱になっています。各単位町内会への助成金額は、人口、地域性等の違いにより、自治体によって大きく異なりますが、大別すると定額の「均等割」と世帯数に比例する「世帯割」から構成されています。
町内会への活動助成金一覧(当町内会作成)
単位町内会だけではなく、その連合組織である連合町内会等へも同様の助成が行われています。
■山の手連合町内会の現状(単位町内会より一部抜粋・加筆)
町内会・自治会別加入世帯数等内訳表には札幌市住民組織助成金として世帯割(260円/世帯・年,別表1参照)のみしか記載されていませんが、実際には世帯数に応じて22区分の基準割(6,000円~88,000円/町内会・年,別表2参照)の合計金額が助成されています。山の手連合町内会の場合、第1~6区分(6,000円~26,000円/町内会・年)に該当しますので、合計金額は11,200円(第35町内会)〜146,900円(第6町内会)の範囲ですが、分担金(300円/世帯・年)を差し引くと、札幌市住民組織助成金のうち単位町内会裁量分は、年額で4,120円(第43町内会)~13,480円(第23町内会)に過ぎません。一世帯当たりでは年額で15.9円(第6町内会)〜260円(第35町内会)でしかなく、そのほとんどが100円(/世帯・年)未満です※。
※札幌市の場合、基準割は増加率が逓減する世帯数の階段関数になっています(別表2)。しかし、分担金の世帯割超過分(40円/世帯・年)は世帯数の一次関数のため、第6町内会のように世帯数が多く、各区分の上端値に近い世帯数の単位町内会ほど裁量分が少なくなります。この不公平を避けるためには、分担金の原資を「世帯割全額+基準割の一部」から「世帯割の一部(例えば、130円/世帯・年)+基準割の一部(例えば、定額かつ50世帯以下免除)」等に変更する必要があります。
税を原資とする札幌市住民組織助成金の大部分が連合町内会に集約される仕組みになっていて、①連合町内会助成金世帯割(120円/世帯・年)が連合町内会に別途助成されている(別表1)こと、②分担金額が単位町内会長を含む理事会の審議を経ずに総会で決定されていることを踏まえると、分担金については金額も含めその決定方法について見直しが必要です。また、分担金の大部分が札幌市住民組織助成金であることから、単位町内会が住民組織助成金の使途を年度末に札幌市に対して報告しているように、連合町内会も総会における決算報告の中で、分担金の使途について別個の報告が必要です。
■他の札幌市内連合町内会の現状
Webサイト上で会則を公開している札幌市内の連合町内会・町内会連合会は、把握している限り8連町ありますが(札幌市内町内会Webサイト参照)、その中で分担金の金額を会則に明記しているのは
・新琴似連合町内会(札幌市北区)
だけです。また、分担金の金額を単位町内会会長を構成員とする理事会等で審議し、総会での承認を得ることを会則に明記しているのは次の3連町です。
・桑園地区連合町内会(札幌市中央区)※
・清田地区町内会連合会(札幌市清田区)
・南平岸地区町内会連合会(札幌市豊平区)
※理事(単位町内会長)は役員会の構成員(桑園地区連合町内会会則第7条1項)
分担金決定方法を会則に明記していない連合町内会・町内会連合会においても、会則以外の規程・細則等で所属単位町内会の同意を得るための民主的なルールが確立されていることとは思いますが(非公開のため不明)、単位町内会の事前承認を得ることなく、定期総会当日に役員会で定めた予算案を示すやりかたであれば、直ちに改善が望まれます。
■関連する課題
高齢・独居会員等に会費減免を行っている町内会の場合、連合町内会が分担金の算出根拠としている世帯数と当該単位町内会の会費を実際に負担している世帯数との間に差異が生じる可能性があります。このとき、分担金の額と高齢化の進捗状況によっては
・城南ヶ丘自治会(福岡県宗像市)
での校区費問題と同様の分担金過剰負担問題が発生します。
単位町内会単独では予算的・人員的に解決できないDX化(ホームページの開設、町内会アプリの導入等)の課題については、連合町内会であれば事業化できる可能性があります。実際、札幌市内のいくつかの連合町内会では、設立周年事業等を契機として連合町内会のホームページを外注で開設し、電子化された回覧板を地区内で共有するとともに、サブページにおいて単位町内会が情報発信を行っています(札幌市内町内会Webサイト参照)。高齢化の進展と加入率低下の状況で、毎年同じ顔ぶれの情弱役員が、手慣れた同じ行事を漫然と繰り返しているだけでは、町内会というシステムを今後も維持していくのは困難です。連合町内会が単位町内会から分担金を求めるのであれば、事業計画の中でその使途に関して単位町内会の意向を積極的に取り入れる必要があります。
山の手連合町内会では、これまで独立した専門部であった「総務部」と「会計部」が2025年度から「総務会計部」に一元化されました。地方自治体においては、会計管理者は執行機関から独立した立場で、公金の出納・保管・管理を行う役割を担うことが地方自治法第170条で定められています。山の手連合町内会の予算の大半が札幌市の税金であることを考慮すると、予算の執行機関である「総務部」と予算の支出や証拠の管理を行う「会計部」の責任者が同一の専門部長という新体制は、町内会の財務における中立性と信頼性を大きく損なっていると言わざるを得ません。無用な懸念を払拭するためには、元の独立した二部体制に戻す必要があります。当町内会は、2025年度山の手連合町内会定期総会(2025/4/20開催)において、上記の理由から総務会計部一元化に反対する意見表明を行いました。