2026年02月16日 作成
2026年04月06日 更新
Raspberry Pi 5ではRaspberry Pi OS(trixie)(以後は「RPi OS」)を使っていますが、デザインやレスポンスに馴染めないため、試しに評判のいいKDEのデスクトップ環境Plasmaを導入してみました。KDE Plasmaは、RPi OSのlabwcの替わりに使えるデスクトップ環境です。実際にインストールして利用してみると、メモリなどのリソースは必要になりますが、デザインも美しく動作も俊敏で非常に満足できるものでした。
ここでは、その導入方法について記述します。
Raspberry Pi 5でKDE Plasmaを動作させているところ
Raspberry Pi 5上のNVMe SSD で「Raspberry Pi OS with KDE Plasma」を動作させるために、以下の製品を使用しています。
本体:Raspberry Pi 5 本体(メモリ 8GB)
本体ケース: CPU冷却用ファン付きのケース
NVMe接続用:Geekworm X1002 V1.1(PCIe NVMe M.2 SSD 2280拡張ボード)
NVMe SSD:M.2 SSD 256GB
SSDケース:UGREEN M.2 SSD ケース(USB接続)
LAN:USB-LAN変換アダプタ(BUFFALO LUA4-U3-AGTE-NBK)
サウンド:USB-オーディオ変換アダプタ(Creative Sound BLASTER)
Raspberry Pi OS:マイクロSDカード(128GByte)を使用
Raspberry Pi 5 (メモリ 8GByte)とケース
PCIe NVMe M.2 SSD 2280拡張ボード
NVMe SSD、USBケース
USB-LAN変換アダプタ
(BUFFALO LUA4-U3-AGTE-NBK)
USB-オーディオ変換アダプタ(Create Sound Blaster Play!2)
最初にRPi OSを作成します。使用するRPi OSは64bit版(Recommended最小構成)のデスクトップ版を使用します。ここでは、USBアダプタにM.2 SSDを装着してRPi OSをインストールしました。インストール方法についての説明はしません。
RPi OSの用意ができたらUSBアダプタに装着したまま起動して、次のコマンドを入力して、各ソフトウェアを最新の状態にします。
$ sudo apt update
$ sudo apt -y full-upgrade
$ sudo reboot
以後の作業が楽になるように、また最終的にPCIe接続のNVMe SSDで利用するため、起動時のconfig.txtを管理者権限で編集し、ファイル末尾の[all]の前に次の行を追加します。
[pi5]
usb_max_carrent_enable=1
pciex4_reset=0
#NVMe Hat
dtparam=pciex1
dtparam=pciex1_gen=3
# CPU Over Clock
arm_freq=2800
arm_freq_min=600
gpu_freq=920
これ以降は、NVMe SSDをUSBアダプタに装着したままでも、PCIeインターフェースに装着してもどちらでもかまいません。その後再起動します。
次に、KDE Plasmaをインストールするために、次のコマンドを入力します。
$ sudo apt -y install kde-plasma-desktop
インストールに関するメッセージが順次表示され、途中で次の画面が表示されます。利用するデスクトップマネージャをKDEの標準である「sddm」に設定します。sddmはログイン画面で利用します。
インストール途中のメッセージ
Display Managerの選択(sddmを選択)
コマンドが終了したら再起動します。
再起動すると以下の画面が表示されます。左下の「Desktop Session」を「Plasma(Wayland)」に変更して、その後パスワードを入力してログインします。
ログイン時には次の画面が表示されます。その後、次のようにログインした状態の画面になります。
日本語の設定をしていないので、英語表示になります。日本語で利用できるように以下の設定を行います。なお、RPi OSのインストール時に日本語の設定をしている場合には以下の作業は必要ありません。
「System Settings」の「Language & Time」欄の「Region & Language」の言語を「日本語」に設定します。この設定をすると、メニューなどの表示が日本語になります。反映には多少時間がかかります。日本語表示は再起動してからです。
Language & TimeのRegio & Language
Languageを選択しているところ
日本語を選択したところ
日本語の設定が完了
その後、再起動して確認します。
日本語入力については、普段から使っているFcitx5とMozcを使用する設定にします。まずは次のコマンドでアプリケーションをインストールします。
$ sudo apt -y install fcitx5 fcitx5-mozc kde-config-fcitx5 fcitx5-config-qt
$ sudo im-config -n fcitx5
$ sudo apt -y purge im-config
次に、日本語入力環境を設定するために「KDEシステム設定」の「入力メソッド」を次のように設定します。
入力メソッドオフ:キーボード-日本語
入力メソッドオン:Mozc
次に「KDEシステム設定」の「キーボード」の中の「仮想キーボード」を「fcitx5 」にします。
入力メソッドの設定(キーボード-日本語、Mozc)
仮想キーボードの設定(Fcitx 5)
Fcitx5とMozcの設定は次のようにして行います。自分好みの設定に変更して利用します。
Fcitx5の設定は端末を起動して「fcitx5-config-qt」コマンドで行います。
$ fcitx5-config-qt
Mozcの設定は、メニュー「アプリケーションランチャー」をクリックして表示されるメニューの「システム」、「Mozcの設定」をクリックして行います。
Fcitx5の設定
Mozcの設定
以上の設定で日本語表示、日本語入力もできるようになります。しかし、変換候補の表示位置がおかしい症状がでます。解決策として、管理者モードで/etc/environmentに次の行を追加します。
# IM Fcitx5
XMODIFIERS=@im=fcitx
GTK_IM_MODULE=fcitx
QT_IM_MODULE=fcitx
登録後、再起動すると正常になります。しかし、ログイン画面に次のメッセージが出るようになります。日本語環境に問題がないので「次回から表示しない」をクリックして終了します。
Fcitx5とMozcによる日本語入力では、タスクバーにMozcのアイコンが表示されます。
Mozcアイコンの場合
テキストアイコンに設定した場合
個人的には色使いが派手であることから入力に集中できないので、アイコンをテキストアイコンに変更して使っています。変更方法はKDEシステム設定の「入力メソッド」、「アドオンを設定」、「クラシックユーザーインタフェース」の「テキストアイコンを優先する」にチェックを入れます。また、「入力メソッド」、「入力メソッドパネル」の「テキストアイコンを優先する」にもチェックをつけます。
タスクバーのMozc設定アイコン(工具の形)はアイコンを右クリックすると表示されるメニュの「Hide Mozc Settings」をクリックすることで表示されなくなります。
使用したRPi OSが最小構成だったので、必要なアプリケーションがインストールされていません。以下の各ソフトウェアをインストールしていきます。
オフィススイート:LibreOffice
システムモニター:Conky
画像編集ソフト:Gimp
電子メールクライアント:Thunderbird
パッケージ管理ソフト:Synaptic
RDPクライアント:Remmina
テキストエディタ:vim
Linuxでもワープロや表計算を使用することがありますので、Linuxでの標準的なオフィススイートであるLibreOfficeを次のコマンドでインストールします。
$ sudo apt -y install libreoffice libreoffice-help-ja libreoffice-l10n-ja libreoffice-kf6 libreoffice-qt6
表示スタイルは「Breese」と「Colibre」がインストールされます。他のスタイルが欲しい場合には、以下のコマンドでインストールします。
$ sudo apt install libreoffice-style-elementary libreoffice-style-karasa-jaga libreoffice-style-sifr libreoffice-style-sukapura
インストールが終わればLibreOfficeが利用できるようになります。
注意として、LibreOffice導入時には利用可能なフォント数が非常に多いので、Writerなどでフォント選択をするときには非常に煩雑です。利用可能なフォントを整理する必要があります。
Notoフォントは導入されていますが種類が多すぎてWriterで利用するときは選択するのが大変になります。KDEシステム設定でフォントの管理をする方法には、font-managerコマンドで行う方法があります。最初にfont-managerをインストールします。
$ sudo apt install font-manager
その後次のコマンドで起動します。
$ font-manager
表示されるフォントを選択して利用するかしないかを設定していきます。ただし、数が多いので大変な作業になります。
font-managerで設定した情報は、ホームディレクトリの.config/fontconfig/conf.d/の78-Reject.confに設定されます。したがって、このファイルをあらかじめ用意しておけばfont-managerで設定する必要はなくなります。以下のところにこのファイルを圧縮したものをおいておきます。
ダウンロードしたらgunzipコマンドで解凍した後、.config/fontconfig/conf.d/に置けば使用するフォントを整理できると思います。
フォントの設定が終わったらLibreOfficeで確認してみてください。表示されるフォントの数が少なくなり、選択が楽になります。
システムモニタであるConkyは次のコマンドでインストールできます。
$ sudo apt install conky-all
Conkyの設定ファイルは、seahorse-thサイトよりConkyの設定ファイルをコピーして、ホームディレクトリに「.conkyrc」ファイルを作成し、同じくCPU温度を取得するシェルスクリプト「CPUtemp.py」をコピーして作成します。
設定ファイルでIPAフォントを設定していますが、Hackフォントを指定すると何もしなくても望み通りの結果になります。
注意として、conkyを起動したまま再起動しても複数のconkyプロセスが残ることから、「KDEシステム設定」→「セッション」→「セッションの復元」欄の「ログイン時」の設定を「空のセッションで開始 」の設定にします。
KDE Plasmaにおける画面キャプチャはSpectacleというプログラムを使います。次のコマンドでインストールすることができます。
$ sudo apt install kde-spectacle
使い方は簡単で、インストール後に「PrintScreen」キーを押すだけです。
Spectacleを実行したところ(PrintScreenキーを押したところ)
(1)画像編集ソフトGimp
$ sudo apt install gimp gimp-help-ja
(2) 電子メールクライアントThunderbird
$ sudo apt install thunderbird thunderbird-l10n-ja
(3)アプリケーション管理 Synaptic
$ sudo apt install synaptic
(4)テキストエディタvim
$ sudo apt install vim
Linux上でWindowsを動作させるBotpot Virtual Machineもインストールして利用することができます。
インストール手順はBVMのサイトにある通りに行うことができます。詳細は「Raspberry Pi 5でARM版Windows 11」を参照してください。
ただし、Windows起動後、キー入力で不具合がり、英字から日本語は「半/全」キーで行えますが、日本語から英字は「半/全」では行ええません。「Alt」+「半/全」キーを入力すれば正常にモードを切り替えることができます。
RPi OSおよびKDE PlasmaではRaspberry Pi 5だけではなく、Raspberry Pi 4でもそのままの起動ディスクで利用することができます。特に、Raspberry Pi 4B(CPU:1,5GHz、Memory:4GByte)でも比較的に高速で動作するのは、驚きでした。さらに、CPUをオーバークロックすることでより高速に動作します。
ここでは、Raspberry Pi 5と4におけるオーバークロックの設定値(config.txt)を記述しておきます。
[pi5]
arm_freq=2800
arm_freq_min=600
gpu_freq=920
[pi4]
over_voltage=4
arm_freq=1800
次のコマンドでプリンターの状態を確認/設定をするコマンドをインストールすることができます。
$ sudo apt install system-config-printer
RPi OS上で、プリンターを利用する方法は次のとおりです。
私のプリンターは、「Canon XK120」という昨年買い換えたプリンターを無線LAN(WiFi)経由で家庭内LANに接続してWindowsで利用しています。もちろんWindowsパソコンやRaspberry Pi 5と同じネットワーク(セグメント)上に設置しています。
RPi OSではネットワーク上やUSB接続のプリンターを自動的に認識するようで、設定も自動的に行われます。従って、Windowsと同じように利用することができます。
所持しているプリンターがRPi OSで認識されていることを確認するには、プリンターの電源をONにして、KDE Plasmaのメニュー上の「システム」→「印刷設定」を順にクリックします。認識されている場合には、下図の右のように表示されます。
文書作成ソフト「LibreOffice」などのメニューから「印刷」をクリックすることで利用できます。
家庭内LANに設置してあるハードディスクNAS(Network Attached Storage)をRPi OSで利用する方法です。NASを使用することでLinuxでもWindowsでも共通にファイルにアクセスすることが可能になり、便利になります。
Windowsで使用するNASにはいくつかのプロトコルのバージョンがありますが、使用しているNASは古いものでSMBv1でした(Windows10では共有でき、Windows11では追加の設定をしないと共有できないことからわかりました)。
RPi OSでは、以下の設定をすることでNASの利用が可能となります。
/etc/samba/smb.confの[global]セクションに次の行を設定します。その後、再起動します。
[global]
workgroup = WORKGROUP
client min protocol = NT1
再起動後にネットワーク上のハードディスクを利用するためにファイルマネージャ「Dolphin」を起動します。表示されているメメニューの「アドレス」欄にNASのアドレスを以下のようにコンピュータ名またはIPアドレス(SMB://192.168.100.xxx/)で指定します。
SMB://RECBOX-201712/
表示されたフォルダ「disk1」を更にクリックすると、以下の右図のようにNASのハードディスクが利用できるようになります。
注意として、LibreOfficeからNAS上のファイルを開こうとすると、正常に読み込むことができません。ファイルマネージャで文書ファイルをダブルクリックしてWriterなどを起動することはできますので、そちらの方法で利用しています。
LinuxのRemminaを使うとRDPプロトコルでWindowsの画面をLinux上に表示でき、操作することができるようになります。詳細については、「Remmina(RDP Client)~ Linux から Windows を使う ~」を参照してください。
最初の実行画面ではNEC PC-9800エミュレータ(xnp21kai)が動作していますが、ようやくソースプログラムから実行プログラムを作成することができました。詳細については、「Raspberry Pi で PC-9800」を参照してください。
通常は有線LANを使っているので無線LANの確認が遅くなりました。
Plasma上で無線LANの設定を行おうとしましたができませんでした。他の方法がないのでデスクトップ環境をRPi OSに戻して設定を行いました。デスクトップ環境の変更は、ログイン時に左下の「Desktop Session」を「Raspberry Pi Desktop on X」に変更して行いました。
ログインができたら無線LANの設定を行うために、画面右上のネットワークアイコンをクリックし、その後「Turn On Wireless LAN」をクリックして無線LANを使えるようにします(下図左側)。下図のように利用できる無線LANが表示されますので、選択してパスワードを入力すると利用できるようになります。
無線LANを有効にする
使用するSSIDを選択する
無線LANが使用可能になる
無線LANの設定が終わったら一度「Turn Off Wireless LAN」をクリックして無線LANをOFFにしてから再起動します。再起動後は、「Desktop Session」を「Plasma(Wayland)」に変更してログインします。その後、画面右下のネットワークアイコンをクリックすると表示されるメニューに「WiFiを有効化」という項目がありますので、クリックして有効にします。しばらくするとRPi OSで設定した無線LANが有効になり利用できるようになります。
「WiFiを有効化」をクリック
RPi OSで設定した無線LANが表示さ、利用可能になる
以前からRPi OSは利用していましたが、デザインやレスポンスに違和感があり、常用するまでには至っていませんでした。しかし、今回KDE Plasmaを利用してみて、その安定度、画面のきれいさ(シンプル)、動作の俊敏さ、各種設定の柔軟性について改めて認識しました。
この環境では、KDE Plasmaの機能とともにRPI OSの機能も同時に利用できるため、非常に便利に感じます。
KDE plasmaについてはまだまだ勉強しなければならないことが多くありますので、少しずつ勉強していきたいと思っています。
以 上