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ツール講習実施例を掲載しました
量子情報通信では、光子が複製できない性質を利用することで、通信の盗聴があった場合にそれを検知することが可能です。このツールではレーザーを用いて盗聴検知の実証実験を行います。
1. ツール内容
送信者
レーザーと波長板を使って水平、垂直、-45°、+45°のうちの任意の偏光基底で光を送信する。
盗聴者
上記4つの偏光基底のうちの一つだけ選択し、その偏光基底を用いて送信者から送信された光の強度を測定する。検出された光強度から送信者の偏光を予測し、受信者に対して予測された偏光で光を送信する。
受信者
盗聴者から送信された光に対して、盗聴者同様、上記4つの偏光基底のうちの一つだけ選択し、その偏光基底を用いて光の強度を測定する。
以上の操作に加え、送信者と受信者の間で、送信と受信の偏光基底の正誤表を作成することで、盗聴者の有無を検知することが可能である。
2. ターゲット
光学初学者、量子情報通信の学習意欲がある方
3. 学べること
・偏光についての理解
光の自由度の一つである偏光について、実験通して体験的な理解が可能です。また、ツールの使いかたを工夫することで、偏光の性質の理解に特化した実験を行うこともできます。
・量子情報通信に関する理解
光を複製しないという条件のもと、盗聴者が通信を観測した場合、送信者と受信者の間でそれを検知できる。最も基本的な量子情報通信の特性を理解することができます。
・プログラミングについての理解
ツールに用いる光検出器は自作することで安価に運用することが可能です。自作する場合には、ラズベリーパイを使った簡単なプログラムを使うことができます。
4. 特徴・魅力
このツールの魅力は、幅広い学習範囲にある。光の特徴的な偏光の理解を深めながら、量子情報通信の原理を学ぶことが出来る。また、ビームスプリッタを追加することで、なぜ通常の通信では盗聴が可能なのかを実証することもできる。加えて、光センサーの設計を行う場合、簡単なプログラムの作り方や、センサーの原理についての学習も可能である。
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