福井俊介さん(Tsukuba for 3.11 元代表)インタビュー
筑波大学生物資源学類4年の福井俊介と申します。Tsukuba for 3.11という学生団体に所属し、前代表をやらせていただいておりました。
1.支援活動の経緯について
震災が起こった当時、僕はまだ高校3年生でした。実家が東京で、震災当時は東京に住んでいたんですけれども、東京でも強い揺れを感じました。テレビの中では被災地の悲惨な状況、津波や原発といった様子が流れている中、すぐにボランティアに行きたいという気持ちもあったのですが、当時は受験生ということもあって、なかなか自分から踏み出せませんでした。結局ボランティアには行けず、そのまま時が過ぎてしまいました。
しかし、震災から3カ月がたったころ、高校で友達がボランティアに行ってきたよ、という話をしていました。なんであの時自分は行かなかったんだろう、行けなかったんだろう、という後悔の念が押し寄せてきました。
大学に入ったら自分にも何かできることがあるのではないかという思いを募らせ、入学した後たまたま見つけたのが、このTsukuba for 3.11という団体です。震災から1年後、この団体に入って活動しております。
2.支援活動について
Tsukuba for 3.11は、東北で直接活動するというものもあるのですが、つくばでは主に2つの活動を掲げています。
1つ目は、主に福島から避難して来ている人たちのサポートです。
2つ目はこの周辺の方々、多くの市民や学生などの方々に関心の喚起を行うという活動です。
具体的に言いますと、避難者さんのサポートでは、「つくしま」という情報紙を発行しています。市役所を通して避難者のみなさんが住んでいる、つくば市の全世帯に送っています。あとは、交流会を開き、つくばに避難してきた方々が集まって一緒にお話をしたり、交流したりという場を設ける活動を行ってきました。
3.支援活動での工夫
主に工夫したというか気を付けた点は、学生団体なので学生らしさを忘れない、ということを一番気を付けました。つくば市では、いろいろな団体だったり、さまざまな方々が支援の手を差し延べています。その中で、やはり学生は学生らしいというか、例えば交流会では学生らしいユニークな発想で楽しめる場であったり、情報紙も学生らしいユニークな情報だったり。避難者の皆さんがこういう情報があったら嬉しいだろうな、楽しいだろうな、という情報を学生目線で捉えて、どんどんそれをやっていく、ということを一番に心掛けました。
あとは、僕個人として気を付けたこととして、つくば市に避難されて来た方々に対し、避難者さんというような形で接するのではなく、同じつくば市民として接するということを一番心掛けました。やはり、避難されて来た方々の中には、もう避難者として扱われたくないという人が多いように僕は感じたので、一つくば市民として接してお話をする、ということを心掛けました。
4.支援活動での課題
まず、学生団体であるので、最初はみんなが震災のことを全然知らない、ということが一つの課題だと思います。僕自身も団体に入った当初は震災のことはあまり知らず、避難している方々と関わっていく上で、徐々に知っていきました。知らないということがどれほど恐ろしいことかということを、この活動ですごく実感しました。それが一つの課題だと思います。
ただ知らないということも、ある意味では僕は良いことだと思っています。知らないからこそ、避難者さんたちと関わりやすくなるといいますか、知らないからこそ聞ける、といったメリットもあるのではないかと思っています。そういうところを生かして、これからも活動していけたら良いと思います。
あと、課題として挙げられるのは、学生団体としての継続性だと思います。大学は4年間ですし、学生団体というのはどんどんメンバーが移り変わっていきます。僕自身も入った当初は先輩方、震災当初から団体を設立して関わってきた先輩方がいたんですけれども、今は就職されるなど、どんどんメンバーの移り変わりもある中で、つくば市でずっと継続して支援していくということは、かなり難しいのかなと自分自身思っています。その中で、これからどんどん新しく入ってくるメンバーたちにもそうですし、後々、後世に残していくために、団体内でも後輩に、そのまた後輩にどんどん伝えていくという作業が重要になってくるのではないかと思っています。
あとは、つくば市にはいろいろな団体があって、市役所も力を入れていますし、いろいろな意味で(団体として)恵まれた環境です。その中で僕たち学生団体としてのTsukuba for 3.11も、サポートの輪の中に入って一緒に支援していくという形を取らせていただいています。これからも学生団体として、そうした支援の輪の中でどのように機能していくか、ということをもっと考えるべきだと思いますし、考えていかなければいけないと思っています。