国際社会学科は、グローバルレベルの社会・文化・地域に関する現場立脚型の教育を基盤とし、多様性と調和に価値をおく多文化共生と多様性支援を実践的に担うことのできる地球市民(グローバル・シティズン)を育成することを目標にかかげています。
この目標のもと、初年次にグローバル化や多文化共生を現場で学ぶ「国際社会体験演習」を必修科目としておいています。本科目で学生は、グローバル化が生起する国内外の現場での学びを経験・実践し、国際社会学科が目指す現場立脚型のグローバル・シティズンシップ教育の趣旨を理解します。同時に、2年次以降の海外調査や国内サービスラーニングを軸とする国際社会プロジェクト演習、3年次以降の調査ベースの演習科目群、さらには海外留学や海外インターンへと展開する4年間の能動的な学びに対する展望を得ることが期待されます。
この科目には、多民族国家、フェアトレード、多文化共生と地域おこし、グローバル化時代の環境保全等をテーマとする国内外での現場実習が10コース設定されています。各コースで学生は、国内外の様々な異文化を生きる人びと(例えば移民労働者)と交流・対話し、その過程で現代社会の多様性、多文化性、グローバルな関係性に対する気づきを得て、こうした地球規模の問題=グローバルイシューズに関わる問題意識を育んでいきます。この科目のねらいは次のとおりです。
居心地のいい場所(家や教室)=コンフォートゾーンから自分を引きはなし、アウェイの現場(フィールド)に身をおく。そこで自分ととことん向きあう。
異なる立場・文化の人たちと現場で関わり、語り合い、つながる。言語・文化の壁を実際に超えてみる。
「地球市民」としての役割を現場で考える。現場の人びとがかかえる問題をひとごとではなく、自分ごととして考える想像力を身につけ、問題解決のための具体的な行動を構想する。
自分の未来への一歩を踏みだす。実習中の体験をひとときの体験で終わらせず振り返ることで、もう一歩先の体験学習、さらには自らの未来につなげる。
演習の展開イメージ
年間スケジュール
外国人技能実習生と考える<日本のグローバル化>
訪問先:宮城県気仙沼市の水産加工工場や外国人支援のNPO団体、震災復興に関わる市民団体
フェアトレード体験を通した自然と人の共生
訪問先:福島県いわき市のオーガニック農業とフェアトレードの実践団体
植林・森林保全プロジェクトを通して〈環境問題の最前線〉に触れる
訪問先:岩手県住田町の植林・森林保全プロジェクト(通称「メンバーズの森」)サイト
飯田の多様性社会と参加型自治 : 地縁社会に交流がもたらす元気
訪問先:長野県飯田市・周辺の国際交流活動の現場、満蒙開拓平和記念館、農家民泊等
日本におけるロシア文化およびロシア系移民
訪問先:ロシア料理店、横浜外国人墓地、ニコライ堂、バレエ・スタジオ等、首都圏にあるロシアゆかりの場所
あるく・みる・きく多民族国家シンガポール
訪問先:各民族の文化振興組織やシンガポール国立大学ほか
フィリピンの多民族都市・観光都市・学園都市のバギオで文化と人の多様性を考える
訪問先:市内巡検、小学校・フィリピン大学バギオ校、先住民文化の復興運動を行う支援団体EDAYA(竹楽器・竹工芸の体験)
ブータン王国において〈幸せを目指すくにづくり〉を学ぶ
訪問先:ブータン王国ティンプー県等の城塞、伝統工芸院、JICAブータン事務所等
マニラで英語学習と多文化社会の体験的理解
訪問先:フィリピン有数の市立大学アテネオ・デ・マニラ大学、スペイン街、中華街等
ブータン人学生との交流を通して〈グローバル社会のなかの日本〉を考える
訪問先:学内・オンラインで、ブータン王国の大学生と交流するプログラム