.論文アーカイブ

今回は、

情報を収集する手段の一つである論文アーカイブについて課題演習を行います。


1.論文アーカイブ

 国内や海外の学術雑誌に採録された論文を検索する方法は、

内外で公式に発表されている査読済みの専門的な研究情報を収集したい場合に使用します。

 個人で使うには高額な購読料が必要ですが、大学や行政、大手企業、研究機関などの場合は機関として契約をしているので、所属する学生や社員・研究員などはそれぞれの指定されたホームページからアクセスして無料で利用することが出来ます。

 最新の研究論文だけでなく、特定の分野での研究成果がまとめてレビューされた特別号なども公式に刊行されるため、特定の専門分野の研究や新製品の開発、新たな行政政策の立案などに有用であるといえます。

 ただし、場合によっては、古くは定説といわれていた学説が新たな発見や研究を経て覆っている場合や、百家争鳴して諸説がいまだに乱立している場合もあるので引用するには注意を要します 


 特に、「論文アーカイブ」という特定の専門用語はありませんが、

学術雑誌を発行している世界中の学会や出版社、その学術雑誌に掲載された論文などを写真フィルムやpdfファイルなどのデジタルデータなどとして保存し保管して公開している物ないし場所あるいはインターネット上のサイトのことを、一般に、「論文アーカイブ」と呼んでいます。

 



学術雑誌(Scientific Journal; Scholarly Journal

  専門的な研究者が著述した研究論文を掲載する雑誌のことを学術雑誌あるいは学術ジャーナルまたは学術誌などとよんでいます。

 種々の専門分野ごとに学会などから発行されており、分野によっては複数刊行されている場合もあるので種類は多いですが、その読者は主にそれぞれの分野の専門家なので一般の書店に置かれることはほとんどありません。

 研究者が所属している学会から会員向けに定期刊行されている学会誌を除いて、ほとんどの場合は、大学や研究機関の図書館や研究室で定期購読され収蔵されています

 

図書館情報学用語辞典第5版によれば、学術雑誌とは、

「狭義には,査読制度を採用し,独創性のある最新の研究成果を伝える投稿論文を掲載する雑誌.広義には,学術的な内容の記事を掲載する雑誌.科学コミュニケーションの研究領域では狭義の学術雑誌を対象とし,図書館では『学術雑誌総合目録』という用例に見られるように広義の定義を用いている.学術雑誌は,編集機関が学術団体や研究機関であり,投稿規程が整備されていて,自由に投稿でき,さらに,掲載論文には論文名,著者名,所属機関が明示され,引用文献と抄録があるなどの標準的な形態をとっていることが多い.1665年に創刊された,Journal des sçavans(ジュルナール・デ・サバン:フランス)とPhilosophical Transactions(ロンドン王立協会)が学術雑誌の起源とされている.」

と解説されています。



学会Society

平凡社の世界大百科事典改訂新版によれば、学会とは、

 「学者・研究者たちが互いの連絡,知識や情報の交換,研究成果の発表のために組織した団体の総称。この種の団体には協会という名称を用いるものもあるので,学協会と総称する場合もある。学問分野によって学会の性格が異なるのは当然であるが,個々の学会は,その設立の経緯,規模,組織形態,機能など千差万別である。たとえば,英語で学会を表すのにacademy,society,association,instituteなど多くの語が用いられることも,学会の多様性の反映とみることができる。しかし,一応の目安として学会が具備すべき基準・条件としては次の五つが考えられる。(1)学術のそれぞれの分野の進歩発展を図ることを目的として設立されたもので,営利を目的としない団体であること,(2)団体の主たる構成員が研究者であって,全国にまたがっていること,(3)事務局および定款・規約等を有していること,(4)年1回以上,会員の研究発展を主目的とする学術上の各種会合を定期的に開催していること,(5)原則として年1回以上,機関紙・報告書等学術的な定期刊行物を発行していること。

 日本には,これらの基準・条件に合致する学協会が1000以上ある(日本学術会議事務局編《全国学協会総覧》)。また,比較的大きな学会は,学会賞や各種メダルの授与といった褒賞制度をもっている。学者,科学者にとって,これらの褒賞を受けたり,学会の会長や理事に選出され,学会の運営にあたったりすることは,その人物の学問的業績が研究仲間から高く評価されている証拠ともなり,名誉なことと考えられている。」

などと解説されています。


【注意】ここでいう「学会」とは、宗教団体としての「創価学会」などとは全く別種のものです。




世界の有名な学術雑誌

 世界中で名の知れた有名な学術雑誌としては、以下のようなものがあります。


①Nature(ネイチャー)誌

小学館の日本大百科全書(ニッポニカ)によれば、

「イギリスの総合科学誌。『サイエンス』誌と並び、世界を代表する。ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG:Nature Publishing Group)が発行、編集部はロンドン。1869年に、イギリスの宇宙物理学者のロッキャーらが創刊した。初代編集長のロッキャーは50年間の長きにわたって同誌の発展に寄与した。『教養ある人の科学的論議の場』というミッションをもち、X線の発見(1896)を始め、DNAの二重螺旋(らせん)構造の解明(1953)、エイズの存在(1983)、オゾンホールの発見(1985)、ヒトゲノム解読(2001)など、科学の歴史を刻む画期的な発見、発明を伝える論文が多く掲載された。ノーベル賞を受賞した執筆者がもっとも多い科学誌でもある。

1論文当りの平均引用件数、論文の影響力を示す指標である『インパクトファクター』は42.351(アメリカのトムソン・ロイター社発表)であり、総合科学誌として世界1位(2013)。2013年12月時点のプリント版(年間51号)の発行部数は5万0322部、推定読者は42万人。オンライン版の月間読者は260万人。扱う分野はほぼ科学全般にわたる。同誌に掲載されることは世界の研究者の最高のステータスの一つであり、膨大な論文が投稿される。編集者による振り分けを経て、論文1本につき3人の専門家によって査読され、最終的には編集長の判断で掲載の可否が決定される。掲載率は約8%しかない。ネイチャーは1973年に本誌のほか、『ネイチャー・ニュー・バイオロジー』『ネイチャー・フィジカル・サイエンス』が創刊された。以後、姉妹誌は、『気候変動』『地球科学』など分野ごとに増え続け、現在100を超える。商業主義に走り過ぎるとの批判もある。2014年1月にはSTAP(スタップ)細胞論文が掲載され世界の注目を集めたが、論文不正が指摘され、同年7月に撤回された。

NPGの親会社マクミラン社の日本法人「ネイチャー・ジャパン」は1987年に設立された。」

と解説されています。

註】ここでいうプリント版とは、印刷して出版している雑誌のことです。年間51号とは週刊であることを意味しています。


  Nature誌のトップページ(日本語)



②Science(サイエンス)誌

小学館の日本大百科全書(ニッポニカ)によれば、

「アメリカの総合科学誌。『ネイチャー』誌と並び世界を代表する。編集部はワシントンD.C.にある。1880年、発明王エジソンの支援で、ジャーナリストのジョン・マイケルズJohn Michaelsによってニューヨークで創刊された。しかし、購読数が伸びず、休刊を経て1883年、昆虫学者のサミュエル・スカッダーSamuel H. Scudder(1837―1911)によって生まれ変わった。1900年には、全米の科学者の非営利組織・アメリカ科学振興協会(AAAS:American Association for the Advancement of Science)が発行する定期刊行物となり、現在に至る。

 『誰にでも門戸を開き、先端科学を通じた社会への貢献』をミッションとしている。アインシュタインの重力レンズ効果(1936)など『ネイチャー』誌同様に数々の教科書に残る科学研究の成果が掲載された。初期には、無線通信、ライト兄弟による飛行実験などの科学トピックスも紹介された。最近では、日本の太陽観測衛星『ひので』、金星探査機『ビーナス・エクスプレス』などによる太陽系に関する新知見、量子スピンホール効果、心疾患と2型糖尿病発症リスクが高まる遺伝子の発見などが話題を集めた。『ネイチャー』誌同様、ノーベル賞受賞者が多く投稿している。生命科学分野の掲載が60%ともっとも多い。 

 2013年12月時点のプリント版の発行部数は約13万部、推定読者は100万人、オンライン版の読者は月360万人に及び、総合科学雑誌最大の読者を抱えているとされている。論文の影響力を示す指標である『インパクトファクター』(アメリカのトムソン・ロイター社発表)は、31.477と総合科学誌としては『ネイチャー』誌に次ぐ地位を固めている。投稿された論文は、まず世界の一流の科学者100人以上で構成される編集委員会によって適切性が評価される。その後、論文は2名以上の外部匿名審査委員により詳細な査読に回される。こうした厳密な査読を経て掲載される率も7~10%とハードルは高い。『サイエンス』誌は、AAASの会員であれば無料。法人契約などを結ぶことでオンライン版にアクセスできる。日本語のサイトもある。」

と解説されています。


  日経サイエンス(サイエンスの日本版)のトップページ



③日本天文学会の学会誌

日本天文学会は、主に日本国内の天文分野の研究者達(約3000名)が参加する学会です。

春と秋に学会を開催し、一般向けの講演会や高校生対象のセッションも開催しています。

日本天文学会が発行している学会誌には、

月刊の会員誌「天文月報」(オンライン版もあり)と

論文誌である「PASJ: Publications of the Astronomical Society of Japan」(オンライン版もあり)

があります。

小学館のデジタル大辞泉プラスによれば、日本天文学会とは、

「日本の学術研究団体のひとつ。欧文名は「The Astronomical Society of Japan」。天文学の振興普及を目的とする。1908年創立。1935年、社団法人化。2012年12月より公益社団法人。事務所所在地は東京都三鷹市。」

と解説されています。


  日本天文学会のトップページ



PhysicalReview誌

Physical Review誌は、米国物理学会(APS:American Physical Society)が刊行している学術雑誌です。

物理学の専門学術誌としては世界で最も権威があるといわれています。

同誌は、現在、物理学の分野に応じてAからEまであり、更に、速報を発表するPhysical Review Lettersに分かれています。

購読は有料ですが、世界中の大学や研究機関の図書館や研究室が購読契約をしており、そこに所属していれば、無料で引用が出来ます。また、アブストラクト(要旨)だけであれば、オンライン版を無料で閲覧することが出来ます。


  Physical Review誌のトップページ



 


 


CiNii(サイニイ:Citation Information by NII)

 上記の学術雑誌とは別に、学術論文や博士論文、学会・協会の刊行物、大学の研究紀要、各種雑誌・図書などの学術情報をまとめて引用(Citation:サイテーション)できるようにしたアーカイブに、

国立情報学研究所(NII:National Institute of Informatics が運営する、

CiNii(サイニイ:Citation Information by NII)」と呼ばれるものがあります。


 CiNiiは、日本国内にある大学や研究機関の図書館などからインターネットを介して利用できるようになっています。


大東文化大学でも図書館のホームページからアクセスすることが出来ます。


 



 そこで、今回は、

大東文化大学の図書館のホームページを介してCiNiiを利用し、

「剽窃」に関連する学術情報を検索した結果を、

レポートにまとめる演習を行います。




2.今回の課題


 CiNii(サイニイ)を使って、

「剽窃」に関する学術情報を検索し、

情報を収集して、WordのレポートとPowerPointのスライドにまとめて下さい。






1.前回の課題で作成したWordとPowerPointのファイルを開きます。



2.Wordのレポートにページ区切りを挿入して、新しい見出し「論文アーカイブ」を追加します。



3.PowerPointの枚目のスライドの後ろに新しいスライド(タイトルとコンテンツ)を挿入して、

  新しいスライドにタイトル「論文アーカイブ」を入力します。



4.Edgeを起動し、

  大東文化大学のトップページにアクセスし、

  図書館のページにアクセスします。



5.大東文化大学の図書館のページからオンラインデータベースを選びます。


【注意】冒頭に注意事項が表示されますので、熟読し理解します。



6.下方にスクロールして、CiNiiのコーナーを探します。



7.冒頭の説明文などを熟読して理解した後に

CiNiiのリンクボタンをクリックして、

CiNiiのトップページにアクセスします。



CiNiiについてや収録データベース一覧、利用規約などのpdfファイルなどを

ダウンロードして、熟読し、理解します。



8.CiNiiのトップページで、

  「剽窃」のキーワードで関連する学術情報を検索します。


①検索Boxに「剽窃」と入力して、検索のボタンをクリックします。



②しばらく待つと、検索結果が表示されます。

 検索結果は、左側のデータ種別の欄に、

 例えば、「論文281、本21、博士論文5、プロジェクト30」

 などと表示されます。

【注意】ここで、

 


③検索結果をスクロールして、引用または参考にしたい情報を探します。

引用または参考にしたい情報が見つかれば、クリックして、そのページにジャンプします。

 今回は、1例として、

 「デザインにおける『パクリ』の発生要因とその抑止:『パクリ』と模倣・剽窃の差異」

 というプロジェクトの報告書を閲覧し、引用もしくは参考にしてみます

 


⑤報告書の全文が表示されます。

 


【注意】

 


【注意】

 研究成果を発表した論文なども公表されていますので、

 それらを引用したり、参考にしたりすることも可能です。

 


.上記の検索結果をWordのレポートにまとめます。

 まとめる時には、下記のポイントに留意します。

    例)Accessed 2024/5/2

    例)https://cir.nii.ac.jp/crid/1040000781962419584



【脚注部分】


10.WordのレポートをPowerPointにコピペします。

 コピペする時には、下記のポイントに留意します。



11.WordとPowerPointを、上書き保存して、閉じます。


3.課題の提出

フォルダ「ビジネスIT演習A」には、

Wordで作成したレポート「BIT演習18131999」

PowerPointで作成したプロジェクト「BIT演習18131999」

2種類のファイルが保存されています。



出来上がった2つのファイルをメールに添付して先生に送信し、提出して下さい。

①先生のメールアドレスは、t067110@st.daito.ac.jp です。

②メールの件名は、論文アーカイブ 学籍番号 氏名、として下さい。


【注意】




【以上】