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『スポーツを法的に考えるⅠ-日本のスポーツと法・ガバナンス』は、成長戦略の一環として位置づけられた日本での国際競技大会の招致・開催をめぐる諸論点、スポーツ基本法によって認められた国民のスポーツ権やプロ・スポーツについて、特に日本でのプロ・スポーツの代表となるプロ野球とサッカーの仕組みの違いを概観することで両者の特徴を明らかにし、今後の日本でのスポーツ政策のあり方についての1つの方向性を示そうとする。なお、本書執筆最中に発生したCOVID-19の影響で日本の日常生活におけるスポーツがなくなった状況がどのようなものであったのかも追記している。

『スポーツを法的に考えるⅡ-ヨーロッパ・サッカーとEU法』は、第Ⅰ巻で検討した日本の状況の比較対象としてJリーグ開始に際して参考にされたヨーロッパ・サッカーの法的視点からのとらえ方と検討すべき問題点を中心に内容を展開している。その際に、ヨーロッパ・サッカーの法的問題を正確に理解するためには20世紀後半から21世紀に入って経済的アクターとしてだけではなく、国際情勢の中で政治的アクターとしても重要性を増している欧州連合(EU)というものを法的に正確に理解する必要がある。そのために、本書ではサッカーの問題だけではなく、EUを基礎づけ、その活動を規律しているEU法の内容の概説も行っている。ヨーロッパ人にも理解が困難といわれているEUを日本人でも理解できるようにサッカーを例にとって検討するのが本書の目的である。