東京理科大学薬学部分子薬理学研究室では、薬物や生理活性物質が生命システムに及ぼす効果に着目し、「なぜ病気になるのか?」という根本的な人体メカニズムの解明を目指した最先端の研究を展開しています。特に、疾病の真の理解と効果的な治療への第一歩として、生体内の細胞および分子シグナル経路を解剖することを重要視しています。
当研究室のアプローチは、筋骨格系、神経・筋、臓器間ネットワークの3領域を「統合的な生命システム」として捉えるものです。多角的な視点から人体の本質に迫るこの戦略こそが、既存の枠組みを超える革新的なコンセプトを生み出す源泉となります。
Established in 2018
■ 骨格系:超高齢社会における「運動器」の維持と再生
運動器(骨、関節)の障害は、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させます。私たちは、ダイナミックな「骨リモデリング」の分子メカニズムを解明し、骨粗鬆症や難治性骨折の新たな治療戦略を創出します。さらに、遺伝子改変マウスを用いた疾患モデルを駆使し、いまだ謎の多い単一遺伝子病(ゴーハム病など)をはじめとする、希少な骨格系遺伝性疾患の病態解明にも挑んでいます。
■ 神経・筋ネットワーク:神経筋変性疾患の根本的メカニズムの解明
加齢に伴う筋肉減少(サルコペニア)や、運動神経と筋肉が機能不全に陥る神経変性疾患の克服は人類の急務ですが、いまだ根本的な治療薬は存在しません。当研究室では、筋肉の発達・維持を支える「筋間質細胞」の役割や、運動神経と筋肉を繋ぐ「神経・筋ネットワーク」の破綻メカニズムに切り込んでいます。私たちが独自に解析を進めている遺伝子改変モデルは、全身の筋肉が全く動かなくなるという重篤な神経筋変性の症状を呈します。この画期的な疾患モデルを駆使し、運動機能喪失の核心に迫ることで、全く新しい創薬標的の同定を目指しています。
■ 臓器間ネットワーク・代謝:腸内細菌叢による骨代謝制御
人体は各臓器が独立して動いているのではなく、代謝物を介して密接に情報交換を行っています。当研究室では、全く新しい視点として「腸内細菌叢」が分泌する代謝物が、血流に乗って遠隔の「骨代謝」をどのように制御しているのか、その受容体のケモプロテオミクス解析を通じて解明に挑んでいます 。また、脂質代謝やリン代謝異常が引き起こす老化促進モデルも駆使し 、臓器を超えた「統合的な生命システム」の破綻メカニズムを解剖することで、革新的な創薬ターゲットを見つけ出します。
■ 世界標準の知的格闘技「Journal Club」
トップジャーナルの論理構成を解剖し、自分たちの研究への応用を議論する戦略会議を毎週実施します 。座長には教員を制止する権限すら与えられる、徹底したタイムマネジメントとプロ意識を養う場です 。
■ 「時間」ではなく「質」の評価
専門業務型裁量研究制を導入し、研究時間は個人の裁量に委ねられます 。8月と2月の自己アピール方式の報告書に基づき、サイエンスへの貢献度を厳格に評価します 。
■ 圧倒的な教育実績
早田教授が担当する「薬理学」講義は、学生アンケートに基づく学部選定授業に過去3度選出されています。この緻密な論理的教育が、高い研究実績の基盤となっています。
■ キャリア形成の強力なバックアップ
博士課程進学率57%を誇り、学部4年から在籍の学生の日本学術振興会特別研究員採用率は67%(6人中4人)(2021年度~2025年度全体DC1平均採用率17.1%)に達します 。
2026/02/26:金野琢人(D1)が日本分子生物学会にて MBSJ-EMBO Poster Award 2025 を受賞
1599件のエントリー中、特に審査員評価が高い51件に選出される快挙です。研究成果はプレスリリースとして公開されています。
2026/02/09:内嶋聖允(新D1)と大塚果音(新D1)が「イノベーティブ博士人材育成のための共創力強化プロジェクト生」に採用内定
このプロジェクトは、専門性を深めるだけでなく、社会を牽引する共創力を備えた博士人材を育成するためのものです。二人のこれまでの努力が実を結び、素晴らしいスタートラインに立ちました。
2026/01/15:新居真由香(D2)の膵がん免疫調節に関する原著論文が Cancer Genomics Proteomics誌に出版
CTDNEP1の予後予測因子としての意義を解明。日本語・英語の両言語でプレスリリースを行い、複数の海外メディアでも紹介されました。
2026/02/13:清水智哉が博士学位論文審査に合格し、博士号を取得
当研究室から新たな博士(Ph.D.)が誕生しました。これに先立ち、4番染色体欠失を有する患者由来iPS細胞株の樹立に関する論文が Human Cell誌に出版されています。
2025/09/30:三瓶千怜(D2)が日本学術振興会特別研究員(DC2)に採用内定
内定率7.4%という極めて狭き門を突破。当研究室設立以来4人目の特別研究員採用となり、高い研究指導実績を証明しています。
■ 研ぎ澄まされたサイエンスの証:近年の主な受賞実績
当研究室の学生は、国内外の学会において高い評価を受けています。これらは、日々の徹底した議論と論理的なデータ構築の積み重ねによる成果です。
2026/03/20 大塚 果音(M2):2025年度 修士論文優秀賞
2025/12/16 金野琢人(D1):第48回日本分子生物学会年会 MBSJ-EMBO Poster Award 2025 プレスリリース
2025/8/22 新居真由香(D2):日本組織培養学会第97回大会, English Presentation Award,プレスリリース
2025/03/18 金野 琢人(M2):2024年度 修士論文優秀賞(薬学研究科薬科学専攻修士課程学位授与式総代)
2024/06/28 大塚 果音(M1):日本組織培養学会第96回大会, English Presentation Award,プレスリリース
2024/06/28 清水 智哉(D2):日本組織培養学会第96回大会, English Presentation Award,プレスリリース
2024/03/18 三瓶 千怜(M2):2023年度 修士論文優秀賞
2024/02/23 木村勇太(M1):日本筋学会協賛 第8回若手による骨格筋細胞研究会 優秀賞
2023/07/28 金野 琢人(M1):第 41回日本骨代謝学会学術集会 優秀演題賞
2023/06/16 金野 琢人(M1):日本骨代謝学会 ASBMR Travel Award
2023/06/16 三瓶 千怜(M2):日本骨代謝学会 ASBMR Travel Award
2023/03/19 清水 智哉(M2):2022年度 修士論文優秀賞
2021/03/18 荒崎 恭弘(M2):2020年度 修士論文優秀賞
人は、必ず死にます。しかし、人が、死ぬまでずっと健康で生きられる、そんな社会の実現を夢見ています。