第8回 ドット・コムを取ろう 2000年5月10日
第8回 ドット・コムを取ろう 2000年5月10日
前回はドット・コム・ビジネスとでもいうべきものをご紹介しましたが、今回は具体的な取得法について詳しく解説しています。実に簡単に取得することができるのです。とはいえ、早まらないでください。一攫千金を狙うのは実際には不可能に近いし、いやがらせ的にドメイン名を取ることはルール違反であることをきちんとわきまえて行動を起こしてしてほしいのです。 WebGendai
ネットワーク・ソリューションズ社
2月にWindows 2000の発表会でサンフランシスコに行った際、一日中展示会場を歩き回り、疲れてホテルでぼんやりテレビを眺めていたら、黄色と青の見慣れたホームページが画面に現れた。
なんだっけ、と目を凝らしたら、ドメイン名取得企業、Network Solutions社の「ドット・コムを取ろう!」というテレビ・コマーシャルだった。チャンネルはCNN、時間は夜10時、まさにゴールデンタイムの全米にお茶の間に、「ほら、こんなに簡単にドット・コムが取れるんです」と宣伝している光景に唖然とした。
Network Solutions社は、.com、.org、.netの管理を米国商務省から委託されている民間企業で、1999年の第2四半期に120万、第3四半期130万、この数年間で1000万件近いドメイン名を販売している。今年3月には、暗号システムの巨大企業ベリサインが、210億ドル(2兆2000億円、ニチョーですョ!) で買収し、話題となった。
毎年1ドメイン名あたり最低35ドルの売り上げなので、年商3億5000万ドルの会社に、210億ドルの値がついたことになる。単純計算で60年分の売り上げだが、世はまさにドッグ・イヤー、「70年が10年」で計算すると8.6年。それに.comの95%を管理しているという立場を加味すると、ニチョーでも数年で元が取れるような気がする。
昨年4月にYahoo!がBroadcast.comを40億ドル(4800億円:当時の為替レート)で買収して話題となったが、その5倍の金額である。
ドット・コムの取得方法
Network Solutions社のサイトに行けば、誰でも簡単にドメイン名を取得できる。
2.調べる
希望するドメイン名を入力し、[Go!] ボタンを押すと、すぐに取得できるかどうかが判明する。.comがダメでも、.orgや.netが取れる場合は、知らせてくれる。
.orgは団体での活動の場合、.netはインターネットを使ったサービスなどに使うのが一般的となっている。
[Cotinue]を押すと次の画面が表示される。
3.選ぶ
ホームページやメールアドレスなどの付加サービスのメニューが出るので、ここでは2年間で70ドルの[Continue]を押す。
あなたがインターネット・サーバの管理者か、管理者に近い人であれば、DNSありの毎年35ドルコースとなる。DNSって何だか知らないが、とりあえずドメイン名を取得したい人は、毎年40ドルコースを選択する。
数ヵ月前までDNSナシの場合170ドルくらいだったが、最近40ドルに値下げされた。
4.登録する
ドメイン名の管理者、技術担当者、支払者を登録する。三役ともに同じ人でも構わない。InterNICに登録済みの人はIDを入れるだけで簡単に登録できる。
5.支払う
毎年35ドルの使用料の支払いにはクレジットカードを使うので、その番号を入力する。ベリサインが買収したくらいなので、カード番号が盗まれることはないだろう。
ここで躊躇する人が多い。「毎年35ドル、俺の余命が30年として1050ドルか。10万円は高いなぁ」とか、「俺が死んだらこのドメイン名どうなるんだろう」とか、「登録したメールアドレスでいろんな通知が来るけど、俺、いつまでこの会社にいるかな」などと、日本人らしい思考が頭をよぎる。
仕事でドメイン名を取る場合も「見積書をくれとはいえないよな」とか、「会社のカードいつまで使えるのかな」とか、「経理はドメイン名の取得なんて理解できないな」とか、「俺の立場で取っちゃって良いかな」とか、「稟議で半月かかるな」ということになる。
最後の「半月かかるな」が問題で、この2ヵ月間でnipponica.comとifolder.netをほんのタッチの差で他の人に取られてしまった。ifolder.netなど、調べて「あるな」と思い、数日後に取ろうとしたら先を越されたのである。
先日、某出版社の方と夜中に5個の.comを取得したが、別に酔った勢いというわけでもなく、その会社の商品やサービスの名称として本当に使う予定であれば、思い立ったその日に取得していただきたい。
6.待つ
数秒後に「処理中」のメール、1時間以内に「登録」のメールが届き、1週間以内に「登録」の手紙が届く。これで、そのドメイン名はあなたのものである。
7.繋ぐ
ドメイン名をDNSサーバに設定し、index.htmlファイルを作れば、それで世界中から見えるようになる。
ドメイン名取得のルール
いとも簡単にドメイン名が取れることをご紹介したが、前回のexxonmobilのような一攫千金を狙うのは言語道断だし、他で使われたくないからという敵対的な意味で、むやみに取得するのも、お奨めできない。
また、「買いませんか」の誘いにも乗らないほうが良いし、「iwanami.com売ります」も、無視して欲しい。
4月17日の朝日新聞に小国ツバルの.TVドメインの記事が出ていた。アイデアラボというカリフォルニアの会社が5000万ドル(52億円)で、.TVの独占使用権を取得し、nihon.tvとasahi.tvは年間26万円、tokyo.tvは年間260万円で売り出したとのこと。
テレビ会社としては、BSデジタルや地上波デジタル放送で、テレビとインターネットが急接近している今、競合他社やベンチャー企業にasahi.tvを名乗られては困るし、ましてや、アダルト系に取られては沽券に関わると思われるだろうが、無視してもらいたいと思う。
以前、女房の友人達に「インターネットを見せてあげようか」と自慢して、「今度はホワイトハウスに行こう」と、whitehouse.comと叩いて、ひんしゅくをかったが、そんな状況の中で、インターネット社会の新しいルールが生まれてくるのだから……。