1月1日
■平成29年度北海道子供の歯を守る会 会員研修会報告
「予防塾 達人×ひよっこ のしゃべり場」
日時:平成29年11月12日(日)13時~15時
会場:札幌市教育文化会館3階 305研修室
平成29年11月12日(日)、札幌市教育文化会館にて研修会「予防塾 達人×ひよっこ のしゃべり場」が開催されました。歯科衛生士養成校や大学歯学部の学生さんを中心に、100名を超える参加者が守る会会員とともに真剣にグループワークに取り組み、会場は若さと熱気に包まれました!
守る会会員にとっては、未来の歯科保健医療を担う人材と思う存分交流できる機会となったのではないでしょうか?!
・・・コミュニケーショントレーニング(自己紹介)・・・
参加者はA~Jの10グループ(各グループ10名程度)に分かれ、各グループの進行係を守る会会員が担当しました。はじめにグループ内で自己紹介を行った後、
①「子どもの歯をむし歯にしない効果的な方法」
②「あなたが働きたい診療室で1番重要なことは?」
③「あなたが目標とする歯科医師・歯科衛生士像は」の
4つの設問にそれぞれが取り組み、グループ毎に回答をまとめて発表しました。同じ設問を実際に学校現場に おいて実施したアンケート調査結果との比較では、結果がもっとも一致したグループでも4問中2問に留まるなど、参加者からは驚きの声が聞かれました。
ちなみにアンケート調査では、①は「プラークコントロール」、②は「人間関係」、③が「歯科医師:的確な治療ができる、歯科衛生士:患者対応が上手い」が1番に挙げられた事項であったとのことでした。
・・・グループワーク・発表・・・
ここからが予防塾の本番です。劇団予防塾のベテラン塾生が、歯科医療従事者役と親子役とに分かれ、「定期歯科健診として歯科医を訪れ、新たにむし歯が発見された」シーンを想定しコミカルな寸劇を繰り広げ、参加者の皆さんは迫真の演技に吸い込まれました。劇を堪能した後は、早速「定期健診時までに子供にむし歯ができた1番の理由は何か?」をテーマに、約1時間にわたる濃密なグループワークに取り組みました。ワーク結果発表では、1番の理由として「患者への知識、情報の提供不足(説明不足)」を挙げたグループが4グループと最も多い結果となりました。その他の内容としては、「食生活」「信頼関係」「スタッフの連携不足」「責任」が挙げられていました。
・・・講 評・・・
グループワーク後には、アツく語り合った参加者に対し、北海道医療大学の福田先生から、わかりやすいスライドを交え、グループワークのテーマに係るクールな解説がなされました。大臼歯にう蝕が発生したこと、検討すべき予防処置は何か、そして科学的根拠に基づくむし歯予防法について、歯科医療従事者としても、改めて専門的知識を整理する良い機会となったことと思われます。引き続き北海道大学の八若先生から、実際のワークの様子をご覧になっての感想、そして臨床現場で感じていることも踏まえ、ワーク結果についての講評をいただきました。さらには、同日に開催された道民公開講座において講師を務めていただき、予防塾にも引き続いて参加された北折 一先生から「住民の健康をサポートする上で歯科衛生士の存在が最重要」との力強いエールをいただき、予防塾は盛会のうちに終了となりました。
脳ミソがと~ってもやわらかく、若さあふれる未来の歯科医療従事者が多数参集した「予防塾」。参加した守る会会員にとっても、色々な面で刺激を受けることのできた貴重な機会であったのではないかと思われました。開催までの事前準備や当日の運営に奔走された会員の皆様、大変お疲れ様でした!
(文責:広報部 新里)
1月1日
■平成29年度道民公開講座報告
「さらば、歯医者さん!ガッテン流 自宅でむし歯を治す法!」
~おいしく食べてもやせちゃう法 糖尿病予防も!!~&インチキダイエットの見破り方~
講師:北折一 先生 元NHK「ためしてガッテン」専任ディレクター、消費生活アドバイザー
日時:11月12日(日曜日) 10時30分〜12時
会場:札幌市教育文化会館305研修室
当日は、本会会員を含む141名にご参加をいただき北折先生の軽妙で仕掛けのある語り口に引き込まれながらも巷にあふれる健康情報に対するリテラシーを鍛えられ、瞬く間に1時間30分が終了しました。
[ 講演要旨 ]
①クイズ!食と健康のウソ・ホント
②これがガッテン流!おいしさのコツ・健康のコツは「常識」の再点検
③食育食育!「カラダにいいから食べましょう」はやめましょう
④ではいよいよ‼︎ おいしく食べて太らないコツ、教えます
脅威の効果‼︎「(自分の体重を)計るだけダイエット」
⑤さらば‼︎…って、どゆこと?さよなら歯医者さん???
歯から全身疾患へ ホームケアとかかりつけ歯科衛生士さんで歯を残す
⑥最後に〜幸せな人生を送る簡単な方法について‥
寝たきりからの生還〜「噛む」機能の大切さ
さすが元テレビ局のディレクターだけあって視聴者が自ら情報を得たいと踏み込んで来させる仕掛けが一杯でした。ただ「〜なってしまうから〜しましょう」では私たちが伝えたい情報を受け取ってくれないので、別視点から戦略を持って相手の隠れた欲求を刺激するのが有効だと教えていただきました。
(文責:広報部 矢口)
3月1日
【研修会参加報告】
子どものむし歯予防講演会~フッ化物でむし歯ゼロを目指して~ 報告
平成30年3月10日(土)函館「花びしホテル」において表記講演会が開催されました。
「北海道歯科医師会」、「函館歯科医師会」主催、「北海道子供の歯を守る会」と「北海道歯科衛生士会」が後援しました。
当日は80名(学校関係者は45名)の参加、函館市では来年度から全市の小学校でのフッ化物洗口が予定されており、熱心な学校関係者の姿が目立ちました。
<講演1>では渡島保健所の丹下貴司先生(本会理事)が
「北海道および道南地域におけるフッ化物洗口の普及状況について」との演題での講演。
北海道の歯科保健の現状は、北海道自体が全国と比較してむし歯が多いが、その中でも道南地区は全道平均を下回わっっているとの残念な報告がありました。
「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」の事、フッ化物洗口の予防効果、実施例などの報告の後、「地域の将来を担う子供たちの健康づくりのために、今後ともフッ化物洗口へのご理解とご協力をお願いします」との言葉で講演を締めくくられました。
<講演2>では七飯町で開業されている鍋谷大史先生が
「大沼小学校でのフッ化物洗口の実際について」との演題で講演。
2年前より始まった大沼小学校でのフッ化物洗口の実際について、スライドを提示しながら、思ってた以上に負担は少ない、今後始められる函館市の小学校の関係者に安心して取り組んでほしいと説明されました。短い期間でまだ成果はわからないが今後を楽しみにしているとの事です。
<基調講演>では鶴見大学歯学部地域歯科保健学 教授 鶴本明久教授が、
「超高齢社会におけるフッ化物応用」~幼児期からの予防戦略の重要性~との演題で講演。
1.8020運動の重要性
8020達成者は、なんでも噛め、運動能力が高く、自立度が高い、全体的な医療費が低いなどの特徴を持っている。咀嚼により海馬が活性化され、アルツハイマー認知症にもなりにくいなど豊富なデーターをもとに説明されました。歯を失う原因のむし歯は破折(失活歯に多い)まで入れると44%で、8020を達成するためには子供の頃からのむし歯予防が必要です。そのためにはフッ化物の応用は欠かせないと強調されました。
2.フッ化物応用のエビデンス
米国保健医療省へ提出されたガイドラインをもとにフッ化物の応用がむし歯予防のエビデンスが高いことを紹介。新潟県でのフッ化物洗口の取り組みを紹介されました。フッ化物配合歯磨剤の市場占有率の増加とともに12歳DMFが減少していることから、歯磨剤の効果は明らかではあるが、歯磨剤だけでは効果が弱く、フッ化物洗口が必要であると述べられました。
3.フッ化物応用の安全性
インターネットで検索するとたくさんの怪しげな健康被害が出てくるが、根も葉もないことで、またこれはフロリデーションに関することで、局所応用では全く心配ないことを強調されました。WHO,NIH,ヨーク大学等のEBM研究で(骨折、癌、ダウン症、認知症、IQレベルの低下などは)すべて否定されてます。
WHOや国際連合食料農業機関(FAO)はフッ化物を必須栄養素と位置付けています。これはカルシュウムなどと同じで多すぎても、少なすぎても健康問題になるとの事です。
講演会を聞き終えた学校関係者からは、「安全性について危惧があったが安心した」、
「自信をもって進めることが出来そうだ」との感想がありました。
「樋口 俊夫記」
3月1日
【第86回 会員研修会報告】
平成30年2月24日(土)北海道大学学術交流会館で、私たちが日常生活で頻繁に口にしている「食」に関する2題の講演会が開催されました。約50人の参加をいただきました。簡単ですが内容をご紹介させていただきます。
■講演1「子どもの食物アレルギー」
講 師:わたなべ小児科・アレルギー科(札幌市手稲区) 渡辺 徹 先生
食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」をいいます。そして、近年のトピックとして
①食物アレルギーは「食べなくても」「経皮的に感作ー皮膚からの吸収」でも起こるといわれている
②2016年の食物アレルギーガイドラインによると、子どもの食物アレルギーについて、原因である食べ物をすべて除去するのではなく、「可能な範囲で摂取することを目指す方針」へと大きく変わっている。その他に基本的な知識として
③食物アレルギー患者への投与禁忌の医療用医薬品について
④エピペンについて
⑤食物アレルゲン表示の表示義務(特に発症数、重篤度から考えて表示する必要性が高いもの)は
卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに である 等
食物アレルギーについて学び直すことができました。
■講演2「代替甘味料について」
講 師:北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室 兼平 孝 先生
代替甘味料は歯科では①非う蝕性=齲蝕にならない②低う蝕性=う蝕の原因になりにくい③抗う蝕性= 砂糖と一緒に摂っても砂糖のう蝕性を抑えてくれるといった働きが求めれれる甘味料である。不溶性グルカンの基質にならない、酸産生基質にならないことである。
代替甘味料は大きく糖質系甘味料(スクラロース、パラチノース、オリゴ糖、糖アルコール、等)と非糖質系甘味料(サッカリン、アスパルテーム、グリチルリチン、ステビア、等)に分けられるが、それぞれの代表的甘味料について、先生が恐縮されていた化学式、無益回路なども含め詳しく説明していただきました。時代ととも「勝ち組」の代替甘味料や「負け組」の甘味料があることも興味深く聞かせていただきました。
場の質問で「シュガーレス」(むし歯にならない)と「ノンシュガー」(砂糖は入っていない)の使い分けがについて質問がありましたが、1980年以来同じ意味で使っていいという回答がありました。
(広報 今村 記)
5月1日
【平成30年度総会記念講演会 報告】
小児在宅歯科医療の実際〜医療的ケア児の在宅生活を支援する多職種協働〜
講師:高井理人 先生 医療法人稲生会 生涯医療クリニックさっぽろ
日時:平成30年4月21日 16時〜17時30分
会場:北海道歯科医師会館 視聴覚室
参加人数:40名
平成30年度の保険改定で、小児在宅歯科医療の保険点数が新設されました。項目としては小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料です。小児に対する歯科訪問診療の件数は全体としてはまだ少ないものの、ニーズは一定数あることが高井先生の研究で明らかになっており、その研究も今回の改定の根拠の一つとなっています。小児に対する歯科訪問治療のニーズを調査した結果、口腔ケア、歯の萌出に関する問題、歯石沈着など多岐に渡っていた。また、すべての患者に口腔清掃指導が必要であり、摂食機能療法や歯石除去などが行われていた。このようなニーズの増加には、医療的ケア児が増加していることが関係している。医療的ケア児は平成28年の児童福祉法の改正により、初めて法律に明記された。医療的ケア児は10年で約2倍になっており、今後も増加していくと考えられる。在宅医療の対象となる小児の特徴としては、医療依存度が高い、成長にしたがって病態が変化していく、本人とのコミュニケーションが困難なことが多い、などが挙げられ、小児在宅歯科医療を行ううえで考慮する必要がある。そのような中、高井先生の勤務されている生涯医療クリニックさっぽろでは、北海道小児等在宅医療連携拠点事業YeLL[いぇーる]を担っている。
実際に高井先生が行われている訪問歯科での対応としては、口腔ケア指導や摂食機能療法、歯石除去、乳歯抜去、フッ化物塗布を主に行われているとのことでした。訪問診療で対応できない内容については病院歯科へ依頼されており、訪問歯科診療の継続性としては82%の方が継続利用されているとのこと。
小児在宅医療の必要性は歯科・医科ともに高まっており、通院が困難な小児患者の継続的な受診手段として有効である。一方で、在宅重症児は医療依存度が高く、主治医との情報共有や、病院歯科との連携が必要となってくる。さらに多職種でのアプローチが有効であるとされていました。
(報告 中村 光一 記)
講演後の質疑応答では、熱心な参加者から多くの質問がありました。先生の今後のご活躍に目が離せません。
5月20日
第67回日本口腔衛生学会・総会が、平成30年5月18日(金)~20日(日)の3日間にわたり札幌市教育文化会館にて開催されました。北海道での開催は、平成12年秋の第49回総会以来となりました。
北海道医療大学歯学部保健衛生学分野の千葉逸朗教授が学会長を務められ、「Oral Health for All(すべての人の口を健康に)」をテーマに、800名を超える参加者が各ブースに集い、熱気のある発表、意見交換が繰り広げられました。
学会プログラムは、プロスキーヤーの三浦雄一郎氏を講師に迎えた市民公開講座をはじめ、特別講演2題、学会賞受賞講演2題、シンポジウム8題、ミニシンポジウム4題、一般講演(口演、ポスター及び学生ポスター)156題、ランチョンセミナー5題に加え、新たにモーニングセッション2題というボリウムたっぷりの充実した構成となっていました。また、20日午後に設けられた「癒しの時間」(札響バイオリニストを含む豪華な面々によるピアノと弦楽器のアンサンブル)もかなり好評であったようです。
私自身は、18日と19日の2日間のみの参加でしたが、米山武義先生のお話に始まり、地域の具体的な取組事例を交え、多職種連携による今後の口腔ケアのあり方が議論されたシンポジウム1や相田潤先生の学会賞受賞講演が印象的でした。また、18日に開催されたミニシンポジウムも演者と参加者の距離が近く、活発な議論が展開されていたと思います。
今回の総会は、雨が降ったり止んだりとお天気にはあまり恵まれない3日間でしたが、その分、全国から参集された参加者の皆さまは学会に集中できたのでは!?とも思ってしまった、今回の総会でした。大会運営に携わられた先生方におかれましては、大変お疲れ様でした。次回第68回の開催地は、神奈川県(学会長は鶴見大学の花田信弘教授)とのことです。
(文責:広報部 新里)
6月30日
平成30年6月30日(土)ANAクラウンプラザホテルにて第87回会員研修会が開催されました。「北海道のフッ化物洗口の今」~北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例制定9年を経過して~と題し以下の次第で行われました。予想を上回る(?)60名の参加者で会場は満席となりました。当日は会員だけではなく、札幌市議会議員、江別市議会議員、多くの行政担当者の皆様も参加して下さり、フッ化物洗口に対する関心の高さとともに、すでにフッ化物を実施している地区の会員の皆様からは、フッ化物洗口実施迄の思いと実績に基づく自信が語られ「熱い」研修会となりました。
基調講演1 「フッ化物洗口をする側とさせる側の問題点」
北海道医療大学歯学部教授 千葉逸朗 先生
基調講演2 「北海道における小児むし歯予防対策について」
北海道保健福祉部 主任技師 高橋 収 先生
パネルディスカッション
「フッ化物洗口を広めるための具体策!」
コーディネーター:北海道子供の歯を守る会 会長 安彦 良一 先生
パネリスト:千葉 逸朗 先生、高橋 収 先生、角谷 隆司 先生(北海道議会議員)
青木 秀志 先生(北海道歯科医師会常務理事)
海道歯科医師会常務理事の青木先生からは道内のフッ素洗口推進に向けての現状と問題点について語っていただきました。
角谷 隆司 先生
青木 秀志 先生(中央)
基調講演1 フッ化物洗口をする側とさせる側の問題点
北海道医療大学歯学部 千葉 逸朗
フッ化物洗口を普及させるための障壁となる事項について概説し、その打開策を提言した。
フッ化物洗口を「させる」側(歯科医師、行政)の問題点:
多くのエビデンスがあるにもかかわらず、歯科医師自身が知識不足や誤解があったり、関係者とコミュニケーションが取れず、日常の診療に明け暮れている例が見られる。また、行政側も反対派に遠慮しているのか、道の条例があるにもかかわらず動きが鈍い場合がある。幼稚園、保育園への普及だけで満足していないだろうか。6歳臼歯を守るためには、特に小学校への普及が喫緊の課題である。また、実施した結果を評価する場合、学校での歯科検診のデータがベースになるが、そのデータの信頼度が問題である。歯科検診の環境改善、歯科医師間のキャリブレーション、スタッフ教育、養護教諭との連携など、データの正確性を高めるような対策を行うべきである。
洗口を「する」側(学校、家庭)の問題点:
一方、学校側にも問題点がある。専門家の話に耳を傾けようとせず、「何でも反対」する場合がある。残念ながらそのような状況ではフッ素に関する知識の集積は期待できず、「知らない」ことによる恐怖が発生する。先生方も多忙であることは理解できるが、子供の健康にもっと関心を寄せるべきである。保護者は子供たちの健康を誰よりも願っていることを忘れてはならない。
重要なポイント:
しかしながら、家庭の置かれた環境(経済的状況、教育レベルなど)によって子供たちの口腔保健状況が異なることが明らかになってきている。歯科関係者は「地域の健康格差」について知るべきであり、フッ化物洗口がこのような状況を打破する有効な手段であることを自らアピールし、行政を動かし、トップダウンで推進することによって、子供たちが「努力しなくても健康を享受できる」社会システムを確立することが可能となる。
幸い、今回のシンポジウムに札幌市議、江別市議の方々をはじめ多くの行政担当者が参加して下さり、今後のフッ化物洗口の普及のための大きな推進力となって頂けることを期待する。
基調講演2 北海道における小児のむし歯予防対策
北海道保健福祉部健康安全局地域保健課健康づくりグループ 主任技師 髙橋 収
北海道と全国の歯科保健の状況について整理したうえで、北海道の歯科保健施策を説明した。
北海道と全国の歯科保健の状況:
むし歯が従前よりも減少していることは事実であるが、いまだに歯を失う主な原因の一つであり、北海道においては、全国よりもむし歯が多いことと地域間格差の存在が課題となっている。
※道内で12歳児の永久歯1人平均むし歯数(DMFT)が最少の上川教育局管内(0.86本:H29)でも全国平均(0.82本:H29)より多いうえに、渡島・日高管内では2本を超えている。
小児のむし歯予防対策:
道では、平成21年6月公布・施行の「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」と、条例に基づき策定した「北海道歯科保健医療推進計画」の下、平成22年度から「フッ化物洗口普及事業」を展開した。この事業では、普及啓発支援としてリーフレット・ガイドブック・DVDの作成等を行い、導入促進支援としてモデル地域・施設指定~説明会・研修の実施及び研修で使用した器材・薬剤の提供を行った。平成25年度からは「フッ化物洗口普及支援事業」に継承している。各関係者の御尽力により、平成29年度末には174市町村まで増加したものの、自治体内の保育所・幼稚園等~中学校までの全施設で実施されている市町村は46に留まっており、フッ化物洗口を希望する家庭の子どもが切れ目なく参加できる体制の整備に向け、施設数の拡大に取り組む必要がある。
近年、フッ化物洗口の効果に関する質問(道外のデータだけでなく道内のデータはあるか?最近のデータはあるか?)を受ける機会が増えた。道では、学識経験者等から構成される調査班を道内複数の市町村に派遣し、調査研究を行っている。一例として、中学生を対象に「小学校での洗口経験の有無」で比較したところ、中間評価ではあるが、経験群では非経験群と比較してDMFTが半減している等のデータが得られている。
フッ化物洗口も含めて、むし歯を完全に予防する手段は存在しない。各手段の効果と限界を理解し、できる限り予防効果を高めることが肝要である。守る会会員、特に専門職の方々には、会の研修会等を通じて、常に最新の知見を得るよう努め、道民の皆様にお伝えくださるようお願い申し上げる。
11月10日
第40回むし歯予防全国大会が11月10日に「健康歯援」と題して宮崎県の宮崎県歯科医師会館で開かれました。北海道よりも10度以上暖かく、会場は満席の事もあり冷房も入るほどでした。
基調講演として東京歯科大学の眞木教授から「健康格差のない地域づくりを目指したフッ化物応用の科学的な考え方」と題してお話を聞きました。フッ化物を用いる事で誰でもどこででも平等にむし歯を減らせる事が科学的に証明されており、幼少期からのフッ化物利用が拡がって欲しいと話されました。
次は宮崎県の各地のフッ化物応用やその実施についての報告が行なわれました。特に延岡保健所の瀧口先生からはフッ化物洗口を拡げるには地域の歯科医師会、行政が一体になり、正しい情報を提供して学校関係者、地域の父兄に理解して頂けると話されました。瀧口先生が関わった地域では100%フッ素洗口が実施されたとも話されました。地域に拡げるにはやはりキーマンになる人の必要性を感じました。そして最後にフッ化物洗口の拡大には歯科医師会は全面的にバックアップすると話があり、4時間を超える研修会が終了しました。
研修会後はホテルに場所を移し宮崎県の名物をつまみながら懇親を深めました。今年は11月9日に秋田市での開催を予定しています。
(報告 日本フッ化物むし歯予防協会 副会長 安彦 良一 記)
11月11日
平成30年11月11日 市民活動プラザ星2F大会議室で会員研修会が開催されました。基調講演にも会員23名を含む59名が参加しました。午前は「生物進化からみる現代病ー今の子どもは保健課題が山積ーと題した基調講演、午後は、昨年に引き続き「達人」と「ひよっこ」が一緒に「これからの予防」について意見交換する予防塾と盛りだくさんの1日でした。
基調講演では元稚内保健所医療参事でいらした和田聖一先生から「生物進化」という切り口で現代の子供の健康課題のお話がありました。先生のお話は「達人」には、これまでの思考回路に一石を投じ、「ひよっこ」にはちょっと難しいが、自分のこれからの食生活や育児を考える時に大切な情報と受け止めたようです。参加できなかった会員の皆様、先生の「まとめスライド」を参考にしてください。
和田先生のまとめより
■ヒトが進化の過程で変えた社会・環境などから新たな進化圧を受け、ミスマッチ現象としてヒトを悩ましている時代
■学童期以降では、不正咬合、口の閉まらない児(口呼吸)、顎の退行、ガミースマイル等、顎・顔面の様々な退行現象が着実に進行している
■乳児・幼児では、母乳の授乳の短縮化、指しゃぶり行動、成長と食べる機能発達とのミスマッチ、栄養を優先した過調理食事(雑食性の喪失)、おかしな食べ方をする幼児の増加、排便習慣の乱れ、早期の甘味物摂取によるむし歯の誘など、保健課題が山積
■これからの病を引き起こす環境要因をそのまま次世代に伝え、病気が蔓延したり悪化することに任せ、何世代にも渡り生じるフィードバックループ(病気が悪くなる、更なる不具合が出る状況)となっている。(幼児のむし歯と親の喫煙、遅い起床就寝などなど)
■祖父母は「ヒトの生き残り」に大きな役割(子育て)を果たしたとされるが、孫たちへの甘味物・甘味飲料の配給役となり、負のフィードバックループ(むし歯のリスク因子)を担う損な役回りとなってしまった
■今後、子供たちを含め、体の不具合が、いつ、どこに、どのように現れるか予想はできませんが、「子供は行動・態度で不都合な状況を訴える」ことに着目することが課題抽出のヒントです
午後からは予防塾です。
「ひよっこ」×「達人」が混じった8つのグループがグループワークを行いました。
歯科衛生士養成校や大学歯学部の学生さん(ひよっこ)と会員(達人)は真剣にグループワーク、会場は昨年よりは人数が少ないとはいえ、若さと熱気に変わりはありません!
・・・企画1 コミュニケーショントレーニング(自己紹介)・・・
吉田学園医療歯科専門学校歯科衛生学科の学生さんが作成してくれたビデオに出演していただいた3人の健康法を聞き、それに関するクイズに答えます。全問正解のグループはありませんでしたが、トップのグループには塾長の阿部先生から“豪華”百均景品が授与されました。
(学生力作のビデオ) (真剣!) (塾長の阿部先生)
・・・企画2 グループワーク・発表・・・
2世帯住宅(1階には糖尿病のおばあちゃん)に住む4歳の保育園児、北海まりもちゃんと共稼ぎで忙しいお母さんが、奥歯に 白濁を発見して「子どもの歯を守る診療室」を訪れます。治療には至りませんでしたが、これからを考え、歯科衛生士に生活指導が指示されたという設定です。
「よりよい生活習慣指導は何か」をテーマにグループワークですが、ワーク前には北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室の八若先生からグループワークの進め方について説明もありました。
(熱演の劇団予防塾)
いよいよ本番!
熱心なグループワーク風景(全グル―プ掲載できず申し訳ありません)
各グループ、生活背景を色々な切り口で検討した発表です。歯科衛生士の指導をセリフにして、寸劇で再現されました(下の写真の中の矢印の方がグループ代表で発表)時間の関係で全グループ発表できなかったのが残念でした。
・・・講 評・・・
最後は4人の先生から講評を頂きました。
福田先生
八若先生
千葉先生
和田先生
守る会会員にとっては、昨年に引き続き、未来の歯科保健医療を担う人材と交流できる貴重な機会となっています。
(文責:広報部 今村)
12月8日
■平成30年12月8日(土)本会副会長の兼平 孝先生が大会長の第9回北海道口腔保健学会 総会・学術大会が北海道大学学術交流会館で開催されました。 「う蝕減少時代、欠損歯補綴減少時代の歯科のあり方」でシンポジウム、一般口演9題が発表されました。一般口演では本会会員の畑 良明先生が「北海道における乳幼児のう蝕推移と格差」で発表なさいました。