2021年06月28日 作成
2022年09月18日 更新
Raspberry Pi 4B ではいくつかのLinuxやWindowsなどの各種OSがUSB接続のSSDから起動することができます。今回はUbuntuの最新版をSSDから利用してみようと思います。
目指すところは、日本語環境の整備(日本語の入力、文書作成、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトが利用できる)、GIMPのような画像処理プログラムが利用できる、Webブラウザーで日本語の各種情報が閲覧できる、conkyでシステム情報が表示できること、などとします。
Raspberry Pi 4Bでは、Linux や Windows などの各種 OS が USB 接続の SSD から起動することができるようになっています。
2022年4月に発表された Ubuntu 22.04 LTS について、インストールから各種の設定について記述します。
Raspberry Pi 4BでUbuntu 22.04を起動しているところ
以下の環境で利用します。
本体:Raspberry Pi 4B 本体(4GByte、USBブート可能に設定)、CPU冷却ファン付きケース
SSD:HDDケースとSSD(240GB)でUSB 3.0接続
LAN:有線LANまたは無線LAN
Raspberry Pi 4 とケース
HDDケース(Salcar製)
SSD(KIOXIA製)
Raspberry Pi で動作するLinuxには各種ありますが、Ubuntuは英国のCanonicalという会社が開発しているLinuxシステムで、通常のパソコン(x64、x86)などでは広く利用されており、次の特徴があります。
5年間の長期サポート版(LTS版)がある
比較的新しいバージョンのアプリケーション(LibreOfficeなど)が利用できる
多分世界で最も利用されているLinuxである
必要とするリソース(メモリ使用量やCPU速度)は比較的大きい
Ubuntu 22.04 LTSでは、採用されているグラフィックスシステムがX WindowからWaylandに変更になっています。WaylandはX Windowよりも高速に動作するという特徴があります。
Raspberry Pi 4B用のUbuntu 22.04 LTSは次のURLから取得可能です。
表示された画面を下にスクロールすると次の画面が表示されます。「Download 64-bit」をクリックしてダウンロードします。
「Download 64 bit」をクリックしてダウンロード
ダウンロードが終了すると次のファイル名になります。
ubuntu-22.04-preinstalled-desktop-arm64+raspi.img.xz
ファイルは圧縮されていますので、7-zipなどで解凍します。解凍後のファイル名は次のようになります。
ubuntu-22.04-preinstalled-desktop-arm64+raspi.img
なお、次に説明するSSDへの書き込みソフト「Raspberry Pi Imager」では、圧縮済み、解凍済みのどちらでも利用可能です。
先ほどダウンロードした「ubuntu-mate-20.10-desktop-arm64+raspi.img.xz」ファイルを起動用のSSDに書き込むには、Raspberry Piのサイトで用意されている「Raspberry Pi Imager」というプログラムを使用します。URLは次の通りです。
「Download for Windows」をクリックしてダウンロードします。その後ダウンロードしたファイルを実行してインストールします。スタートメニュー内に「Raspberry Pi」グループができ、その中に「Raspberry Pi Imager」プログラムが登録されます。
パソコンのUSBポートにSSDを接続して、スタートメニュー内の「Raspberry Pi imager」をクリックして実行します。
その後は表示されるメニューに従って次のように操作します。
最初に「 OSを選ぶ」。OSとしてUbuntuが選択できますが、先ほど取得したOSイメージを使用するために「カスタムイメージを使う」を選びます。
ファイル選択のウインドウが表示されます。「ubuntu-22.04-preinstalled-desktop-arm64+raspi.img.xz」を選択します。
次に「ストレージを選ぶ」をクリックしてSSDが接続されているデバイスを選択します。
最後に「書き込み」をクリックします。
1)Imager起動画面、「OSを選ぶ」をクリック
2)「OSを選ぶ」をクリックしたところ
3)「カスタムイメージを使う」を選択
4)先ほどダウンロードしたimg.xzファイルを選択
5)「ストレージを選ぶ」をクリック
6)SSDの選択
7)「書き込む」をクリック
8)正常終了
書き込みが終了したら取り外し処理を行ってSSDを取り外します。
作成したUSB SSDをRaspberry Pi 4BのUSB 3.0ポートに接続して起動します。
最初の起動時には、Ubuntuの初期設定を行う必要があります。メッセージに従って以下の操作をしてください。
表示言語の設定(「日本語」を選択)
キーボードレイアウトの設定(「Japanese」、「Japanese」を選択)
住んでいる場所の設定(「Tokyo」を選択)
ユーザー情報の入力(名前、コンピュータ名、ユーザー名、パスワード)
初期設定が終わるとログイン画面が表示されますので、表示されているユーザー名をクリックした後、パスワードを入力してログインします。
起動中の画面
起動中の画面
1) 表示言語の設定
2) 「日本語」を選択
3)キーボードの選択
4)「Japanese」、「Japanese」を選択
5)住んでいる地域を選択、「Tokyo」を選択
6)ユーザー情報の入力
7)情報を入力(名前、ユーザー名、パスワード)
8)インストール中(Ubuntuへようこそ)
9)インストール中(追加ソフトを見つけましょう)
10)インストール中(写真を楽しもう)
11)インストール中(Applying Changes)
12)インストール終了後の画面
インストールが終了すると次のようにユーザー名が表示されて、ログインができるようになります。
ユーザー名が正しければ、「Enter」キーを入力します。
次のようにパスワード入力画面が表示されます。
最初のログイン後は次のような画面がいくつか表示されます。メッセージに従って操作してください。
ログイン後は次のような画面になります。
Ubuntuを終了するには、次の画面のように画面右上の電源マークをクリックします。
その後「電源オフ/ログアウト」をクリックして、最後に「電源オフ」をクリックします。画面表示が消えて少ししてからRaspberry Piの電源をオフにします。
最初にログインしたらUbuntu MATEの状態を最新の状態にする必要があります。端末を起動して、次のコマンドを実行します。
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
インストール時の初期設定によってある程度は日本語の設定が整備されますが、一部に設定やインストールが不十分な部分があります。
かな漢字変換システム(IME)や日本語フォントなどを整備するために、以下の手順を行います。
左下のメニュー「アプリケーションを表示する」→「言語サポート(Languge Support)」をクリックします。
「アプリケーションを表示する」をクリック
「Language Saport」(日本語表示の場合には「言語サポート」)をクリック
しばらくすると以下のウインドウが表示されますので、「インストール」をクリックします。日本語かな漢字変換システム(IBus)や日本語フォント(Notoフォント)が追加されます。
インストールが終わると次の画面になります。「日本語」が一番上にになっていること、「キーボードで使うIMシステム」が「IBus」になっていることを確認してください。もし、IMシステムが「IBus」になっていない場合には、「IBus」に設定した後、ログインし直すかリブートをしてください。設定が反映されます。
インストール時のキーボード設定では「半角/全角」キーによるかな漢字変換はできない状態です。できるように次の設定をします。画面左下の「アプリケーションを表示する」ボタンをクリックし、次に「設定」をクリックします。
左側のメニューの中から「キーボード」をクリックします。表示された画面で、「日本語(Mozc)」が一番上になるようにマウスで移動します。その後、ログインし直すかリブートしてください。
再起動後、「半角/全角」キーによるかな漢字変換ができるようになります。
初期設定で日本語に設定した関係で、ホームディレクトリの名前も日本語になってしまっています。このままでは操作しづらいので英語に変換します。端末を起動して、次のコマンドを入力してください。
$ LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update
次の画面が表示されますので、「Don't ask me this again」にチェックを入れて、「Update Names」クリックして変更します。
Ubuntuを便利に使うために、いくつかのプログラムをインストールします。
Ubuntuを最新の状態にする
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
テキストエディタvim
$ sudo apt install vim
Webブラウザchromium
$ sudo apt install chromium-browser
システムモニター conky
$ sudo apt install conky
または
$ sudo apt install conky-all
$ sudo apt install fonts-ipafont
パッケージマネージャ synaptic
$ sudo apt install synaptic
エミュレータ qemu
$ sudo apt install qemu
または
$ sudo apt install qemu-system-x86
gnomeユーティリティ gnome-tweaks
$ sudo apt install gnome-tweaks
Ubuntu で端末を起動すると以下の画面の左側のように間延びした感じになります。この症状は、takaoフォントをインストールすることによって画面右側のように直ります。
以下のコマンドで「fonts-takao」をインストールします。
$ sudo apt install fonts-takao
その後端末を再起動すると以下の右側のような画面になります。
Ubuntu インストール直後の端末画面
takaoフォントをインストールした後の端末の画面
Ubuntu の音声出力を液晶ディスプレイのスピーカーに設定する方法です(HDMI出力)。
Ubuntu に「raspi-config」アプリをインストールする
$ sudo apt install raspi-config
そして次のコマンドで raspi-config を実行する
$ sudo raspi-config
以下の画面が表示されますので、カーソル移動キー、TABキー、Enterキーで操作して設定します。
「1 System Option」を選択
「S2 Audio」を選択
「1 MAI PCM i2s-hifi-0」を選択
Raspberry Pi用のUbuntu 22.04ではグラフィックシステムとして、今までのX Windowsシステム(X11)ではなくWaylandという新しいシステムが標準で使用されています。もちろんWaylandはX11との互換性はあるのですが、一部のアプリケーション(RemminaやFirefoxなど)では表示がおかしくなることがあるようです。
WaylandからX11に変更する方法は、ログイン時のパスワードを入力する画面で、画面右下のボタンをクリックして「Ubuntu on Xorg」を選択することによってX11で起動するようになります。
以 上