底面の撮影と合成
パノラマ雲台の設計製作、パノラマ撮影、パノラマ合成で、これまで積み重ねてきた知識やノウハウを公開します。
全周パノラマ撮影では、撮影者や撮影機材、その影が写るため、そのままでは臨場感が損なわれます。
余分に撮影し、マスクを利用してステッチ合成(その場所の画像を選択する)
を行うことで対応します。
対応しきれない場合は、
パソコンでのレタッチ編集で消去(別の場所の画像を貼り付ける)
撮影者のロゴや、撮影場所等の情報を入れる
あきらめる
などから選択することになります。
自分の影消し
三脚に付けたカメラの後ろに立って、三脚の周囲を回りながらシャッターを押して撮影すると、三脚の影が画角に入る撮影では、自分の影も画角に入ります。
三脚消し、三脚影消しを行う場合も、底面合成の面積を小さくするため、自分の影を消せるように撮影します。
リモコン等を使用して、自分の影が入らない立ち位置に移動して撮影するのが確実
リモコン等を使用しない場合、
立ち位置を工夫することで、ステッチで自分の影をマスクします。
三脚の影がステッチ境界になる向きにパノラマ雲台(三脚)を設置します。
三脚の影が画角に入る2枚だけ、自分の立ち位置と腕の影に注意して撮影します。
三脚の影の外側(ステッチ境界の外側)に自分の影が落ちる位置に立ちます。ステッチ境界の左右に振り分けた自分の影をマスクすることで、自分の影を消去します。
鏡や窓ガラスへの自分の写り込みも、同様に対応します。
(参考)この元画像は、NEX-5R+8mmF2.8用 2軸パノラマ雲台にあります。
三脚の影もマスクすると、ステッチ画像に穴が開くので、三脚の影消し画像が必要になります。
三脚を消さないとき
三脚を消さない、という選択
手すりをまたいで三脚を設置した場合など、真下の、近い位置に立体物があると、底面の合成時に視差によるズレが発生しやすくなります。
底面合成して、ズレが気になる場合、
パソコンでのレタッチ編集で消去
撮影者のロゴや、撮影場所等の情報を入れる
あきらめる(ズレをそのまま残す)
だけでなく、
三脚を消去しない
という選択もあり、です。
パノラマ雲台のL型ステー消し
三脚を消さない場合も、パノラマ雲台のL型ステーが残ると気になるため、真下を180度回転して2枚撮影し、L型ステーを消去します。
真下の、近い位置に立体物がある場合、
うまく底面合成できなかったときの保険として、真下を180度回転して2枚撮影
底面合成用に、三脚下を撮影
三脚消し
真下撮影
2軸パノラマ雲台を回して、カメラを真下に向けて撮影すると、三脚、パノラマ雲台のL型ステー、三脚の影、自分、自分の影が写ります。
写り込んだ物は、三脚消し画像と影消し画像を使って、底面処理による消去が可能ですが、
底面処理では視点ズレに伴う誤差が発生しやすい
底面処理の面積が大きくなると手間がかかる
ため、写り込む面積が最小になるように、真下撮影時に配慮します。
三脚の影、L型ステー、自分、自分の影、が重なるように、L型ステーの向き、自分の立ち位置を工夫し、
三脚の影がL型ステーに隠れる向きにパノラマ雲台を回し、自分はL型ステーに隠れる位置に立ちます。
ローテータ―の、クリックストップ位置でなくてもOKです。三脚の影とL型ステーが重なる位置を優先します。
(この撮影例ではL型ステーの向きが少しズレていますが許容範囲です。)
曇りの日や、日影で撮影する場合は、三脚の影が無いのでL型ステーの向きは自由に設定できますが、自分がL型ステーに隠れる位置に立つのは同じです。近くに立体物があるときは、立体物がL型ステーに隠れない向きにパノラマ雲台を回して撮影します。隠れた部分を三脚下画像で合成するとき、立体物があるとステッチズレが発生しやすいためです。
三脚の影にL型ステーを重ねる場合も、近くの立体物から三脚の影が離れる位置に三脚を設置することで、L型ステーで立体物が隠れないようにします。
三脚下撮影
パノラマ合成での合わせズレを防止するには、視点を固定して撮影する必要があります。
三脚を消すための、三脚下の撮影では、三脚を移動して撮影するため、視点ズレが発生しやすく、ステッチズレの原因になります。
ブレが発生しないシャッター速度なら、視点ズレが最小限になるように注意しながら、持ち上げた三脚を傾けて、手持ちで撮影します。視点ズレが10cm以下なら、うまく撮影できたと言えます。
3軸パノラマ雲台(底面撮影機能付き)を使用すれば、
ブレ防止のため、ケーブルスイッチやタイマーを使用する場合は、三脚を横に移動して、カメラを元の三脚下に向けて撮影します。視点ズレが数十cmに大きくなるため、ステッチ精度では不利になります。
影消し
パノラマ合成での合わせズレを防止するには、視点を固定して撮影する必要がありますが、視点を固定すると、カメラ(レンズのNPP位置)の影は同じ場所に落ちるので、影を消すことができません。
影を消すため、カメラの影が別の場所に落ちるように、視点をずらして撮影します。
視点をずらしたとき、影が落ちる場所が1つの平面上なら、画像の変形で、ずれないように合わせることができます。
1つの平面上に、三脚、雲台、カメラの影が落ちるような場所に、三脚を設置します。
平面が傾いていても問題ありませんが、湾曲や折れ曲がりはステッチずれの原因になります。