マニラの交通事情

Traffi~c (マニラ交通事情): 自家用車乗車中の注意や体験記も! 2005年現在

マニラに暮らすと、1日何回"トラフィック!"=「渋滞」という言葉を耳にするでしょうか。

旅行のパンフレットを開くと、「バンコクの渋滞」は有名だけど、マニラの渋滞に比べたら、何てことないなぁ・・・。確かに、空の色がお天気でも、どんより暗いのは、排気ガスのせいでしょうか?マニラの大気汚染度はかなり悪く、喘息などののどの病気を患っている人も多いらしいです。そもそも、いつも車で通る道が何車線であるかもわかりません。だって、道幅いっぱいに車が並んで走るのですから。

「慣れてしまうと、それがヘンである事に気付かなくなるもの」の1つに、フィリピンを走り回るバスがあります。

よく、マニラ帰りの観光客が、「日本のバスが走ってたよ」と言うのを耳にしたかもしれません。大概、説明が不十分で、「ああ、中古になったのが、使われてるのね」で、その話を流してしまうかもしれません。でも、その数が半端でなく、大通りを走れば、西武バス、関東バス、さらには地方の「○○観光」なんて言うバスまで走っているとすれば・・・?思わず、「ずいぶん遠くからのバス旅行ねぇ」と言いたくなります。

ペンキさえも塗り替えないので、「共通バスカード・・・」とか、「降り口」、病院の広告や、乗務員募集などの求人まで、そのままです。無理矢理、右側通行用に乗り降り口を反対に作っています。無理に作ったせい か、元々閉まるように作らなかったのか・・・乗り降り自由の状態で走っているバスが多いです。

(料金は、距離によってかわるらしい、乗ったことありませんから・・・。冷房のあるなしも料金に違いがあるとか無いとか・・・。最低料金が10ペソだそうです)

ジプニー(地元の人は「ジブニー」とは呼ばず「ジープ」と呼ぶ人の方が多い)

バスよりも手軽な乗り物のようで、決った乗り場はある事はあるのだが、どこでも乗り降り自由。テレビや雑誌で紹介される派手な(左の絵葉書のような)ジプニーはマニラにはあまり無くて(多分観光地に多いのでは?)、今はメタリックなカラーが流行です。メタリックと言っても・・・実は、むき出しのトタンというか、アルミ缶のような、あれですが。(料金は、5ペソらしい・・・乗ったことありません!が、近年ジワジワ値上げがあり、通いのドライバーやメイドの中には、給料の値上げ要求をするしっかり者もいます。)


タクシーは、どちらかというと、庶民の足ではないようですが、乗合か、ルートで走っている、MEGA Taxi(後ろが開く、小さ目のバンというか、森永の牛乳やさんの車のようなもの)があります。おかしいのは、それと同じ型の営業車に”Not Hire”と書いてある所。きっと、かってに後ろをあけて乗り込む人が多いのでしょうか?

この国のタクシーは、運転手の乗車拒否がOKなので、ラッシュアワーに込んでいる所へ行きたいといっても、いやだといって乗せてくれないそうです。だから、雨が降り、洪水が起こっている時ほど、帰宅するのに使いたいタクシーですが、希望のところに連れて行ってくれないどころか、流しのタクシー自体がほとんど見つかりません。(料金メーターのないタクシーも多いとか。特に観光客はぼられるそうです。空港からのタクシーは要注意。タクシーの側面に名前の入っているものが、安全とか・・・)

タクシーを使うことは決してお勧めしませんが(どこか人気のないところに連れて行かれて身包みはがれるケースもあるし、ぼられるのは見えてますし)、どうしてもなら、ホテルからのホテルタクシーを使うと良いでしょう。もちろん、普通のタクシーの正規料金よりかなり高いけど、安全をお金で買ってください。

自家用車でも…

雨季や台風により街中での洪水も珍しくないマニラです。ただ、どこでも水につかると言うのではなく、下水溝が整備されてなかったり、ゴミでふさがれてしまうために、毎回同じ場所で水がでます。日本人でタクシーを使われる方は少ないと思いますが、自家用車で外出する場合、雨の日、雨が続いているときは外出を控えることをお勧め。

30分で行けるところに2時間以上かかったり、なにより水に浸かって車に水が入ると大事ですよ!マカティの街中でも、何箇所も「水が出る」ポイントがありますから!

渋滞と言えば、12月ごろからの街中の渋滞も半端ではありません。とにかく車の数が増えるしマナーの悪さから大渋滞。要注意なのが、ビレッジの中!抜け道のつもりで大量の車が入り込むため、それこそ家から出られない家も!用事がある場合は、かなり余裕を持って動いてください!


< 交通事情体験記 >

路上での物売り by あやさん (2000~2003年滞在)

マニラの都心部、主要幹線道路で必ず起こる渋滞での光景。数分どころか1・2時間平気で動かない事もあり、時間にストイックな日本人にとってはかなりイライラするものです。慣れてくれば音楽を聞いたり、携帯で連絡をしたりと暇潰しもできるのですが、最も有効な暇潰し手段の一つとして「物売り」の観察があります。

彼らは渋滞の起こり易い道路の脇に常に待機していて、渋滞が起こると自然にどこからともなく現れます。彼らが手にしているのはミネラルウォーター、コーラ、スプライトといったドリンク類を始め、フィリピンでは良く食べる豚の皮のあげた物(名前忘れてしまいました)などスナック類など、さながら電車のカート販売 in 路上版。出所不明で姿もお世辞にも綺麗ではない為、一見すると物乞いのようですが、商売振りは吹っ掛ける事もなくおつりもくれるし、真面目そのもの。変な店よりよっぽど好感を持てます。(※ただし私が現地慣れしていた事もあり、相場を知っていたから大丈夫だったのかも知れません)

路上販売のバリエーションというと、ドリンク・スナック類はまだ普通で、これらは主にジプニーや長距離バスに乗る現地の人向け。観光客が多い道路になると、フィリピンの国旗や頭に直接被る傘(帽子?)、海岸近くでは釣りのリール(竿はなしでどうするんだろう)、ヘルメット、ゴーグルに到るまで、一体何に使うのか判らない物まで必死に売っています。

注意)路上の品物は、決して安くなく、街中の方が安いケースが多いです。物乞いも多く、トラブルの元なので、利用しないにこしたことはありません!車の窓は決して開けないように! by linlin

ですがそんな微笑ましい(?)光景も、所詮は渋滞の路上。渋滞が緩和されれば当然車は動き出します。つられて走り出す車と併走しながらおつりと品物を渡す為、必死になって走る者、ジプニーに乗り込んで素知らぬ顔で商売を続ける者、タイミングが悪くて車列の間で立ち尽くす者、あわや!と思うシーンに出くわしますが、さすがプロです。軽い身のこなしはまさに圧巻。ちょっと怖い光景でもありますが・・・。

そんな中で、一番面白かったのがタバコの販売。街中でも見れます。カートン・箱単位でも買えますが、一本単位のバラ売りが基本のようです。日本でもおなじみの有名メーカーが並んでいますが、大概はフィリピンで作られた物なので(輸入品は関税済みのシールが貼ってありますが、偽造されている物もあり)味と中身は保障できません。大体一本1~3ペソ程度(滞在当時)です。1ペソプラスで火をつけてくれるサービスもあります。


水没 by あやさん (2000~2003年滞在)

フィリピンの雨季は大抵5月中旬から。日本に来る台風の殆んどがフィリピン原産なので、生まれたばかりの凄まじい台風が直撃すると、当然の事ながら0海抜地域はあっさりと水没します。もちろんアラート(シグナル)が発令されるので、心構えはできますが。諸事情によりどうしても外に出なければならなくなったり、そんな時に台風が直撃すると悲惨な目に遭います。

その日は午前中から雲行きが怪しく、夕方にはシグナル2が発令され、終業時刻と同時に従業員達は一斉に消えて行きました。と、我々日本人も帰らねばなりません。車を走らせている間も、どんどん雨と風は強くなり、渋滞も激しくなり動きが取れなくなってきます。仕方なく裏道を使い超大回りで帰宅を試みたのですが・・・。自宅へ後数キロの所へ来て、前の道がやたらと空いています。こりゃラッキー!と思っていれば、反対車線を戻ってくる車、そして近所の住人が前方を指差して何かを言っている・・・。

前を凝視して、なるほど納得。完全に道が川と化していました。トライシクルならマフラーさえ水に漬けなければ通行できますが、車高の低い車は到底無理そう。でも無謀な我ら日本人特攻隊は、「止まらなければ何とかなる」という結論を出し、普通車で川へ直行いたしました。水はボンネットすれすれ、床下からはチャプチャプと音がし、時折車体が浮いてブレーキ操作は全く出来ません。マフラーに水をいれない為にアクセルを吹かしたまま、半分浮いた状態で数百メートルを走りぬきました、が。あとちょっと、という所で前方を塞ぐ車に遭遇、何とか止まったと同時にエンジンストップ。見事に撃沈しました。(笑)

車はもうエンジンが掛かりませんので、仕方なく降りることにしましたが。ドアを開けたと同時に水がザバー・・・。あっという間に膝上まで水に。泣きながら荷物を頭に乗せて途方に暮れていれば、どこからともなく大勢のフィリピン人たちが集まりはじめ、「家はどこだ」「助けてやる」と車を押してくれました。中には傘を差してくれる人もいましたが、もちろん無意味。その時点で全身ずぶ濡れでしたし。

と、なんとかコンドミまで辿り着いたのですが、皆さん笑顔でお金を要求してくれます。

あぁ、もう、これさえなければ美談で済むのに・・・。ケチりにケチったチップを渡し、残ったのはずぶ濡れの日本人と壊れた車。やっぱり会社で一晩明かせばよかった・・・。

これに懲りて二度と台風の日に外に出ることはしませんでしたが。同僚らは何度もアタックし、何度も同じ目に遭っていました。(笑)確かに台風が来ると電気も止まるし、暇になるから外に出たくなるのは良く判るんですけどね・・・。


< 乗車中の注意事項 >

  • ドライバーが運転の自家用車に乗車の場合、基本的には後ろの席に座ること。
  • 予断ですが、ドライバーがいる場合、助手席は一番下の席になります。しかし、友人が運転の場合は必ず助手席に!(これって、常識。マナーです)
  • 暑さよけと治安維持のために自家用車もフロント以外全てをフルスモークにして、中を見られないように対策をします。
  • 乗車中は、必ず全てのドアのロックをするように。(ドライバーに徹底させると良いでしょう。)
  • 車の乗り降り(特に人気のない駐車場など)は、カーナップにあう可能性あり。ドライバーのいる車なら、乗り降りは建物の出入り口で人目のあるところにしましょう。
  • 買い物した大きな荷物は、必ずトランクに入れること。特に車を離れる場合、車上荒らしにあう可能性ありですから。
  • 物乞いはマカティの街中にもいます。スモークの窓ガラスにしていても、両手で光をさえぎって中を覗く子供たちに出会うでしょう。物乞いも、物売りも、断る場合は視線を合わせずに窓ガラスを3回叩きましょう。決して窓ガラスをあけないように。
  • あめ玉や小銭をあげようと窓を開けることで、物乞いが車に集まり事故を起こして大変なことになる場合もありますから、中途半端な気持ちは厳禁です。
  • マカティにも子供を抱いた物乞い、目の悪い人を連れての物乞いが何人もいます。可愛そうだと思うでしょうが、BABYはレンタルの場合が多く、よくよく観察すると、日替わりで母親役が変わることも。自分の大事な子供を排気ガスたっぷりの路上で1日中過ごさせるなんてしないそうです。路上で儲けた小銭は、離れたところに待機している元締めがほとんどポケットにいれるらしいし。
  • 日本人に限らず、外国人の女性が運転している場合、警官にしょっちゅう車を止められ、難癖つけられて金をせびられます。ランチタイムは特に注意。
  • フィリピン人は高血圧が多く、ドライバーが運転中に亡くなるというケースも良くあります。ドライバー(&メイド)の健康診断は毎年きちんとやりましょう!50歳以上の運転手は特に注意です。そもそも、ドライバーは、運転手と言う仕事以外にもボディーガードであって欲しいので、あまりお年のドライバーはお勧めできません。
  • パッシング
  • 日本の場合、公道での右折や左折、擦れ違いなどにする「パッシングサイン」の意味は、主に「道を譲ります」「お先にどうぞ」という暗黙のサインですが、フィリピンの場合は「こっちが先に行く」「さっさと退け」という真逆の意味に。最初の頃は意味を知らず、「親切だな~」と大勘違い。事故らないように気をつけて!