(実施)秋期 A5 『源氏物語』全巻を読む 「蜻蛉」巻 ~行方も知らず消えし蜻蛉~

【講座目標】

『源氏物語』を原文で読み解くことが、楽しくおもしろいと実感できることを目標とします。そして、作者紫式部の静かなるメッセージに耳を傾けます。 

【講座趣旨】

確証はないものの、浮舟は入水したものと考えざるを得ません。遺された人々は、それぞれの立場で、浮舟を偲び、深い悲しみとともにその菩提を弔うしかありませんでした。浮舟の四十九日の法要は、救いがたい運命に翻弄されながらも、その本来の出自の高貴さを示し得る機会ともなりました。作者紫式部の心には、残酷なほどに厳しい王朝貴族社会の現実を見つめ、その過酷な社会を懸命に生きた女たちへのレクイエムがあったことでしょう。出自の高貴さと人の世の有為転変、自身では避けがたい運命、最も弱いものでもあるような、まるで蜻蛉にも似た存在の浮舟ではありましたが、その失踪そのものは、懸命にその生を生きようとした激しい主張でもあったのです。我々は、この浮舟物語に表わされる紫式部の深い思念に、人が生きるということの意味を学んでゆかねばならないでしょう。講義では講師作成の「本文・随訳」を使用し、原文のリズムとその陰影を大切に味わいたいと思います。 

【講座期間】

第1回 10月17日(月) 浮舟の葬送

第2回 10月24日(月) 嘆く薫と匂宮

第3回 11月 7 日(月) 薫、浮舟の宿世を思う

第4回 11月14日(月) 残された人々

第5回 11月21日(月) 薫、宇治を訪問

第6回 1128日(月) 浮舟の四十九日の法要

第7回 12月 5 日(月) 薫、女一の宮を垣間見る

第8回 12月12日(月) 行方も知らず消えし蜻蛉

【受講者からの感想】

・今回もとても充実した時間をすごすことが出来ました。今回から昼の講義になったことで、自分自身時間的に余裕が持てました。河地先生、次回も楽しみにしています。ありがとうございました。

・本文の解説だけでなく、その背景やほかの巻との関連、紫式部の意図など大変興味深く拝聴しました。また先生の現在の問題意識などもお聞きできて有意義でした。ありがとうございました。

・教授の幅広い知識を受けることが出来た。 

【講座の様子】