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⑨ 憲法改正をするとしても、中国や北朝鮮などの周辺国、あるいはISなど、他国からの脅威が大きくなっているので、9条だけを変えればよいのではないでしょうか。

9条の内容は国家の根幹にかかわっていますから、最近の国際情勢を理由に9条を変えれば、それだけで国家と憲法の全体が変わってきてしまいます。

「戦争は放棄する、戦力となる軍備を持ってはならない、他国との戦争を行う権限も認めない」という9条があるため、自衛隊はあくまでも自国の「専守防衛」のための組織として位置づけられ、海外での戦闘活動は認められてきませんでした。1992年にPKO協力法が成立した後も、日本は自衛隊員を戦闘に関与させることはせず人道支援のみとし、多額の費用負担を引き受けてきました。このルールが2015年に変えられてしまいました。

現在、アメリカは、国内での兵士志願者の数が減少しているため、日本に兵力の補填を要求しています。日本国内にも「アメリカが戦っているのに、手をこまねいて見ているのは卑怯だ」といった意見もあります。しかし、自国・他国の国民に犠牲を出す「戦争」は、血気盛んな青年同士の喧嘩とは次元の異なるもので、素朴な正義感だけで参戦することは事態を悪化させます。

近年の世界の紛争で、武力によって解決した例はありません。ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン紛争など、大国の軍事介入を受けた国々では、今もなお紛争が続いています。世界平和を守るにはさまざまな手段があります。日本には日本の貢献の仕方がある、ということを世界に納得してもらうよう努力を続けることのほうが重要です。

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