2. AMDISとの連結方法

2週間ぶりの更新です.今回の更新も,NIST MS Search Programについて書きたいと思います.

今回は,AMIDSとNIST Search Programの連結方法について述べたいと思います.

前回のコラムで取り上げた,「MassBankのGCMSスペクトル情報をNIST MS Search Programで使う一式」

https://dl.dropboxusercontent.com/u/12061578/NIST%20MS%20Search%20%28EI%20spectra%29.zip

をダウンロードして,(zip圧縮されているので解凍して)デスクトップに置く,もしくは自分が好きな場所(ディレクトリ)にとりあえず置いておいて,フォルダーの中にあるnistms.exeをダブルクリックするとsearch program自体は起動できます(AMDISを使う場合,開いてなくても起動します.).もし,「フォルダーを参照できません」というエラーメッセージが出てきた場合,nistms.exeが入っているフォルダー自身を参照していただければ,上記リンクからダウンロードしていただいたものであるかぎり問題ありません.

少しだけ詳しく説明すると,上記リンクからダウンロードし,解凍して得られるフォルダーには,その中にLIB2NIST,MassBank_GCMS_**というフォルダーがさらに入っていると思います.このうち,MassBank_GCMS_**というものが,「ライブラリー」としてNIST MS Search Programで認識されます.要するに,これらのフォルダーが入っているディレクトリを選択すれば良いということになります.

また,もしご自身でNISTやWiley,Metlinのライブラリーを購入された場合,基本的にはLIB2NISTというフォルダーにあるlib2nist.exeというプログラムにより,NIST MS Search用のライブラリーフォルダを作成できます.少なくとも管理人のラボで購入した「NIST MS/MS」ライブラリーはSDFとして管理されていました.SDFは,molファイルと呼ばれる「化合物構造をコンピューターに認識させる記述形式」と理解していただければと思います.

化合物の記述形式,SMILES,SMARTS,InchI, InchIKey, SDF等の詳細については,別途取り上げようと思います.

SDFは,たとえばケムインフォマティクスツールであるChemDrawやChemAxonソフトウェア上でも見ることができ,内部のフィールドを自由に定義できるので「マススペクトル」も記述することが可能です.lib2nist.exeは,SDFファイル中のスペクトル情報のフィールドを正確に読み取り,必要な情報のみを抽出して,NIST MS Search用のライブラリーファイルに書き換えてくれます.他にも,以前AMDISのところで紹介したMSPファイルにも変換可能であり,AMDISだけでなくMS-DIALなどにも「直接」インポートできる形にできます.一言でいうと,便利です!リマインドになりますが,NIST MS Search用のライブラリーはバイナリー化されてしまうので,少々扱いが面倒です.「メタボロミクスのスペクトルデータを管理する」というのなら,MassBankフォーマットかMSPフォーマットを推奨します.

また話がえらくそれてしまいました.

では,AMDISとの連結の仕方について説明致します.

といっても,設定は一箇所.

「AMDIS32.exe」ファイルがあるフォルダー内の「ONSITE.INI」というファイルを開いてください.

AMDISのフォルダーは,通常ならProgram Files (x86)→NISTMS→AMDIS32という階層でインストールされているはずです.

ONSITE.INIファイルを開くと,真ん中より少し下の行くらいに

[NISTMS]

NISTMSPATH=C:\Users\xxx\Desktop\NIST MS Search (EI spectra)\NISTMS$.EXE /INSTRUMENT

AUTOIMP=AUTOIMP.MSD

AUTOIMPPATH=

SEARCHMODE=I

NCOMPONENT=0

PATHTOMAINLIB=

MAXHITS=10

PROBABILITY=1

MINMFACTOR=60

という【NISTMS】から始まる項目が発見できると思います.

この,NISTMSPATHの項をnistms.exeファイルがあるディレクトリに,書き換えてください.

この文章が難しい方:

1.ディレクトリというのは,ファイルが存在する場所を絶対パスで記述したもの(CドライブならCからDドライブならDから始まるもの)

2.そのような階層の情報は,ファイル名を右クリック→プロパティから見れます.

で, NISTMS$.EXEという名前は変えなくて良いので,

○○\NISTMS$.EXE

の〇〇というところだけ,つまりnistms.exeが存在するフォルダーの場所だけを変えてください.

そして上書き保存.

これで準備が完了です.

これで,たとえばAMDIS上で,このピークは何の化合物かなー?In-house libraryにはのってないよー.ってときに,

1.AMDISのスペクトルview上で右クリック

2.Go to NIST MS Search Program

で,検索したいスペクトルがNIST MS Search Programに読み込まれます.

あとは,NIST MS Searchプログラムで,検索対象のライブラリーやシミラリティ計算方法を設定して,やりたいようにやるだけです.

てことで,次回は,NIST MS Search Programの設定について見ていこうと思います.

それでは今日はこの辺で.