第9回仲裁ADR法学会大会実施報告

Ⅰ 第9回仲裁ADR法学会大会

第9回大会は、2013年7月13日(土)12:30~18:00、慶應義塾大学を開催校として、同大学三田キャンパス西校舎517番教室において開催された。

一 個別報告およびシンポジウム

1.個別報告(12:30~14:10)

(1)飯田 邦男 会員(水戸家庭裁判所下妻支部)

「家事調停の解決構造とその特徴-自主交渉援助型調停との比較の視点から-」

(2)川添 利賢 会員(立教大学・第二東京弁護士会)

「立教大学観光ADRセンターの試み」

2.シンポジウム(15:00~18:00) 「ADR法の改正課題」

_____司会:_徳田 和幸 会員(同志社大学)

_________山田 文 会員(京都大学)

_____報告者:山田 文 会員(京都大学)

_________渡部 美由紀会員(名古屋大学)

_________和田 直人 会員(静岡大学)

_________垣内 秀介 会員(東京大学)

_________濱田 陽子 会員(岡山大学)

_____コメンテーター:_三木 浩一 会員(慶應義塾大学)

______________高木 佳子 会員(第二東京弁護士会)

二 総会議事

個別報告終了後、慶應義塾大学三田キャンパス西校舎517番教室において総会が開催され、以下の議事が上程された。

(1)2012年度会計報告について

山本和彦・会計担当理事より、配布資料(会計報告書)に基づき、2012年度収支決算報告がなされた。続いて、梅本吉彦監事より収支決算報告が適正であると認める旨の監査報告がされた。いずれも異議なく承認された。

(2)学会誌について

青山善充理事長より、学会誌『仲裁とADR』第8号が2013年6月9日に刊行され、各会員に宛てて郵送された旨の報告がなされた。

また、第9号の内容については、新理事会における雑誌担当理事を中心として決定されるため、現時点ではとくに方針を立てていないとの報告がなされ、異議なく了承された。

(3)第10回仲裁ADR法学会大会について

青山善充理事長より、次回大会(2014年度)については、2014年7月に同志社大学を開催校とすること、シンポジウムのテーマは新理事会における大会担当理事を中心として検討される予定であることが報告され、異議なく了承された。

(4)第4期役員(理事・監事)の選考について

青山理事長より、これまで役員選考に関するルールがなかっため、以下の経緯のもとで、ルールを作成したとの説明がなされた。すなわち、2012年大会(東京大学)の総会時に、青山理事長より、役員選考ルール作成の必要性に関する説明がなされ、具体的なルール作成については理事長に一任いただきたい旨の話があり、了承された。その後、理事長、理事長指名の選考委員長(伊藤 眞・総務担当理事)および事務局の会合により選考ルールのたたき台を作成し、各理事にメールで意見聴取をお願いした。これらの意見を参考にして、選考ルールを最終的に確定し、「役員選任に関する申し合わせ」として2013年2月20日に仲裁ADR法学会理事会より承認され、発効した(なお、この「役員選任に関する申し合わせ」は、学会誌『仲裁とADR』第8号146頁以下(2013年)に掲載されている)。

以上の経緯により「役員選考に関する申し合わせ」が確定した後に、伊藤 眞・委員長が選考委員会を開催し、申し合わせに則って第4期理事の候補者を選定した。候補者は、本日の総会時において理事に選任される手順となっている。以上の説明につき、異議なく了承された。

(5)新理事長の選任について

青山理事長より、休憩時間中に行われた新理事会において、会則8条に基づき新理事長として草野芳郎理事が選任された旨の報告があり、了承された。

(6)事務局の移転について

青山理事長より、新理事会において、現在のところ明治大学(東京都千代田区)に置かれている事務局所在地を、2013年8月以降、公益社団法人商事法務研究会に移転することが承認された旨の報告があり、了承された。

(7)常務理事の選出について

草野新理事長より、会則8条に基づき、新理事会において、総務担当理事として三木浩一理事、豊田愛祥理事、雑誌担当理事として菅原郁夫理事、中野俊一郎理事、大会担当理事として佐藤鉄男理事、山田 文理事、会計担当理事として田中進理事の7名の理事を常務理事として選任された旨の報告があり、了承された。

*大会終了後、慶應義塾大学三田キャンパス北館ファカルティクラブにおいて懇親会が開催され、多数の参加を得た。

Ⅱ 仲裁とADR

2013年6月9日、学会誌「仲裁とADR」第8号を刊行した。掲載内容は以下のとおりである。

【論説】

いま日本のADRを考える 谷口安平

ナラティヴとメディエーション――反物語の声―― 西田英一

【実務の潮流】

金融ADRは何を目指すのか

――商品先物取引分野の経験から―― 石戸谷豊

【ケース研究】

利用しやすい紛争解決手続を目指して

――愛知県弁護士会紛争解決センターの実情―― 増田卓司

独立行政法人国民生活センター紛争解決委員会によるADRの現状と

実務的諸課題の検討

――消費者の後見的役割を担う「消費者ADR」としての中核的存

在意義と制度的多機能性の再認識―― 日野勝吾

【海外文献紹介】

Steven Dinkin, Barbara Filner, Lisa Maxwell, The Exchange A Bold and Proven Approach to Resolving Workplace Conflict (Taylor and Francis Group, 2011) 仁木恒夫

Sinclair Dinnen(ed.), A Kind of Mending: Restorative Justice in the Pacific Islands(Pandanus Books, 2003, ANU E Press, 2010), XI+308pp. 藤井真一

【ADR機関便り】

日本海運集会所による海事仲裁手続の概要 松元俊夫

東京土地家屋調査士会「境界紛争解決センター」 大倉健司

【個別報告】

法科大学院におけるADR教育の実践

――創意工夫を引き出す―― 太田勝造

仲裁判断の取消しと承認・執行

――仲裁判断の効力の帰趨―― 猪股孝史

【シンポジウム】

民事調停の機能強化に向けて

〔司会〕春日偉知郞 〔報告者〕志村 宏・植垣勝裕・安藤武久・笠井正俊

【投 稿】

〈実務の潮流〉行政型の教育紛争解決システム 吉田惠子/森部英生

仲裁手続における電子的証拠への対応 金子宏直