(実施)秋期 A8 『源氏物語』全巻を読む 「浮舟」巻 ~運命に翻弄される浮舟~

【講座目標】

『源氏物語』を原文で読み解くことが、楽しくおもしろいと実感できることを目標とします。そして、作者紫式部の静かなるメッセージに耳を傾けましょう。 

【講座趣旨】

「浮舟」巻は、『源氏物語』最後のヒロイン「浮舟」が、薫と匂宮という最高の貴公子二人からの激しい愛に苦悩する姿を描きます。「東屋」巻で薫と結ばれた浮舟ですが、匂宮は、二条院で遭遇した浮舟のことが忘れられません。そして、手を尽くして浮舟の在処を突き止め、ついに強引に浮舟と契ったのでした。二人の男性に愛され苦悩する女性像は、古今東西普遍的なテーマの一つと言えますが、作者紫式部は、残酷なほどリアリスティックな描写を積み上げてゆきます。ここに描かれる世界は、まぎれもなく平安朝貴族社会を生きた人々の真実の世界と言えるでしょう。今回は、「東屋」巻を承け「浮舟」巻を読み切ることを目標としますが、「本文・随訳」プリントも同時配布し、初めて参加される方にも対応します。みなさんとともに、この物語の奥深さを楽しみたいと思います。

参考図書:教材はプリント資料を配布しますが、参考図書として新潮日本古典集成「源氏物語 八」を推奨します。
ご希望の場合は、ネット通販等でお求めください。

【講座期間】


第 1 回 10月18日(月) 「浮舟」巻名考

第 2 回 10月25日(月) 浮舟を探す匂宮

第 3 回 11月 8 日(月) 匂宮、浮舟と契る

第 4 回 11月15日(月) 薫、宇治を訪れる

第 5 回 11月22日(月) 匂宮と浮舟、橘の小島に過ごす

第 6 回 11月29日(月) 浮舟、匂宮と薫の愛に苦悩

第 7 回 12月 6 日(月) 薫、真相を知り警護を固める

第 8 回 12月13日(月) 浮舟、死を決意する


【受講者からの感想】

・巻名の話、伊勢物語など紫式部が前提とした文献の解釈や歴史的事実から、何故このような描写か、何故こうした構成かを問いかけることで、紫式部の意図、問題意識、情熱が明らかになる。楽しい講義を堪能しました。

・今回初めて参加しました。河地先生は細かいところまで説明してくださり、別世界と思っていた『源氏物語』の世界が身近に感じられました。次回をとても楽しみにしております。ありがとうございました。

・講師の古典文学への深いご造詣と個性的な語り口がとても魅力的でした。 

【講座の様子】