2020年05月 作成
2021年05月30日 更新
自宅にはRaspberry Pi(以後、「ラズパイ」と呼びます)の他にもWindows パソコンがあり、時々ラズパイからWindowsをリモートデスクトップで使用したくなります。Linux環境で利用できるリモートデスクトッププログラム(RDP client)は色々ありますが、ここではラズパイでも利用できるRemminaについて説明します。
注意点として、ラズパイなどからリモートデスクトップで利用できるのはWindows 10 Proだけです(RDPプロトコルの場合)。また、Windows側での設定も必要になります。後で述べる説明を参照して下さい。
Windows 10 Pro リモートデスクトップで利用できます
Windows 10 Home リモートデスクトップで利用できません
ラズパイとWindowsとのネットワーク接続のイメージは次のようになります。
ラズパイのLinux環境(例ではgentoo Linux)からWindowsパソコンに接続している画面例を次に示します。画面例では縮小サイズで表示していますが(左上1/4がWindowsです)、もちろんLinux側の解像度であるFull HD(1920x1080)で表示することも可能です。
左上の1/4部分がRemminaの画面です
Remminaをフル画面で表示しています
Remminaのインストールは簡単で、次のコマンドで行うことができます。または最初から導入されている場合もあります。
$ sudo apt install remmina (ubuntuの場合)
また、最近私が良く使っているgentooの場合は次のコマンドで行うことができます。
$ sudo emerge -v net-misc/remmina (gentooの場合)
インストールが終わると自動的にメニューに登録されます。メニューの「アプリケーション」→「インターネット」→「Remmina」とクリックすることで実行することができます。
LinuxからWindowsパソコンをリモートデスクトップとして利用するためには、後で説明するWindows側の設定も必要ですが、Remminaの設定が必要になります。必要な項目は次のとおりになります。あらかじめ調べておいて下さい。
• WindowsパソコンのIPアドレス
最初にRemminaを起動すると次の画面になります。新規接続を登録するために左上のアイコンをクリックします。
接続先を登録するために、左上のアイコンをクリックすると次の画面が表示されます。
プロトコルの項目をクリックして、「RDP-リモートデスクトッププロトコル」を選択すると次の画面になります。
以下の項目を設定して下さい。
名前:この設定に付ける名前、通常は接続先のWindowsパソコンの名前
サーバー:WindowsパソコンのIPアドレス、またはコンピューター名
ユーザーネーム:Windowsパソコンにログインするためのユーザー名
ドメイン:ユーザーの属すドメイン名
パスワード:ユーザー名のパスワード
解像度:Windowsの表示解像度、「クライアントの解像度を使う」に設定
ドメインはわかりにくい概念ですが、自宅などで使用するWindowsパソコンの場合には、通常はMicrosoft アカウントを利用していますので、xxx@outlook.jp などのようにユーザーネームにアカウント名を設定することによって、以下のように省略することができます。
その後、「高度な設定」タブをクリックして以下の項目を設定します。
品質:Windows画面の表示品質を指定。通常は「最高(最低速)」を設定します。
サウンド:Windowsパソコンからの音声の品質を指定。通常は「ローカル・高品質」を設定します。
それぞれの設定項目は回線速度により操作性に影響が出ます。使いながら設定して下さい。設定が終わっったら「Save」をクリックして設定を保存して下さい。次の画面になります。
Windowsパソコンに接続するためには、Remminaの設定が終わった画面で、名前をクリックして下さい(例では「Windy」)。
一番最初に接続するときに認証の画面が出ます。「はい」をクリックします。
そして次の画面が表示されました。
しかし、画面をよく見ると、少し変な画面になっています。Windows画面のすべてが表示されているわけではなく一部が隠れている状態です。右側および下側のスクロールバーを操作するとすべての画面が確認できる状態です。
左側のメニューを操作することによって全画面表示にすることができます。先に左側に表示されているメニューのアイコンについて説明します。
Windows画面を全画面にするために、次の操作を行います。
全画面表示になると次のようになります。
画面上部にメニューがあります。マウスを上部に移動してみて下さい。次のようにメニューが表示されます。
また、画面を縮小して表示するスケールモードも利用できます。「スケールモード のオン・オフ」メニューをクリックしてから画面の周りをドラッグして、次のように縮小することができます。もちろん縮小画面のなかでもWindowsを操作できます。
Remminaを使うことによってLinuxからWindowsを利用することがわかりましたが、実際に利用するためには、最初に設定、そして利用するための注意などがありますので、説明します。
一番最初にWindows側の設定を行う必要があります。それは、個人のWindowsパソコンはネットワーク経由で利用することを想定していませんので、初期設定としてネットワーク経由で利用できないようになっています。
設定方法は、画面左下の「スタート」ボタンをクリックして表示されるメニューの中の歯車マークで表される「設定」ボタンをクリックします。表示されたメニューの「システム」をクリックします。
次に表示される画面で左側のメニューの一番下に「リモートデスクトップ」という項目がありますので、クリックします。
次の画面のように、リモートデスクトップの設定になります。
このWindowsパソコンを他のコンピュータから利用できるように、「リモートデスクトップを有効にする」項目を「オン」に設定します。
次の確認メッセージが表示されますので、「確認」をクリックします。
以後は他のコンピューターからリモートデスクトップで利用できるようになります。
Linux側からWindowsパソコンに接続する時には、Windowsパソコンの電源がONで、サインインしていない状態にしておきます。サインインしていない状態とは、電源を入れたばかりの状態で、ユーザー名とパスワードの入力を待っている状態を言います。また個人で利用しているパソコンの場合には電源を入れたばかりの状態で、PIN番号の入力欄が表示されていない以下の図のような状態を言います。
Windowsパソコンの利用が終了したときの操作について説明します。
通常は、Windowsパソコンの電源をONにしたままにするために、サインアウトという状態にします。サインアウトの状態であれば、Linuxから再度接続することができます。操作方法はWindowsの「スタート」ボタンをクリックし、表示される左側のメニューのユーザー名をクリックします。
ログインしているユーザーが操作できるメニュー(サインアウト、ロック、アカウント設定の変更)が表示されます。
「サインアウト」をクリックします。以上で、Windows画面が閉じてLinux画面になります。
Remminaを使うと接続先のWindowsと簡単にファイルの共有を行うことができるようになります。機能としてはRemminaに共有フォルダーを設定することで、Windowsのエクスプローラから見ることができるようにものです。
Remminaの設定画面で共有フォルダーを設定してください。
「Documents」などのフォルダーを設定してください。
接続先のWindowsでは次のように見えますので、自由にファイルのやりとりができます。
以 上