Post date: Jun 10, 2012 10:05:26 PM
以前、講演を聞く機会があったので、だいたいわかっていたつもりだが、改めて読んで見た。
持続的イノベーションを行いつつ、破壊的イノベーションに取り組むことが、合理的に不可能であることが、様々な例を通じて、分析を通じて語られる。
1)優良企業の資源配分のパターンは、実質的に顧客が支配している。
2)破壊的イノベーションによって作られる)小規模な市場は大企業の成長需要を解決しない。
3)破壊的技術の最終的な用途は事前にはわからない。失敗は成功の一歩である。
4)技術の供給は市場の需要と一致しないことがある。確立された市場では魅力のない破壊的技術の特徴が、新しい市場では多くの価値を生むことがある。
(本書141頁)
これに対してマネジメントとしてなすべきことは
1)破壊的技術を開発し、商品化するプロジェクトをそれを必要とする顧客に組み込んだ。
2)破壊的技術を開発するプロジェクトを小さな機会や勝利にも前向きになれる小さな組織に任せた。
3)破壊的技術の市場を探る過程で早い段階にわずかな犠牲で失敗するよう計画を立てた。市場は試行錯誤の繰り返しの中で形成されることを知っていた。
4)破壊的技術を商品化する際は、技術的な跳躍を狙い、破壊的製品を主流市場の持続的技術として売り出すのではなく、破壊的製品の特徴が評価される新しい市場を見つけるか、開拓した。
(同上)
9章には、電気自動車を対象としたケーススタディまであり、旬のネタで改めて考えさせられる。
2000年初版であるが、我々にとっては今まさに必要な処方箋である。
インテルは日本から頼まれてマイコンを作った(ビジコン社)が当時は使い方がわからなかった。当時インテルはDRAMベンダーであったから。その後、IBMがデスクトップパソコンに採用することで今のintelが出来上がったのは、驚きだった。マイクロプロセッサは日本から生まれたのだ。