地球温暖化が叫ばれるようになって久しい。気温の推移については気象庁のサイトでデータが見られるので色々探してみた。こちらが世界の年平均気温の推移、こちらが日本の年平均気温の推移じゃが、いずれも上がっているし、一番新しい2023年の気温変化は、世界で+0.54℃と0.5℃を初めて上回り、日本で+1.29℃と2番目に変化の大きかった2020年度の+0.65℃の約2倍の異常な上がり方をしておる。
2023年の世界の異常気象のまとめを見ても、圧倒的に「高温」が多く、「低温」は1つもない。意外なことに「少雨」はあまりなくて、「多雨」や「サイクロン」の被害が多いのじゃが、これは高温であるがために海水などの水分の蒸発が多かったのかもしれんな。
北国の青森県でも、2023年の8月には39℃の高温を記録した。わしも長年生きとるが、こんな経験は初めてじゃ。
さて、この地球温暖化は「温室効果ガス」が地表の熱を逃がさないようにしているのが原因だとされておる。二酸化炭素(CO2)もその一つじゃ。同じく気象庁から大気中の温室効果ガスの濃度の推移も発表されておるが、二酸化炭素濃度も確かに緩やかに増加している。
CO2濃度と気温上昇が連動している=CO2には温室効果がある、というわけじゃな。地球温暖化の原因はCO2!ということでCO2を減らせ作戦が世界各地で催されているわけじゃ。
しかし、個人的にはCO2と地球温暖化の関係は「直接的」だとは思っていない。
CO2濃度は、特に北半球では季節によって変動する。少しイメージすればわかるが、夏は植物が生い茂ってCO2を吸収してくれるが、冬は植物が枯れてCO2を吸収してくれるものがなくなるからな。冬は動物優勢というわけじゃ。さらに、寒い地域では人類がガンガン暖房を焚いて(火を焚いて)CO2を放出しまくる。
では、特に冬にCO2を出しまくっているが故に冬が暖かくなっているか?といえばそうではない。2021年・2022年は青森県では記録的な大雪が降ったし、晴れた朝は放射冷却で-10℃を下回ることだってザラにあった。雲一つない青空の下でこそ、雲の力を借りずにCO2くんが熱を温存してくれるはずなんじゃなかったのか?わしにはCO2が温暖化の原因とはどうしても思えん。
(CO2があるからこそこの気温で踏みとどまっているのであって、CO2がなかったら冬にまともに暮らせないほど寒い星になってしまう…という可能性ももちろんある)
2023年に気温が跳ね上がったことは、メタンガスの濃度がここ何年かで跳ね上がったこととの関連の方が大きいのではないかな、と思っておる。あとは、純粋に「地中にあったものを燃やし続けている」が故に地表にその熱エネルギーが堆積しているだけ、という可能性もある。また、温暖化に備えてエアコンを備える施設が増え、エアコンというヒートポンプで「室内の熱を外に排出している」ことにより全世界的にヒートアイランド現象が起きているんだ、とも考えられるのではないかな(多雨やサイクロンが起きるのも納得がいく)。これなら、冬にエアコン暖房を使う家庭が増えることで「室外の熱を中に吸い込んでいる」わけだから、冬が寒くなる可能性も説明できる気がするのじゃが、どうだろう。
一度、何日間か世界中のエアコンを止めてみたら案外過ごしやすい世界になるかもしれん。探究ネタとしてどうじゃろうか。
さて、それはともかく、世界中でCO2削減だCOP21だカーボンニュートラルだと叫ばれているが、叫ばれているだけで実際はCO2は増え続けている。増加率は一定のまま、時間に比例して徐々に増えている感じじゃ。2016年には400ppmを超え、2024年現在そろそろ420ppmを超えている頃かな?
温暖化の原因になっているかどうかはともかく、CO2が増え続けているのは確かじゃ。このことが意味することは、何じゃろうか。
相変わらず人はものを燃やし続けているということじゃ。特に、地上のものよりも「地下のエネルギー源」をどんどん取り出して地上で燃やしているということじゃ。
以前から「あと○○年で石油はなくなる」と言われ続けているが、実際は新たな油田が見つかるたびに埋蔵量は増える。以前はあと30年と言われていた埋蔵量(可採年数)は、資源エネルギー庁のエネルギー白書2023によると「2020年末で53.5年」だそうじゃ。わしが生きている間にゼロになることは少なくともなさそうじゃな。安心安心。
しかし、石油は所詮地下に眠る植物の化石じゃ。石油を燃やすのと薪を燃やすのはやってることは同じ。石油の採掘は、地下の森林伐採を進めるようなものじゃよな。どんどん採掘して燃やせば、地下の有機化合物は痩せ細り、地上にはCO2と水(H2O)が増え続けることになる。石油があるから燃やす、という発想でいけば、この流れを止めることはできない。
世界で叫ばれている「CO2削減」は、厳密に言えば「CO2の排出量の削減」であることがほとんどじゃ。つまり、石油を燃やすことで得られるのと同等のエネルギーを他の何かで得る、とか、石油をもっと効率のよい方法で燃やして燃費をよくする、とか、そういう発想なのじゃな。
しかし、ほとんどの場合、「他の何か」でエネルギーを得ようとしても、どこかの処理で燃料を使ってCO2を排出している。たとえば、「電気自動車」。クルマそのものはガソリンを燃やさないので「ゼロエミッション」だが、火力発電で電力をまかなう限りはCO2を実質排出していることになる。燃料電池の水素も、今のところ水素の生産に工場からのCO2排出が必須じゃ。全体量で見れば「排出量は減っている」のかもしれんが、依然として「排出している」ということに変わりはない。
人間という生き物は「不便になる」ことを極端に嫌う。「燃やす」ことで得られるエネルギーの大きさと手軽さは、今のところ他のどんな手段を用いても得られない。「燃やさない」ことよりも「効率的にちょっとずつ燃やす」ことで「不便にならない範囲でCO2の排出量を減らそう」というのが人間の浅はかな考えなのじゃな。
今のところ、大気中のCO2を取り出して違う物質に置き換える、という、本当の意味での「CO2削減」の手法は確立していない。確立して普及していたらCO2濃度は「下がって」いないとおかしいからな。
わしの知っている限り、身近でCO2をちゃんと削減してくれるものは「植物」だけじゃ。
先ほど言ったとおり、石油は「植物の化石」じゃ。薪や炭と同じく、「植物」を燃やすことで私たちは生きている。植物や草食動物を食べて体内で燃やしてエネルギーとしていることも含めれば、私たちの求めるエネルギーのほぼ全てが植物由来なんだと言っても過言ではない。
工場から排出される二酸化炭素その他の温室効果ガスにまつわるカーボンニュートラルの取り組みは各社に任せるとして、私たちにできる「CO2削減」は、「植物を増やす」ということに他ならないのではないかな。植物の有機化合物でエネルギーを得ると同時にCO2を増やした分、CO2を植物の体に返してやるのじゃ。
よし、じゃあみんなで植樹しよう!というのは、悪くはないが、なんだか壮大な話になってしまいそうな気がする。岡山県の森林研究所によると、杉の木1本の年間のCO2吸収量は14kgで、ヒト一人が排出するCO2が320kgなのでヒト一人分のCO2を吸収するには杉が23本、1世帯分を吸収するには460本必要だそうじゃ。木の場合は一定の間隔を空ける必要もあるし、杉なんて花粉で近所迷惑だし、ハチの巣ができたり、デメリットもいくつもありそうじゃよな。
簡単なのは、やはり「草」じゃないかな。日本植物生理学会によると、面積あたりのCO2吸収量は森林の半分ほどじゃそうだが、代わりに「どこにでも」生やすことができるというメリットがある。
みんな、草を「雑草」と扱って刈り取ってしまうのじゃが、これからの時代、カーボンニュートラルを考えるなら、草を「刈らない」という取り組みなんてどうじゃろうな。目に見える部分は好きに整えるとして、スキマスキマの草を伸びっぱなしにしておく、とか、「ここは草生えるゾーン」みたいな場所を作ってそこは雑草伸び放題にしておく、とか。草に親しみと敬意を持つようにすれば、あとは草刈りをサボるだけでいいのだから楽じゃぞ。
ただし、草だからと言って馬鹿にしていると、アスファルトを割る程度の力があるので痛い目を見る可能性はある。風に乗って種子が飛ぶので、繁殖をある程度コントロールする必要がある。特に農地とは切り離さないと、迷惑をかけてしまう可能性は否めない。ブタクサなど花粉症の大敵な草もあるし、草に付く虫も益虫だけとは限らないし、気をつけるべきポイントはたくさんあるが、その点を含めて「自然と共存」できるようになっていくのは悪い話ではないと思うな。
例えば、レモンバームやミントなんて虫除けにもなるし香りは爽やかだし放っておけばいくらでも増えるし、そういう「益草」的なやつを伸び放題にしておく土地を用意するのはどうじゃろうな。増えすぎたらハーブとして利用すればいいし悪くないと思うが。
もちろん素人考えなので、専門的に考えたら色々問題点も出てくるとは思うが、区画をしっかり区切って草を生やしてみると問題は起きるのか、みたいなのは期間限定でまずはやってみて検証してみるくらいなら罪はないんじゃないかな。ダメなら刈って堆肥にすりゃいいんじゃし(適当)。
こういう発想はじじぃ臭いかのう。わしも歳をとって、植物を育てたり、そこに飛んでくる虫を見たりするのが楽しいと思うようになったから、なんだかそこら辺に生えている草も愛おしく思えるのかもしれん。
将来的にはCO2を抑制するために、「その辺に草が当たり前に生えている」という世界がやってくるかもしれない。みんな、その時に備えて今のうちに草耐性を鍛えておいた方がいいのではないかな。
CO2の削減が「気象変動への具体的な対策」となるかどうかはわしは甚だ疑問じゃとは思うが、それはともかくCO2が増えているのは事実じゃ。大気中に二酸化炭素が増えている、と聞いて、なんだか少し息が苦しいような気がしてくるのは気のせいじゃろうか。いいことではない。
CO2の排出を抑制するには、とにもかくにも「燃やさないエネルギー源」を確保していくしかない。何かわしらにもできる妙案はあるかの?みんなでちょっとずつ息を止めてみる、なんていうのも、世界中でやったら馬鹿にできない効果があるかもしれんぞ。
そしてCO2を「ちゃんと減らす」には、わしらにできることといえば「植物を増やすこと」じゃと書いた。あまりやりすぎるとこれも生態系や生物多様性に影響してしまうが、何か自分たちで育ててみたい植物はないかの。家庭菜園をみんなでやってみるのも、農業を体験するという点では一次産業の振興につながる可能性もあるので悪くないかもしれんな。
それ以外に大気中のCO2を削減する妙案はあるかな?教室の照明で何か育てる、なんていうのができたら、CO2メーターとにらめっこしながら効果を検証することもできるかもしれんな。