2025年01月22日 作成
数年前に退職しましたが、その際に職場の知り合いが保管していた東芝 J-3100用の「一太郎 Ver.4」のフロッピーディスクを譲ってもらいました。1989年に販売されていたものです。実機(東芝 J-3100)を用意して確認するつもりでしたが、できずにいました。
2024年11月、MS-DOSで動作するテキストエディタ「VZ」がオープンソフトとして公開されましたが、その中に動作確認はDOS/Vエミュレータ「DOSVAXJ3」で行ったという記述がありました。少し気になって DOSVAXJ3 を調べてみると、AXやDOS/Vだけでなく、東芝 J-3100のエミュレータとしても動作することが分かりました。
さらに、このエミュレータの特徴は、東芝 J-3100用のMS-DOSも実機のROMもフォントデータも必要とせずにMS-DOSアプリケーションを動かすことができます。また、Windows上のIME(Input Method Editor)を利用してMS-DOSプログラムに日本語を入力することもできます。
早速、東芝 J-3100用の「一太郎Ver.4」の動作確認をしてみました。結論から言うと「一太郎 Ver.4」もテキストエディタ「VZ Ver. 1.6」も動作しました。
東芝 J-3100用「一太郎 Ver. 4」
東芝 J-3100用「テキストエディタVZ Ver. 1.6」
注)Webブラウザによっては、説明中の文字が「\」(逆スラッシュ)で表示される場合があります。「¥」(円記号)で置き換えて読み替えてください。
エミュレータ DOSVAXJ3 は次のURLのページで説明されているように、 AX & J-3100 & DOS/V 用のエミュレータです。
DOSVAXJ3の動作について簡単に説明します。
エミュレータDOSVAXJ3の起動は、ダウンロードしたものを解凍して、適当なフォルダーに配置して、その中にあるプログラム dosboxj.exe を実行するだけです。実行後の画面は次のとおりです。
プログラム dosboxj.exe を実行した後はZドライブのみが割り当てられている状態です。しかし、通常的に必要なCドライブなどはWindows内の任意のフォルダーを割り当てて使用するようになっています。
例えば、Windows内の "C:\dosvaxj3\c-drv" をDOSVAXJ3のCドライブとして割り当てるには、次のコマンドで行います。
MOUNT C "C:\dosvaxj3\c-drv"
MS-DOS上のAUTOEXEC.BATに記述する内容は、プログラム dosboxj.exe の環境設定ファイルである dosboxj.conf 内の [autoexec] セクションに記述します。
例えば、起動と同時にWindows内の "C:\dosvaxj3\c-drv" をCドライブとして割り当て、カレントドライブをCドライブにするには、次の記述になります。
[autoexec]
# Lines in this section will be run at startup.
# You can put your MOUNT lines here.
@ECHO OFF
MOUNT C C:\dosvaxj3\c-drv
C:
DOSVAXJ3ではMS-DOSにおけるCONFIG.SYSを記述する箇所がありません。したがって、動的にデバイスドライバを組み込むプログラムであるADDDEV.EXEを使用することにします。ADDDEV.EXEはフリーソフトとして次のURLから取得できます。
通常のMS-DOSであればCONFIG.SYSに"DEVICE=xxxx.SYS"のように記述しますが、ADDDEV.EXEでは同じように任意のファイルを用意して内容を記述します。例えば、ATOK7を組み込むためにC:\ATOK7.DEVというファイルを用意して以下の内容を記述します。
記述例 ATOK7.DEV(ADDDEVのマニュアルから引用)
#This is a sample configuration file
device=c:\atok7a.sys /d=c:\atok7.dic /t=1111 /e=1
device=c:\atok7b.sys
#end of sample
ATOK7を組み込むには、次のコマンドで行います。
ADDDEV C:\ATOK7.DEV
DOSVAXJ3はWindows内の適当なフォルダーをCドライブとして割り当てることができますので、J-3100用「一太郎 Ver.4」のフロッピーの内容をWindows内の適当なフォルダーに配置します。ここではWindows内の"C:\dosvaxj3\c-drv\jxw"に格納しています。
プログラム dosboxj.exe 実行後に、次のコマンドを実行します。
MOUNT C "C:\dosvaxj\c-drv"
次に、一太郎を動作させるには、かな漢字変換システム「ATOK7」が必要になります。通常はCONFIG.SYSのDEVICEにATOK7を記述して組み込みますが、DOSVAXJ3ではCONFIG.SYSの記述ができないので、ADDDEV.EXEというプログラムを使います。
前述のADDDEV.EXE、DELDEV.EXEを先ほどの"C:\dosvaxj3\c-drv\jxw"に格納しておきます。さらに、ADDDEV.EXEで組み込むデバイスドライバを指定するために、次の内容のファイルを用意します。ここでは、"C:\dosvaxj3\c-drv\jxw\ATOK7.DEV"として用意しました。
DEVICE=C:\JXW\ATOK7A.SYS /D=C:\JXW\ATOK7L.DIC /G=C:\JXW\JFGAIJ.UFO
DEVICE=C:\JXW\ATOK7B.SYS
dosboxj.exe 実行後にATOK7.DEVの内容を組み込むには次のコマンドで行います。
C:\JXW\ADDDEV C:\JXW\ATOK7.DEV
以上のコマンドを自動的に実行するように、MOUNTコマンド、ADDDEVコマンドを dosdoxj.conf の [autoexec] セクションに次のように記述します。
[autoexec]
# Lines in this section will be run at startup.
# You can put your MOUNT lines here.
@ECHO OFF
MOUNT C C:\dosvaxj3\c-drv
C:
PATH=C:\JXW;C:\VZ
ADDDEV C:\JXW\ATOK7.DEV
ECHO .
ECHO . jxw 一太郎 Ver. 4
ECHO . vzj31 VZ Editor Ver. 1.6
ECHO .
CD C:\USER
以上の設定を行い dosboxj.exe を実行すると次の画面になります。
これで「一太郎 ver. 4」を実行する準備ができていますので、コマンド「jxw」で起動することができます。
注)「一太郎」の中では、¥記号の入力ができません。しかし、WindowsのIMEを使うことで入力することができます。
東芝 J-3100用のテキストエディタ「VZ」は、オープンソフトとして公開されています。次のURLから取得できます。
VZEditor https://github.com/vcraftjp/VZEditor
ダウンロード後に解凍してJ-3100用のVZJ31.COMを"C:\dosvaxj3\c-drv\vz"に格納します。[autoexec]セクションでPATHが設定されていますので、コマンド「vzj31」で起動することができます。
以 上