単位町内会
山の手地区単位町内会の現況
山の手地区単位町内会の現況
山の手地区には38の単位町内会が存在し、山の手連合町内会を組織しています。過去には、最大で45の単位町内会がありましたが、合併、解散、脱退等により、現在に至っています。札幌市全体の中でも山の手地区は小規模な単位町内会の比率が高く、会員の高齢化や加入率低下の状況で、他地区よりも早急に町内会の持続可能性を考える必要があります。
出典:2025年度(令和7年度)山の手連合町内会定期総会議案書,p.18
内訳表には山の手まちづくりセンター提供(2025年度作成)の単位町内会マップ(下図)に掲載されている「山の手5の2」町内会が含まれていません。
全単位町内会の1/3を超える13町内会が加入世帯数100世帯未満で、うち6町内会は50世帯未満です。令和5年度に実施された町内会・自治会に関するアンケート調査(札幌市市民自治推進課,令和6年3月)によると、札幌市全体では加入世帯数100世帯(50世帯)未満の町内会は、全町内会のおよそ20%(6.5%)です。また、加入世帯数500世帯を超える町内会は山の手地区には存在しませんが、市全体では約22%あります。
内訳表には札幌市住民組織助成金として世帯割(260円/世帯・年,別表1参照)のみしか記載されていませんが、実際には世帯数に応じて22区分の基準割(6,000円~88,000円/町内会・年,別表2参照)の合計金額が助成されています。山の手連合町内会の場合、第1~6区分(6,000円~26,000円/町内会・年)に該当しますので、合計金額は11,200円(第35町内会)〜146,900円(第6町内会)の範囲ですが、連合町内会会費(300円/世帯・年)を差し引くと、札幌市住民組織助成金のうち単位町内会裁量分は、年額で4,120円(第43町内会)~13,480円(第23町内会)に過ぎません。一世帯当たりでは年額で15.9円(第6町内会)〜260円(第35町内会)でしかなく、そのほとんどが100円(/世帯・年)未満です※。
※詳細は、山の手Q&A:自治体の助成金は単位町内会に届いているのか? 参照
別表1
別表2
出典:住民組織助成金(札幌市)
画像提供:山の手まちづくりセンター
一般の町内会会員の方には、連合町内会(以下「連町」という)の会則はあまり馴染みがないと思われます。これは、連町会則・細則等が、町内会役員のみが出席できる連町定期総会資料にしか含まれておらず、しかも一般には公開されていないためです。非公開で検証を受ける機会が少ないせいか、形式的にも内容的にも多くの不備が認められます。特に、
① 会議(役員会、理事会、総会)における意思決定の仕組みとその方法
② 役員の選任方法
③ 山の手会館の管理・運営の事業化
については、関連規則等の改正を含めた改善が求められます。
出典:山の手連合町内会会則類集(令和7年度改正版),pp.1-7
認可地縁団体(法人化された町内会等)の会則については、総務省の作成したひな型を元に各自治体のWebサイトで詳細な解説が提供されています。また、一般の単位町内会についても、当町内会のように認可地縁団体用のひな型に準拠して会則を作成することは、それ程難しいことではありません。しかし、連合町内会の場合は、その構成員が当該区域に居住する個人あるいは世帯等ではなく、その区域に存在する単位町内会をもって組織されるため、設立の目的:
単位町内会単独では実現困難な事業の企画・推進
単位町内会の連携・交流の促進
地域の広域的問題への対処
行政への働きかけ
等や意思決定の仕組み(代議員会、理事会の設置等)が、認可地縁団体や単位町内会の会則とはかなり違ったものになります。また、連合町内会ごとに固有の事情(町内会館、自治体助成金の有無等)があるため、規範となるべき連合町内会会則を見出すことはなかなか困難です。山の手連合町内会会則に限らず、全国の単位町内会の連合組織の会則に何かしら不備な箇所が散見されるのは、こうした背景があると考えられます。山の手連合町内会に関しては、以下の点について改善が必要です。
会則第2条(組織)には「この会は、山の手地区にある各単位町内会(以下「町内会」という)をもって組織する」とあります。札幌市内の連合町内会の中で、会則をWebサイトで公開してる連町は8つあり(札幌市内町内会Webサイト参照)、これらの連町においても同様に定められています。しかし、この定義は曖昧で、連町の会員である構成員を完全に特定できません。町内会会員全員を会員とするのか、町内会役員を会員とするのか、あるいは町内会長等を代議員として会員とするのかが判然としません。会員あるいは構成員の特定は、役員の選出、総会の成立要件および議決要件等に関わります。ほとんどの連町では、主客転倒の感がありますが、この問題を会議(特に総会)の構成員の条項で説明しようと考えているようです。
山の手連合町内会においても、会則第12条(会議)第3項に「総会の構成員は、町内会の役員(班長を除く)及び連合町内会役員で構成する」とあります※。広辞苑第6版によると、総会とは「団体の全構成員によって組織され、総合的意思を決定する最高議決機関」を指します。連町会則における総会の位置づけがこの通りであれば、会則第2条の「単位町内会をもって組織する」というような曖昧な表現は改め、「単位町内会をもって組織し、各町内会役員(班長を除く)を会員として構成する」等とするべきです。会則第12条第3項において、本来会員から選任されるべき連町役員を、会員である町内会役員と併記することには重複がありますし、会員が特定されていれば、総会の定義からして会則第12条第3項は不要です。
※ 2025年度定期総会構成員数については、議事録が非公開で、総会開催を伝える広報山の手第241号(2025/4/25発行)に何も記載がないため不明です。会場で当日配布された座席表によると、委任状を除く総会出席者は76名であり、その他来賓2名でした。38ある町内会の中で計10町内会が当日欠席し、出席した計28町内会の参加者数はほとんど各1~3名でしたが、第9町内会については計12名(町内会役員8名、連町役員4名)、第10町内会については計7名(町内会役員5名、連町役員2名)が出席しました。
会則第3条(目的)には「この会は、山の手地区居住者の総意を代表する機関」と位置付けています。しかし、単位町内会マップに示されるように、すでに相当数の町内会が解散もしくは連町から脱退しています。残念ですが、連町は「山の手地区居住者の総意を代表する機関」ではありません。
また、会則第3条には、その位置付けに続けて、「各町内会の健全な運営に寄与するとともに、その緊密な連携協力のもとに、地区の発展と福祉の増進をはかり、文化的生活環境の育成を行うことを目的とする」としていますが、町内会を連合する組織の設立目的としては漠然として本来の目的とは少しずれています。単位町内会の設立目的と比べても大きな差はなく、単に「区域」が地区全体に拡大し、「世帯」が「単位町内会」に置き換わっただけのように映ります。
会則第4条(事業)には「山の手会館の管理・運営」が含まれていません。そもそも「山の手会館」という単語は、会則第1条(名称及び事務所)「この会は、山の手連合町内会といい、事務所を山の手会館におく」以外に現れません。これは、会則の中で自治会館の管理・運営の権限や責任の所在を事業として明確にしている全国の町内会・自治会とは大きく違う点です。山の手会館は、その費用の約7割を町内会が負担して2015年に建築された山の手地区における町内会活動の核となる建物で、連町の事業として「会館管理部(仮称)」がその管理・運営を担うのが当然です。
しかし、現状では、山の手会館の管理・運営の権限・責任は連町にはありません。山の手会館の管理・運営は、極めて不自然ですが、連町とは(形の上では)別の外部団体「山の手会館運営委員会」が担っています。同委員会は、①町内会長、②連町役員、③運営委員会が選出した者から構成されていますが、会務を主導する役員会は、会長をはじめとして②の連町役員が多数を占めています。運営委員会は年に1回の総会しか開催されないため、連町における理事会と同様に、実質的に運営委員会として機能していません。このため、①の町内会長の意見を会館の運営に機動的に反映させることは困難です。山の手会館運営委員会規約にも連町会則と同様に不備が多く、様々な運営上の問題が指摘されています※。
※ 詳細は、山の手Q&A:山の手会館使用料金は適正か? 参照
一方で、現行の会則第4条に掲げられている事業には、目的と混同している項目((1), (2), (5))、具体性に欠ける項目((3), (4))が含まれています。目的を達成するための方策としての事業という視点に立って項目の精査が必要です。
会則を公開している札幌市内8連町すべてに、会則第5条が定める「専門部」に該当する内部組織である「部」(7連町)、「部会」(1連町)が設置されています(以下「部」という)。部の設置目的を「事業の遂行」としているのは4連町、「(連町の)目的の達成」は1連町、設置目的が記載されていないのが3連町あります。すべての連町で「総務部」が設置されていますが、「会計(財務)部」は6連町に留まります。山の手連合町内会のように総務と会計を一元化し、「総務会計部」としている連町は他にありません。
部の設置目的が「(連町の)目的の達成」、あるいは「事業の遂行」かつ事業の中に「単位町内会及び各種団体との連絡調整」が含まれている場合は、総務部を設置する合理性は理解できますが、これを満たすのは4連町しかありません。また、会務全般に関わり、特定の事業とは無関係の会計を「部」として組織する合理的理由は見当たりません。会計は町内会三役(会長、副会長、会計)に含まれる重要な役職であり、中立性と信頼性の観点から、事業の執行組織とは独立した「役員」とすべきです。この意味で、会則の中で「事業」、「部」、「役員」との間の整合性が取れているのは、会則を公開している札幌市内8連町の中では
・桑園地区連合町内会(札幌市中央区)
・東北連合町内会(札幌市中央区)
の2つだけで、いずれも会計は役員1名です。
町内会の代表である理事は、会則第6条により役員に該当しますが、会則第12条第7項によって役員会の構成員からは除外されています※。また、総会の審議事項は会則第13条に明示されているのに、総会に次ぐ決議機関(会則第12条第6項)である理事会の審議事項は何も会則に示されていません。したがって、会則第9条第6項「理事は、町内会を代表し、会の運営及び町内会との連絡にあたる」に示された任務「会の運営」は有名無実です。この状況では、理事は実質的に所属する町内会との連絡役に過ぎません。連町予算の大半を負担している町内会の立場からは、町内会における班長以下に相当するこの理事に対する不当な扱いは、到底納得し難いものです。理事の連町における役割と理事会の構成等に関して、大幅な見直しを求めます※※。
※ 桑園地区連合町内会(札幌市中央区) では、理事(単位町内会長)は役員会の構成員です(桑園地区連合町内会会則第7条1項)。
※※ 詳細は、山の手Q&A:山の手連合町内会理事会は機能しているのか? 参照
会議(総会、理事会、役員会)の議事録については、会則・細則の中に、その作成義務、内容確認の方法および公開の可否等を含め一切記載がありません。しかし、定期総会議事次第には、会則等に根拠の無い「議事録署名人選出」が議題として組み込まれています。
2025・2026年度の連町役員会は、全部で19の役職を12の単位町内会から選出された(兼任を含む)17名の役員から構成されています(広報山の手第241号参照)。これは、全38町内会のうち26町内会からは役員が選出されていないことを意味します。世帯数最多の第6町内会(465世帯)や第4番目の第25町内会(360世帯)からも役員は選出されていません。一方で、第9町内会(435世帯)からは4名の役員が、第5町内会(149世帯),第10町内会(427世帯),第21町内会(277世帯),第40町内会(159世帯)からは(兼任を含む)各2名の役員が選出されています。この偏りは、過去の総会議案書を見る限り、一時的な傾向ではありません。
連町役員が特定の町内会に偏る原因は、連町細則第3条(役員選考委員会の組織)により、役員選考委員会(定数8名)の半数(4名)が役職指定による(改選前の)連町役員と定められ(連町細則別表2)、役員選考委員会の結論である役員改選案が理事会の事前の審議・承認なく総会に諮られていることにあると考えられます。
認可地縁団体では、次の8項目:「目的」、「名称」、「区域」、「主たる事務所の所在地」、「構成員の資格に関する事項」、「代表者に関する事項」、「会議に関する事項」、「資産に関する事項」を含めた会則を作成することが認可の1つの要件とされています。会則のひな型には、これらの項目以外に「事業」、「会計」、「規約の変更および解散」等の項目が含められています。これらの項目を会則作成上の1つの規範として捉えることで、山の手連合町内会会則の最初の「総則」に該当する(最初の必須5項目を含む)部分は、例えば、次のように構築できます。
(名 称)
第1条 本会は、山の手連合町内会(以下「本会」という)と称する。
(区 域)
第2条 本会の区域は、札幌市西区山の手一条から同七条および札幌市西区山の手(地番)の町域とする。
(事務所)
第3条 本会の主たる事務所は、山の手会館(札幌市西区山の手三条2丁目5番20号)におく。
(構 成)
第4条 本会は、区域内の単位町内会(以下「町内会」という)をもって組織し、各町内会役員(班長を除く)からなる会員で構成する。
(目 的)
第5条 本会は、区域内の町内会の総意を代表する任意団体であって、各町内会単独では実現困難な事業を推進することで町内会の連携・交流を促進し、地域の広域的問題へ対処するために行政への働きかけを積極的に行うことで、住みよいまちづくりに貢献することを目的とする。
(事 業)
第6条 本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(以下略)