専用設計
使用する、ミラーレスカメラとレンズを送付していただき、NPP(ノー・パララックス・ポイント)の測定、パノラマ雲台の設計/製作、撮影テストを行います。NPP測定のため、バッテリーも(バッテリーの充電器が専用品なら、充電器も)同梱願います。
納期は、1~2週間程度です。
現在、大型の一眼レフカメラには対応できませんが、小型の一眼レフカメラ(カメラ+レンズで1kg程度以内)については、メールにて問い合わせ願います。
使用する、ミラーレスカメラとレンズを送付していただき、NPP(ノー・パララックス・ポイント)の測定、パノラマ雲台の設計/製作、撮影テストを行います。NPP測定のため、バッテリーも(バッテリーの充電器が専用品なら、充電器も)同梱願います。
納期は、1~2週間程度です。
現在、大型の一眼レフカメラには対応できませんが、小型の一眼レフカメラ(カメラ+レンズで1kg程度以内)については、メールにて問い合わせ願います。
カメラとレンズを組み合わせて、NPP(ノー・パララックス・ポイント)を測定します。
NPPの位置で、カメラの底面形状に合わせて、雲台のカメラ取付面をCNCフライス盤で切削加工します。
NPP調整の機構を持たないシンプルな構造で、設計位置にカメラを確実に固定できます。カメラを着脱してもNPP誤差が発生しにくく、撮影に専念できます。
六角レンチで固定する、カメラ固定用の小さなカメラネジ(1/4インチネジ)が付属します。(脱落防止のEリング付き)
カメラ底面にキズが付きやすいため、キズが気になる場合は薄いポリシートや紙を挟んでください。
レンズへの入射角でNPPは変動するため、好みのNPP位置での製作にも対応します。
(注)
底面形状の異なるカメラは取付できません。
NPP調整の機構を持たないため、カメラやレンズを他の機種に変更すると、NPPが合いません。
直径30mmのコンパクトなローテータ(ヨー軸の回転+三脚への固定機構)は、フットプリントが小さく、底面合成に有利です。
パノラマ雲台の、三脚への固定(三脚側のネジの長さ10mm以下)は、
小ネジ(1/4インチ)
大ネジ(3/8インチ)、1/4インチへの変換アダプター付き
から選択できます。
メートルネジ(M6ネジなど)にも対応できます。
各回転軸(ヨー軸、ピッチ軸、底面撮影用回転軸)のベアリングの予圧調整により、回転精度や剛性を向上させると共に、適度な摩擦(回転抵抗)を与えることができ、
回転軸の回り止めを廃止
→ 適度な摩擦により、撮影時や運搬時に不意に回ることが無いため、各回転軸の回り止めを廃止しました。回り止めのネジ等の操作が不要で、そのまま、すばやく回して止めることができ、操作性が良く、撮影や運搬での取り回しも容易です。
角度目盛を廃止
→ 回しやすい回転軸により、専用設計のクリックストップ位置に、再現性よく止めることができ、角度を読み取る必要が無いため、角度目盛を廃止しています。
各回転軸(ヨー軸、ピッチ軸、底面撮影用回転軸)とも、専用設計のクリックストップ付です。
クリックストップは、ネジ固定のプランジャー(汎用の機械部品)と、ステンレスのクリックプレートの、シンプルな構成です。
レンズの画角に応じて、1周の撮影枚数と、上下の撮影段数を設計し、クリックストップで止める角度に対応して、クリックプレートにクリック穴加工を行います。
クリックプレートには、製作時の動作確認とテスト撮影で、プランジャーのスジが付きますが、ステンレス(SUS304)の加工硬化によりクリック穴表面が硬くなり、真鍮製よりも大幅に耐久性が向上しています。
ミラーレスカメラとレンズに合わせた適度な回転抵抗とクリック力により、すばやく回して、クリックストップで止めて、そのまま撮影できます。
クリックプレートの直径と、クリック穴直径の関係で、加工可能なクリック間隔や個数は、
クリックストップの、間隔:12度以上
クリックストップの、1周の個数:30ポイント以内
に制限されますが、非等間隔など、好きな角度にも、要望に応じて製作可能です。
クリック位置を変更した、交換用のクリックプレート製作にも対応します。(カメラとレンズに合わせて、専用に設計製作し、他のレンズを使用できないため、クリック位置を変更する必要性は低いと思います。パノラマ合成してみて、画像のオーバーラップが不足した場合などに、1周の撮影枚数や、上下のクリック位置を微調整する程度になります。)
プランジャーを回すことで、若干のクリック強度調整が可能ですが、通常は、遊び(ガタ)が小さくなる位置にプランジャーを固定してください。最適位置より緩めると、クリック穴とプランジャーのボールの隙間により遊びが発生し、締めると、プランジャー内部の、筒とボールの隙間により遊びが発生します。雲台を回したときに、クリック位置以外で遊び(ガタ)を感じるのは、回転軸の遊びではなく、クリックプレート上を摺動する、プランジャー部品内部の遊びが原因です。
回しやすく、止めやすく、高速に撮影できるだけでなく、雲台が傾いていても(撮影中に三脚が倒れそうになるほど傾いていなければ)問題なく撮影でき、ステッチ誤差にも影響しません。
このため、水平調整をステッチ時に行うことで、レベラー(水平調整用の機材)が不要で、三脚のセンターポールに直接取付でき、撮影機材を小型軽量化できます。三脚との間に入れたレベラーや自由雲台の、固定ツマミやレバーが何かに当たって緩み、予期せず動いたり落下するといったトラブルも防止できます。
(注)撮影シーンによっては、雲台が大きく傾いた状態で撮影すると、コントラストの高い被写体が画像のオーバーラップ領域から外れて、コントロールポイントの抽出に影響する場合はあります。三脚が大きく傾いたときは、三脚の脚でおおかまに水平調整すると、転倒防止にもなり安心です。
パノラマ雲台の試作当初、雲台を黒く塗装していましたが、完成したパノラマ撮影画像には影響が見られず、コスト削減のため、塗装などの表面処理を廃止しました。(認定フォトグラファーとしてストリートビューへ投稿した画像を確認ください。)
アルミの切削加工では、キズが付かないように注意していますが、材料となるアルミの、元からのキズは、撮影精度や動作に影響しない範囲で残っている場合があります。コスト削減のため、ご了承願います。
シンプルで壊れにくく、摩耗に強い構造ですが、メンテナンスフリーではありません。
回転軸の予圧調整(適度な摩擦が得られる程度の予圧)
軸受やクリックプレートのグリスアップ
などの分解整備により、長く精度を保てます。
クリックプレートにグリスを塗布した場合、数回転後、軽く拭き取ってください。
クリックストップ機構が露出しているため、手や服へのグリス付着に注意してください。
これまで、いろいろな所に持ち運んで撮影し、不具合を感じたことはありませんが、クリックプレートに、土や砂が付かないように注意してください。
ステーにM6ネジが切ってあり、ステーに対してナットを締め付けることで、ステーと回転軸(M6皿ネジ)を固定します。(皿ネジとナットで締めると、ローテータが固定されて回らなくなります。)
ナットを締めるときの、皿ネジの位置(ねじ込み量)を微調整することで、ベアリングの当たり(与圧)を調整します。
ローテータを回してみて、
・緩ければ、ナットを緩めて、皿ネジを数度ねじ込んで、ナットを締める。
・硬ければ、ナットを緩めて、皿ネジを数度戻して、ナットを締める。
を繰り返すことで、調整を行います。
傾けたときにカメラの重さで回転しないぎりぎりの硬さを目標としますが、好みにより加減してください。
皿ネジのねじ込み量の微妙な(回転角で1~2度の)調整が必要になるため、六角レンチ用の皿ネジを使用しています。
構造上、大きく重いカメラには対応できません。
カメラ+レンズで、1kg程度まで、に対応します。
フルサイズのミラーレス、APS-Cのミラーレス、APS-Cの一眼レフ、を想定しています。
構造上、大きく重いレンズには対応できません。
カメラ+レンズで、1kg程度まで、に対応します。
円周魚眼レンズ、対角魚眼レンズ、広角レンズ、標準レンズ、を想定しています。
ズームレンズにも対応できますが、撮影ミス
ズーム位置の設定ミス
雲台を上下に回したときの画角変動
が発生しやすいため、たくさんのパノラマ撮影を行う場合は、単焦点レンズを推奨します。
(電動ズームレンズで、起動時にズーム位置が初期化される場合は、撮影ミスが発生しにくいようです。)
レンズの焦点距離(画角)に合わせて、クリックストップの位置を設計し、クリックプレートの加工を行います。
1周の撮影枚数に合わせて、ヨー軸(水平回転)のクリック位置を設計
2軸/3軸雲台では、撮影段数に合わせて、ピッチ軸(上下回転)のクリック位置を設計
→ 2軸/3軸雲台での、1段撮影、2段撮影、3段撮影、、、の違いは、ピッチ軸のクリック個数の違いになります。
クリックストップ加工の最小間隔(12度以上)のため、画角が狭い(焦点距離が長い)レンズには対応できくなり、
パノラマ雲台を製作可能な、レンズ焦点距離(撮影画像のオーバーラップも考慮)は、
フルサイズ:レンズの焦点距離 85mm(10段撮影)以下
APS-C:レンズの焦点距離 55mm(10段撮影)以下
これまでの製作実績は、1段~5段撮影の範囲ですが、計算上、1段~10段撮影のパノラマ雲台を製作可能です。
各撮影段数について、撮影画像のオーバーラップが適切になるように、レンズの焦点距離、撮影枚数(底面撮影を除く)、作成可能なパノラマ画素数(24Mピクセルのカメラを想定)を簡易計算すると、
1段撮影:8mm相当の円周魚眼レンズ、4枚*1段=4枚、8424*4212≒35.5M画素
1段撮影:13mm相当の対角魚眼レンズ、5枚*1段+上下=7枚、13690*6845≒93.7M画素
2段撮影:18mm相当の広角レンズ、7枚*2段+上下=16枚、18954*9477≒180M画素
3段撮影:28mm相当の広角レンズ、11枚*3段+上下=35枚、29486*14743≒435M画素
4段撮影:36mm相当の標準レンズ、13枚*4段+上下=54枚、37910*18955≒719M画素
5段撮影:45mm相当の標準レンズ、17枚*5段+上下=87枚、47388*23694≒1.12G画素
6段撮影:54mm相当の標準レンズ、20枚*6段+上下=122枚、56864*28432≒1.62G画素
7段撮影:63mm相当の標準レンズ、23枚*7段+上下=163枚、66342*33171≒2.20G画素
8段撮影:72mm相当の望遠レンズ、26枚*8段+上下=210枚、75820*37910≒2.87G画素
9段撮影:80mm相当の望遠レンズ、28枚*9段+上下=254枚、84244*42122≒3.55G画素
10段撮影:85mm相当の望遠レンズ、30枚*10段+上下=302枚、89510*44755≒4.01G画素
(注) 撮影段数が多い場合、真上や真下の近くでは1周の枚数を削減できるため、実際の撮影枚数は、これより少なくなります。
簡易計算式は、撮影と合成を参照してください。
(補足)
望遠レンズを使用するのは、遠景の解像度向上のためなので、遠景にピントを合わせることになり、被写界深度が浅い望遠レンズでは、近景がボケて、全周撮影には向きません。
展望台などから、比較的狭い範囲(景色の良い遠景だけ)を撮影してパノラマ合成する用途には、85mm相当の望遠レンズも有効だと思います。
運台の製作が可能な焦点距離でも、手回しのパノラマ雲台なので、撮影枚数が多くなると撮影ミス
撮影モレで、合成したパノラマ画像に穴が開く
クリック位置ではなく、途中の位置で撮影してしまい、合成したパノラマ画像に穴が開く
撮影途中で三脚を蹴って動いしまい、合わせズレになる
が発生しやすくなります。
全周撮影の場合、撮影の、ミス、手間、時間などを考えると、5段撮影の、
フルサイズ:焦点距離 45mm、17枚*5段+上下=87枚撮影
APS-C:焦点距離 30mm、17枚*5段+上下=87枚撮影
程度が、実用的な、最大の撮影枚数になると思います。
また、撮影枚数が多くなると、撮影の手間と時間以上に、パノラマ合成にかかる手間と時間がネックになります。
(補足)
解像度に期待して、5段撮影のパノラマ雲台を設計製作し、全周撮影に使用しましたが、実際の運用では、パノラマ合成にかかる時間が取れずに、合成前の画像がパソコンに眠っています。合成した画像も、時間短縮のため、最適(最大)画素数ではなく、3段撮影相当程度に画素数を制限した画像が多い状態です。5段での全周撮影の常用は難しく、記念旅行や海外旅行など、特別なシーンで活用する機材、という印象です。
発生頻度が低くても、撮影ミスが発生すると心理的なダメージがあり、特に撮影枚数が多い場合は大きなダメージになるため、
5段以上の全周撮影では、電動のパノラマ雲台(他社製品)を推奨します。
使用経験はありませんが、電動パノラマ雲台の難点を推定すると、
取り回しが悪く、準備、設置、設定、撤収に手間と時間がかかる
人や車の写り込みを避ける、撮影途中での時間待ちに対応しにくい
底面撮影が不便
回転が高速でも、回転後に三脚の振動が減衰する時間が必要になり、雲台が重いため減衰に時間がかかる
1段~3段撮影であれば、撮影作業の定型化により、撮影ミスを防止可能なので、手回しの雲台が扱いやすいと思います。専用雲台なら、シャッター速度を確保できれば、底面以外を、1枚あたり1秒~2秒で撮影できます。
回転軸を持たない、パノラマプレートです。
三脚ではなく、一脚を使用するため、パノラマ撮影機材を大幅に小型軽量化できます。
レンズが真上と真下に向かない(撮影しない)ので、全周パノラマの撮影には、上下方向に180度以上の画角を持つレンズが必要です。
全周魚眼レンズを横位置で使用し、1周4枚*1段=4枚撮影
円形のイメージサークルのため、イメージサークル外の(何も記録されない)画像領域が気になります。焦点距離が短いため、パノラマ画素数(解像度)は低めになります。
一脚を手で垂直に保持し、垂直からズレないように(視点がズレないように)注意して、90度ステップで回し、4方向を撮影します。お手軽に回せば、短時間で撮影できますが、注意して回すと、1軸パノラマ雲台よりも撮影に時間がかかります。
視点のズレが大きくなると、合わせ誤差が大きくなるため、回し方の練習と技術が必要ですが、経験上、1軸パノラマ雲台と同等の合わせ精度を再現するのは困難です。フリーハンドでの撮影と比較すれば視点ズレを小さくできますが、残った視点ズレのため、パノラマ合成で合わせズレを改善しようとすると、手間と時間がかかります。
真上を撮影しないため、真上がイメージサークル境界付近になり、真上の解像度や合わせ精度は劣化します。水平ではなく、5度~10度上向きで1周撮影することで、真上の解像度や合わせ精度を少し改善できます。また、一脚が傾いて撮影して、真上が撮影されずに穴が開く、という撮影ミスも防止できます。真上と真下は撮影しませんが、一脚を持ち上げて、手持ちで底面撮影を追加すれば、一脚消し、一脚の影消しも可能です。
[NEX-5R+MADOKA+0軸パノラマ雲台] の感想
イメージサークル外のピクセルが多いのは、損をした感じになりますが、パノラマ撮影機材の大幅な小型軽量化は魅力的です。ある程度の視点ズレでもステッチできるように、パノラマ合成ソフトが進歩しているため、視点ズレをあまり気にせず、お手軽に一脚を回して撮影するのが良さそうです。視点ズレによる合わせズレは残りますが、合わせズレを許容して簡単にパノラマ合成し、レタッチ修正するのがお手軽です。
ヨー軸(水平回転軸)だけを持つ、パノラマ雲台です。
高剛性で高精度の回転軸に、適度な摩擦を持たせ、回り止め機構を持たず、回して、クリックストップで止めて、そのまま撮影する簡単操作です。
三脚が必要ですが、2軸雲台よりも小型軽量です。
レンズが真上と真下に向かない(撮影しない)ので、全周パノラマの撮影には、上下方向に180度以上の画角を持つレンズが必要です。
円周魚眼レンズを横位置で使用し、1周4枚*1段=4枚撮影
円形のイメージサークルのため、イメージサークル外の(何も記録されない)画像領域が多く、焦点距離が短いためパノラマ画素数(解像度)は低めになります。
小判型イメージサークルの魚眼レンズを縦位置で使用し、1周4枚*1段=4枚撮影
使用するカメラよりも小さいセンサーサイズ用の対角魚眼レンズを、マウント変換して、小判型イメージサークルの魚眼レンズとして使用します。縦位置で使用するため、マウント変換部品に付属のレンズ台座で、パノラマ雲台に固定します。
小判型のイメージサークルのため、上下方向に180度以上の画角を確保しながら、イメージサークル外の(何も記録されない)画像領域を少なくできます。円周魚眼レンズと同じ撮影枚数ですが、焦点距離が長くなるため、高画素数(高解像度)のパノラマ画像を作成できます。もちろん、さらに焦点距離が長い、広角レンズによる多段撮影と比較すると、画素数(解像度)は劣ります。
0軸パノラマ雲台と同様に、1周4枚で、1段撮影ですが、三脚を使用することで、合わせ精度が改善し、パノラマ合成も容易になります。
真上を撮影しないため、真上がイメージサークル境界付近になり、真上の解像度や合わせ精度は劣化します。水平ではなく、5度~10度上向きで1周撮影することで、真上の解像度や合わせ精度を少し改善できます。
真上と真下は撮影しませんが、三脚を持ち上げて、手持ちで底面撮影を追加すれば、三脚消し、三脚の影消しが可能です。
[α6000+7.5mmF3.5+1軸パノラマ雲台] の感想
小判型イメージサークルの魚眼レンズで、イメージサークル外の(何も記録されない)画像領域が少なく、最小の撮影枚数で比較的高画質が得られるので、お得な感じです。雲台自体は、かなり小型軽量ですが、三脚、カメラ、レンズも組み合わると、2軸パノラマ雲台との差は小さくなります。
一脚に取り付けると、大幅な小型軽量化が可能です。0軸パノラマ雲台と同様に、一脚ごと回して、お手軽に撮影でき、円周魚眼レンズよりも大幅に高画質です。欄干や手すりなどに、一脚を押さえつければ、三脚での撮影と同様に、雲台を回して高精度に撮影できます。三脚に取り付けて高精度に、一脚に取り付けて小型軽量で山登りなどに、使い分けできます。
ヨー軸(水平回転軸)とピッチ軸(上下回転軸)の2つの回転軸を持つ、パノラマ雲台です。
2つの回転軸とも、高剛性で高精度の回転軸に、適度な摩擦を持たせ、回り止め機構を持たず、回して、クリックストップで止めて、そのまま撮影する簡単操作です。
真上と真下を含め、レンズの向きを上下に変更できるため、1段撮影~多段撮影用のパノラマ雲台を製作可能です。
撮影段数は、単純に、ピッチ軸(上下回転軸)に加工した、クリックストップ穴の数で決定されます。
1段撮影の2軸パノラマ雲台:対角魚眼レンズを使用し、1周5枚*1段+上下=7枚撮影
1軸パノラマ雲台と同様に魚眼レンズを使用しますが、真上と真下の撮影を追加することで、焦点距離が長い対角魚眼レンズを使用でき、パノラマ画素数、解像度が向上します。1軸パノラマ雲台よりも撮影枚数が3枚増加しますが、枚数の増加分以上に、解像度の向上を感じます。特に、真上の解像度が向上します。
撮影もステッチも楽ですが、多段撮影よりもパノラマ画素数が少なくなり、遠景では解像感が不足します。
焦点距離が短い分、パンフォーカスで撮影でき、室内撮影に向きます。
[NEX-5R+8mmF2.8+2軸パノラマ雲台] の感想
対角魚眼レンズを使用した古典的なパノラマ撮影手法を、ミラーレスカメラで再現した構成です。11000*5500画素の、標準的なパノラマ画像を作成できます。細い三脚(雲台交換式に改造したP-MAX)で使用でき、小型軽量です。パノラマ合成しやすいレンズです。
2段撮影の2軸パノラマ雲台(12~21mm相当の広角レンズ)
1段撮影(対角魚眼レンズ)よりも解像度が良く、3段撮影よりも簡単で、解像度と手間のバランスが良い撮影段数です。
カメラの画素数の増加により、ストリートビューの最大画素数のパノラマ画像を作成できますが、レンズの解像度が不足する場合が多くなります。高画素数のパノラマ画像で、解像感を向上させるためには、高解像度のレンズが必要です。屋外撮影では、遠景(主に水平方向)の解像度を要求されますが、水平1周ではなく、上30度1周+下30度1周での2段撮影になるため、レンズの周辺解像度が重要になります。
ストリートビューの最大画素数用の撮影では、レンズの解像度が苦しくなります。
APS-Cカメラでは、遠景の解像感が少し劣る感じがします。
上側での1周と下側での1周の、両方の画像に水平方向が写るので、1周目と2周目で人や車が移動していればステッチ時にマスクで消すこともできます。
[α7+20mmF2.8+3軸パノラマ雲台] の2軸パノラマ雲台としての感想
3軸パノラマ雲台として製作しましたが、屋外での撮影のため、底面撮影回転軸を使用する機会が少なく、分解して、2軸パノラマ雲台に組み直して使用しています。解像度の高いレンズで、ストリートビュー最大画素数の、解像感の良いパノラマ画像を、最小の枚数で撮影できます。レンズの歪曲が小さいためか、ステッチ誤差の数値が小さく、パノラマ合成が容易です。
大きく、重いのが難点ですが、細い三脚(雲台交換式に改造したP-MAX)でも使用できる範囲です。
3段撮影の2軸パノラマ雲台(24mm~28mm相当の広角レンズ)
高解像度ですが、撮影とパノラマ合成に、手間と時間がかかるのが難点です。
上45度1周+水平1周+下45度1周の撮影で、解像度を要求される遠景(主に水平方向)にもレンズが向くため、レンズの解像度の点で有利です。
人の多い所では、ステッチ境界で人が切断されるなどの失敗も発生しやすくなります。3段撮影の手間は気にならなくても、人や車の移動を待ったりするのはストレスになります。上側1周の画像が、空や電線だけになると、ステッチに手間がかかるのも難点です。
焦点距離が長い分、被写界深度が浅く、室内撮影では不利になります。
[α7R+28mmF2+2軸パノラマ雲台] の感想
ストリートビューの最大画素数以上のパノラマを撮影できます。遠景の風景撮影に向いています。一度しか行けない旅行先の風景などは、3段撮影で残しておきたいところです。
4段撮影以上の2軸パノラマ雲台(35mm相当以上のレンズ)
全周を撮影すると、手間と時間がかかりすぎるのが難点です。焦点距離が長くなると、パンフォーカスも難しくなります。
[感想]
展望台などから、景色の良い方向の遠景だけ撮影する用途が現実的です。台や腰窓などに置くことを前提に、小さなテーブル三脚を使用すれば、大幅に小型軽量化でき、活用の機会もありそうです。
2軸パノラマ雲台に、底面撮影(三脚消し撮影)用の回転軸を追加したパノラマ雲台です。(三脚の影消し撮影は2軸雲台と同様です。)
夜景や室内で、底面撮影を行う場合は、3軸パノラマ雲台が便利です。
3つの回転軸とも、高剛性で高精度の回転軸に、適度な摩擦を持たせ、回り止め機構を持たず、回して、クリックストップで止めて、そのまま撮影する簡単操作です。
2軸パノラマ雲台と比較すると、大きく重くなるため、取り回し、剛性、精度、耐久性で不利になります。底面撮影用の回転軸には、大きな負担がかかるため、特に、機材が重い(カメラ+レンズで1kg程度)場合は、メンテナンスが重要です。ベアリングの適切な予圧調整により、快適に使用できます。
底面撮影以外の特徴(対応するレンズ、撮影枚数など)は、2軸パノラマ雲台と同じです。
三脚消し撮影の原理と実際
全周撮影では、レンズの視点は三脚の真上にあり、カメラを真下に向けると、三脚が写ります。
パノラマ画像の三脚消しでは、撮影と合成で
撮影時に、三脚を撤去(移動)して、三脚下画像(三脚が置いてあった地面)を撮影しておく
できるかぎり、視点ズレが小さくなるように撮影しますが、三脚を移動するため、1cm~1m程度(撮影手法に依存)の視点ズレが発生します。屋内や夜景では、シャッター速度が遅くなるためブレやすく、三脚での撮影(リモコンや2秒タイマーなどを併用)が必要です。
ステッチ時に、パノラマ合成ソフトのマスク機能を利用して、三脚やその周辺を三脚下画像で置き換える
パノラマ合成では、視点を固定した撮影が重要ですが、視点ズレが発生しても、被写体が平面であれば(置き換える画像との接続境界が平面上にあれば)、画像の変形により合わせ込みが可能です。これは、書類やスライドなどを、少し斜めから撮影しても、画像処理で正面から撮影したように変形できるのと同じです。もちろん、視点ズレが小さいほど、パノラマ合成ソフトでの変形(合わせ込み)の精度や、変形による画質劣化の点で有利になります。
という作業で、真下に写った三脚を消去しています。
2軸パノラマ雲台での、底面撮影は、
(A)三脚を持ち上げて、手持ちで、三脚下を撮影
練習により、視点ズレを1cm~20cm程度に抑えることができます。手持ちなので視点ズレの再現性は悪くなります。三脚が画角内に入らないように持ち上げる(または、三脚からカメラを取り外す)ことで、三脚消しの有効範囲が広くなり、撮影ミス(消去領域をカバーできない)の発生確率が小さくなります。シャッター速度が遅くなる室内や夜景では使用困難なのが、最大の欠点です。
(B)三脚を横に移動し、三脚のあった場所に、斜めにレンズを向けて撮影
三脚での撮影のため、リモコンや2秒タイマーなどを使用することで、シャッター速度が遅い室内や夜景でも使用できます。三脚を大きく移動する必要があり、50cm~1m程度の大きな視点ズレが発生します。また、斜めから三脚下を撮影するため、光の反射や、若干の凹凸での影が異なり、変形により合わせズレが無くても、色や明るさが不自然になる場合もあります。
のどちらかで撮影します。ブレない程度のシャッター速度を確保できれば、視点ズレが小さい、手持ち撮影が有利です。
1軸パノラマ雲台での、底面撮影は、
(A)三脚を持ち上げて、手持ちで、三脚下を撮影
→ 2軸パノラマ雲台と同様ですが、上下回転が無いため、三脚を大きく持ち上げる必要があります。
(B)三脚を横に移動し、三脚のあった場所に、斜めにレンズを向けて撮影
→ 2軸パノラマ雲台と同様ですが、1軸パノラマ雲台だけでは、斜めにレンズを向けることができません。三脚との間に自由雲台を入れて向きを変更する、などの工夫が必要になります。
のどちらかで撮影します。1軸パノラマ雲台の場合、夜景や屋内では底面撮影せずに、レタッチ処理したほうが簡単そうです。
3軸パノラマ雲台での、底面撮影は、
(1)底面撮影用の回転軸を回して、カメラを三脚の中心からオフセットさせる
カメラを真下に向けると、三脚の中心から(カメラのオフセット分だけ)ズレた場所の地面を撮影できます。
(2)オフセットさせてカメラが移動した分だけ、三脚を平行移動して設置し、真下(三脚下)を撮影
三脚で撮影できるため、リモコンや2秒タイマーなどの併用で、ブレを防止できます。
の組み合わせで撮影します。適切な雲台設計と、撮影練習で、小さな視点ズレで、再現性良く撮影できる可能性があります。
底面撮影機能のオフセット量設計
3軸雲台の底面撮影機能では、オフセット量の設計が重要です。
(A)三脚消し機能としては、オフセット量を大きくしたい
三脚消し画像に写り込む三脚は、三脚消しの有効範囲を狭くします。有効範囲が狭いと、三脚を平行移動して撮影したときに、移動方向のズレなど(撮影ミス)で、消去に必要な範囲をカバーできなくなります。オフセット量を大きく設計すれば、有効範囲が広くなり、撮影ミスを防止できると共に、底面合成でのマスク処理も容易(三脚ぎりぎりにマスクしなくて良い)になります。
三脚の写り込みが原因なので、三脚の形状にも大きく依存しますが、経験上、三脚の平行移動が200mmでは小さく、300mm程度なら三脚を消去しやすくなります。
(B)三脚の転倒を防止するためには、オフセット量を小さくしたい
三脚の転倒防止のため、三脚の脚の接地点を結んだ三角形の内側に、カメラのオフセットを制限したほうが安全です。三角形の内側でも、軽い三脚を使用すると、傾斜や風で転倒しやすくなり撮影時に注意が必要です。パノラマ撮影では、底面処理を容易にするため、三脚のフットプリントが小さくなるように、三脚の脚をあまり広げずに設置する場合もあり、オフセット量を大きくできません。
正三角形の重心から辺までの最短距離は、辺の長さ/3/√(2)なので、最大オフセット量を手持ちの三脚で計算すると、
ALTA PRO 2(4段三脚):脚の接地距離=810mm、最大オフセット量=810/3/√(2)=191mm
P-MAX(5段三脚改造品):脚の接地距離=830mm、最大オフセット量=830/3/√(2)=196mm
ALTA PRO 2V(3段三脚):脚の接地距離=900mm、最大オフセット量=900/3/√(2)=212mm
ネオテック(3段三脚):脚の接地距離=1020mm、最大オフセット量=1020/3/√(2)=240mm
三脚の見た目よりも、小さなオフセットに制限されます。
(C)3軸雲台を分解して、2軸雲台として組み立て可能にしたい
NPP調整機構を持たないため、組み立て直したとき、無調整でNPPが合うように、オフセット量を設計することになります。
カメラのサイズや雲台の構造に依存依存しますが、専用設計では、200mm前後になる場合が多いようです。
現在、(C)を優先して、オフセット量を200mm前後(カメラのサイズ依存)に設計しています。このため、
三脚の脚の接地点の間隔=850mm程度に対応
脚の開きが狭く、軽い三脚では転倒に注意が必要です。
オフセット量は200mm前後ですが、三脚消し撮影の三脚移動量を300mm程度(三脚の形状にも依存)で撮影
移動量を大きくすることで、撮影ミスを軽減し、パノラマ合成でのマスクも容易になります。オフセット量と移動量に10cmの差があり、10cmの大きな視点ズレが発生します。視点ズレを最小にできる、底面撮影機能の利点を放棄するような運用ですが、撮影ミスの低減が優先です。2軸雲台での三脚を使用した底面撮影の、50cm~1m程度の大きな視点ズレと比較すれば、大幅に視点ズレを改善できます。
(感想)
付いていれば、それだけで簡単に完璧に底面を撮影できる、という魔法のような底面撮影機材は存在しません。いろいろな制約条件を受けながら妥協を重ねて設計し、三脚の選定や撮影方法にも試行錯誤や練習が必要な機材です。特に、三脚の形状に依存するのは悩ましい問題ですが、オフセット量200mm前後に設計し、三脚移動量を大きめにすることで、いろいろな三脚に対応できると考えています。撮影練習により、三脚移動の再現性を向上させることで、夜景や室内撮影では非常に有効な機能になります。
オフセット量300mm前後に設計すれば、撮影ミスを低減でき視点ズレも軽減できますが、小型軽量のパノラマ雲台では、軽量三脚での運用を想定しているため、三脚の転倒が不安です。(2軸雲台でも、三脚を転倒させて、カメラとレンズを破損した経験があります。)
底面撮影機能を利用できる撮影シーン
利用できるシーンが制限されます。
三脚を300mm平行移動ができる程度に、地面が平らになっている
三脚の転倒防止のため、地面の傾斜が少ない
三脚の影がない(三脚消しは問題ないが、三脚影消しの撮影ミスが心配)
三脚の影がある場合、
影の向きに注意すれば、底面撮影機能を使って、三脚消し画像を撮影し、三脚を消去できる
三脚消し画像にも三脚と影が写り、消去の有効範囲が狭いため、三脚影消し画像に広い有効範囲が必要
レンズの画角が狭い場合、広い有効範囲を確保するため、三脚影消し画像が複数枚必要
底面撮影機能を使った三脚影消し撮影は、手持ちよりも視点ズレが大きくなる
経験上、シャッター速度が速い場合は、手持ち撮影のほうが、撮影ミスが少なく、三脚影消し画像の視点ズレも小さくできるようです。
1段撮影の3軸パノラマ雲台:対角魚眼レンズを使用し、1周5枚*1段+上下+三脚下=8枚撮影
屋内のパノラマ撮影におススメです。
対角魚眼レンズの画角が広いため、底面撮影機能を使用した撮影で、撮影ミスを防止しやすくなります。
焦点距離が短い分、パンフォーカスで撮影でき、室内撮影に向きます。
[α7+11mmF2.8+3軸パノラマ雲台] の感想
古典的な撮影手法ですが、フルサイズのミラーレスカメラと専用設計の対角魚眼レンズは、従来の機材よりも高解像度の撮影が可能です。遠景が気にならない室内撮影には、十分な画素数、解像度です。逆光特性の悪いレンズですが、室内なら問題なく使用できます。室内では、三脚の影の影響は比較的小さく、底面撮影機能を使った撮影が便利です。大きく、重くなるのが難点ですが、細い三脚(雲台交換式に改造したP-MAX)でも使用できます。
(以下準備中)