教育ディスカッション3
周術期のがん患者に対する標準的な理学療法の実際
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教育ディスカッション3
周術期のがん患者に対する標準的な理学療法の実際
演者
森本 紀朗
所属
個人
演題
がんサバイバーとして理学療法に向ける期待
演者
原田 剛志
所属
国立がん研究センター
東病院
演題
標準的な術前理学療法:
術前待期期間と術前補助治療期間での関わり
演者
沖田 祐介
所属
国立がん研究センター
中央病院
演題
標準的な術後理学療法:
集中治療室から一般病棟での関わり
座長
小林 大祐
所属
国立がん研究センター
東病院
がんの治療が進歩する中で、治療後の生活の質(QOL)を維持・向上させるためのリハビリテーションの重要性がますます高まっています。 手術、化学療法、放射線治療により生じる体力や筋力の低下、倦怠感、呼吸機能の低下などに対し、適切な理学療法を提供することが、がん患者の回復や社会復帰を促進する鍵となります。
しかし、がんのリハビリテーションは2010年に診療報酬制度として導入されたものの、実際にサービスを受ける機会が限られている患者は少なくありません。 特に、がんのリハビリテーションを経験したことのない患者にとっては、リハビリテーション医療の概念自体が十分に理解されておらず、「どのような理学療法を受けたいか」と問われても明確に答えられないのが現状です。
また、理学療法士にとっても、がん患者の状態や治療内容に応じた適切なリハビリテーションの介入方法を学ぶ機会は限られており、標準的なアプローチの確立が難しいという課題があります。がんの種類や病期、個々の患者の状態に応じた介入が求められるため、画一的な手法では対応できないという現実があるのです。
本シンポジウムでは、がん患者に対する理学療法の実践的なアプローチを学び、より適切な介入ができる理学療法士の育成を目指します。 臨床経験と研究実績を兼ね備えた理学療法士が登壇し、治療目標の設定や運動療法の組み立て方、患者ごとの具体的な介入方法について解説します。
さらに、食道がんを経験された方をお招きし、リハビリテーションを受ける機会がなかった立場から「本来どのような支援が望ましかったか」を語っていただきます。 これは、患者自身の視点からリハビリテーションの必要性や改善点を考える貴重な機会となります。
本シンポジウムの前半では、がんサバイバーであり、ご家族がリハビリテーション医療を受けられている立場でもある当事者に登壇いただき、「当時、どのようなリハビリテーションを受けられたらよかったか」、「現在の理学療法に対してどのような期待を持っているか」についての視点でお話しいただきます。
後半では、2名の理学療法士により周術期の術前と術後についてフェーズを分けてがん患者に対するリハビリテーション治療目標と、実際の運動療法介入について解説頂きます。
その後、最後に、登壇者と参加者を交えた総合討論を行い、がん患者に対するリハビリテーションにおいて現場での課題や今後の展望について議論を深めます。