【第102回会員研修会 開催報告】
北海道子供の歯を守る会第102回会員研修会が令和6年6月22日(土)、カタオカビル5階マルチルームにて22名の参加のもと開催されました。今回の研修会ではニコ小児歯科医院院長の堀稔先生から「むし歯」「歯並び」だけでなく「機能」にも目を向けてみようと題して、子どもの口腔機能を中心に、食事の摂り方やチェアサイドによる評価、機能改善のために必要なことなどを臨床の視点や学術的視点を交え、わかりやすくご講演いただきました。会場からは講演後に非常に多くの質問がでるなど大盛況で、有意義な研修会となりました。
講演 「むし歯」「歯並び」だけでなく「機能」にも目を向けてみよう
講師 ニコ小児歯科医院院長 堀 稔 先生
(講演要旨)
1 子ども達の口腔機能等の現況
我々大人が子どもの頃だったらこれぐらい普通にできると思っていることが意外とできない子供が現在多いです。例えば、ブクブクうがいができない、ろうそくが吹き消せない、単純に噛めない、食べ方がおかしい、喋り方がおかしい、 鼻で息ができていない、口が閉じられない、体がうまく使えない。こどもロコモの問題もでてきています。ロコモティブシンドロームとは年齢が上がってきて、足腰が衰えてうまく動けなくなってしまうことです。もちろん高齢者のことですが子どもでもうまく体が使えてない場合も増えており、子どもロコモという風に名付け、片足で5秒立てない、しゃがみ込めない、腕が垂直に上がらない等があります。埼玉県の運動期健診では片足立ちが14.7パーセントしかできませんでした。学校歯科医でいえば、担い手が不足してきておりますし、口腔や全身で機能の発達が十分でない子どもたちが増えています。
2 食事の仕方
なぜそういった現況がみられるかというと要は使わずに、もしくは使えずに、使い方を習わずに育っています。生まれてからすぐ授乳、離乳食、普通に食事をするなどの過程でお口を動かすことや体を使うとかということが十分できずに育ってきたのが原因ではないのかなと思います。授乳に関して言えば、ラッチオンと呼ばれる深飲みなど飲ませ方や飲ませる時の姿勢や人工哺乳瓶、哺乳瓶の乳首の選択でも変わっていきます。離乳食についても口腔内の状況と月齢が必ずしも一致しなません。わかりやすく言えば、歯が生えてないのに奥歯ですりつぶすようなものはあげても食べられないので結局丸飲みします。上唇にこすりつけて食べさせるなど急いで食べさせるのも原因です。厚労省授乳・
離乳の支援ガイド2019年改定版では、離乳前期、離乳中期、離乳後期、離乳完了期ということで離乳食期が大体5、6か月、離乳中期7、8か月、後期から11か月、完了期が12から18か月と幅を持たせていますが、12か月になったら普通のご飯あげてしまい、すり潰すというのを覚えずに、結局丸のみして育ってしまいます。そこを聞いてアドバイスできるといいと思います。
3 チェアサイドの評価
世の中の親御さんとして、子供に非常に親切に丁寧に育てようとしています。食事もこの子に食べやすいよう小さく切ります。本人はそれを噛みちぎることがなく食べてしまいます。食事中に飲み物はやっぱり飲まない方が単純に噛む回数は増えます。 現在の人の感覚では、食事中は飲み物があって当然という感覚に我々も含めてなっていると思います。よくサザエさんの例えで、磯野家の食卓では飲み物は食事中に出てなくて食べ終わったらお茶がでます。また足がしっかりつくことで体をしっかり支えてうまく食べることができるので椅子の下に何かしら簡単な箱とか置いて足つけるようにするといいですよねと指導しています。当院の歯科疾患管理料の用紙を若干アレンジし、朝食べますか・昼食べますか・夜食べますかと問診すると意外と朝ごはん食べないですという子が多かったり、朝から甘いものを食べたりしている場合もあります。姿勢についても、椅子に座って食べるか椅子だと足つきますかなども聞くようにしています。
4 機能改善
ブクブクうがいは今幼稚園、保育所でフッ化物洗口を実施している園のお子さんだと最初練習するのでできる子が結構多いと思います。口腔機能発達不全症の診療名をつけると口唇閉鎖力の測定、同じ基準で評価ができ一応年齢と平均値がでておりますが、平均値あまり気にしすぎなくていいと思います。その個人の中で前にやった時は このぐらいの値だったけども、トレーニング指導なり、生活改善をしていった結果、何か月後にちょっと上がりましたねとかっていう評価をしてあげるといいと思います。咀嚼チェックガムを利用したアプリや吹き戻しARアプリ、鼻息鏡なども有効。姿勢については待合室の座っている様子でもわかることがあります。あいうべ体操であれば1セット4秒でのペースで1日30セット目標に朝晩15セットずつやりましょうと話をします。トレーニングをやるのは非常に大事です。ただ、トレーニングをトレーニングとして頑張ってねといっても、意識が高くない人は 続きません。続けるコツは 普段毎日の行動とか遊びとかに落とし込んだ方がいいです。吹き戻しや風船ガムなどもいいです。また子供ロコモ対策の動きも取り入れつつ、全国小児歯科開業医会が はっけよいアニマル体操という体操を作っていますので取り入れてみるのもいいかもしれません。
5 まとめ
・機能の問題は本人はもちろん保護者も自覚していないことがほとんど
・診察時にちょっとした「気づき」を得る目を養う
・機能の改善には今まで使ってこなかったものを使わせることが重要
・トレーニング単体では長続きしない ・日常生活や遊びに落とし込むことがポイント (報告:広報部 善徳)