令和5年11月25日(土)に北海道建設会館において北海道子供の歯を守る会第100回会員研修会を開催し、23名の方々にご参加いただきました。
節目となる第100回研修会はこの3月に北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室を定年退官されました兼平 孝先生を講師としてお招きし、先生の38年間に渡る予防歯科の歯科医師としての歩みについて「私が予防歯科で行ってきたこと」と題してご講演いただきました。先生のこれまでの唾液を中心とする研究内容や北大病院予防歯科外来での診療(一般予防歯科、口臭外来、癌周術期口腔管理外来)での活動、また長年ライフワークにされている天売島での離島歯科診療への熱い思いなどについてお話は予定時間をあっという間に過ぎ、時間が足りず先生の北大病院予防歯科外来での診療についてのお話は次の機会に持ち越しとなりました。
「私が予防歯科で行ってきたこと」
前 北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室准教授 兼平 孝 先生
(講演要旨)
唾液には様々な作用があるが、その大半は水分により構成されている。99.5%が水分でできており、残りの0.5%が様々な効果をもたらす成分になる。0.5%の中に含まれる唾液たんぱく質にはヒスタチン、アミラーゼ、ラクトフェリン、ムチン、リゾチーム、ラクトペルオキシターゼ等があり、これらの唾液タンパク質の量が歯石沈着に関与している。また止血作用、消化作用、潤滑作用、味覚作用、自浄作用、抗菌作用、再石灰化作用、緩衡作用、脳細胞再生、解毒作用等もある事が分かっている。その中でもヒスタチン5は歯周病の原因であるタンパク質分解酵素の酵素活性を下げ、義歯を装着で増殖しやすいカンジダ真菌に対して抗真菌作用がある事がわかった。
北海道の無歯科医地区は全国で一番多い。無歯科医地区定義と、地区の中心地から半径4キロの区域内に50人以上が居住し用意に医療機関を利用できない地域である。北海道の離島では天売・焼尻島があげられる。人口はそれぞれ天売島267名、焼尻島158名。離島診療ではユニットや技工室はあるが、診療内容は限られている。基本的に義歯を作る際にはワイヤークラスプを使用し、根管治療は行わない。残根等は抜歯する事もあるが、全身の状況や服用している薬等を考慮すると、きちんとした設備のもと抜歯を行うのが好ましい。小児に対しては、TBIやフッ素塗布、シーラントをメインに行い、浸麻をして形成しなければならない様な場合、サホライドが有効な事も多い。また年に1度学校へ出向き虫むし歯予防教室を行っている。コロナ禍では中止していたが、島の子供ども達にはフッ素洗口も行っている。厚生労働省よりフッ素洗口の推進に関する基本的な考え方が出ているので、各小中学校への普及を期待したい。
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