ヤスクニ問題と私

「ヤスクニ通信」第739号(2016年8月14日発行)より転載

「ヤスクニ問題・北海道における取り組み」…札幌を中心に…

久野真一郎(札幌琴似教会牧師)

参議院選挙の結果、改憲勢力が三分の二を確保するという状況が現実のものとなりました。早速彼らの本丸である憲法改正への動きが加速しつつあります。また安倍首相の任期を延長させようとする目論見も表面化し、予断を許しません。「まさかそういうことにはならないだろう」と思われていたことが、すでにそうなってきているという現実をわたしたちは認識し、今為すべきことを為すことが求められているのではないでしょうか。以下に北海道中会としての取り組み、またわたしが関わっている札幌での超教派の、また宗派を超えた取り組みについてお伝えしたいと思います。

去る7月18日(月)、札幌北一条教会において中会ヤスクニ・社会問題委員会主催による本年度の公開講座が行われました。主題は「立憲平和主義の危機と自民党改憲草案の本質」、講師は結城洋一郎氏(小樽商大名誉教授、憲法学)でした。同氏は現安倍政権が極めて強権的手法で立憲主義を根底から破壊しつつある現実を強調されました。一党独裁体制が巧みに構築されつつあるのだということを、あらためて思わせられた次第です。

さて北海道ではこの公開講座のような教派毎の集会、2・11、7・7、8・15集会のような地域毎の集会、また6・6(旭川)、11・23(札幌)集会のような全道規模の集会が毎年行われています。また宗派を超えた宗教者懇談会がやはり毎年札幌で続けられています。このように何れの集会も途切れることなく継続されていることが、北海道の一つの特色であり力だと思います。

わたし自身は靖国神社国営化法案提出以来活動を続けている靖国神社国営化阻止キリスト者グループに属しています。ニュースの発行、抗議行動、学習会、問答書の作成等を行っていて、メンバーは札幌在住各派教職・信徒です。札幌ではまた昨年9月19日に強行採決された安全保障関連法に抗議し、撤廃を求めて「安保法制」に反対する北海道宗教者連絡会が活動を開始しています。これは毎月19日、教派や宗派を超えて集まった参加者のアピールを聞き合い、スタンディングを行う自由な形の取り組みです。7月からは市電を借り切り、リレートーキングをしながら市内を一周し、すすきのでスタンディングを行うというユニークな活動が始まりました。この日は皆で平和ソングを歌う等思いを合わせることが出来、大変励まされた次第です。情勢は厳しいですが、終末の希望に生きる者として、これからも各地での声を挙げ続けましょう。