2月14日
◆講師:北海道医療大学歯学部保健衛生学分野教授 三浦 宏子 先生
◆日時:令和4年2月26日(土) 15:30~17:00
◆視聴方法:webによる(当記事下部にリンクがございます)
2021年の第74回WHO世界保健総会において口腔保健に関する決議が採択された。この決議では、今後の口腔保健のあり方について治療的アプローチから予防的アプローチへの転換をさらに促進することに加えて、口腔保健活動を非感染性疾患(NCD)対策と連動させることと、口腔保健サービスをユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の枠組みで捉えることの重要性を示している。特に、UHCの枠組みにおいて口腔保健を明確に位置づけたことは、今回の決議の大きな特色といえる。
UHCにおける口腔保健のあり方を考えるうえで、ヘルスサービスリサーチの手法は有用性が高い。ヘルスサービスリサーチとは社会的要因、組織の構造とプロセス、保健医療サービスの質とコスト等を把握することにより、健康への影響を複合的に探求する学際的な研究分野である。一方、UHCは、すべての人が適切な予防、治療、リハビリテーション等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けることが出来る状態や体制を構築することである。ヘルスサービスリサーチで取り扱うサービス提供に関する3つの要素(ストラクチャー、プロセス、アウトカム)は、UHCの枠組みにおける地域歯科保健活動を考えるうえ押さえておくべき項目である。上記を踏まえ、本研修会では、WHO世界保健総会での口腔保健に関する新議決の内容を紹介するとともに、UHCの枠組みにおいて地域歯科保健活動を推進するうえで役立つヘルスサービスリサーチの考え方を示す。また、厚生労働省が実施した事業費調査での公表データ等をもとに、地域歯科保健活動の実施体制に関する現状と課題を明らかにしていきたい。
4月11日
テーマ「8020は子どもの笑顔から」
近年、子どもたちの「むし歯」は着実に減少してきていますが、依然として子どもたちが罹患する病気のトップは「むし歯」です。本公開講座では2人の専門家をお招きし、小児期のむし歯予防について、最新の知見を織り交ぜて解説を頂きます。
主 催:北海道子供の歯を守る会
日 時:令和4年4月23日(土) 14:15~16:10
会 費:参加(視聴)無料
申込方法:申込不要。当日「北海道子供の歯を守る会」公式サイト内
「道民公開講座」バナーからお入り下さい。
詳しくは本会公式サイト、Twitterをご覧下さい。
○公式サイト https://www.hokkaido-kodomonoha.com/
○公式ツイッター https://twitter.com/fTfo4lmyXrCOoQC
プログラム
○講演1 「むし歯リスクと予防法を知って、健康で強い歯を育てよう!」
福田 敦史 先生(北海道医療大学歯学部小児歯科学分野助教)
むし歯は、デンタルプラーク(歯垢)の中にいる細菌が酸を出し、歯を溶かす病気です。
昔からむし歯にならないためには、デンタルプラーク(歯垢)を除去する、すなわち「歯磨きをする」ことが一番であると教えられてきたかと思います。また、「甘い物を食べ過ぎない」こともよくいわれてきました。もちろん、歯磨きや甘い物を食べ過ぎないことも大切なことです。しかし、むし歯を防ぐためには、まず子ども一人一人のむし歯リスクになり得る要因を知ることがとても重要です。その要因に対して適切なアプローチをすることにより、極めて効率性の高いむし歯予防が可能となります。本講演では、各々のむし歯リスクの要因に対するむし歯予防法についてお話しします。
多くの子どもたちが、健康で強い歯を獲得できるヒントになれることを願っています。
○講演2 「むし歯のなりやすさは西高東低?」
齊藤 正人 先生(北海道医療大学歯学部小児歯科学分野教授)
歯の表面を覆うエナメル質が正常に形成されず、歯が生えたときから変色していたり、欠けていたり、表面が粗造でむし歯になりやすい歯の病気を、エナメル質形成不全といいます。その中でも乳歯、永久歯にかかわらず大多数の歯にエナメル質形成不全がみられる病気を遺伝性エナメル質形成不全症といって家族性に発症し、発生率はおよそ1万人に1人(0.0001%)と報告されています。一方、2000年以降に6歳臼歯と前歯(永久歯)に限局して認められるエナメル質形成不全が世界的に報告され、Molar Incisor Hypomineralization(MIH)というまだ日本語の名称もついていない病気が問題となっています。
MIHは家族性ではなく、症状にばらつきがみられ、審美的に問題のある変色程度のものから歯が大きく崩壊している症例もあり、その大部分に知覚過敏(しみやすい)があり、放っておくとむし歯になりやすいという特徴があります。発生率は2.9〜25%程度と世界各国でばらつきがありますが、遺伝性エナメル質形成不全症よりもはるかに発生率が高い病気です。千葉県のとある小学校で行った全生徒の調査と、演者が委員長として行った日本小児歯科学会臨床研究推進委員会の全国調査から、小児10人のうち1人〜2人(約10〜20%)がMIHであることが明らかとなりました。
MIHの原因は未だ明らかにはなっていませんが、発生する歯から考えて、胎児から1歳までに何らかの原因があり、小児もしくは母親の健康状態や栄養および生活環境が関わっていると考えられています。また上記の全国調査で、西日本の小児のほうが東日本で生まれ育った小児よりも、MIHの発生率が高いことも明らかになっています。この地域差は高齢者の骨粗鬆症の発症率とも一致します。本発表では審美的に問題がありむし歯にもなりやすいMIHの現在考えられている原因と、むし歯予防などの対応について概説いたします。
5月2日
先日の道民公開講座は大盛況のうちに終えることができました!
ご参加いただいた皆様どうも有難うございました(*^^)v
当日の内容の音声を調整し、チャプターを付けたものを改めて公開しております。
ご視聴は ⇒⇒こちらからどうぞ
参加したけど一部聞き逃した!面白かったからまた聞きたい!という方や、まだ視聴していないので視聴したいという方も、ご覧いただければと思いますので、是非是非ご視聴ください(^_^)/~
いや~MIH興味深い。活性型ビタミンD?鮭?気になった人は是非( *´艸`)
see you next time…
5月30日
◇標題: 第74回WHO総会の口腔保健の決議と現代日本におけるう蝕予防の意義
◇講師:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野 教授
相田潤 先生
◇日時:令和4年6月11日(土)16:00~17:30
↓↓ご視聴はこちらから↓↓
2021年5月27日、世界保健機関(WHO)の第74回世界保健総会において、口腔保健に関する決議が承認された。国際歯科連盟やアメリカ歯科医師会はこれを「歴史的な決議」と報道しており、国際保健的にも、そして先進国においても、歯科口腔の重要性を再定義する者であり、大きくとらえられていることがわかる。日本においても日本口腔衛生学会から提言が出されている[1]。
決議が出された理由は、過去10年ほどにわたり、口腔保健の重要性が様々な角度やデータから広く認識されたためである。この重要性のひとつとして、歯科疾患の有病率が極めて高いことが挙げられる。これは世界的な大規模調査である「世界疾病負担研究」においてその初回調査といえる2010年から継続的に報告されて来たことであり、医学系のトップジャーナルの1つであるLancetなどで繰り返し論文が出されている。この結果、Lancetで初めてとなる口腔保健特集号が2019年に出版されることにもなった。
決議で述べられた口腔保健の重要性は、日本にも大部分であてはまる。例えば、う蝕は減っていることばかり強調されているが、日本においても他の疾患と比較すると多く、それは例えば高額な国民医療費につながっている。WHOの決議は、このような先入観でゆがめられていたと指摘されている健康政策上の価値判断を、データから客観的にとらえなおす機会を提供しているといえる。
決議の中では歯科疾患の健康格差についても強調されている。日本においても子どもから高齢者まで口腔の健康格差は大きい。健康格差の対策は簡単ではないことが多いが、子どもにおいては、幼稚園・保育園・こども園・学校などでの集団フッ化物洗口が、健康格差を減らす上で有効であることが知られている。本講演ではWHOの決議と日本における状況から、健康格差対策としての集団フッ化物洗口についても考えたい。
文献
1. 第74回WHO総会議決書を踏まえた口腔衛生学会の提言 [http://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/statement/file/statement_202109.pdf]
略歴
2003年 北海道大学歯学部卒業
2004年 国立保健医療科学院専門課程修了
2007年 北海道大学大学院歯学研究科博士課程修了
2007年~2011年 東北大学大学院歯学研究科助教
2010年~2011年 University College London客員研究員
2011年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科准教授
2012年〜2018年 宮城県保健福祉部 参与(歯科医療保健政策担当)兼務
2014年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科臨床疫学統計支援室室長
2020年〜21年 東北大学大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンター地域展開部門教授 (クロスアポイントメント)
2020年〜 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野教授
日本老年学的評価研究(JAGESプロジェクト)コアメンバー、口腔の健康格差の研究と政策の国際センターコアメンバー、日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会委員長などを務め、健康格差とその原因や解消方法の研究を中心に、口腔の健康と全身の健康や、東日本大震災と健康の社会的決定要因の変化と健康の研究などを行っている。
11月11日
ご視聴はこちらから
2030年に向けての口腔保健(オーラルヘルスプロモーション)
講師:新潟大学大学院医歯学総合研究科予防歯科学 教授・世界保健機関(WHO)協力センタ-長(口腔保健、新潟大学)小川 祐司 先生
コメント:2022年5月、「第74回WHO総会決議書を踏まえた日本口腔衛生学会声明」が発出されました。この声明は、WHOが提唱する「2030年に向けたユニバーサル・へルス・カバレッジ(UHC)の達成と非感染性疾患(NCDs)対策推進の一環として、より良い口腔保健を達成する」について、学会が支持することを提示しています。よって、今後の口腔保健活動は、すべての人の健康な生活を確保し、幸福を促進できる環境整備やシステムづくりを目標に活動を進めることが必要です。 WHOは口腔保健を効果的に推進し加速させるために、「口腔保健を他の保健施策に取り込むこと」、「タバコ禁煙や砂糖摂取抑制などの共通リスクファクター対策を歯科から講じること」、「口腔疾患のモニタリングシステムの構築をすること」などを重要項目に位置づけています。う蝕予防には、「効果的なフッ化物応用」を推奨し、WHO 必須医薬品モデルリスト(WHO Model List of Essential Medicines)の改訂で、フッ化物配合歯磨剤、フッ化ジアンミン銀、グラスアイオノマーセメントを新たに加えています。 2030年に向けての様々なグローバルイニシアティブのもと、口腔保健も着実にその成果を見出すことが求められています。本講演では、WHOをはじめ国際機関が目指す口腔保健の潮流を概説し、併せて日本の歯科界がどのような役割を果たすべきかについて、考察を試みたいと思います。