30秒を計る

ストップウォッチを持ってちょうど30秒で止める.一番近い時間で止めた人が勝ちというゲーム(?)をすることがあります.I君はその時間計測への視覚の影響ということを考え,視覚だけでなくその他環境要因の影響のついて調べました.最初の実験は1日の時間帯の影響で朝,昼,夜,深夜でそれぞれ3回測定しています.結果(上図)は,朝(起床後1:30分の条件でした)がもっと正確で時間がたつに従って長い時間を30秒と判断するようになっています.夜と深夜は40秒程度の長さになっています.朝の結果は,時間が30秒に近いだけでなく3回の結果のばらつきも小さいことがわかります.図中の誤差棒は標準誤差を示しています.


 次の実験は,暗黒,好きな音楽を聴く,嫌いな音楽を聴く,ドラマを見るという条件での比較です.暗黒では40秒程度であるのが特徴的であり,その他の条件では,33,4秒で同程度だった.暗黒条件と上記の夜,深夜の値は似ていることから,暗い環境では時間を短く見積もる傾向があるとも解釈できる結果である.さて問題は.この結果に再現性があるのかであるし,そうであればこのような話が知られているのはどうかが気になる点です.

 実験に再現性があることから,暗い環境で時間の長さが過小評価されることの確からしく思われます.とはいっても、計測は連続しているため履歴効果があるかもしれない、被験者1名であるなど実験上の問題点は多く,その後機会があったら追試してみたいと思いつつ何年もたってしまいました.また,時間評価についてのこのような研究があるかどうかについての調査もしないままです.2003年の実験でしたが、今回思い返して、やはり確認してみたいと思う次第です.