H.教材生物の維持
(1)わら培地の培養容器から50mLビーカーにミドリゾウリムシを入れる。
※生米培地のミドリゾウリムシはブレファリスマ同様、米粒の周囲に集まり、増えている場合には緑色がついている。そのため、駒込ピペットやスポイトで時計皿や、スライドガラスにとることにより高密度のミドリゾウリムシの観察をすることができる。
※双眼実体顕微鏡の種類によっては、100mL培養瓶をそのままセットして観察できることもある。その場合、米粒の周囲に集まるミドリゾウリムシの様子を観察することができる。培養瓶をそのままセットできない場合は、ブレファリスマと同様ににミドリゾウリムシを高さ20mmの90mm滅菌シャーレで培養することによりクリアすることができる。ミドリゾウリムシも生米で培養するとあまり泳がず、米粒の周囲に集まっているのは不思議な光景。
(2)ビーカーを横から見て、ミドリゾウリムシが泳いでいることを確認する。
(3)裏返しにした90mm滅菌シャーレの蓋の中央に時計皿を置き、そこに1mLミドリゾウリムシ培養液をとり肉眼で運動の様子を確認する。
(4)双眼実体顕微鏡で運動の様子を確認する。
(5)時計皿を載せたシャーレを顕微鏡のステージに載せて低倍率で運動の様子を観察する。
※透過光と反射光を使い分けると良い。
(1) スライドガラスに駒込ピペットあるいはスポイトで、1(3)の時計皿の底からミドリゾウリムシを1滴とり、肉眼でミドリゾウリムシがいることを確認する。
※ミドリゾウリムシは、塩化ニッケルをかけなくても運動性が低いのでとれる。
(2)カバーガラスを静かにかける。
(3)顕微鏡の低倍率から高倍率へ倍率を高くして、細かい構造を観察する。
※液量が多い場合は、ゾウリムシ同様、カバーガラスの左右にキムタオル片(ろ紙片)をあて、水分を吸い取る。ただし、吸い取り過ぎると短時間でミドリゾウリムシが潰れてしまうので、ミドリゾウリムシの運動が停止している場合は、多少液量が多くても気にしない。
※透過光と反射光を使い分けると良い。
(4)共生クロレラなどを確認する。
※最高倍率にすると、かなりインパクトがある。
(5)時間がたつにつれて熱で水分が蒸発してくるので、カバーガラスの重みでゾウリムシは圧迫されて最終的には破裂してしまう。
(6)プレパラートのカバーガラスを軽く指で圧迫して顕微鏡を観察すると、ミドリゾウリムシの細胞膜が破壊され、共生クロレラが外に出ている様子が観察できる。
(1)観察の方法は通常のミドリゾウリムシと同じであるが、生米培地の生米の周囲から実体顕微鏡で確認しながらスライドガラスにとると良い。
(2)実験では、通常のミドリゾウリムシとともに観察すると良い。
※生物基礎では、細胞内共生の話題が扱われていることからも、白いミドリゾウリムシの観察はとても意味があるのではないか。
(1) ミドリゾウリムシの培養瓶を複数用意し、明条件と暗条件で培養する。
(2)時間を置いて(2週間以上)双眼実体顕微鏡あるいは顕微鏡で観察し、ミドリゾウリムシに共生しているクロレラの数を比較する。
※暗条件で培養しても共生するクロレラの数は0にならないが、明条件で育てたものに比べて数に違いが見られるようになる。
動画
(1)クロレラを共生させる白いミドリゾウリムシ(クロレラ非共生ミドリゾウリムシ)の用意
1)高さ20mmの90mm滅菌シャーレの蓋をとり、中央に40mm滅菌シャーレの蓋を逆さにして置き、キムワイプまたはペーパータオルを敷く。
2)時計皿を40mm滅菌シャーレの蓋がスタンドになるように置く。
3)滅菌した生米培地(参照:ミドリゾウリムシ維持法)にNBミネラルウオーターを入れ、デンプンが多少崩れている生米粒周辺の液を1mL程度とる。
4)培養容器から双眼実体顕微鏡で生米粒周辺の白いミドリゾウリムシ(クロレラ非共生ミドリゾウリムシ)の密度のできるだけ高い部分から、駒込ピペットでとり時計皿に移す。
5)時計皿に白いミドリゾウリムシ(クロレラ非共生ミドリゾウリムシ)がいることを双眼実体顕微鏡か低倍率顕微鏡で確認する。
(2)ミドリゾウリムシから共生させるクロレラを得る
1) 2.(6) の方法で、ミドリゾウリムシの体外に共生クロレラを出す。
※顕微鏡で、プレパラートに破壊されたミドリゾウリムシと体外に出た共生クロレラがいることを確認する。
(3)共生クロレラをクロレラ非共生クロレラと一緒にする
1) (1)-5)の時計皿の上に、(2)-1のプレパラートのカバーガラスを静かに浮かせ、スライドガラスを(時計皿の上に来るようにする。
2)NBミネラルウオーターを吸ったパスツールピペットで、スライドガラス、カバーガラスについている共生クロレラを時計皿に洗い流す。
3)双眼実体顕微鏡か低倍率顕微鏡で、時計皿にクロレラ非共生ミドリムシと、共生クロレラの両方いることを確認する。
4)90mm滅菌シャーレの蓋をして、低温インキュベーターの光が当たるところに置く。
※すべての時計皿では共生が起こらないので、少なくとも3時計皿以上で行うと良い。
(4)培養と共生の観察
1)できるだけ毎日、(3)-4)の時計皿を双眼実体顕微鏡か低倍率顕微鏡で観察する。
2)早ければ、1、2日でクロレラが共生する。
1.実験装置
左の小シャーレで実験を行う。右のシャーレは保湿用。90mmシャーレに蓋をして、インキュベーターで培養する。
2.共生クロレラの取り出し
3.非共生化ミドリゾウリムシ
4.共生化ミドリゾウリムシ
(1) ミドリゾウリムシの培養瓶を複数用意し、明条件と暗条件で培養する。
(2)時間を置いて(2週間以上)双眼実体顕微鏡あるいは顕微鏡で観察し、ミドリゾウリムシに共生しているクロレラの数を比較する。
※暗条件で培養しても共生するクロレラの数は0にならないが、明条件で育てたものに比べて数に違いが見られるようになる。