2024/5/8、NHKで、「紙の出荷量がピーク時の半分に」「初めて出荷量が1,000万トンを割る」というニュースが流れておった。
このニュースを聞いて、どう思うじゃろうか。「紙業界も不況か…」「紙がなくなると困るなぁ…」と思う人と、「デジタル化・ペーパーレス化が進んだからなぁ…」と思う人がいるのではないかな。
SDGs的な観点で見れば、紙の節約は紙の原料である木材の保護、可燃ごみとしての紙の減少、製造過程のCO2排出の低減、などの効果がある。紙の出荷量の半減は、「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「陸の豊かさも守ろう」といったSDGsを「達成できている」証拠であると捉える見方もできる。「脱炭素社会に向かっている」と捉えることもできる。歓迎すべき変化なのじゃ。
しかし、それは同時に「製紙業界の縮小」をも意味する。統廃合や事業再編など、製紙業に関わる人の仕事が減ったり、失われたりする可能性があるということじゃ。
何かを追求することは、何かを犠牲にすることでもあるかもしれない。そういうことに思いを馳せるいい機会ではないかな。
全く同じことが、「フードロスをなくそう活動」にも言える。フードロスとは「食べ物を無駄に捨てる」という行為を指すが、それはごみの処理にかかる費用やそこから発生するCO2が問題であり、さらには食べたくても食べられない人たちがいるのに…ということもあって、「フードロスをなくそうぜ」という活動が各地で起きている。
しかし、フードロス低減を突き詰めていくと、当然消費される食材も減っていく。つまり、食材の生産者が苦しくなっていくという現実もあるのじゃ。多少は捨ててもいいからたくさん食材を買ってくれた方が助かる、という生産者がいてもおかしくはないし、いても責めることはできまい。
紙は紙で価値があるのは分かるが、紙の生産・出荷が今後も減少していくのは確実じゃ。SDGsのことを考えたら、「私たちのためにどんどん紙を使ってください」とも言えない。これまでの経緯を冷静に分析し、紙の利用が「どの程度まで減るのか」を予想しながら「紙の利用がなくなっても製紙業が生き残っていく戦略」を考えなければならない。同じことが食材の生産者にも言える。フードロスありきの出荷量ではなく、「つくる責任」を念頭に置きながら自分たちも潰れずに持続可能な生産をしていくことを目指す必要がある。
さて、みんなの「消費者側」からの視点で、何かできることはあるかな?