東京医科歯科大学の武部貴則教授らが、2024年度のイグ・ノーベル生理学賞を受賞した。ノーベル賞については毎年日本人の受賞なるかどうかが話題になるが、イグ・ノーベル賞はなんと18年連続日本人が受賞している。
イグ・ノーベル賞は、ノーベル賞のパロディ版という位置づけで、「人々を笑わせ考えさせた研究」に贈られる賞。今年度の武部教授のチームは、「哺乳類(ブタ)が尻から呼吸できることを発見した」ことで受賞した。ちなみに2023年度は「電気を通したストローや箸で味覚を変える」という研究、過去にはたまごっち(経済学賞)やバウリンガル(平和賞)に贈られたこともある。
日本人はイグ・ノーベル賞に強い。癒着か何かで日本人枠があるのではないかという疑いを持たれそうなほど、毎年受賞しておる。ということは、日本人は「ガチ研究」より「ネタ研究」の方が向いているということなのじゃな。ネタ研究ではあるが、役に立つ研究でもある。今年の尻呼吸についても、重症肺炎の治療に役立つヒントがあるというから、単に変な研究というわけではない。電流で味変、という2023年度の研究は、塩分の摂取量を抑えられる電流スプーンとして実用化されておる。そう考えると、どちらかというと大真面目な研究にふまじめなタイトルを付けて笑いを取りに行っている印象がある気がするな。
わしは「まじめにふまじめ」が世界を救うと本気で思っておる。日本人が「笑える研究」の分野で世界に認知されているということは、ある意味ノーベル賞を取ることよりわしは誇らしいことじゃと思う。
探究学習も、それでいいのじゃ。真面目な研究というのは大抵もう誰かがやっておるものじゃ。ちょっと斜めから、人とは違う視点で仮説を立てていった方が、検証のしがいもあるし、やっていて楽しいものじゃ。検証して失敗しても、「ですよねー」の一言で済ませられるのはお得じゃと思わんかね。
実は、大真面目に「探究学習からイグ・ノーベル賞が出る」ことを期待しておる。今回の記事は探究の具体的なネタというわけではないが、探究学習に向かう姿勢として非常に参考になるものじゃと思う。イグ・ノーベル賞の一覧を見るだけでもはまってしまうくらい面白いので、是非一度検索して読んでみるといい。何か、面白い探究のヒントが得られるかもしれない。