第5回 Windows2000登場 2000年3月1日
第5回 Windows2000登場 2000年3月1日
Windows2000がデビューした。2月17日、世界同時出荷記念の「進水式」は巨大キーボードからカルロス・サンタナが飛び出すなど趣向を凝らしていたが、95、98に比べてぐっと地味な印象はいなめない。それというのも、このアプリケーションの性格がよくわからないからである。「進水式」を現地で取材した下川氏に何がどう凄いのかを解説してもらおう。 WebGendai
サンフランシスコでの進水式
2000年2月17日、マイクロソフトの最新OS「Windows 2000」が世界同時に出荷された。サンフランシスコでラウンチ(Launch:進水式)が行われ、新たにチーフ・ソフトウェア・アーキテクトに就任したビル・ゲイツ氏が、華々しくWindows 2000の出荷を発表した。
2月のサンフランシスコは暖かく、会場となったビル・グラハム公会堂には、Tシャツ姿も見受けられた。近くに寒流が流れているので、夏が涼しいのは知っていたが、冬はさぞかし北風が強かろうと想像していたのに、手袋もマフラーもいらなかった。
発表の前々日から、モスコーニ・コンベンションセンターでWindows 2000の展示会も開催され、進水式の雰囲気は盛り上がっている。展示会には、IBM、HP、DELL、Compaqなどのコンピュータ・メーカーや、SAP、EDSなどのソフトウェア・メーカーが出展していた。いずれも、大規模サーバや大規模システムの展示である。
今回、発表され出荷されたのは、法人企業の個人用のWindows 2000 Professional、部門サーバ用のWindows 2000 Server、そして、インターネットの大規模サーバ用のWindows 2000 Advanced Serverの3製品である。日本では、Professionalを個人市場にも売るために、まるでLinuxのようにβ版CD-ROMを雑誌に添付したり、秋葉原で大イベントを開催していたが、米国ではAdvanced Serverを強調していた。
巨大サーバーも手中に
インターネットのサーバは、ピンとキリのサーバOSが勢力を持っているが、そこにAdvanced Serverと、120日後に出荷予定のDatacenter Serverで切り込むという構図である。ピンとは.COM(ドット・コム)CMでお馴染みのSun、キリはLinuxである。
Windows 2000にSQL Server 2000という最新のデータベース・ソフトを組み合わせることで、世界最高のアクセス速度を実現するなど、巨大インターネット・サーバの市場をも、マイクロソフトが制覇しようともくろんでいる。
ビル・ゲイツ氏の発表会は、17日朝、9時半から開催された。サンフランシスコの公会堂は超満員である。ナビゲータ役のスタートレック、ピカード船長ことパトリック・スチュアートが登場し、大きなノートパソコンのフタが開いて、スクリーンが現れるなどの派手な演出が繰り返された。
最後には、ノートパソコンのキーボードが大きくせりあがって、中からカルロス・サンタナが登場して一曲披露し、喝采を浴びた。
インテルの最新プロセッサーを4個や8個搭載したサーバ・コンピュータが壇上に所狭しと配置され、Advanced Serverや、BizTalk(ビズトーク)とよばれるインターネットを使った企業間取引のデモが行われた。BizTalkは、電子出版でも話題のXMLというタグ言語を使用した企業間データ交換の方法で、A社とB社で商取引を行う際に、A、B両社のデータベース定義の違いを解釈する仕組みである。
インターネットのサーバ間で売り買いを行うB2B(ビーツービー、ビジネス・トゥ・ビジネス)は、今後、急速な伸びが期待されており、サーバに知的な判断をさせるソフトもいろいろ発表されている。以前、孫さんが、持ち株会社の従業員の少なさを質問されて、「将来、ソフトバンクは一台のサーバになる」と面白いことを言っていたが、一台の巨大なサーバが会社そのものとなる可能性も秘めている。
ユニコードでユニワールド
Windows 2000は世界同時出荷とご説明したが、英語、ドイツ語、日本語(2バージョン)、フランス語、スペイン語、イタリア語、スウェーデン語、オランダ語、韓国語、ブラジル・ポルトガル語のバージョンが17日から18日にかけて出荷された。
最終的に60ヶ国、106言語をサポートする予定で、60日以内に中国語(繁体字版と簡体字版)、デンマーク語、ノルウェー語、フィンランド語、チェコ語、ポーランド語、ハンガリー語、ロシア語、イベリア・ポルトガル語、ギリシャ語、トルコ語、アラビア語、ヘブライ語の14ヵ国語バージョンが出荷予定である。
これほどの言語のバージョンが短期間に開発できる理由は、ユニコードのおかげである。最近の基本ソフトウェアのほとんどは、世界の文字を凝縮したユニコードという文字コード系を採用している。Windows CE、NT、2000、Java、XMLなど、すべて16ビットのユニコードを使用しており、上記のような各国の文字がサポートされている。
会場には、世界各国から大勢の記者が来ていた。プレスセンターには、Windows 2000搭載のパソコンが50台以上設置され、自由にインターネットを見たり、フリーメールの送受信が行える。ここで日本のサイトを覗いてみたら、何と、米国版のWindows 2000なのに、漢字がしっかり表示された。
この仕組みについては、次回、解説する。
ビル・ゲイツのキーノート
カルロス・サンタナの演奏