蛋白質溶液学(計測)
身近な装置を使いこなす
身近な装置を使いこなす
凝集体の計測
タンパク質は水溶液中で単量体として分散して存在するだけでなく、他の分子との複合体や、目に見えない0.1–100 µm程度のサブビジブル粒子、さらに肉眼で確認できる凝集体まで、さまざまな大きさの会合体として存在することがあります。
このページでは、タンパク質粒子を調べる汎用的な計測装置による方法を紹介します。濁度測定は溶液のにごり具合を光の減衰として測定する方法で、一般的な分光光度計を使って簡単に行えます。SECはサイズ排除の原理を用いて分子を分離し、モノマーやオリゴマー、可溶性凝集体の割合をクロマトグラムとして確認できるため、会合状態を解析する優れた方法です。DLSは粒子のブラウン運動による散乱光のゆらぎを解析し、粒子の大きさ(流体力学的半径)を求める方法です。SLSは散乱光の強さを解析し、分子量や分子どうしの相互作用の強さを評価できる方法です。ITCを用いると複合体の熱力学パラメータを取り出すことができます。粒子の分散性の評価にはゼータ電位の測定がよく用いられています。これ以外にも凝集体の検出技術がありますが、やや専門的になります。
◆サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography; SEC)は、分子の大きさの違いを利用して分離する液体クロマトグラフィー法である。カラム内部には細孔をもつ担体が充填されており、試料分子がその孔にどの程度入り込めるかによって溶出時間が決まる。大きな分子は孔に入りにくいため早く溶出し、小さな分子は担体内部をより長く移動するため遅れて溶出する。したがって、SECで分離されるのは厳密な分子量そのものではなく、溶液中での見かけの大きさ、すなわち流体力学的な大きさである。
SECでは、溶出体積あるいは溶出時間に対するピークとして成分が観測される。単量体、二量体、多量体、さらに可溶性の凝集体までを比較的明瞭に分離でき、それぞれの割合をピーク面積から評価できることが大きな利点である。とくに抗体製剤では、単量体の純度や高分子量種(high molecular weight species)の有無が品質評価に直結するため、SECはきわめて重要な分析手法として広く用いられている。
一方で、SECは仕組みは単純だが、適切な分析のためには経験が必要となる部類の装置である。理想的には大きさで分離されるが、実際にはタンパク質とカラム担体との間に静電相互作用や疎水性相互作用などの二次的相互作用が生じ、ピークのテーリング、回収率の低下、見かけの保持時間の変化を招くことがある。とくに抗体や表面疎水性の高いタンパク質ではこの影響が無視できず、移動相の組成設計が測定の成否を左右する。
そのため実務上は、移動相にアルギニンを加えて二次的相互作用を弱める工夫がしばしば行われる(1)。アルギニンは、分析対象あるいは担体表面との弱い相互作用を緩和し、ピーク形状の改善や回収率の向上に寄与することが知られている。また、イオン強度を適切に高めることによって静電相互作用を遮蔽し、SEC本来のサイズ分離に近づけることも重要である。(2,3)したがって、SECでは「カラムを流せば自動的に正しいサイズ分布が得られる」のではなく、目的タンパク質に応じてpH、塩濃度、添加剤の種類を調整する必要がある。
さらに、SECには測定そのものが系を変化させるという限界もある。試料はカラムに注入されたのち移動相によって希釈され、かつカラム内で一定時間滞留するため、もとの高濃度溶液中で成立していた会合平衡や弱い相互作用が測定中に変化する可能性がある。(1)したがって、SECで見えているのは「カラム条件下で分離後に観測された状態」であり、必ずしも元の溶液中の状態をそのまま凍結した像ではない。この点は、可逆的会合体や弱いオリゴマーを扱う場合にとくに重要である。
そのままの凝集体あるいは会合体の状態をできるだけ温和に観察したい場合には、ネイティブアガロース電気泳動のような方法が有用なことがある(4,5)。この方法では、タンパク質や複合体を変性させずに比較的穏やかな条件で分離できるため、熱凝集体や会合体の分布をSECとは別の角度から評価できる。また近年では、マスフォトメトリーも有力な選択肢となっている(6)。マスフォトメトリーは、溶液中の単一分子がガラス表面に到達した際の散乱シグナルから分子量分布を推定する方法であり、少量試料で単量体からオリゴマーまでを迅速に評価できる。SECのような分離工程を経ないため、弱い会合平衡や不均一性を保持したまま観察しやすい場面がある。もっとも、SECは実際に成分を分けて定量できる点に強みがあり、DLS、SLS、濁度測定、マスフォトメトリーとは相補的な関係にある。
ここで、IgGの加熱凝集をSECを用いて解析した例を見てみたい(7)。2.0 mg/mLのIgGを100 mMリン酸緩衝液(pH 7.0)中で75 ℃、2分加熱し、アルギニン非存在下および500 mMアルギニン存在下でSECにより解析した。その結果、いずれの条件でも加熱前には8~9分付近に大きな単量体ピークが観測され、アルギニンの添加そのものは加熱前のIgGのサイズ分布にほとんど影響しないことが示された。
これに対して75 ℃で2分間加熱したサンプルでは、クロマトグラムの形状が明瞭に変化した。アルギニン非存在下ではIgGの単量体ピークが大きく減少し、5~6分付近により早く溶出する可溶性オリゴマーのピークが新たに現れた。さらに、全体のピーク面積自体も小さくなったことから、一部は可溶なまま残るものの、相当量が不溶性凝集体となって沈殿し、カラムに供する前に遠心分離によって除去されたことがわかる。すなわち、SECは単量体の減少だけでなく、可溶性オリゴマーの生成と不溶性凝集体への移行を段階的に読み分ける手段として機能している。
一方、アルギニン存在下のサンプルでも、75 ℃で2分間加熱すると単量体ピークはやはり減少しており、アルギニンが単量体の減少そのもの、すなわち熱変性に続く初期会合を完全に防いでいるわけではないことがわかる。しかし、5~8分付近の可溶性オリゴマーに相当するピークは大きく、沈殿は少なかった。これは、アルギニンが単量体から会合体への移行を止めるというより、生成した会合体がさらに成長して不溶性の大きな凝集体になる段階を抑制していることを示している。言い換えれば、アルギニンは「凝集を完全に防ぐ添加剤」ではなく、「凝集体をより小さく、可溶な状態にとどめる添加剤」として働いていることを、この結果は示唆している。
参考文献
1. Hong, P.; Koza, S.; Bouvier, E. S. P. Size-Exclusion Chromatography for the Analysis of Protein Biotherapeutics and Their Aggregates. J. Liq. Chromatogr. Relat. Technol. 2012, 35, 2923–2950.
2. Ventouri, I. K.; Malheiro, D. B. A.; Voeten, R. L. C.; Kok, S. J.; Honing, M.; Somsen, G. W.; Haselberg, R. Probing Protein Denaturation during Size-Exclusion Chromatography Using Native Mass Spectrometry. Anal. Chem. 2020, 92, 4292–4300.
3. Chen, X.; Yang, S.; Hager, J. W.; Zhang, Z. Ultra-High Pressure Fast Size Exclusion Chromatography for Analysis of Protein Aggregates and Fragments. J. Pharm. Biomed. Anal. 2013, 83, 147–154.
4. Sakuma, C.; Tomioka, Y.; Li, C.; Shibata, T.; Nakagawa, M.; Kurosawa, Y.; Arakawa, T.; Akuta, T. Analysis of Protein Denaturation, Aggregation and Post-Translational Modification by Agarose Native Gel Electrophoresis. Int. J. Biol. Macromol. 2021, 172, 589–596.
5. Tomioka, Y.; Arakawa, T.; Akuta, T.; Nakagawa, M.; Ishibashi, M. Analysis of Proteins by Agarose Native Gel Electrophoresis in the Presence of Solvent Additives. Int. J. Biol. Macromol. 2022, 198, 26–36.
6. Sonn-Segev, A.; Belacic, K.; Bodrug, T.; Young, G.; VanderLinden, R. T.; Schulman, B. A.; Schimpf, J.; Friedrich, T.; Dip, P. V.; Schwartz, T. U.; Bauer, B.; Peters, J. M.; Struwe, W. B.; Benesch, J. L. P.; Brown, N. G.; Haselbach, D.; Kukura, P. Quantifying the Heterogeneity of Macromolecular Machines by Mass Photometry. Nat. Commun. 2020, 11 (1), 1772.
7.Yoshizawa, S.; Arakawa, T.; Shiraki, K. Thermal Aggregation of Human Immunoglobulin G in Arginine Solutions: Contrasting Effects of Stabilizers and Destabilizers. Int. J. Biol. Macromol. 2017, 104, 650–655.
◆光散乱
動的光散乱や静的光散乱は、光の散乱を利用して、タンパク質溶液中における粒子の状態や粒子間相互作用を調べる方法である。ここでは、ポリリン酸とウシガンマグロブリン(BGG)との相互作用を解析した例を示す。
◆動的光散乱
動的光散乱(Dynamic Light Scattering; DLS)は、溶液中に分散した粒子の大きさを、散乱光の時間的なゆらぎから推定する手法である。粒子はブラウン運動によって絶えず位置を変えており、その運動に応じて散乱光の強度もわずかに変動する。粒子が速く動けば散乱光のゆらぎは速く変化し、粒子が大きくて遅く動けば、ゆらぎはゆっくり変化する。言い換えると、DLSが見ているのは粒子そのものの静止像ではなく、粒子が溶媒中でどのように動くかを反映した情報である。
この強度変動を時間相関関数として解析すると、粒子の並進拡散係数 Dが求められる。拡散係数から粒子サイズ(流体力学半径Rh)を導く際には、Stokes–Einstein式を用いる。
Rh=(kb T) / 6πηD
ここで、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度、ηは溶媒粘度を表す。
さらにDLSでは、タンパク質濃度を変えて拡散係数の濃度依存性を解析することで、拡散相互作用パラメータ(kDiff)を求めることができる。kDiffが正に大きいほど、粒子間反発が強いことを示す。本研究では、BGGのみを含む溶液、モノリン酸を添加した溶液、Argを添加した溶液では、kDiffはほぼ0であった。これは、これらの条件ではBGG分子間の相互作用が大きく変化していないことを意味する。一方、ポリリン酸14、ポリリン酸60、ポリリン酸130を添加すると、kDiffは5~7 mL/g程度の正の値に増加した。すなわち、ポリリン酸の添加によってBGG粒子間の反発が強まり、拡散挙動にその影響が現れたと解釈できる。
DLSは前処理をせず溶液をそのまま測定できることが利点である。計測時間も数十秒程度であり、粒径や分布の時間変化を追跡する用途に適している。解析結果は強度分布・体積分布・数分布として表示されるが、実際の測定では強度分布が基礎データとなる。Rayleigh近似が成り立つ粒径領域での散乱強度は、粒径の約6乗に比例するため、ごく少量の大粒子や凝集体でも結果に強く反映されることは注意が必要となる。
サンプルの条件として、5 mg/mL程度よりタンパク質濃度が高くなる場合、多重散乱や粘度補正の影響が無視できなくなり、解析が複雑になる。得られた拡散係数が見かけ値となることもあるため、希釈条件や測定角度の設定には注意を要する。DLSが直接与える情報はあくまで拡散である。凝集の駆動力や安定性を議論するには、熱力学的パラメータや粘度測定などと組み合わせて解釈する必要がある。
◆静的光散乱
静的光散乱(Static Light Scattering; SLS)は、粒子から放出される散乱光の平均強度を解析することで、分子量や分子間相互作用を評価する手法である。時間的なゆらぎを扱うDLSとは異なり、SLSでは散乱強度の角度依存性および濃度依存性に着目した測定であり、計測時間も1回あたり数十分程度が必要になる。測定した強度をRayleigh–Debye理論に基づいて解析することで、溶液中分子の統計的性質を読み取る。
散乱強度は分子量と濃度に依存する。濃度系列を測定し、ゼロ濃度へ外挿することで重量平均分子量 Mwがもとめられる。同時に、濃度依存項から第二ビリアル係数 B22を算出できる。B22は、ゼロであればタンパク質分子どうしが相互作用しない理想的な場合を意味し、平均的に引き合う場合は負、反発し合う場合は正の値を示す。したがって、B22が正で大きいほど、タンパク質分子はよく分散していると解釈できる。
BGGのみの溶液、モノリン酸添加溶液、Arg添加溶液では、B22はほぼ同程度の正の値を示した。すなわち、モノリン酸やArgを添加しても、BGGの分散性には大きな影響がなかった。一方、ポリリン酸14、ポリリン酸60、ポリリン酸130を添加すると、B22は2~3倍に増加した。これは、ポリリン酸の添加によってBGG粒子間の反発が増大し、分散安定性が高まったことを示している。
タンパク質溶液の評価では、SLSは凝集傾向を予測するための有力な指標となる。抗体製剤の開発では、pHや塩濃度、添加剤条件に対する B22の変化を系統的に測定することで、長期安定性や高濃度条件での粘度や凝集のリスクを推定できる。
ただし、散乱強度は分子量の二乗に比例するため、微量の凝集体でも測定値に強く影響する。試料中のダストを除去しないままでは、分子量や B22が過大評価されることがある。測定前のフィルトレーションや遠心処理は、その意味で不可欠である。SLSはDLSやAUCと組み合わせて用いることで、凝集の「大きさ」と「相互作用」という両面から理解を深めることができる。
◆電気泳動光散乱
電気泳動光散乱(electrophoretic light scattering, ELS)は、粒子の電気泳動移動度を光学的に測定し、そこからゼータ電位を算出する手法である。粒子が水中に分散すると、その表面電荷に応じて対イオンが集まり、固定層と拡散層からなる電気二重層が形成される。
・ゼータ電位は、この電気二重層におけるすべり面(slipping plane)の電位を表す指標であり、コロイド分散系の安定性を評価するうえで重要な物理量である。測定では、試料に外部電場を印加し、粒子の電気泳動移動度を求める。
一般に、ゼータ電位の絶対値が大きいほど粒子間の静電反発は強くなり、分散系は安定化しやすい。逆に、ゼータ電位がゼロ付近に近づくと反発力が弱まり、凝集や沈殿が生じやすくなる。タンパク質溶液では、pHが等電点付近に近づくとゼータ電位は小さくなり、分散安定性が低下することが多い。ただし、ゼータ電位は粒子表面の真の電荷そのものを示すわけではなく、吸着した添加剤、界面活性剤、共存イオン、緩衝液条件などの影響を強く受ける。そのため、ゼータ電位の値は必ず溶液条件と合わせて解釈する必要がある。
ウシガンマグロブリン(BGG)とポリリン酸との相互作用の結果についてみてみたい。この実験では、1 mg/mL のBGGに 100 mM のモノリン酸、アルギニン、またはポリリン酸を加えた試料を用いた。得られた電気泳動移動度は、Smoluchowski式に基づいてゼータ電位へ換算された。したがって、ゼータ電位は直接観測される量ではなく、粒子の移動度を媒質の粘度や誘電率と関連づけて導かれる量である。BGGだけの溶液、およびモノリン酸やアルギニンを添加した条件では、ゼータ電位はほぼ中性付近にとどまったのに対し、PolyP-14、PolyP-60、PolyP-130を添加すると、ゼータ電位は約 -10 mV まで負側に移動した。これは、PolyPがBGG表面に相互作用し、タンパク質表面の電荷状態をより負に変化させたことを示している。なお、ゼータ電位は5 mV程度では反発は弱く、まだ凝集しやすい状態であり、20 mV以上ある場合にはかなり反発しており、分散性は高いと判断できる。
◆等温滴定型熱量計
等温滴定型熱量系(ITC)は、分子どうしが相互作用するときに生じる熱を直接測定する手法である。蛍光標識や固定化を必要とせず、溶液中でそのまま結合を観察できる点が特長である。タンパク質と添加剤の相互作用を調べる場合、ITCは、結合の有無だけでなく、その相互作用がエンタルピー駆動か、あるいはエントロピー駆動かといった熱力学的情報まで与える。
ここでは、長さの異なるポリリン酸とウシγグロブリン(BGG)との相互作用を、ITCで評価した例を見てみたい(1)。実験では、セルに約0.13 mMのBGG溶液を入れ、シリンジには20 mMの添加剤溶液を用いた。添加剤としては、リン酸基の重合度が14、60、130のポリリン酸を用い、対照としてモノリン酸も測定した。測定は25 ℃で行われ、ポリリン酸の滴定では2 µLずつ連続的に注入した。
ポリリン酸をBGG溶液に滴下すると、注入直後に負の鋭いピークが観察された。これは、ポリリン酸とBGGの相互作用に伴って熱が放出されたためであり、この系の結合が発熱的であることを示している。ITCでは、発熱反応は一般に負方向のピークとして観測される。
その後、ピークは速やかにベースラインへ戻った。これは、注入されたポリリン酸がセル内で混合されたのち、BGGとの結合反応が短時間で進行し、新たな平衡状態に達したためである。注入直後には局所的にポリリン酸濃度が高くなるため、結合が一時的に集中的に進行して大きな熱変化が生じるが、その後、撹拌により溶液が均一化し、結合がほぼ完了すると、追加の熱の出入りがなくなるため、熱流束は再びベースライン付近に戻る。一般に、このような正または負のピークは、セル中の分子と注入分子との間に相互作用が存在することを示している。
さらに、この注入を繰り返すと、負のピークは次第に小さくなった。これはITCで典型的に見られる挙動であり、滴定初期にはBGG上に空いている結合部位が多いため、各注入で大きな発熱ピークが現れるのに対し、滴下を重ねるにつれて結合部位が順次占有され、新たに生じる結合反応量が減少するためである。最終的に飽和に近づくと、観測される熱は主として希釈熱に由来するようになる。
このようにして得られた生データは、まず熱流束のピークをベースライン補正したのち時間積分し、各注入に対応する熱量に変換する。次いで、それらの熱量データを結合モデルに基づいて非線形フィッティングすることで、結合部位数N、反応エンタルピー変化ΔH、自由エネルギー変化ΔGなどを求めることができる。この種の解析は、通常、ITC装置に付属する解析ソフトウェアを用いて行われる。
本系のフィッティング解析からは、自由エネルギー変化ΔG はポリリン酸の鎖長によらずおよそ -4.6~-4.9 kcal/molであり、BGGとの結合が自発的に進行することが示された。また、ΔH および TΔS はいずれも負の値を示し、エンタルピーとエントロピーの両方が結合に有利に寄与していることが示唆された。解離定数は0.28~0.46 mM程度であり、極めて強い結合ではないものの、溶液添加剤としては十分に意味のある相互作用と考えられる。さらに、結合部位数 N は約2.9~5.2であり、1分子のBGGに対して複数のポリリン酸分子が関与しうることが示唆された。これに対して、対照として測定したモノリン酸ではBGGとの有意な相互作用はほとんど認められず、ポリリン酸のようにリン酸基が連なった構造が、BGGとの相互作用に重要であることが示された。
◆熱力学パラメータによる相互作用の解釈
ITCを用いることで、直接的にΔHが求まり、解離定数から計算するとΔGが求まり、ΔG=ΔH−TΔSの式を使うことでΔSを求めることができる。この意味を整理してみたい。
まず、ΔG<0 であれば、結合が自発的に進むことを意味する。今回のポリリン酸とBGGの相互作用では、およそΔG はおよそ-4 kcal/molであり、自発的に結合すると解釈できる。その自発性を何が支えているかを ΔHとΔSから考える。今回のケースではΔHとTΔSともに負であり、エンタルピーとエントロピーの両方が結合に有利に寄与すると解釈できる。つまり、今回のポリリン酸とBGGの相互作用は、発熱的な相互作用と、系全体のランダムな秩序化が起こり、自発的に進んでいると解釈できる。
なお、この論文の実験では、ポリリン酸を添加することでBGGのゼータ電位が負側に移動し、第二ビリアル係数や拡散係数が増加していることから、表面に結合して負電荷を与え、粒子間反発を強めることでコロイド安定性を上げていると考えられる。なお、立体構造を安定化することでも凝集が抑制できるが、その可能性はこの論文では次のように否定できる。すなわち、ポリリン酸のBGGへの結合も、ITCで求めたように0.1 mMの桁の値であり、結合するといってもかなり弱い結合であり、さらに、ポリリン酸を添加しても立体構造の変性温度はほとんど変わらないという別の実験データがあることとから、立体構造を安定化することで凝集を抑制しているというこではないと考えられる。
1. Kasahara J, Furuki T, Aikawa S, Ueda H, Shiraki K. Polyphosphate as a novel aggregation suppressor of gamma globulin. J Pharm Sci. 2025 Jul;114(7):103818. doi: 10.1016/j.xphs.2025.103818. Epub 2025 May 9. PMID: 40349926.
◆示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry; DSC)は、試料と参照のあいだに生じる熱流束の差を測定することで、温度変化に伴う熱的転移を解析する手法である。一定速度で昇温または降温しながら、試料が吸熱あるいは発熱する際に必要な熱量の差を記録し、その温度依存性から熱力学的性質を評価する。タンパク質溶液では、主として熱変性、会合、相転移などに伴うエンタルピー変化を直接観測するために用いられる。
代表的な測定では、タンパク質溶液を入れた試料セルと、同じ緩衝液のみを入れた参照セルを用い、両者を同一条件で走査する。温度上昇に伴ってタンパク質が構造変化を起こすと、試料セルの熱流束が参照セルからずれ、その差としてDSCシグナルが得られる。得られた熱流束曲線からは、転移温度 Tm、カロリメトリーエンタルピー ΔHcal、見かけの熱容量変化 ΔCp などを求めることができる。複数のドメインをもつタンパク質では、それぞれのドメインに対応した複数のピークが観測されることも多い。
DSCの特徴は、熱変性温度が得られるだけでなく、熱安定性、転移の可逆性、さらに添加剤や緩衝液が安定性に与える影響を、熱力学量にもとづいて評価できる点にある。分光学的手法のように特定の発色団や蛍光プローブに依存せず、試料そのものの吸熱・発熱をラベルフリーで解析できることも利点である。一方で、試料量を比較的多く要し、測定にも時間がかかる。また、不可逆変性系では平衡熱力学としての厳密な解釈が難しい場合がある。
◆DSCによるIgGの分析
DSCによってIgGの熱変性を分析した例を見てみたい(1)。DSCで得られる生データは熱流束(heat flow)であり、これは試料セルと参照セルのあいだに生じる単位時間あたりの熱の流れを表す。
加熱に伴ってタンパク質の立体構造が壊れると、一般に吸熱反応が生じる。吸熱とは、試料が外部から熱を受け取る現象である。タンパク質の熱変性では、分子内の水素結合や疎水性相互作用などが崩れるため、その過程に熱エネルギーが必要となる。このため、熱変性はDSCでは吸熱転移として観測される。熱流束の表示方向は装置や作図法によって異なるが、しばしば吸熱が下向きのピークとして示される。
6 mg/mLのIgGを10 mMリン酸緩衝液(pH 8.1)中で測定すると、約61°Cと約71°Cに2つの熱転移が観察される。これらは一般に、それぞれFab領域とFc領域に対応すると解釈される。DSCの生データは熱流束として表示されるが、多くの場合、解析ではこれを見かけの熱容量(Cp)として規格化して表す。そのため、縦軸にCp、横軸に温度をとると、吸熱転移は正方向のピークとして描かれることが多い。すなわち、昇温に伴ってベースライン付近にあったシグナルが、熱変性に対応して正方向へ増大し、その後ふたたびベースライン付近へ戻る形となる。
熱容量とは、試料の温度を1 K上昇させるのに必要な熱量である。概念的には、heat flow を昇温速度と試料量で規格化した量として理解できる。すなわち、heat flow が「単位時間あたりにどれだけ熱が出入りしたか」を表すのに対し、見かけの熱容量は「温度を1°C上げるごとにどれだけ熱が必要か」を表す量である。
さらに、昇温速度を0.2°C/分から5°C/分へ変化させると、熱変性ピークの形が変わることがわかる。一般に、昇温速度が高くなるほどピーク温度は高温側へ移動し、ピーク形状も変化する。不可逆変性を含む系では、ピーク面積が小さく見える場合もある。Cp曲線の面積は変性に伴うエンタルピー変化に対応するため、その減少は、観測される転移に関与した相互作用の総量が小さくなったこと、あるいは速度論的要因によって転移が平衡的に観測されなくなったことを示唆する。IgGの場合、昇温速度を上げると、試料が各温度で十分に緩和する前に次の温度へ進んでしまうため、転移が平衡的に追跡されなくなり、見かけのピーク面積が小さくなったと考えてよい。
1. Vermeer, A. W.; Norde, W. The Thermal Stability of Immunoglobulin: Unfolding and Aggregation of a Multi-Domain Protein. Biophys. J. 2000, 78 (1), 394–404.
◆濁度による加熱凝集体の検出
濁度測定は、タンパク質溶液に光を通したときの透過光の低下、あるいは散乱光の増加を指標として、溶液中に生じた粒子状会合体を追跡する手法である。実験的には、分光光度計を用いて、一定波長における見かけの吸光度または散乱強度の時間変化を測定する。多くのタンパク質は可視域での真の吸収が小さいため、この信号変化は主として凝集体による光散乱を反映する。
タンパク質が加熱や溶液条件の変化によって会合すると、粒子サイズの増大に伴って散乱が強くなる。とくに粒子が十分小さい領域では、散乱強度は粒径に強く依存するため、初期の凝集体形成でも信号変化として捉えやすい。このため濁度測定は、熱誘起凝集の立ち上がりや進行速度を簡便に比較する方法として有用である。
また、温度制御と組み合わせることで、どの温度域から凝集が始まるか、あるいは添加剤によって凝集開始がどの程度遅れるかを連続的に評価できる。pH、塩濃度、添加剤濃度などの条件依存性を比較しやすい点も利点であり、初期スクリーニング法として広く使いやすい。
一方で、濁度測定だけから粒径分布、分子量、会合数、分子間相互作用の詳細までを直接決定できるわけではない。得られるのはあくまで散乱の増減であり、気泡、ダスト、微粒子状不純物の影響も受けやすい。そのため、試料調製、セルの清浄性、温度履歴、波長、光路長などをそろえて比較することが重要である。
◆濁度による加熱凝集と凝集抑制剤の計測
具体例として、卵白リゾチームの熱凝集に対するアルギニン塩酸塩(ArgHCl)の効果を見てみよう(1)。この論文では、1.0 mg/mL のリゾチームを 50 mM glycine と 50 mM sodium phosphate を緩衝剤として含む溶液に調製し、pH を 7.0〜10.0 に合わせたうえで、1 cm 光路長セルを用いて90℃ で加熱し、400 nm における散乱強度の時間変化を測定している。
まず pH 7.0 では、ArgHCl を加えない条件で散乱強度は急速に増加し、短いラグタイムの後に強い濁りが生じた。これに対し、ArgHCl を 100 mM、500 mM、1000 mM と増やすにつれて、凝集開始までのラグタイムは延長し、散乱強度の立ち上がりも緩やかになった。すなわち、ArgHCl は中性付近でリゾチームの熱凝集を明確に抑制した。
pH 8.0 でも同様の傾向が見られ、ArgHCl 濃度の上昇に伴って凝集開始は遅れた。ただし、pH 7.0 に比べると全体として凝集はやや進みやすくなっていた。さらに pH 9.0 になると状況は大きく変わり、ArgHCl を加えても散乱強度は急速に増加し、抑制効果は大きく低下した。pH 10.0 ではその傾向がさらに顕著となり、ArgHCl 濃度への依存性はほとんど見られなくなった。つまり、ArgHCl は pH 7〜8 では有効だが、pH 9 以上では熱凝集抑制効果をほぼ失う。
論文では、この挙動を散乱強度の立ち上がりから求めた lag period で整理しており、ArgHCl は pH 7.0 と 8.0 では lag period を大きく延長する一方、pH 9.0 と 10.0 ではその効果が著しく弱くなることが示されている。
なお、濁度が2.0以上になると飽和しているように見えるが、これはこの分光光度計による測定限界を超えたアーティファクトである。また、濁度が振り切れたのち低下しているケースもあるが、これは凝集体が沈殿することで、計測している領域の凝集体が見かけ現象したものである。このように、濁度による凝集体の計測は、何か物理的な量を正確に測定し、そこから何かを導こうとするよりも、むしろ本論文のように添加剤の濃度やpHを変えて相対的に比較することで、原理を明らかにする方法として活用する方がよい。
◆濁度を用いたアルギニンの凝集抑制機構の考察
pHによってアルギニンの濁度への影響が変化した結果は、アルギニンの凝集抑制効果が、その電荷状態に強く依存することを示している。アルギニンは α-カルボキシ基、側鎖グアニジニウム基、そして α-アミノ基をもつ。論文では、とくに α-アミノ基の pKa が約 9.0 であることに着目し、pH 9 以上でこの部位の正電荷が失われることが、凝集抑制効果の低下と対応すると議論している。
重要なのは、この効果が単純な熱安定化では説明できない点である。CD 測定では、ArgHCl を加えてもリゾチームの熱変性温度 Tmはほとんど変化せず、ArgHCl は native 構造を著しく安定化しているわけではないことが示された。したがって、ArgHCl の主な役割は、変性後あるいは変性途中の分子どうしが凝集へ進む過程を抑えることにあると考えられる。
さらに、数多くの先行研究からアルギニンのグアニジニウム基がタンパク質表面の芳香族残基などに弱く結合しうることが示されている。このことを踏まえて考えると、アルギニンの凝集抑制剤としての効果は、「タンパク質に結合するグアニジニウム基」と「凝集を抑える全体としての正電荷」の両方が必要であると考えられる。アルギニンは、中性付近ではその両者が働くが、アルカリ側では α-アミノ基の正電荷が失われるため、抑制能が弱くなるという考え方である。
さらに、リゾチームの等電点は約 11 と高いため、pH 10 では分子全体の正味電荷が減少し、分子間反発も弱まりやすい。このことが、pH 9よりもpH 10で凝集がより進みやすくなった一因と考えられる。もっとも、本論文の中心的結論は、リゾチーム固有の性質そのものよりも、アルギニンの α-アミノ基の電荷状態が熱凝集抑制に本質的であるという点にある。
1. Miyatake, T.; Yoshizawa, S.; Arakawa, T.; Shiraki, K. Charge State of Arginine as an Additive on Heat-Induced Protein Aggregation. Int. J. Biol. Macromol. 2016, 87, 563–569.
仮置き場
◆ナノ粒子追跡解析法
ナノ粒子追跡解析法(Nanoparticle Tracking Analysis; NTA)は、レーザーで照射されたナノ粒子を顕微鏡で観察し、ブラウン運動を動画として記録することで粒子径を求める手法である。画面上に見える粒子を1つずつ追跡し、フレーム間の移動量から平均二乗変位を算出する。そこから並進拡散係数 D を求め、Stokes–Einstein式を用いて流体力学的半径へ換算する。
DLSが散乱光を統計的に処理するのに対し、NTAでは粒子を個別に解析する。この違いは結果の性質に直結する。DLSが強度平均を与えるのに対し、NTAは数ベースの粒径分布を出力する。すなわち、NTAは、何nmの粒子が何個存在するか、というような分布を評価できる。
測定可能な粒径範囲は30 nmから1 μm程度で、比較的大きなタンパク質凝集体の検出に向く手法である。解析は個々の粒子追跡に基づくため、DLSなどのように少数の大粒子が分布全体を過度に支配しにくい。蛍光も利用できるため、夾雑系で特定の標識粒子を選択的に検出することができ、これも利点である。
測定には適切な粒子濃度が必要で、濃度が高すぎると粒子像が重なり分析できない。そのため、例えば高濃度抗体製剤をそのまま評価するなどには向いていない。
位置づけとしては、NTAは粒子数とサイズ分布を可視化して数える手法である。サイズの平均値を与えるDLS、形態情報を与えるMFIなどと組み合わせることで、凝集体の大きさと数を両面から評価できる。単独で完結するというより、粒子数情報を補う補完的手法と考えるのが適切である。
◆分析超遠心法
分析超遠心法(Analytical Ultracentrifugation; AUC)は、強い遠心分離により溶液中の分子を沈降させ、その挙動を時間分解的に観測することで分子量や会合状態を評価する手法である。遠心によって生じる濃度分布の変化を光学的に追跡し、そこから分子の運動特性を読み取る。検出には主に紫外吸収が用いる。
代表的な測定モードは、沈降速度法(sedimentation velocity; SV)と沈降平衡法(sedimentation equilibrium; SE)の2つである。SVでは、沈降境界の移動速度から沈降係数 sを求める。この値は分子量だけでなく、分子形状や溶媒との摩擦係数にも依存する。SEでは、遠心力と拡散がつり合った平衡分布を解析することで、分子量を直接求めることができる。
AUCが与える情報は多岐にわたる。沈降係数分布 c(s)、分子量、会合定数、モノマー・オリゴマー比などが代表的である。光散乱法のように信号が粒径の6乗に依存するわけではないため、小さなタンパク質凝集体の定量に有用である。可逆的自己会合系では、濃度依存性を系統的に測定することで会合平衡定数の推定も可能となる。単なる大きさではなく、会合の平衡そのものを扱える点がAUCの強みである。
タンパク質溶液の解析において、AUCは会合体の量と分布を同時に評価できる数少ない非破壊的手法に位置づけられる。
一方で、測定には長時間を要し、装置操作およびデータ解析には専門的知識が必要である。したがって、迅速なスクリーニングよりも、会合機構の解明や精密な定量評価に適した手法と考えるのが妥当である。
◆第二ビリアル係数
第二ビリアル係数(Second Virial Coefficient, B₂)は、溶液中における粒子間の平均的な相互作用の強さと性質を示す熱力学的パラメータである。理想溶液からの偏差を表す指標として定義され、特にタンパク質溶液の溶解性や凝集傾向を定量的に評価する上で広く利用されている。B₂の符号と大きさは、分子間の引力と反発のバランスを反映し、溶液の安定性や結晶化挙動を理解する上で重要である。B₂は主に静的光散乱法(static light scattering, SLS)によって実験的に求められ、平衡状態における静的な相互作用を記述する熱力学量である。
理論的背景として、ビリアル展開は、溶液の浸透圧を溶質濃度のべき級数として展開した式で表される。このとき、第一項は理想溶液(非相互作用)の寄与であり、B₂以降の項が溶質間の相互作用を表す。特にB₂は2分子間相互作用の平均的寄与を示す。B₂は引力が強いほど負(凝集傾向)、反発が強いほど正(分散傾向)となる(1,2)。タンパク質を球状粒子として近似すると、B₂はタンパク質分子間の平均的な引力・反発の指標として利用できる。B₂がわずかに負の値をとる条件では、タンパク質の結晶化が最も起こりやすいことが知られている。そのため、B₂は「crystallization window」の指標としても用いられる(3)。
参考文献
1. Neal, B. L.; Asthagiri, D.; Lenhoff, A. M. Molecular Origins of Osmotic Second Virial Coefficients of Proteins. Biophys. J. 1998, 75, 2469–2477.
2. Velev, O. D.; Kaler, E. W.; Lenhoff, A. M. Protein Interactions in Solution Characterized by Light and Neutron Scattering: Comparison of Lysozyme and Chymotrypsinogen. Biophys. J. 1998, 75, 2682–2697.
3. George, A.; Wilson, W. W. Predicting Protein Crystallization from a Dilute Solution Property. Acta Cryst. 1994, D50, 361–365.
◆拡散ビリアル係数
拡散ビリアル係数(kᴰ, diffusion virial coefficient)は、溶液中の分子の拡散係数(diffusion coefficient, D)が濃度に依存して変化する度合いを表す係数であり、分子間相互作用の動的側面を反映するパラメータである。kᴰは主に動的光散乱法(DLS)を用いて測定され、ブラウン運動に基づく拡散係数の濃度依存性から求められる。DLSでは、ブラウン運動による散乱光強度の時間相関から拡散係数を求め、濃度に対する直線的変化の傾きからkᴰを算出する。このとき、拡散の減少(kᴰ < 0)は分子間引力や一時的な凝集を反映し、拡散の増加(kᴰ > 0)は静電反発を示す。したがって、kᴰは分子間相互作用の符号と大きさを反映する動的指標として解釈できる。特にタンパク質や高分子溶液では、希薄溶液における分子拡散が、濃度上昇に伴って相互作用や粘度変化、流体力学的干渉により変化することが知られており、その挙動を定量化するために用いられる(2)。
タンパク質溶液において、kᴰは分子間相互作用と拡散挙動を結びつける実験的パラメータとして利用される。例えば、塩濃度の上昇やpH変化により静電反発が遮蔽されると、kᴰは正から負に変化し、凝集傾向の増大を示す(3)。バイオ医薬品の品質設計において、kᴰは溶液状態の動的安定性指標として重要視されている。
参考文献
1. Batchelor, G. K. Sedimentation in a Dilute Dispersion of Spheres. J. Fluid Mech. 1976, 74, 1–29.
2. Phillies, G. D. J. The Hydrodynamic Scaling Model for Polymer Diffusion. Macromolecules 1986, 19, 2367–2376.
3. Velev, O. D.; Kaler, E. W.; Lenhoff, A. M. Protein Interactions in Solution Characterized by Light and Neutron Scattering: Comparison of Lysozyme and Chymotrypsinogen. Biophys. J. 1998, 75, 2682–2697.