独立宣言を行い、独裁体制を敷き公国となったジオンですが、地球連邦政府との国力の差は歴然で、自ら「30分の1以下である」と認めているくらいです。常識的に考えたら、勝ち目はありません。にも関わらず、確かな勝算があって、ジオンは地球連邦に対し宣戦布告を行いました。
その根拠となったのが、ミノフスキー粒子と、モビルスーツだったのです。
宇宙空間においては、空気抵抗や重力が働かないため、発射した弾丸は減速することなく何処までも直進し、また、ミサイル誘導の障害となる要素が少ないため、遠距離から大火力をもって敵艦艇を撃滅する「大艦巨砲主義」が主流となっていました。
ところが、そのような宇宙世紀の戦術の常識を覆す科学的発見がなされました。U.C.0065に、ミノフスキー博士が発見した特殊粒子がそれで、博士の名をとって「ミノフスキー粒子」と名づけられました。この粒子は、電波・赤外線を遮断する効果があるため、これを戦闘空域に大量散布すると、レーダー・各種センサーが使用できず、精密誘導兵器が無用の長物と化し、結果、直接視認できる近距離での戦闘(有視界戦闘)しか行えなくなってしまいます。
そのため、現代の空母のような艦艇を用意し、艦載機を敵艦に接近させて近距離から攻撃する戦術が有効となるわけですが、従来あった宇宙戦闘艇(飛行機に近い形をしている)に取ってかわる、強力な兵器として、ジオンは人型の兵器「モビルスーツ」を開発しました。手足を上手く制御することで、宇宙空間で柔軟に方向転換を行うことができるため、従来型の戦闘艇を圧倒する機動力を有することができました。また、宇宙空間のみならず、スペースコロニー内に侵入したり、地球へ降下して地上で戦闘を行うなど、柔軟で広範囲な作戦運用が可能となりました。
ミノスフキー粒子とモビルスーツ、この強力な組合せで、ジオンは圧倒的戦力差を覆せると踏んで、戦争に突入したのです。
まとめ:
・国力を考えると、ジオンは圧倒的に不利。でも宣戦布告した。
・ジオンが勝てると踏んだのは、ミノフスキー粒子とモビルスーツがあったから。
・ミノフスキー粒子があるからこそ、モビルスーツは活躍できる。
<補足>
上記のような、それなりのSF考証があって、モビルスーツが有効な兵器であるという裏づけがなされているわけですが、緻密な検証をすると、いろんな穴が出てきてしまいます・・・。まぁそこはエンターテイメントなので、大目に見てあげてください。
ミノフスキー粒子以外でも、現代科学では実現不可能なことがガンダム世界で行われた場合、それを説明する根拠として、ミノフスキー博士の研究成果なんですよ、という説明が後付で行われるようになり、いつしか「ミノフスキー物理学」が確立することとなります。
実は、ミノフスキー粒子・モビルスーツとならび、もう一つジオンが勝算の根拠とした作戦があります。それは次回触れます。