1月26日
本会顧問の佐々木健先生(北海道保健福祉部健康安全局)による「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例がもたらした施策へのインパクト」の報告が、保健医療科学に掲載されてます。
フッ化物洗口実施市町村の年次推移(条例施行後の急速な増加)など、最新の情報が掲載されております。ぜひご覧ください。
3月20日
平成23年2月25日、北海道母子福祉センターにて、北海道医療大学の斎藤正人教授をお招きし、会員研修会が開かれました。以下に研修会の内容を紹介させていただきます。
「MIに基づくう蝕予防」
FDAの提唱するMIの概念は、2000年の「いかに侵襲を減らすか?」というものから2002年の「MIによるう蝕管理」へと変化してきています。「MIによるう蝕管理」には、非う窩性病変の再石灰化を促す、という原則があります。これは言い換えるなら、フッ化物の効果が表れやすいような口腔内環境の整備が重要である、ということとなります。
口腔内環境の整備の前処置として欠かせないのが、フィッシャーシーラントです。シーラント材には、レジン系のものとグラスアイオノマー系のものがあります。
レジン系シーラント材にはティースメイト(クラレメディカル)などがありますが、処置歯がう蝕になることが多々あります。この原因として、う蝕原生菌が多い、口腔内環境が悪い、う蝕の上にシーラントを行ってしまった、シーラント材の気泡混入や練和不足などが考えられていますが、斎藤先生の臨床経験からは、リン酸エッチング処理の煩雑さ、過剰な歯質脱会のリスクなどが関係しているのではないか、ということです。
グラスアイオノマー系シーラント材には、フジ㈽(松風)などがありますが、防湿に敏感ではない、フッ化物がリチャージされる、フッ化物イオン放出による抗菌効果、過脱灰が必要ではない、といった利点があります。グラスアイオノマー系シーラント材の欠点としては、練和作業が必要、審美性が低い、接着性が低いといった部分があります。
近年、レジン系とグラスアイオノマー系の長所を備えたシーラント材の開発が進んでいます。ビューティーシーラント(松風)は、過脱灰ではなくホスホン酸系モノマーによる脱灰の抑制とキレート結合による接着、S-PRGフィラー含有によるフッ化物イオン放出などの特徴を備えています。
研修会の最後には、斎藤教授と参加者との間で、活発な質疑応答が行われ、盛会のうちに終了いたしました。(南出保)
6月8日
平成24年4月21日、アスティ45にて、北海道保健福祉部健康安全局地域保健課地域保健グループ丹下貴司主任技師と北海道大学大学院歯学研究科八若保孝教授をお招きして、道民公開講座が開かれましたので報告いたします。
丹下主任技師は、北海道の口腔保健とフッ化物洗口の普及状況について解説されました。北海道は平成22年度において、1人平均むし歯本数が1歳6ヶ月児で全国41位、12歳児で46位(平成23年度では40位)、成人が歯を失い始める年齢は全国平均と比較して10歳早い、8020達成者割合は、全国平均の6割未満、とのことです。またフッ素洗口の普及につきましては、北海道8020推進条例の施行により、平成22年4月に28市町村であったのが現在90市町村まで広がっているとのことでした。
八若教授には、お母さんから見たお口の健康と赤ちゃんからみたお口の健康について、ご講演いただきました。以下にご講演の内容をご紹介させていただきます。
女性は妊婦さんになると、肉体だけではなく、子供を授かった高揚感・マタニティーブルー、パートナーとの関係など精神的にも変化をします。今年は10年ぶりに母子健康手帳が改正され、このようないろいろな変化の書き込みが可能になりました。また北海道歯科医師会では母と子の健口パスポートとして、母子健康手帳では補えない歯科的問題点に焦点を当てた手帳も市町村へ配布しています。
妊婦さんの栄養については、いまどきは、やせすぎの妊婦さんが増加しており、切迫早産・早産・低出生体重児を分娩リスクが高くなってきています。厚労省・農水省の食事バランスガイドを目安に、食塩を少なく、カルシウムや鉄の豊富な食事を意識することが大切です。妊婦さんのお口の中のトラブルには口腔衛生の不良による妊娠性歯肉炎、不良な詰め物やむし歯の影響する妊娠性エプーリス、ビタミンB不足やホルモンバランスが影響する口内炎などがあります。妊婦さんは、おなかの赤ちゃんの成長にともない胃が圧迫され、一回の食事量の減少と食事・間食回数の増加により、口腔衛生が不良になりがちです。たばこやアルコール、薬や病気が、胎児に影響して、早産や低出生体重児のリスクを高めるといわれていますが、最近進行した歯周病から放出される炎症物質もこれらのリスクを高める可能性が指摘されています。妊娠中はバランスのとれた食生活、定期的な健診や歯石の除去などお口のケアを受けることが大切です。また出産後は授乳中の服薬にも注意しましょう。
赤ちゃんからみたお口の健康では、授乳時に問題となる先天性歯(リガ・フェーデ病)があります。これは哺乳障害の原因となり、脱水や栄養障害を招くほかに、母親の乳首に創傷をつくるため、治療が必要になることもあります。また口唇裂・口蓋裂も哺乳障害の原因となります。摂食機能が発達し、吸綴(吸いかつすすること)、捕食(口にくわえること)ができるようになると、離乳・卒乳の時期になります。厚労省は1歳6か月を目安にしていますが、小児科・小児歯科では2歳までを目安としています。母乳の摂取は、赤ちゃんにとって最高の精神的満足であり、離乳時期の延長傾向が認められてきていますが、2歳6か月以上になるとう蝕が多くなるため注意が必要です。
赤ちゃんのお口の清掃は、ガーゼでの拭掃、ガーゼになれてきたら小さい歯ブラシ、奥歯が生えてきたら小児用歯ブラシへと段階的に歯ブラシへと慣れさせながら行います。むし歯の予防には、ミュータンス菌の減少、歯質の強化、糖分のコントロールが重要です。子供へのミュータンス菌の伝播は遅いほど虫歯予防には有効ですが、スキンシップとのバランスが大切です。フッ化物は歯質の強化・再石灰化の促進だけではなく、最近への作用もあり、生育抑制・酸酸性を抑制しむし歯を予防します。シーラントにより小窩裂溝を封鎖し、最近侵入を防止することができます。またフッ化物の徐放による予防効果も期待されます。
八若教授の講演後には、活発な質疑応答が行われ、道民公開講座は、盛会のうちに終了いたしました。
道民公開講座後には、総会も行われ、堅田前会長の退任と名誉会長への就任、葭内新会長の選任など、重要な案件があったものの、スムースに取り決められ、幸先よく平成24年度の運営が執り行なわれました。
7月1日
平成24年7月21日、北海道歯科医師会館にて、東北大学大学院歯学研究科相田潤准教授をお招きして、会員研修会が開かれます。
日時 平成24年7月21日(土曜日)16:00-18:00
演題 「健康格差とフッ化物洗口−社会疫学からの示唆−」
場所 北海道歯科医師会館 第一会議室
講師 東北大学大学院私学研究科 相田潤 准教授
7月15日
北海道庁保健福祉部地域保健課健康安全局のページにて、歯科保健の各種資料が公開されていますので、ご紹介します。
北海道庁保健福祉部地域保健課健康安全局
→平成24年4月の組織機構改正により、健康安全局地域保健課となりました。
北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例第8条に基づいた「北海道歯科保健医療推進計画」
その他にも
・「北海道市町村歯・口腔の健康づくりガイドライン」
・「北海道フッ化物洗口ガイドブック【実践編】(第2版)」
・「フッ化物洗口でむし歯予防」(リーフレット)
・市町村母子歯科保健指導マニュアル[第2版](平成18年3月発行)
など、各種資料がpdfで公開されています。
7月21日
平成24年7月21日、北海道歯科医師会館で東北大学大学院歯学研究科相田潤准教授をお招きして、研修会が行われましたので報告致します。
相田准教授には、健康格差とフッ化物洗口“社会疫学からの示唆”についてご講演いただきました。以下にご講演の内容をご紹介させていただきます。
健康日本21(第二次)の方向性に、貧困等の様々な生活条件への配慮や健康格差の縮小が掲げられた。3歳児のう蝕有病者率をみると明確な地域格差が認められる。この傾向は複数の報告が出された20年程前から概ね変わっていない。地域ごとに高低が明確で、地域により20%以上もの格差が存在する。有病者率が低い地域も数多く存在する以上、高い地域の有病者率を同水準まで下げることは物理的に不可能なことではないはずだ。本来有病者率が低い地域においては避けられているう蝕の発生が、高い地域では避けられずに相対的に有病者率が高くなっているのである。これだけでも格差の減少に取り組むべき理由になる。また、このような格差は所得や学歴といった社会経済状態が比較的良好な地域ではう蝕有病者率が低く、そうでない地域では高いことが明らかとなっている。こうした社会的決定要因は個人の健康を左右し、健康格差の最も大きな原因となる。
健康格差解消のためには社会的決定要因への働きかけが必要で、例えば、学校でのヘルスプロモーション、タバコの規制などが考えられる。健康に良くない社会環境で健康に良い行動をとるよりも、健康に良い社会環境の中で、健康に良い行動をとるほうが健康にとっては良く、そのためにも社会的決定要因への働きかけが重要であり、歯科でいえばフロリデーション(水道水へのフッ化物添加)や幼稚園、学校などでのフッ化物洗口など、共生への発想の転換が必要である。(中村光一)
8月28日
平成24年8月19日、札幌パークホテルにて北海道歯科医師会の上田昇先生をお招きして、フッ化物洗口ワークショップが行われました。
以下にワークショップの内容をご紹介させていただきます。
フッ化物洗口推進ワークショップ報告
1 日 時 平成24年8月19日(日)11:00〜12:30
2 場 所 札幌パークホテル
3 従事者
(1) 講 義:上田 昇(北海道歯科医師会)、葭内顕史(北海道子どもの歯を守る会)
(2) 寸劇スタッフ:阿部浩保、行木隼人、中村光一、兼平 孝、藤澤雅子、瀧川裕子(北海道子どもの歯を守る会)、木下隆二、魚津修二(北海道歯科医師会)、渡邉祐美子(北海道教育庁学校教育局)
(3) 解 説:丹下貴司、高橋 収、新里勝宏(北海道子どもの歯を守る会)
(4) 司 会:樋口俊夫(北海道子どもの歯を守る会)
4 内 容 上田先生の講義では、主に歯科医師会のフッ化物洗口に取り組むスタンス等のお話があり、葭内先生の講義では、フッ化物洗口法をなぜ学校で実施しなければならないか等のお話がありました。寸劇では、寸劇のなかの発言に潜む問題点をグループで討議したものを発表し、それに対する解説がありました。以下に問題となった発言と解説の要点を記載します。
㈰「フッ化物洗口を受けていれば、歯磨きしなくてもむし歯になりにくくなります。」
→解説:う蝕予防に対するエビデンスが低いことから、口腔清掃を否定するのは不適切。
㈪「児童全員にフッ化物洗口を受けていただく予定としております。」
→解説:フッ化物洗口は全員に強制する事業ではない。
㈫「校長先生が職務として命令したら従うのでは?」
→解説:「業務が増えることは確かだが、子どもたちのむし歯予防、一生の健康を作る礎となるというメリットを理解して、何とか折り合いをつけていただきたい。」と理解を求める。
㈬「むし歯は伝染病ではありませんが、むし歯菌の感染による感染症です。」
→解説:「感染予防に力を注ぐべき」との意見が出る可能性があります。
㈭「濃度を倍にして900ppmにするとか、450ppmの週1回法で済ませるとか」
→解説:450ppmの週1回法では十分な効果は期待できませんし、2倍量にして900ppmとすることは、用法・用量を逸脱するので、推奨できません。
㈮「貧困家庭では、むし歯が多い上に治療も受けていない・・こういった子ども達のため」
→解説:「治療費の補助を手厚くすべき」など、かえって反発が強くなる恐れがあります。
㈯「フッ化ナトリウム試薬は特に保管を厳重に行う必要はない」
→解説:鍵のかかる場所で保管し、管理者を明確にし、出納簿をつける必要があります。
㉀「学校で試薬を計量する」
→解説:学校薬剤師または歯科医師が計量します。
㈷「薬品を溶かす作業を私(養護教諭)が行って良いものなのでしょうか?」
→解説:薬品を溶かす作業は特に資格を必要としません。
㉂「何かあったときの責任は」
→解説:万が一事故等が発生した場合は、個人の責任が問われることはありません。
5 感想等 女優陣の迫真の演技がすばらしかったという声が多かったです。(中山司)
9月25日
平成24年10月13日、北海道医療大学サテライトキャンパスにて林歯科医院の林春海先生をお招きして、会員研修会を開催いたします。
日時 平成24年10月13日(土曜日)17:00-18:30
演題 「頑張り過ぎない予防歯科」
場所 北海道医療大学サテライトキャンパス
札幌市中央区北4条西5丁目アスティ45 12階
講師 旭川市開業 林歯科医院 林春美先生
10月5日
平成24年11月10日、かでる2・7にて北海道口腔保健学会の総会が開かれます。奮ってご参加下さい。
日時 平成24年11月10日(土)12:30-16:30
会場 かでる2・7 北海道道立道民活動センター
札幌市中央区北2条西7丁目 道民活動センタービル
大会テーマ 北海道の子どもたちの健康格差の解消を目指して
プログラム
大会長挨拶 12:30-
総会 12:40-
一般口演 13:10-
シンポジウム テーマ「健康格差解消とフッ化物洗口」
趣旨説明 14:05- 座長 丹下貴司
基調講演 14:10- 「健康格差と社会的決定要因」
東北大学大学院准教授 相田潤先生
パネルディスカッション 15:05-16:30 「道内におけるフッ化物洗口の普及について」
○歯科医師会の立場から 社団法人旭川歯科医師会副会長 井合典郎先生
○大学の立場から 北海道大学病院歯科診療センター講師 兼平孝先生
○道行政の立場から 空知総合振興局保健環境部保健行政室主任義歯 秋野憲一先生
○北海道教育委員会の立場から 渡邉祐美子先生
○導入した施設の立場から 社会福祉法人常徳会 平岸興正保育園保健師 竹林友紀先生
学会参加費
会員500円、非会員1000円
北海道歯科医師会会員は無料です
11月6日
平成24年10月13日、北海道医療大学サテライトキャンパス12Fにて第75回会員研修会が開催されました。講師として、旭川市で歯科医院を経営している副院長林晴美先生を招きし、「頑張りすぎない歯科予防」という演題で講演していただきました。
参加者は32名でした。以下に内容をご報告いたします。
1989年、林医院開設から現在の予防歯科体制になるまでの経営とシステムの変化とプロセスについて講話された。当初はユニット6台、歯科医師2名、歯科衛生士3名、受付1名で開設。しかし同年12月に挫折、歯科医師以外のスタッフが定着せず、原因はスタッフとの距離感がなくなった事、理念がない事に気づき、1992年4月から新しいスタッフに経営方針を伝え定着するためにPDCAサイクル(play do check action)を導入、研修システムを確立していくが人を育てるのは時間がかかり、2004年ウェルビーイング、2005年CHP、2006年つがやす歯科医院研修会にも参加し、システムをモデリングすることから始める。また歯科大学で学べなかった経営学について2009年4月小樽商科大学ビジネススクールに通い2011年経営法MBAを取得。マーケティングに対する経営方針と方法を学ぶ。
林歯科医院の理念である【もてなす】心を大切したいという思いから医院が開いている時間に患者さんが通ってもらうのではなく、患者さんが通える時間に医院を開ける(夜間診療・日曜診療)。また1997年7月から通えない患者さんにはこちらから出向く訪問診療を開始し現在6台の車で訪問を行っている。
2011年1月現在の場所に移転しDr9名、歯科衛生士20名・助手13名・技工士2名・受付事務11名総勢55名(非常勤含む)で一般歯科、小児、矯正、インプラント、審美歯科、メインテナンス、往診、口腔ケアなど患者さんの幅広い要望に答えられる体制を整えている。
良い医療を行う為には 歯科医院の経営方針である理念を持ち、医療のコアとそれに向かう組織力が必要である。患者さんには最優先に耳を傾け、最高の環境で最高の技術を提供し続けることが笑顔と満足感を与えメインテナンスに来院、経済に繋がっていると思われる。(角田裕子)
11月13日
平成24年12月8日、小樽経済センタービル4Fにて、道民公開講座「0歳から100歳までの歯っぴーフォーラム」が開催されます。参加希望者は、直接会場へお越しください。受講料は無料となっております。
日時 平成24年12月8日
会場 小樽経済センタービル4F
プログラム
8020(80歳で20本以上の歯を残す)を達成するには、0歳からの予防対応が大切です。自分の歯でよく食べ、良く噛み笑顔で一生涯健康でいられる為の効果的な予防法をお話しいたします。
15:30〜15:45 開講のあいさつ
北海道子供の歯を守る会 会長 葭内顕史
15:45〜16:45 「子供から大人までのお口の健康法」
北海道大学病院 歯科診療センター予防歯科講師 兼平孝先生
お口は「健康の源」とも言われているようになってきました。それは、心と身体の間に密接な関係があるように、お口と全身疾患にも関係があることが証明されてきているからです。
今回は、子供から大人までのお口の健康法のポイントをお話させて頂きます。例えば、中学生までだとフッ素洗口の効果、キシリトールの効果、生活習慣の重要性などがあげられます。高齢になるにつれ、口腔乾燥や口臭などが気になってきますので、その対処法をお話しさせていただきます。
16:45〜17:00 参加者を交えての座談会
17:00 終講
申込要領:直接会場へお越しください
受講料:無料
主催:北海道子供の歯を守る会
後援:社団法人北海道歯科医師会・社団法人北海道歯科衛生士会・一般社団法人小樽市歯科医師会
社団法人北海道歯科衛生士会小樽支部・小樽歯科衛生士専門学校同窓会