10生成AIの利用

 今回は、

2023年度になって世界的な大ブームになった生成AIの利用法について課題実習します。

実習の手順として、



1.生成AIとは

 ブリタニカ国際大百科事典の小項目辞典によれば、

生成人工知能(generative artificial intelligence)とは、

文章や音声,画像などを人間のように生成する人工知能 AI。生成AIともいう。脳の神経ネットワーク(ニューラルネットワーク)を模倣し,高度な性能が立証されている AI技術である深層学習(ディープラーニング)をベースにした大規模言語モデルで,大規模コンピュータで稼働し,膨大な資料を学習して文章などの生成能力を獲得する。深層学習の登場は第3次AIブームを引き起こしたとされるが,生成AIで第4次ブームに突入したという見方もある。さきがけとなったアメリカ合衆国のスタートアップ企業,オープンAIの『ChatGPT(チャット・ジーピーティー)』は,幅広い分野の質問に人間のように回答する。また,画像や映像を生成するAIもある。

オープンAIは 2015年に非営利団体として設立されたが,2019年に同名の子会社をつくり,マイクロソフトから出資を受けて開発を加速させた。2022年11月30日にプロトタイプの ChatGPTを公開すると利用者は急拡大し,他のIT(情報技術)大手が続々と生成AIの開発を表明した。当初は,自然な文章をつくる半面,インターネットで簡単に検索できるような事柄もまちがうという実用性の低さが指摘された。しかし,将来は生成AIが人知をこえ,諸課題の解決に貢献すると同時に,人類の脅威になりうるとみられている。

脅威面では,武器製造や詐欺メール,フェイク動画の作成などへの利用が危惧されている。悪用を制限する機能が加えられても,質問の仕方によって犯罪につながる情報も引き出せるため,完全な防衛は困難とみられる。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者 CEOも,2023年5月のアメリカ連邦議会上院の委員会で,AIが脅威になりえると警告したうえで,政府による規制介入の必要性を訴えた。また,性能を上げるには質のよいコンテンツで学習する必要があるが,ニュース記事やプロのイラストなど著作物を無断で利用することについて著作権上の問題も指摘されている。」

と解説されています。

 

 特に、2023年度に起こった大ブームの直接の引き金になったのは、オープンAI社がリリースしたChatGPT-4ですが、

ChatGPTについて、小学館が発行しているデジタル大辞泉(小学館2023)によれば、

chat generative pre-trained transformer」の略で、「米国OpenAI社が開発した対話型AI。大規模言語モデルとしてGPT-3.5およびGPT-4を採用。教師あり学習と人間のフィードバックに基づく強化学習を使用し、転移学習による調整を行った。2022年にプロトタイプを公開。従来のチャットボットに比べて、より自然で人間のような回答をすることで、世界的に注目された。」と解説されています。


【注意】上記の文章で、赤字マーキングは川本先生による。



 そこで、川本先生の見解としては、注意すべき点として下記の事項を上げます。



 特に、この科目では、剽窃にならない生成AIの利用方法について、スキル学習をします。



 現在、身近に利用することが出来る生成AIの代表的なものには、下記のものがあります。


 特に、EdgeのBingでは、既にChatGPTが組み込まれたバージョンがEdgeユーザーの意図とは無関係に標準装備されていて、ユーザーに利用・不利用を選択する自由は有りません。

ただし、EdgeのBingの場合は、検索結果の出典が表示される設定になっている上に、検索履歴も記憶されて表示される設定になっています。また、検索結果をそのままコピペやファイルとしての書き出しも可能なので、利用には便利です。一方、ChatGPTと違い、EdgeのBingは特別なインストールや契約は不要で無料で自由に使用することが出来ます。いずれ、GoogleやSafariなども同様の機能が装備されると予想されますが、当面は、EdgeのBingが先行しています。


 以上のことから、課題レポートの作成では、EdgeのBingを利用し、情報の出典を確認して適正な引用・参考をすれば、剽窃に関するリスクから逃れることが出来ると考えることが出来ます。



 ところで、

生成AIに関する最新の情報を一般向けにまとめて解説した書籍としては、下記のようなものがあります。



2.生成AIの利用に関する文部科学省の通知

 ChatGPTの大ブームに対応して、文部科学省の高等教育局の専門教育課と大学教育・入試課が共同で発出した令和5年7月13日付の事務連絡「大学・高専における生成AIの教学面の取り扱いについて(周知)」に別添された資料「(別紙)大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて」によれば、

「基本的な考え方」として「人間中心のAI社会原則」を基本原則にしたAIに関する暫定的な論点整理を行い、「生成AIを含むAIの利活用は、利便性や生産性の向上、さらには人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とするなど、経済社会を前向きに変えるポテンシャルがある。一方で、AIの信頼性や誤用・悪用などの懸念やリスクも指摘されており、論点整理では、しっかりと懸念やリスクへの対応とバランスを取りながら進めていく必要があるとされている。」としている。

その上で、「趣旨/大学・高専における対応」では、「教育分野においては、生成AIを適切に利活用することで、学修効果が上がり、また教職員の業務効率化を図ることができるなどの効果が期待される反面、レポート等の作成に生成AIのみが使われること等に対する懸念が指摘されている。こうした背景も踏まえ、多くの大学・高専では、既に生成AIの教学面の取扱いに関する指針等の策定が進められている状況にある。」と指摘した上で、「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについては、各大学・高専において、具体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい。その際、生成AIに関しては今後も急速な進歩が続き、教学面への影響が変化することも想定されるため、継続的な状況把握に努め、技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直していくことが重要である。」としている。

なお、この文書では、以下、「生成AIの取扱いの観点」から「利活用可否の検討、利活用が想定される場面例」が解説され、特に、「留意すべき観点」として、大学・高専における教育に生成AIの利活用を検討する際には生成AIと学修活動との関係性、成績評価では「大学・高専における学修は学生が主体的に学ぶことが本質であり、生成AIの出力をそのまま用いるなど学生自らの手によらずにレポート等の成果物を作成することは、学生自身の学びを深めることに繋がらないため、一般に不適切と考えられること。また、生成AIの出力に著作物の内容がそのまま含まれていた場合、これに気付かずに当該出力をレポート等に用いると、意図せずとも剽窃に当たる可能性があること。学生がレポート等に生成AIを利活用した場合には、適切に学修成果を評価するため、利活用した旨や利活用した生成AIの種類・箇所等を明記させることや、小テストや口述試験等を併用するなど評価方法の工夫を行うことも有効と考えられること。また、AIが生成した文章かを判定するツールを学修成果の評価等に活用する場合でも、その結果を過信しないことが重要であること。なお、利活用や学修成果の評価等に当たっては、生成AIの種類(有料版か無料版か)により、成果物に差が生まれ得ることにも留意することが重要と考えられること。」や「生成AIの技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性)」、「機密情報や個人情報の流出・漏洩等の可能性」、などが指摘されている。

特に、「著作権に関する留意点」では、「学校その他の教育機関での授業においては、著作権法第 35 条により許諾なく著作物を複製や公衆送信することができるため、学生や教職員がAIを利用して生成したものが、既存の著作物と同一又は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利用することは可能となる。ただし、広くホームページに掲載することなどは、著作権者の許諾が必要となることに留意すること。」などについても指摘されている。

また、最後には、「生成AIを含むAIの利活用に当たっては、各大学・高専の学生等が、その最新の動向、AIの普及による可能性とリスク、倫理面やデータリテラシー等を含むデジタル化社会に対応するための基礎的な知識・能力等について理解・習得することが重要である。また、そうしたAIに関する授業科目等については、AIに関する技術の進展や社会での活用状況等を踏まえて、適宜改善を図ることも重要である。」と指摘している。


【注意】上記の文章で、赤字マーキングは川本先生による。




3.大東文化大学の生成系AIガイダンス

 上記の文部科学省からの通達を受けて、大東文化大学でも既に下記のようなガイダンスが公表されています。


  大東文化大学の「生成系AIガイダンス」は、ここをクリック



 ガイダンスでは、

「生成系AIとはなにか」という説明から始まって、生成系AIで出来ることや利用方法、利用上の注意などが詳細に説明されています。


 特に、「利用上の注意」では、以下のように説明されています。

「個人情報や秘密情報漏洩」「誤った情報の利用」「著作権侵害」に注意してください。

 講義等のレポートで使用可能かどうか、また使用可能である場合でも、必ず教員の指示に従ってください。

仮に利用が許可されている場合でも、ChatGPTの結果をそのままレポートするのではなく、様々な観点から吟味して、必ず「自分自身の言葉」でレポートを構成することを心がけてください。


その他、以下の点に注意してください。 


 生成系AIは、現在、発展途中のサービスです。
その「限界」と「信頼性」に注意した利用を心がけてください。
多くのメリットを提供するものの、その限界も理解して適切な使い方を心がけてください。
グーグル検索のように、情報を収集して「その先を自分で考える」ために、生成系AIを活用するのは、良い利用方法だと思います。
ただし、生成系AIは「考えるフェーズ」まで代替することができてしまいます。
生成系AIに頼りすぎると、自分で文章を書く能力が低下して、頼りっきりになってしまう可能性も否定できません。
自分の頭で考え抜く「自考力」を養うために、皆さんは大学で学んでいることを忘れないでください。



【注意】上記の文章で、赤字マーキングは川本先生による。




4.生成AIの利用方法

 ここでは、ChatGPTが既に組み込まれているEdgeのBingに限った利用方法について説明します。

ただし、2024年4月から新しいバージョンであるCopilotがリリースされているので、

環境によってはCopilot版が稼働している場合としていない場合があるので、

①Copilot版

②非Copilot版

の両方について利用手順を以下に説明します。


【Copilot版の操作手順】

1.Edgeを起動します。

2.Edgeの上部に表示されている検索Boxの右端にあるCopilotを開くボタンをクリックします。

3.CopilotのChat画面が表示されるので、質問を入力します。

4.Copilotが回答を生成します。

5.回答には出典が表示されます。

6.回答全体をコピーしたり、ファイルとしてダウンロード(エクスポート)も出来ます。

  例えば、

  WordファイルとしてPCにエクスポートして保存し、

  編集して、利用することも出来ます。(下図参照)




【非Copilot版の操作手順】

1.Edgeを起動します。

2.Microsoft Bingのトップページに表示されているチャットのボタンをクリックします。




3.チャットの画面が表示されるので、質問を入力します。

4.チャット版Bingが回答を生成します。

5.回答には出典が表示されます。

6.回答全体をコピーしたり、ファイルとしてダウンロード(エクスポート)も出来ます。

 (下図参照)



【注意】





5.今回の課題

EdgeのBing(Copilot版もしくは非Copilot版)を使って、

「剽窃防止対策」について情報を収集し、引用もしくは参考にしたうえで、

自分の私見をまとめ、

WordのレポートとPowerPointのスライドを作成して下さい。


【注意】




【課題の提出】

出来上がった2つのファイルをメールに添付して先生に送信し、提出して下さい。

①先生のメールアドレスは、t067110@st.daito.ac.jpです。

②メールの件名は、生成AIの利用 学籍番号 氏名、として下さい。


【注意】

ファイルは全て閉じてからメールに添付して下さい。

開いた状態で添付し、送信すると、

着信側では壊れていてファイルが開けない場合があります。


【以上】