佐原一史さん(福島県元避難者支援課茨城県駐在 副主査)インタビュー
福島県企画調整部 避難地域復興局 避難者支援課で茨城県の駐在をしております佐原と申します。
1.支援活動の経緯について
福島県としては平成23年3月に東日本大震災、それに伴う原発事故というのが起こりまして、結果として福島県民が全国に避難をするという状況になりました。茨城県にも隣県ということもありまして、多数の県民の方が避難をされまして、最大4,000人くらいの方が避難をしたということがございます。そういった中で、県として全国に避難をした県民を支援するという目的で、多数の避難者がいる近隣の都県を対象に職員を配置した、という形でスタートしております。
組織の体制としては、平成23年の3月に福島県の災害対策本部に活動支援班というのを置きまして、その中の県外避難者支援課担当ということで近隣県への職員の派遣を開始しております。平成24年4月から、先ほど申し上げた避難者支援課というものを正式に設置しまして、茨城県をはじめとした近隣都県に駐在員の配置をしております。
平成27年度は所属を変わりまして、企画調整部 避難地域復興局 避難者支援課として14都府県に13人の駐在員派遣をしております。
茨城県においても、こちら茨城県庁の協力を得て、茨城県防災・危機管理課を執務室として、駐在員を配置して避難者支援を実施している、というところになります。
2.支援活動について
まず平成23年当初においては、一時避難所、いわゆる体育館等における一時避難所の訪問ですとか、二次避難所、体育館等からホテル、旅館等に移ったわけですが、その二次避難所へのマッチングですね、また避難所等を回って、避難者等への情報提供をしていたところです。
平成24年度以降は、茨城県および、県内の各市町村との連絡調整、そして「ふうあいねっと」さんをはじめ、茨城県でいろいろご活動いただいている市民団体との連携、そしてそういったところが主催をしてくださる、避難者交流会への参加等行ってきました。
平成27年度においては、今申し上げたものに加えてですね、福島県として茨城県に「福島県復興支援員」というものを配置をさせていただきまして、支援員による戸別訪問を行っております。駐在員の方もそれに同行させていただいている、ということもやらせていただいております。
3.支援活動での工夫
まず避難者の方の要望やニーズに関して。もう震災から5年近く経つわけですが、だいぶそれぞれ異なってきている、という現状がございます。なのでできるだけ、それぞれに寄り添った対応をするということを一つ、心掛けて活動しております。また、そういった避難者の訪問活動を通じてですね、避難者の方から、様々なご質問、ご要望をいただくことがございます。そういったときには、ただ話を聞くだけではなく、できるだけ速やかに、質問であればお返事をする、要望であれば関係部署にお伝えをする、ということを行っております。
最後に、避難者の要望やニーズに対応するために受け入れていただいてる自治体さん、先ほど言った「ふうあいねっと」等をはじめとした支援団体等の関連機関。そういったところとの情報共有を密におこなって、できるだけ、避難者の二―ズに寄り添った対応ができるように心掛けて対応しているところです。
4.支援活動での課題
一つ目は震災からもう4年半以上5年近く経つわけですが、やはり避難者の実態の把握ですとか、ニーズの把握というのがだんだん困難になってきている、というのが一つ。
二つ目としては、福島県への帰還を望まない、もっと言ってしまうと、避難先での定住を望んでいる、というような避難者がやはり一定数いらっしゃる。そういった方への福島県としての対応をどうしていくか、というところが二つ目の課題。
三つ目の課題としましては、避難指示区域外の、いわゆる自主避難者と言われる方に対して、応急仮設住宅、皆さんが今住んでいただいている、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与をしているところですが、平成29年3月までで住宅供与終了させていだだく、というふうな方針を福島県として発表させていただいたところでございます。ですので、その方たちに対する、平成29年4月以降の対応をどうしていったらいいか、というのが、今直近の課題、といった風に考えております。
今申し上げた、様々な課題については、当然福島県だけではなかなか困難なこともありまして、受け入れていただいてる茨城県さんはじめ、関係自治体さん、ふうあいねっとさん、つくばで活動いただいている「フュージョン社会力創造パートナーズ」さん等の、様々な支援団体の、様々なご協力、今までもそうですけれども、様々なご協力を得ながら、やはり一つ一つ解決していかなければいけない問題かと思っております。これについては引き続きご支援ご協力をお願いしたいと思っているところです。