アクシズ、あるいはシャア・アズナブルについて

Zにおけるシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)の立場も、非常に分かりにくい。名前は変わっているし、ミネバやハマーンからは部下扱いされるし、何がなんだか。アクシズという組織の変遷と合わせて、シャアの足跡をたどってみましょう。

ア・バオア・クーの陥落後、多くのジオン軍残党は、ザビ家唯一の生き残り、ミネバ・ラオ・ザビとともに、地球圏から遠く離れた小惑星基地「アクシズ」に逃げ込み、再起を期すことになります。終戦直後、ミネバはまだ1歳にも満たない赤ん坊であったため、元アクシズ最高責任者、マハラジャ・カーンが指揮を執ることになりますが、U.C.0083にマハラジャは病死し、代わって娘のハマーン・カーンが、ミネバの摂政という立場で、アクシズを率いることとなります。そして、U.C.0087、ティターンズとエゥーゴの紛争が幕を開けた時、漁夫の利を得んがため、満を持してアクシズは地球圏へ向けて出発し、抗争に加わっていきます。

一方のシャア・アズナブル。一年戦争における彼の悲願は、ザビ家への復讐でしたが、ララァやアムロなどのニュータイプと出会うことで、次第に、ニュータイプ、あるいはスペースノイドとアースノイドの問題が、彼にとって最も重要なライフワークとなっていました。ア・バオア・クーでキシリアを殺害し、復讐劇にピリオドを打った彼は、今後の世の行く末を見定めるための身の置き場として、アクシズを選びます。アクシズでも重要ポストにつき、またハマーン・カーンと恋仲になった時期もありました。

マハラジャ・カーンは、地球連邦と折衝し、穏便な形で自治を獲得しようとしており、シャアもそれに賛同していましたが、ハマーンは路線を転換し、独立、あるいは逆に連邦を屈服させるためには武力行使も辞さず、という強硬路線をとり、幼いミネバを傀儡として実権を掌握します。そのようなハマーンに嫌気がさしたシャアは、U.C.0084に、「地球圏へ偵察に赴く」という名目で、アクシズを離れ、クワトロ・バジーナという偽の戸籍と連邦軍の軍籍を取得し、エゥーゴに加わります。

アクシズでは、自分がジオンの息子、キャスバルであることは(一応)隠していました。また、エゥーゴでは、自分がシャアでありかつキャスバルであることを隠していましたが、周りの人間は薄々気がついていました。アクシズとの交渉の場で、ハマーンとミネバよりシャアと呼ばれ、かつての赤い彗星であることが「公認」され、さらにダカールでの演説で、シャアでありキャスバルであることをカミングアウトし、クワトロ=シャア=キャスバルであることが公となります。

まとめ:

・大半のジオン軍残党はアクシズに逃げ込んだ。

・一年戦争後、シャアは、ハマーンとともにアクシズにいたが、ハマーンと仲違いしてエゥーゴに鞍替えした。

<補足>

    • 一年戦争後のアクシズとシャアの様子は、アニメではほとんど描かれていません。漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に詳しく書かれています(一応、サンライズ非公認)。