H.教材生物の維持
H.教材生物の維持
観察方法 I.観察・実験の方法
(1)培養容器から50mLビーカーにゾウリムシを入れる。
(2)ビーカーを横から見て、ゾウリムシが泳いでいることを確認する。
(3)裏返しにした90mm滅菌シャーレの蓋の中央に時計皿を置き、そこに1mLゾウリムシ培養液をとり肉眼で運動の様子を確認する。
(4)双眼実体顕微鏡で運動の様子を確認する。
(5)時計皿を載せたシャーレを顕微鏡のステージに載せて低倍率で運動の様子を観察する。
※透過光と反射光を使い分けると良い。
※反射光での観察。スマートフォンのライトでも十分観察可能
(1) 1.(3)の時計皿に、塩化ニッケル溶液を1、2滴加えて、静かに揺らす。
(2)しばらくするとゾウリムシが時計皿の底に沈んでくるのが肉眼で分かる。
(3)双眼実体顕微鏡でゾウリムシが集まっている様子が観察できる。
(4)時計皿を載せたシャーレを顕微鏡のステージに載せて低倍率でゾウリムシが集まっている様子を観察する。
※透過光と反射光を使い分けると良い。
※教科書などに載っている「扁平なゾウリムシの写真」と「実際のゾウリムシ」の違いを認識できると良い。
(1) 2.(4)の時計皿のゾウリムシを、低倍率でやや光の量を減らし、ピントをやや甘くすると収縮胞の収縮を観察することができる。
※運動停止しているゾウリムシの密度を高い部分を、低倍率で視野を広くして観察することがポイント。
※培養液の濃度調整をスクロース溶液や食塩水で行うと、浸透圧と収縮周期の関係の実験を行うことができる。
(1) スライドガラスに駒込ピペットあるいはスポイトで、2.(4)の時計皿の底からゾウリムシ1滴とり、肉眼でゾウリムシがいることを確認する。
(2)カバーガラスを静かにかける。
(3)顕微鏡の低倍率から高倍率へ倍率を高くして、細かい構造を観察する。
※液量が多い場合は、カバーガラスの左右にキムタオル片(ろ紙片)をあて、水分を吸い取る。ただし、吸い取り過ぎると短時間でゾウリムシが潰れてしまうので、ゾウリムシの運動が停止している場合は、多少液量が多くても気にしない。
※透過光と反射光を使い分けると良い。
(4)繊毛、収縮胞、細胞口などを確認する。
※最高倍率にすると、かなりインパクトがある。
(5)時間がたつにつれて熱で水分が蒸発してくるので、カバーガラスの重みでゾウリムシは圧迫されて最終的には破裂してしまう。
(1)食胞の取り込みをしてから必要に応じて運動停止させる。
(2)染色酵母の取り込みの観察
1)ゾウリムシ培養容器から、裏返しにした90mm滅菌シャーレの蓋の中央に置いた時計皿に1mLゾウリムシをとる。
2)染色酵母液を少量時計皿に垂らす。
3)双眼実体顕微鏡で、ゾウリムシが染色酵母を取り込もうとしている様子を観察する。
※顕微鏡低倍率(透過光・反射光)で観察しても良い。
(3)食胞の色の変化
1)ゾウリムシ培養容器から、50mLビーカーに20~30mLのゾウムシをとる。
2)染色酵母液を少量時計皿に垂らし、染色酵母が均一に広がるようにして30分以上置く。
3) (2)染色酵母の取り込みの手順で観察すると、ゾウリムシ体内で染色酵母が青色に変化しているものを観察することができる。
(4)食胞の観察
1) 2.運動停止の方法で、塩化ニッケル液を垂らして、ゾウリムシを運動停止させる。
2) 時計皿の底に沈んだゾウリムシを、双眼実体顕微鏡、低倍率顕微鏡で観察する。
3) 4.微細構造〔顕微鏡〕の方法で、スライドガラスにゾウリムシをとり、カバーガラスをかけ、低倍率顕微鏡(透過光・反射光)で確認する。
※細胞肛門から染色酵母を排出する場面を観察できる場合がある。
4)倍率を上げて、食胞を観察する。
(1) 2.運動停止の方法で、塩化ニッケル液を垂らして、ゾウリムシを運動停止させる。
(2)時計皿の底に沈んだゾウリムシを、スライドガラスにパスツールピペットまたはスポイトでとる。
(3)酢酸オルセインを1滴垂らして、カバーガラスを静かにかける。
※ゾウリムシの細胞膜が壊れやすいので、気をつけて行う。
(4)顕微鏡の倍率を変えながら観察する。
(1)単離
1)時計皿を4枚ほど並べる。
2)時計皿にミネラルウオーターを1mL位入れる。
3)駒込ピペットで培養容器からゾウリムシを1枚目の時計皿に入れる。
4)肉眼または双眼実体顕微鏡で確認しながら、駒込ピペットでゾウリムシをできるだけ少なく取り出し、この操作を繰り返して最終的にゾウリムシ一個体だけいるようにする。
※駒込ピペットの先を細くして曲げると作業しやすい。
(2)培養と増殖状況の確認
1)高さ20mmの90mm滅菌シャーレの蓋をとり、中央に40mm滅菌シャーレの蓋を逆さにして置き、キムワイプまたはペーパータオルを敷く。
2) 単離したゾウリムシが入っている時計皿に、荒縄のわらの繊維を2~3cm置く。
※米粒の破片でも良い。
3) 2)の時計皿を40mm滅菌シャーレの蓋がスタンドになるように置く。
4)90mm滅菌シャーレに乾燥防止のためにミネラルウオーターを加えて蓋をする。
5)低温インキュベーターに入れて、増殖状況を確認する。
※時計皿の液体が蒸発してきたら、ミネラルウオーターを足す。
※増殖が進むと、水質悪化などで死滅する。それ以上続ける場合は40mmや55mm滅菌シャーレに移す必要がある。
※この方法は、他の教材生物に用いることも可能。