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②現行憲法は古くなったからというが、そうした理由で憲法を改正する必要があるのでしょうか。

改憲への動きは今に始まったわけではなく、安倍晋三首相の祖父岸信介は第二次大戦の終戦からわずか10年ほどのちの首相在任中(1957~1960年)に、すでに改憲を口にしていました。岸信介は若い時代に国粋主義に傾倒し、第二次大戦は日本の生存のための戦いでやむを得なかったという立場をとっており、終戦後は日本独自の憲法を作ってこそ、真の意味で日本が独立したことになると主張して、改憲を唱えていました。これが孫の安倍晋三首相の悲願として続いているようです。

しかし一国の憲法はそうした個人の思い入れによって変えてよいものではなく、国民のためにどうしても必要だという公的な理由がなければなりません。それがあるのかどうかが、疑問視されています。

現行憲法はこれまでに、随時、国民のために必要な権利とあれば解釈によって新しい権利を生みだし、必要な法律を補うことによって時代の要請に応えてきました。現行の日本国憲法は、13条などを根拠にして、それができるようによく考えられています。現行憲法は、その枠内で、真に必要な権利保障は国民の声によって生みだしていくことができる、この構造を維持することが大切です。

今後もこれからもそうした性格を持つ憲法自体が「古くなった」という理由は通用しないはずです。一つ一つ点検していくと現行憲法が「古い」という理由はないため、「時代に合わなくなった」ということを理由に、現政権が憲法を根本的に変えようとしていることが明らかになります。

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