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2023. 1. 5 「ゼミ」を更新
2022. 10. 4 「ゼミ」,「メンバー」を更新
2022. 7.20 「ゼミ」を更新
2022. 4. 5 「ゼミ」,「メンバー」を更新
農業(特に水田)や農村の「水」に関わる様々な研究を実施しています.
「水」は農業生産に欠かせない重要な要素の一つです.また,農業用水は生活用水や工業用水よりも使用水量が多いため,その管理が河川流量や河川環境に大きな影響を与えます.そこで,農業用水の管理・利用・調整などの観点から,水資源の有効利用を検討することを通して,持続可能な水利用のあり方を検討しています.
今後,日本では食料生産ならびに環境保全の観点から,農地や農村環境の維持・管理がますます重要になると予想されます.その一方で,農家の高齢化や農産物価格の低下,その結果生じる農家人口の減少によって,耕作放棄地が増加し,農村環境の維持管理が困難になっているという現状があります.農地・農村が果たしている役割と効果を明らかにし,その効果を積極的に発揮させることで農地・農村環境の持続的な発展に貢献したいと考えています.
灌漑利水学は「昭和」の時代から「令和」の時代へ
農業農村整備の歴史は古く,現在の設計基準の多くも戦後に提案されたものを徐々に修正しながら発展してきました.徐々に修正を加えてきたとは言え,半世紀以上が経過した現在でも当時の設計基準の考え方に基づいて事業を実施できているということは,当時の設計基準がいかに優れたものであったかを意味しています.しかし,当時から現在になって農業・農村を取り巻く環境は劇的に変化しました.特に近年では,豪雨災害の多発,ICTやAI技術の進展,UAVや自動農業機械の実用化など,これまでとは異なる視点で農業・農村を考える時代に突入し,「農地」は食料生産の場,「農家」は農業で生計を立てる人,「農村」は農家の生活の場といった時代から,「農地」は食料生産+〇〇の場,「農家」は農業+〇〇で生計を立てる人,「農村」は農家+〇〇の生活の場といった新たなの時代へと変化しています.そして,この「〇〇」に何が入るかは,社会情勢,技術革新,関係者の発想による多様な可能性を秘めていると考えています.
劇的な変化が起きている現在,これまで長く継承されてきた設計基準を根本から見直し,これからの日本に適した農業・農村の形を思い描きながら,それを実現する研究や政策提案を行いたいと考えています.
研究のネタや課題は「現場から拾ってくる」というのが基本的なスタンスです.
研究手法は,主に水位計や流速計等を用いた現地観測,農家や土地改良区,行政機関への聞き取り調査,数値シミュレーションやGIS解析などを用います.最近はUAV(ドローン)を購入したので,これから新しい研究にも取り組んでいきたいと考えています.このようにして得られた観測や調査の結果をもとに,農村地域内での水管理などの実態を把握します.研究内容によっては対象を流域まで広げて,流域水循環の将来予測や流域管理の提案なども行います.
また,最近は水田や水利施設を農業以外のことに活用する取り組み(他目的利用)にも力を入れています.現在は,農業水利施設による断水時の生活用水(トイレ用水)供給,豪雨時の水田での雨水貯留,水田での電力確保と活用(ソーラーシェアリング),農村地域に生息する希少生物の保全などの研究を実施しています.
これまでに茨城県,栃木県,香川県,福岡県,愛媛県,エジプト,東南アジアなどを対象に研究を行ってきました.
私で力になれそうな面白い研究のネタがございましたら,是非お声かけください.
写真 (左)水位計の設置 (真ん中) 香川県のため池(三郎池) (右) エジプトの水田地域