kenpou ans 215

⑤日本人が自身の手で作ったものではないため、日本人の意見が反映しておらず、日本人の精神が生かされていないという意見がありますが、本当ですか。

戦後、占領軍GHQは、軍による悲惨な戦争を招いた原因とも言える明治憲法を改め、新しい国の体制を作るために新たな憲法を作る必要性を感じていました。そこでGHQは司令官マッカーサーが提示したマッカーサー三原則(天皇制の存続、戦争放棄、封建制度の廃止)をもとに草案を作成しました。つまり、アメリカ人の手によって短期間で作成されたということで、これを安倍政権は大きな改憲理由に挙げています。

しかし、実際は戦後すぐ、日本の民間、たとえば「憲法研究会」などからも憲法草案が作成されていました。これは天皇の権限を国家的儀礼のみに限定し、主権在民、生存権、男女平等など、のちの日本国憲法の根幹となる基本原則を先取りするものであり、GHQの草案にも大きな影響を与えていたのです。

GHQ草案が提示されてからは日本側からも細かい検討が加えられて、主権在民、普通選挙制度、文民条項なども明文化され、また、新たに憲法を施行するに際して必要な法律も新たに制定され、刑法、民法などの規定も憲法の内容に合わせて改正されました。そして1947(昭和22)年5月3日、「日本国憲法」が施行され、当時の日本国民はこれを新しい民主国家の礎になるものと歓迎したのです。

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