5月1日
平成29年4月22日(土)、北海道歯科医師会館にて、会員研修会に先立ち第34回定時総会が 開催されました。
議長には苫小牧の宮本雄一先生が選出され、下記の事項について審議されました。
①平成28年度事業及び会計決算の承認を求める件
②平成29年度事業計画に関する件
③平成29年度会計予算に関する件
④役員改正の件
再任された安彦会長の下、平成29年度の事業がスタートです。平成29年度はいつもの事業他に「秋ゼミ」の開催が予算化されています。会員の皆様,ご期待 ください。
(文責:広報部 今村)
5月1日
【第84回研修会報告】
「子供の健やかな咬合育成を皆さんで考えてみましょう。」
講 師:帯広市 船津歯科 船津三四郎先生
日 時:平成29年2月18日
会 場:北海道歯科医師会館
当日は、本会会員を含む31名にご参加いただき盛会のうちに終了いたしました。
船津先生のお話は昭和40年代の虫歯の洪水時代から始まりました。その頃、虫歯王国北海道の中でも特に十勝は一人あたりのDMFTが高かったため、先生は本州との格差を埋めるべく学校歯科保健のインフラ整備に奮闘されました。
船津先生が掲げた整備の目標は
①札幌方式と呼ばれる検診票(虫歯・要注意乳歯他に関して歯番を記入せず「あり」「なし」をチェックするだけのもの)を現在の3号様式に戻す事により統計処理を可能にする
② 学校保健法に規定されているにもかかわらず帯広市には皆無であった学校保健委員会を設置する
③養護教諭との定期的勉強会を開催
④健診器具の整備(児童一人につき1本のミラーの確保と市教委で一括して洗浄)
⑤十勝から虫歯予防推進指定校の推薦
でありましたが、これらの事業を実施するために北教組の役員と2年間にわたる団交を重ねる事でやっと実現できたとの事です。学校保健に関わった人なら感じる事ですが、生徒の健康の為に良しと思った事でも現場の理解を得て改善を行うには大きな労力が必要となる場合が多いと思います。船津先生の情熱と行動力には感嘆を禁じえません。
その後、これら事業を実施した甲斐があって帯広地区の子供達のう蝕は減少したのですが、それに反比例するかの如く子供達の口腔周囲環境に新たな問題が生じて来ている事に気が付き、以下の様な課題を立てられました。
1.態癖のコントロール
頬杖、舌壁、口呼吸や睡眠態癖(うつぶせ寝、手を顔に添えて横向き寝)などにより歯列不正、不正 咬合、顎関節症を起こすため態癖への指導が必要
2.力のコントロール
下顔面高の低いブレーキタイプの骨格系の子供達はその咬合力の強さで自ら咬合崩壊を招きやすいためTCH(歯列接触癖Tooth contacting habit)のコントロールにより予防を図る。生活環境の変化(ストレス社会化など)により安静位空隙をとれない人が多くなっており、食事時以外では上下の歯を接触させない様に指導が必要。「よく噛む事」「硬いものを積極的に食べる事」「噛みしめる事」これらは別の事。硬い食材が顎の成長に寄与するのはせいぜい思春期まで、ブレーキタイプは青年期以降あっという間に咬合崩壊を起こす事があるので好んで硬い食材を食べる人は気を付ける。
3.口呼吸を鼻呼吸へ
口呼吸は歯科的問題点(虫歯の増加、歯周病の悪化、異常咬合、歯列不正ほか)、全身的な影響(扁桃肥大、睡眠時無呼吸症候群・誤嚥性肺炎・アレルギーの誘発ほか)があるため鼻呼吸に改善する。鼻呼吸は細菌・ウィルスの侵入を防ぐフィルター(鼻毛、線毛、扁桃リンパ組織、空気の加湿)があるのが口呼吸との違い。船津先生は鼻呼吸への改善方法として半信半疑ながら「あいうべ体操」(今井一彰先生考案)を取り入れたところ、自身の患者さんでその効果を実感した。
4.位置異常歯、埋伏歯、過剰歯、先欠歯の諸問題をできるだけ歯科検診時に早期発見、受診勧告する6歳臼歯の異所萌出(第2乳臼歯の遠心に引っ掛って萌出障害を呈する状態)、移転歯(転移歯とは違って順番が入れ替わって萌出した状態、特に前歯部移転歯は隣接歯の歯根吸収を起こすことがあるので早期発見とCT撮影が有効、検診時に前歯部歯根相当部の怪しいふくらみに注意、開窓した場合は保険算定可(萌出困難歯開窓術2820点))、水平埋伏歯ではスペースを作ることで自然に萌出したケースもあった、逆生埋伏歯では下顎下縁の皮質骨を突き破ったケースがあったのでパノラマ写真において歯冠の方向を見ることが重要。6歯以上の非症候性部分無歯症の矯正治療は健康保険適用となるが治療にあたっては「自立支援法指定医療機関」「外科矯正施設基準認可医療機関」に限られる。
5.口腔内フローラ
私たちは母親の胎内では無菌状態であったのだが、歯の生え始めた生後6ヶ月頃に保育者(主に母親)から虫歯菌(ミュータンス菌)が感染する。赤ちゃんにおしゃぶりを与える前に親がおしゃぶりを舐める事でその後の子供のアレルギー・湿疹・喘息が減少するという研究報告がある(スウェーデンHesselmar et al.)哺乳類が我が子を舐め回すのは親のフローラ(口腔内、腸内)を継承・伝授し免疫系を活性化するためと思われる。虫歯菌の感染を恐れスキンシップを制限するより、ミュータンス菌が定着・繁殖しない環境を整える事の方が虫歯予防効果が高い(ただし自分の口腔衛生管理ができている事が前提)
今回の講演は多くの示唆を私に与えて下さいました。
(文責:広報部 矢口)
5月1日
平成29年4月22日(土)、北海道歯科医師会館にて、厚生労働省医政局歯科保健課長の田口 円裕先生をお招きし、第34回定時総会記念講演会が開催されましたので、報告いたします。当日は、本会会員を含む36名の参加があり、盛会のうちに終了いたしました。田口先生は、1989年の長崎大学卒業後、同大予防歯科学講座を経て、1994年に厚生省(現厚生労働省)に入省されました。医政局歯科保健課課長補佐、保険局医療課課長補佐、社会保険診療報酬支払基金歯科専門役そして保険局歯科医療管理官を歴任され、2016年4月より医政局歯科保健課長としてご活躍されています。
歯科疾患構造の変化や歯科医療の高度化に伴い歯科保健医療ニーズが多様化する中、一層充実した歯科保健医療の提供体制を構築していく上で、これからの時代に求められる歯科医療、歯科医師像について、様々なデータを交えてご教示くださいました。
現在、厚労省の歯科保健課が担っている仕事は大きく4つに分けられます。まず始めに様々な検討会等の設置・運営を通じて、国が目指す歯科保健医療の予想図を描いていくこと。次に平成23年に施行された、いわゆる歯科口腔保健法に基づくライフステージごとの施策の推進、3つ目には歯科医師の資質向上への取組、そして最後が歯科衛生士と歯科技工士に係る施策等の推進です。
わが国では現在、人口構造の変容が著しい状況にあります。人口そのものが減少に転じていることに加え、年齢構成の変化が大きく、高齢者の割合が増加しています。しかし、その増加割合には地域差があり、特に都市部において増加が顕著で偏りが見られます。このような背景のもと、地域包括ケアシステムの構築が提唱され、その中で歯科が果たすべき役割も重要になってきているのです。
歯科を取り巻く環境については、具体的にはう蝕及び補綴の減少、そして歯周疾患への対応が増加する状況にあります。このような中、訪問歯科や医科歯科連携が重要なキーワードとなっています。
平成27年の診療行為別の調査によれば、各年齢層において歯冠修復と欠損補綴が減少していることが明らかとなりましたが、特に欠損補綴については、高齢者においても減少傾向にあり、かわりに在宅医療が増加していることが示されました。具体的には、総義歯の減少が顕著となっています。
近年、訪問歯科の必要性が叫ばれていますが、全国を対象とした平成26年の調査では、訪問歯科診療を行っている歯科医療機関は全体の約2割にとどまっており、まだまだ医療資源としては不足している現状にあります。
また、訪問歯科を実施する歯科医療機関の形態については、少数の在宅患者に個々に対応する機関と、施設を対象として多数の患者に対し医療を提供する機関とに分けられ、二極化する傾向にあるようです。
医療費は全体として増加傾向にありますが、歯科の医療費については、ほぼ横ばいです。診療所内で完結していたこれまでの歯科医療はまさに転換期を迎えているといえるでしょう。う蝕への対応から歯周疾患への対応へとシフト、さらに糖尿病と歯周病との関係のように、口腔と全身の関係を意識した対応が求められます。
国では今年度、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の中間見直しを行うため、従来6年周期で実施してきた歯科疾患実態調査を平成28年に実施し、現在集計分析を進めています。今年6月には速報値として公表し、10~11月には最終的な結果を公表する予定です。歯科疾患実態調査については、今後は5年ごとに実施することとしています。
また、健康格差の縮小を見据えた歯科口腔保健施策を推進するため、歯科保健課内に「歯科口腔保健推進室」を設置し、省庁の垣根をこえて各施策へ横断的に関与できるような体制づくりを行っています。
今後の歯科保健医療の方向としては、地域における歯科医療機関の位置付けが確実に変わっていくことでしょう。歯科保健医療は、疾患対応型から口腔機能にも着目した予防・管理型へ、そして当然のように多職種連携のもと、多様なニーズに応えられなくてはなりません。国に対しては、保険(臨床)と保健(公衆衛生)とが統合された政策の実現が求められていくと考えています。
今回の記念講演会は、最新のデータ等を基に、国が目指す歯科保健医療の方向性を知ることができる大変貴重な機会となりました。田口先生におかれましては、ご多忙のところご講演いただきましたことに、深く感謝を申し上げます。
(文責:広報部 新里)
10月1日
【第85回 研修会報告】
「むし歯予防を考える。企業からの提案」
講 師:(株)ロッテ 商品開発部 部長 関 哲哉様
サンスター(株)医科歯科営業部 学術担当部長 大槻 秀彦様
日 時:平成29年7月22日(土)
会 場:北海道歯科医師会館 視聴覚室
当日は、本会会員、歯科衛生士学生を含む60名を超える皆さんにご参加いただき、盛会のうちに終了いたしました
担当理事から「日常生活において、むし歯予防を謳う商品が様々なところで販売されている。一方、歯科医院においても成分が若干異なるが、より、むし歯予防の効果が高い同名の商品が販売されている。
今回様々なむし歯予防商品を販売している2社に講演していただき、むし歯予防関連商品に対する知識を深め、来院する患者さんにも適切なアドバイスができるよう役立てていきたい」という趣旨の研修会でした。
ロッテの関様からは「XYLITOLの基礎知識と最新情報について」サンスターの大槻様からは「液体製剤の活用について」という演題でお話がありました。
関様からはキシリトールの基本的な特徴やむし歯予防に用いられる機序、海外で行われたキシリトールを使った研究報告の内容等が紹介されました。また、大槻様からは主に液体製剤に含まれる殺菌剤とその薬効について詳しく説明がありました。最後に質問コーナーも設けられ、会場からの多くの質問に丁寧に回答してくださり、双方向の大変有意義な時間を持つことができました。
10月1日
【会員の活動報告】
日 時:平成29年8月20日(日)
場 所:札幌パークホテル
第70回北海道歯科学術大会
「札幌市の乳幼児う蝕と地域差―平成18年度から平成27年度の推移-」の演題で
畑 良明先生が発表なさいました。 聞き逃した皆さん、抄録と結果をご覧ください。
抄録:「幼児期におけるう蝕は,減少を続けているが,乳歯う蝕の多いものがそのまま永久歯う蝕も多くなる可能性ある疾患でもある。さらに,う蝕は地域差がある疾患でもあることが知られており,その発生要因は個人的要因と社会的要因に分けることができ,常に社会情勢に影響を受けていることに異論を持たない。しかしながら,早期からフッ化物を応用することによって地域格差を減少させられる疾患であり,市町村の乳歯う蝕に対する姿勢そのものが、顕著に表れる疾患である。今回,札幌市における乳幼児う蝕の推移を最近の10年間に限定して明らかにし、同一の保健サービスを享受している地区での乳歯う蝕に対する格差の推移を合わせて調査を行った。
結果:10年間に1歳6か月児歯科健診を受診した138,515名、3歳児歯科健診を受診した133,191名の歯科健診結果を基にう蝕有病者率の変遷について一般線形モデルによる分析を10保健センター別に調査し、その減少率に地域的、時間的差があり、逆に全く減少していない区も存在することが明らかになった。社会的格差係数を用いて経時的変化を調査した結果、1歳6か月児では明らかに格差が拡大しているといえるが、3歳児では齲蝕有病者率においてのみ拡大していることが判明した。