真剣に研究を楽しむ

未だ治せない病の治療に向けて

東京理科大学薬学部分子薬理学研究室のホームページへようこそ!

The Hayata Lab, Molecular Pharmacology

Tokyo University of Science

Established in 2018

科学フォーラム2022年12月号に掲載された研究室紹介をゼヒご覧ください!


MISSION
難治疾患の病態形成機構を解明することで、革新的な創薬の分子基盤を確立し、難治疾患の克服を目指す


分子薬理学研究室では、薬物やその他の生理活性物質が生命システムに及ぼす効果に着目することで、人体メカニズムの解明を目指して、最先端の研究を行っています。特に、疾病の理解と効果的な治療への第一歩として、生体内の細胞および分子経路を調べることを重要視しています。

当分野の研究は、シグナル伝達制御による病態制御や新たな治療戦略の創出をキーワードに、大きく4つの領域に分かれています。しかし、これらの領域は、お互いにクロストークしており、イノベーティブなコンセプトを生み出す源泉になっています。

人体は、様々な細胞や免疫、循環システムが複雑に入り組んだ回路から成り立っています。我々のようなアプローチは、一見、的を絞っていないかのように見えますが、生命体を統合的に捉えることで、私たち人体の本質が見えてくるのではないかと考えています。


筋骨格系

運動神経、筋肉、骨、関節を含めて、運動器と言われていますが、この運動器が障害を受けると、生活の質が著しく低下します。

歳をとると骨が減っていきますが、骨が減りすぎて、骨粗鬆症になると、骨折しやすくなってしまいます。なぜ、骨が減るのでしょうか?私たちは、骨の新陳代謝過程であるダイナミックな骨リモデリングの分子メカニズムや骨粗鬆症治療薬の作用機序を解明し、骨折や骨粗鬆症の新たな治療戦略の創出に役立てたいと考えています。

加齢とともに筋肉が減少して、筋力が低下する病気として、サルコペニアという病気があります。この病気は、治療薬がなく、未だ治せない病気の一つです。筋トレをすればいいのでは、と思うかもしれませんが、なかなかそう簡単にはいきません。近年、筋線維の隙間にいる筋肉の間質細胞が、筋肉の発達や維持に重要な役割をしていることが明らかになってきました。私たちは、筋肉の間質細胞がどのように筋肉の発生や維持に関わるかを解明し、サルコペニアの新たな治療戦略の創出に役立てたいと考えています。

筋骨格系には、数多くの遺伝性の病気があります。私たちは、遺伝子改変マウスやiPS細胞を用いて遺伝性の病気の病態解析と治療戦略の創出を目指しています。

私たちの平均寿命は、どんどん伸びています。認知症、パーキンソン病や運動神経変性疾患などの加齢性の神経変性疾患をどのように治療していくかは重要な課題です。私たちは、運動神経変性疾患の一つである筋萎縮性側索硬化症(ALS)に着目しています。ALSに対しては、進行を遅らせるエダラボンやリルゾールという薬が使われていますが、根本的な治療薬はありません。疾患モデルマウスや培養運動神経細胞を用いて、ALSの発症メカニズムを解明し、新たな治療戦略の創出に役立てたいと考えています。

再生医療

事故や病気などで損傷を受けた組織を元通りにすることが再生医療です。ヒトiPS細胞作製技術が発明されたおかげで、ヒトの臓器を試験管内で作製し、病気の人に移植することが可能になりつつあります。また、患者さん由来のiPS細胞を分化誘導して、臓器や細胞を作り出すことで、病気のメカニズムを解明したり、治療薬の探索に役立てることも可能です。さらに、ヒトiPS細胞を用いて、今まで不可能だった人体の発生過程を試験管内で研究することも可能になっています。私たちは、患者さん由来のiPS細胞を用いて、試験管内で病態を再現し、病気のメカニズムの解明や新たな治療戦略の創出に役立てたいと考えています。理化学研究所との共同研究では、染色体欠失疾患や腎臓の遺伝性の病気に着目しています。

がん

多細胞生物である私たちは、細胞を増やす調節機構を獲得することで、生体を作り上げ、維持することが可能になっています。がんは、その細胞が増える機構に異常が生じた状態です。ただ細胞が増えるだけでしたら、手術により切除すれば、治癒する場合が多いでしょう。しかし、がん細胞は、そのままそこにとどまらずに、体のあちこちに転移してしまうのです。癌による死亡の原因の90%は、転移です。転移を防ぐことができれば、癌による死亡者を減らすことが期待できます。私たちが着目しているTGF-βシグナルは、癌の抑制因子としても癌の促進因子としても働く諸刃の剣のような機能をもっています。さらに、TGF-βは免疫抑制因子としても働きます。がん細胞そのものと腫瘍微小環境におけるTGF-βシグナル制御機構に着目し、発がん、転移、免疫回避、進化を理解することで、がんの治療や予防に貢献したいと考えています。


人は、必ず死にます。しかし、人が、死ぬまでずっと健康で生きられる、そんな社会の実現を夢見ています。

当研究室は、東京理科大学総合研究院の2つの研究部門に所属しております。

再生医療を加速する超細胞・DDS開発研究部門

老化生物学部門

本研究室は,持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の目標3と関連しています。

目標 3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する


3.4. 

2030年までに、非感染症疾患(NCD)による早期死亡を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進する。

Topics

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受賞 (6)

Cover Photo: PIXTAより