Travel '86-'88

バルセロナ、アテネ

<スペイン:パワフルおじさん>

'88年6月、バルセロナにて by linlin

ロンドン滞在中に、バルセロナに3泊4日でやってきた。なんといってもガウディーのサグラダファミリアは、素晴らしく、街のあちこちにある家も趣がある。ミロやピカソの博物館も行く価値アリ!

2日目の、公園を歩いていると、日本語で「こんに~ちは」と声をかけてきたおじさんがいた。日本にちょっと行ってたことがあるとか、聞きもしないのに喋り捲っている。はやくあっちに行ってくれないかなぁ~とおもっていたら、よくよく聞くと「革製品の工場をやっていて、そこの物を安く売ってあげられるよ!」と一生懸命セールスしていた。なんだ、日本人目当ての商売か…。

30分後には市内を回るバスツアーに参加する予定だったので、ツアーの時間を告げ残念だけどと断り、別れた。ただ、時間があったら来て下さいと名刺を渡された。

バスツアーは、ガウディーの建造物や公園を中心に見て回ったが、途中スコールにあい、「バスツアーでよかったね」と何度も言い合ったほどだった。

ツアーが終り、リッツホテルの前でバスを降りると…、なんとさっきのおじさんが傘を持って待っててくれたではないか。商売だからだろうと思いつつも、どうもこういう優しさに弱い私…。結局、友達と二人でおじさんの工場に行き、私は皮のコート、友達はジャケットとスカートを買い込んだのだった。

で、お話は実はここからだ。買物のあとで、おじさんは近所のバールでごちそうをしてくれた。ブルスケッタにワインを1杯つづ飲み、おつまみに何皿か食べた。ちょうど6月はバケーションの時期らしく、そこのマスター(英語は全く出来ない)も、おじさんも奥さんが今日までいないから、「今晩、ディスコに行こう!」というのだ。

「ま、どこの誰だか分かるし、いいか?」ということになり、夜の10時にホテルに迎えに来てもらった。

まず、1軒目。ホテルの前にある「バー」って感じのところ。ここは、食べるというより、1ショット飲むところ。そして2軒目、これは「バール」で、生ハムとオリーブをつまみながら飲む所。そして12時過ぎ、やっと3軒目でディスコ。でも、12時過ぎぐらいじゃ、まだ人が少ない。飲み食いしながら、フロアーで友達とコソコソ相談。「何時に帰れるかな?でも、おじさん達疲れてきただろうから、そろそろかな?」

そして、2時。「もう1軒だけ!」「フラメンコの見れる所だから!」と4軒目。

結局、ホテルに戻ったのは夜中の3時。こんなに夜中まで遊んだのははじめてだ。それも、全部おじさんが払ってくれてタダ!次の日が辛かったが、楽しくも長い1日だった。決して治安がよくないバルセロナで夜中まで遊びまわったんだから。

余談だが、2時3時まで遊ぶと言うのは、地元の人には珍しくないらしい。ホテルのフロントの男の子が、夜中の3時にもどった私たちを見ていて、次の日「今晩、仕事が終ったら、飲みに行かない?」と誘ってきた。「何時?」って聞いたら12時(ミッドナイト)。「そんなに遅いのは困る!」と断ったが、その日の夜中、マジに電話がかかって来て、「これから行かない?」と誘われた!「いかない!」と断ったが、また電話がかかってきたので、ガチャンと切った。ホテルの人が勝手にお客さんに電話したらいけないんだぞ~!と言ってやりたかった。

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<ギリシャ:親切すぎたおじさん>

'86年2月、アテネにて by linlin

ギリシャといえば、エーゲ海クルーズでしょうが、2月じゃ寒いだけだし、朝早くでて船酔いしに行くのはいやだということで、やっぱり「パルテノン神殿」に行けばいいんじゃないの!ということになった。

どこからでも見える神殿なので、地図で見る限り、そう遠くもなさそうだ。方向を間違うことはありえないし…ということで、トコトコと歩き出した。結構歩きで行こうと言う観光客も多い様で、安心して歩いていった。

途中、穏やかな感じのおじいさんに出会った。そのおじいさんは英語の単語すら分からない様だ。でも、話し掛けてくる…。身振り手振りで「パルテノン神殿に行くの!」と伝えると、「こっちだ!」とおいでおいでをしながら、ずんずん進んでいく。左手に神殿が見えるのに、どんどん右に進んでいく。

途中、松ぼっくりを拾ってくれたり、お花をくれたり…。そこで友達と相談して、1つの結論をだした。それは、「もしも、もしも、このおじいさんが変な所に連れて行こうとしていたとするとする。でも、こっちはこの若さだし、どう見ても走って逃げ切りそうだし、いざとなったらパンチでもお見舞いすれば平気よねぇ~?」という事。

しばらく行くと、小さな丘の頂上に着いた。おじいさんは「ここだ!」と自慢げだ。

そこまで来て、やっとおじいさんの意図が分かった。その丘は、「パルテノンを見るのに、一番いい場所」だったのだ。嬉しくて、泣きそうだった。だって、夕方には現地に住む人と会う約束があり、もうホテルにもどる時間だったのだ。目の前まで来て、登らずに帰るなんて…。


アテネどうだった?と聞かれるたびに、神殿のとなりの丘に登った話は欠かせなくなった。

その夜は、友達に連れられて、お皿から炎をだして黒こげとなるソーセージなど、かわったギリシャ料理をごちそうになり、夜中までディスコで騒いでいた。若かったんだなぁ…。