武田直樹さん(NPO法人フュージョン社会力創造パートナーズ 理事長)インタビュー
NPO法人フュージョン社会力創造パートナーズ理事長の武田直樹です。
1.支援活動の経緯について
私は筑波学院大学でこれまで活動してきたのですが、その後やはり一市民としても避難されている方の支援活動を行っていきたいという思いで、平成24年11月にNPO法人を立ち上げました。その中で訪問活動を中心とした活動を行うことにしました。ちょうど震災から3年ほど経っていたのですが、そこから本格的にスタートしたというのが活動のきっかけです。
2.支援活動について
活動内容は、大きく2つあります。
1つ目は訪問活動です。そして2つ目は交流会活動です。訪問活動の目的は、震災後3年が経過したところで、避難されている方の多様なニーズにどのように応えていくのかということです。具体的には避難されている方が故郷に帰るのか、あるいは帰らないのか、あるいはまだどうしていいのか分からないのか、そういったことがどんどん課題に上がってきましたので、避難者の方々を訪問させていただき、具体的なニーズを把握させていただきました。そして、そのニーズに対して必要に応じて法律事務所などの専門機関にお繋ぎしたり、あるいは地域のリーダーとなるような方にお繋ぎをするというようなことを行ってきました。これまで、つくば市を中心に訪問活動は盛んに行われていたのですが、それ以外の美浦村や阿見町、稲敷市、牛久市など、つくば市以外でまだ手の届いていないような市町村にもアプローチをしようと、茨城県南地域に対しての訪問活動を行いました。そして合計で160世帯くらいの方を訪問させていただくことができました。
2つ目の交流会活動ですけれども、避難されている方がばらばらに住んでいらっしゃいますので、その方々のネットワークづくりとか、あるいは同じ環境にいらっしゃる方、あるいは課題を抱えている方、その方々が繋がれるようなプラットホームをつくろうと、交流会活動を行ってきました。具体的には、自主避難者交流会を平成26年9月からこれまで4回行いました。次いでつくばではかなり交流会活動が盛んだったので、それ以外の地域でも開こうと、平成25年9月には美浦村で、次いで平成27年3月には阿見町で、それぞれ初めて開催しました。このように今までなかなか支援を受けにくかった方たちに対してどのようなことをしていけるのか、ということは我々NPOとして一つチャレンジングな試みであったかな、というふうに思っています。
3.支援活動での工夫
十分に支援が受けられていない方がいらっしゃるな、という印象をかなり持ちました。具体的には、独居の方、あるいは母子避難の方、それから自主避難の方、あとはつくば市近隣に避難されている方々です。そういった方々に対しての十分なサポートがまだない、あるいは繋がりもまだ十分じゃないという思いがあって、そういった方々をサポートする取り組みを行ってきました。
取り組みの中では避難者の方にも当事者として訪問活動に関わっていただいたり、交流会のサポートをしていただきました。お手伝いをしてもらうことで、単に自分がいつも何かを与えられている立場というだけではなく、当事者として避難されている方の立場をよく理解されていますので、避難者同士の方々の思いや繋がりを活かしながら一緒に活動してきたというのも一つの工夫点です。あとは地域のリーダー、具体的には民生委員さんや社会福祉協議会のスタッフなどにお繋ぎすることで、地域でのセーフティーネットを作ることにも力点を置いて活動してきました。
4.支援活動での課題
NPOとしてこれまで3年近い活動を通し、いろいろな方と友達付き合いのようなことも含めて仲良くなってきましたので、これからもずっと長い関係を続けていく覚悟はあります。一方で、公的なサポートを見たときに、美浦村や稲敷市はすでに避難されている方と地域の民生委員さんなどが顔の見える関係が築かれています。美浦村や稲敷市は、これからもそのような関係は続けられるだろうと思います。しかしそれ以外の阿見町や牛久市、今後はつくば市においてもそうだと思いますが、どのような形で公的なサポートを受けられるのか、その仕組みづくりを行政と連携しながらやっていけるのかということです。ですから、第二第三の美浦村、稲敷市のような仕組み、仕掛けづくりを、今後粘り強く話し合いながら作り上げていくところが、大きな課題だと思っております。