note記事『社会科学のアイデア<2>経済学編 個人通貨』を転載します。

2021.07.03

以下は今日の弘学研 gugakuken (noteアカウント)からのnote記事の転載です(2021年7月3日)。


今回は社会科学のアイデアの第2弾 経済学編、『個人通貨 各個人が発行する仮想通貨と贈与経済』(仮題)の研究内容を、研究ノートからの書き起こしという形で公開します。


『個人通貨』とは各々の個人が発行主体となる仮想通貨です。現代の情報技術で誰もが自分の通貨を持つことができます。個人通貨の要点は貨幣価値を個人毎に算出できることであり、これによって各個人の貢献を正当に評価することが可能になります。個人通貨制度は貨幣と株式を統合し、市場の失敗や貧困の問題を解決し、贈与の経済を実現し、資本主義を進化させるでしょう。この個人通貨システムの実装に向けて基本となるアイデアと予想される課題を今回論じます。


この研究内容は当初は前回の社会科学のアイデア第1弾の政治学編と同様に連続ツイートという形で発信を計画していました。しかし、私の心身の状態が悪くなり、特に不眠が続いて頭が動かず、文章を組み立てることができなくなってしまいました。結局、原稿の執筆を続け、書き上げることは難しいと判断し、断念しました。

予め研究ノートの該当箇所のほぼ全文をテキストとして書き起こしていたので、要約・省略した部分も改めて書き起こして、このテキストをnoteに公開することにしました。論点は研究ノートに書き綴った順に時系列に並んでいて、内容的には前後しています。文体も整えていませんし、文章にまとまっていないので読みにくいとは思いますが、ご容赦頂けると幸いです。元々公開する予定はなかったので少し恥ずかしいですが、問いや間違いも含めて私の思考の試行錯誤の過程を共に辿っていくつもりで読んで頂ければ、少しは面白い読み物になるかもしれません。


このnote記事では、書きかけの連続ツイートの原稿(冒頭部分)、原稿の構成案、原稿執筆用に作成した論点の整理、研究ノートの書き起こし(該当箇所の全文)、参考文献、の順に以下に掲載します。

(この記事全体で3万字を超える文章量となりましたので、お時間のある時にお読み頂ければ幸いです。)

これらの内容は私のウェブサイトにも転載する予定です。



ツイート原稿(書きかけ)

今日は今から社会科学のアイデアの第2弾 経済学編、『個人通貨 各個人が発行する仮想通貨と贈与経済』の連続ツイートを始めます。現代の情報技術で誰もが自分の通貨を持つ経済を実現できるという構想です。新しい貨幣制度は資本主義を進化させて様々な問題を解決するでしょう。では始めます。


最初に個人通貨制度の概要を示します。個人通貨とは各個人が発行主体となる仮想通貨です。従来の通貨制度では貨幣発行権を国家が独占していました。また、昨今現れた仮想通貨はデジタル情報の資産ですが、発行権はシステム運営者にあります。対して、個人通貨の貨幣発行権は全ての個人が有します。


個人通貨の発行主体は各々の個人です。各個人は財やサービスを買う時に自分の個人通貨を発行します。財やサービスを売る側は相手の個人通貨を受領します。買う側と売る側が財・サービスと個人通貨を交換することで売買の契約が成立します。これが個人通貨制度における市場の基本となるルールです。


個人通貨の貨幣価値は発行するほど下がっていきます。ただ自分の個人通貨を発行するだけでは価値が暴落するのみです。自分の個人通貨の貨幣価値の担保となるのは財・サービスの生産の対価に他者から受け取った個人通貨です。貨幣発行で利益を得るには生産によって貨幣価値を上げる必要があります。


個人通貨制度の下で財やサービスを買うには提示されている標準価格と等価な量の自分の個人通貨を発行します。自分の個人通貨を新規発行すると貨幣価値が下がります。自分の個人通貨の貨幣価値を維持、上昇させるには生産を通して他者から受領する個人通貨の保有資産の量を増やすことが必要です。


個人通貨は仮想通貨、デジタル情報としての暗号資産に位置付けられます。個人通貨の取引や為替レートはシステム上で記録、管理されます。ユーザーは情報端末で自分の個人通貨の利用状況を確認し、売買などの契約を行います。個人通貨のシステムを全国民に提供するのは中央政府の役割となります。


※ 以下は加筆分です。


ある人の個人通貨の貨幣価値の計算式:

ある人の個人通貨の貨幣価値={その人が受け取った他者の個人通貨の貨幣価値×保有量(総受領量)}の合計/その人の個人通貨の流通量(総発行量)


以上より以下の等式が成り立ちます。

ある人の個人通貨の貨幣価値×総発行量=(その人が受け取った他者の個人通貨の貨幣価値×総受領量)の合計

⇒その人が受け取る富(インプット)=その人が与えた富(アウトプット)


重要な点は従来の通貨が二者の交換の利他的関係を成立させた時点での貨幣価値に保存されるのに対し、個人通貨はその後も他の他者との贈与の利他的関係を創発する度に貨幣価値が変化し続ける点です。このため、個人通貨制度は各個人の労働(貢献)の価値を従来の通貨制度よりも正当に評価できます。


具体的には、個人通貨制度の下では、ある人Aが富を与えた人Bがさらに他の人Cに富を与えると、その人B自身の受け取る富が増えるのと合わせて元の人Aの受け取る富も増えることになります(再帰計算されます)。個人通貨は即時的な交換だけでなく長期的な贈与をも実現する経済原理となります。


個人通貨は市場では短期的な交換を仲介する手段として機能します。一方、商品の対価を受け取る者は相手のその後の長期的な生活・生産の向上すなわち贈与に寄与することで個人通貨の貨幣価値の上昇の恩恵を受けられるようになります。結果、搾取は避けて、長期的な利益を見込める価格を志向します。


個人通貨は株式としての機能も持ちます。さらに、富める人よりも貧しい人に投資した方が相手の生活・生産の向上を通じたその人の個人通貨の貨幣価値の増大を実現しやすく、対価として受領した自分の保有資産もより大きく増える公算が高くなります。個人通貨制度の下では貧しい人に富が集まります。


個人通貨制度では自分の個人通貨の発行量が負債、他者の個人通貨の保有量が資産となります。家計や企業は負債が資産を上回り個人通貨(法人通貨)の貨幣価値が暴落しないよう、発行量は保有量で制限されます。経済全体では政府が全ての負債を引き受け、各人は有限責任の下でリスクに挑戦できます。


個人通貨のシステムは取引の記録の匿名化・暗号化が要求される一方、貨幣価値の計算に膨大かつ多重の処理が必要です。P2Pのブロックチェーンで取引を分散台帳に記録しつつ、中央サーバーで貨幣価値を計算するといった併せ技が必要かもしれません。量子コンピューター等の新技術にも注目します。



構成案

個人通貨

・個人通貨の概念

・個人通貨の革新

制度の実装

・個人通貨の計算

・個人通貨の制度

貨幣と株式

・貨幣の機能

・株式の機能

経済の改革

・資本主義の変革

・労働者への恩恵

・市場の改革

・贈与の経済

政府の役割

・中央政府の役割

・個人通貨の運営

・個人通貨の実現



論点整理

◇個人通貨

個人通貨の概念

・個人通貨…各個人が発行する仮想通貨、貨幣発行権を国家ではなく各個人が持つ通貨制度

・個人通貨の発行主体は各個人、財やサービスを買う時に発行、売る側は相手の通貨を受領

・個人通貨の貨幣価値は発行するほど下がっていく、発行するだけでは価値が暴落するのみ

・個人通貨の貨幣価値は生産の対価に他者から受け取った通貨の保有資産の量が担保する

・貨幣発行で利益を得るにはリアルの世界の生産で信頼関係を築き貨幣価値を上げる必要

・財やサービスを買うには標準価格と等価な量の貨幣を発行する、新規発行で価値は下がる

・個人通貨の取引や為替レートはシステムで記録・管理される、中央政府がシステムを提供

個人通貨の革新

・個人通貨は個人の信頼度を貨幣価値に反映しインプット・アウトプットを評価する仕組み

・その人が利他的に行動し個人通貨の価値が上がれば所有する人、与えた人の資産も増える

・個人通貨は投資も可能、相手と兌換し生活・生産の向上で価値が上がれば資産も増やせる

・個人通貨は株式の性質も持つ、取引した者同士は運命共同体、信頼創発で生活・経済成長

・従来の貨幣は即時的な交換の手段、その後は価値が国家経済と連動、個人の努力とは独立

・個人通貨は長期的な贈与の手段に、個人の貢献を正確に反映、株式の機能、変動も計算可

・貨幣は全体・保存、株式は個人・変化、個人通貨は貨幣と株式を統合、実体・金融経済も

・個人通貨のシステムは人間の関係性を価値の基準に、正当に評価、利他的関係が経済成長

・個人通貨は現代の情報技術で全国民、全人類の協力的関係を創発、普遍救済を実現する


◇制度の実装

個人通貨の計算

個人通貨の制度

・個人通貨の取引のルール…他者から受け取った通貨は保有資産、決済は自分の通貨を発行

・個人通貨の貨幣価値の計算のアルゴリズム…保有資産に比例、発行量に反比例、多重計算

・個人通貨の貨幣価値の計算式…個人通貨の貨幣価値=他者通貨の保有量/自己の発行量

・自己の個人通貨の貨幣価値×発行量=他者の個人通貨の貨幣価値×保有量、利己=利他

・従来の通貨は交換時の価値が保存、個人通貨は贈与(利他的関係の創発)毎に価値が変化

・財やサービスを買う時に自分の個人通貨を新規に発行し、売り手が受領して取引が成立

・個人通貨の基本用語…発行量(支出)、流通量(負債)、受領量(収入)、保有量(資産)

・個人通貨は発行するほど価値が下がるから積分値が財・サービスの価格と一致する分発行

・財やサービスは標準価格を表示、自分の個人通貨も標準通貨に換算、価値の変化には意義

・他者の資産が減る恐れ、個人通貨の発行限度額は保有資産が上限、貨幣価値は常に1以上

・個人通貨の三面等価、他者が支払った生産=自分が受け取った分配=自分が支払える支出

・個人通貨のフローとストック、受領(所得)、発行(消費)、受領-発行=個人通貨の資産

・各企業は法人通貨の発行主体、法人通貨で他の企業や個人と取引し、構成員に利益を分配

・個人が死亡、企業が倒産しても個人通貨・法人通貨は利益分配し記録は残す、関係は続く

・寄付は対価を受け取らずに相手に入金、無償労働は計上されない、純粋贈与は捉え切れず

・取引は現行の仮想通貨と同様に秘密が保たれる、お金が移らず返金や不正への対応も可能

・個人通貨、日本だけで1億流通、貨幣価値の再帰計算は無限、量子コンピューター等?

・ピア・トゥーピアかクライアントサーバか?両者を統合?分散台帳と中央量子サーバー?

・通貨の区別、貨幣価値の計算を無くせば従来の通貨と同じ、技術的制約を回避、将来改良


◇貨幣と株式

貨幣の機能

・貨幣の基本的機能①価値尺度…現代ではシステムが管理、各個人の貢献を適正に算出する

・貨幣の基本的機能②交換手段…信頼度はシステムで算出、消費と生産を公正に均衡させる

・貨幣の派生的機能③貯蔵手段…記録はシステムで管理、経済活動の実態を完全に反映する

・貨幣の派生的機能④支払手段…信頼度はシステムが担保、長期的に健全な関係を構築する

・個人通貨の貨幣の機能を整理①価値尺度②交換手段③貯蔵手段④支払手段

・貨幣の派生的機能⑤世界貨幣…各国のシステムを連結、経済統合の最重要基盤、普遍経済

株式の機能

・資産選択は個人通貨を財サービスの売買か投資、信用の貸し借りに発行する制度で一元化

・個人通貨は他者と取引が可能、生産向上で価値上昇、株式の機能、転売は不可、長期成長

・「期待」でも個人への支援が為される、価値の上昇が見込まれる個人通貨は投資の対象に

・株式は生産向上を保証しない、売り買いされ投機、個人通貨は転売不可、確実な経済成長

・資本主義は長期的に利益を生むが労働も本当は長期的な貢献、個人通貨は価値を反映する

・労働者の賃金は法人通貨、剰余価値も配当、株主として影響力、労働は経営を含む概念に


◇経済の改革

資本主義の変革

労働者への恩恵

市場の改革

贈与の経済

・従来の国家通貨は価値が全国民の総体で決まる、個人の資産は当人の寄与を反映しない

・個人通貨は貨幣価値、個人の資産が各個人とそれを取り巻く関係主体の生産向上で決まる

・従来の通貨は国家が発行主体、一国家に一通貨、市場の需給もマクロで、個とのギャップ

・個人通貨は個人が発行主体、一人に一通貨、需給は個人の消費生産、個の選択を直接反映

・国家通貨は分配は政府が行う必要があった、個人通貨は個人から個人へ分配を促す機能も

・政府が貧困者の個人通貨を買いオペして経済的支援を実施できる、BIも組み込みが可能

・同じ額の投資なら貧しい人に投資した方が資産が増えやすい、資本主義と社会主義を統合

・富は消費性向の高い貧困層に向かい消費増、生活向上、さらなる生産増加、持続的な成長

・投資が商品の生産だけでなく人間の消費の拡大に向けて行われ、最適化、健全な経済発展

・法人通貨の価値の増大の恩恵は労働者の資産にも継続的に及ぶ、剰余価値の利潤が家計に

・弱い企業に投資が集まるので、富が富を生む性質による大企業の不当な市場の独占を防ぐ

・市場で商品の対価を得る者は相手の長期的な生産への寄与で利益を見込み、搾取を避ける

・寡占価格で超過利潤を搾取すると相手の貨幣価値が上昇しないので、最適価格を志向する

・協調的寡占による管理価格の設定や非価格競争で消費者を搾取すると、自らに損失が返る

・市場は商品の価格の自動調節機能、個人通貨は人間の労働(貢献)の自動評価機能を実現

・自分の発行や資産変化の度に他者の資産へ影響が及ぶ、責任ある消費、投資、生産の励み

・個人通貨制度は交換の成立後、相手の主体的選択で返礼が為される贈与の経済を実現する


◇政府の役割

中央政府の役割

個人通貨の運営

個人通貨の実現

・中央銀行の役割①発券銀行…貨幣発行権は各個人に移る、限度額が切れたら政府が保護

・中央銀行の役割②政府の銀行…政府も一発行主体に、租税、政府通貨(国債)の発行給付

・中央銀行の役割③銀行の銀行…各人の商取引はシステム上で、政府はシステムの管理運営

・中央銀行の役割④金融政策…各人の利益追求と均衡で健全な経済発展、システムで支援

・財政政策の役割①景気の調整…部分集団で景気動向を把握、施策を実施、システムに組む

・財政政策の役割②所得の再分配…政府通貨で生活保護、資産課税、個人間の再分配も促進

・財政政策の役割③資源配分の調整…政府が中心に、社会資本の供給はSNS選挙で適切に

・租税の原則①公平②明確性③便宜④徴税費最少…個人通貨のシステムで完全・最上に実現

・家計が資産、企業も、政府が負債を全て引き受け、通貨は政府の債券、MMT、有限責任

・銀行の信用創造、各経済主体が売買貸借の際に発行受領で代替、通貨量は経済の実態に

・貨幣価値の上昇下落は小さな単位で、迅速かつ細やかに対策、副作用を軽減、自動化、BI

・個人通貨は各個人・各法人が発行主体、究極の分散型経済、個が豊かな関係性で結び付く

・個人通貨システム、普遍の原理、国家間に拡張、地域統合・国際統合、全人類の経済統合

・個人通貨のシステムは全ての個人が利用、国家的事業、技術開発は学術機関が主導、弘学

・第四次産業は人々の心を繋ぐ、関係を創成する産業、日本が個人通貨システム開発を主導



研究ノート(書き起こし)

・仮想通貨を各個人が発行できるようにしたらどうなるか?

→従来の通貨が市場で交換の手段として使われていたとすると、『個人通貨』は贈与の手段として使えるのだろうか?利他的関係を双方向的なものから循環的なものへ発展させる上で『個人通貨』が機能を担えるのだろうか?

→むしろ個人の信用度もとい信頼度が個人通貨の貨幣価値に反映され、その人のインプット(利己)とアウトプット(利他)の差分、比率を評価できる仕組みを経済に組み込めるようになるのか。その人が利他的に行動し、その人の個人通貨の価値が上がれば、その人の個人通貨を所有している人すなわちその人と利他的関係(交換)もといその人に利他(贈与)を与えた人の資産も増える。


・個人通貨が実現すれば誰もがお札の顔になれるわけだ(笑)ただしその貨幣価値は己の善行次第である。偉人のようになるには功徳を積まねばならない。


・個人通貨で通貨発行益を得ようと自分の個人通貨を増刷してもそれを財・サービスの消費に回すだけで自分で利他的な生産を行わないなら貨幣価値が暴落して資産が減るだけだ。一方自分が発行した個人通貨をまだ信頼度が低くその人自身の個人通貨だけでは生計を立てられない人に寄付あるいは投資してその人の個人通貨と任意の比率で交換すれば、その人が生産を行えるようになってその人の個人通貨の価値が上がると自分の所有する資産も増えることになる。ただし個人通貨の兌換の比率を法外な値に設定すると、結局その人の生活が向上せずその人の個人通貨の価値も上がらないので自分の資産も増えない。:個人通貨の投資の図

→自分の個人通貨の寄付は貨幣価値の相場が許す限り任意に行える。また自分と他人の個人通貨の交換は両者の合意の下で任意の比率で行える。交換で得た他人の個人通貨の価値が上がるかは相手の生産向上次第なので搾取しても自らの資産は増えない。

→個人通貨は個人単位の株式のような性質があり、取引が成立した者同士は運命共同体となり、この信頼関係の創発によってお互いの生活の向上、ひいては経済全体の成長が実現する。


・従来の「国家通貨」は貨幣価値は全国民の生産向上の総体で決まるだけで、個人の資産は必ずしも当人の生産向上への寄与を反映しないし、分配も政府が担う必要があった。

対して『個人通貨』は貨幣価値ひいては個人の資産が各個人とそれを取り巻く関係主体の生産向上で決まると共に、個人から個人への分配を促す機能も組み込まれている。


・個人通貨においても政府が貧困者の発行する個人通貨を買い占めることで経済的支援を実施することもできる。言わば個人通貨の買いオペであり、実質的にはベーシックインカムをシステマティックに組み込むことが可能となる。個人通貨のシステムは個人から個人への再分配を促進しつつ政府から個人への再分配も効率的・効果的に実施できる。


・個人通貨の発行主体は各個人である。貨幣発行によって利益を得るにはリアルの世界において利他によって信頼関係を創発して貨幣価値を上げる必要がある。個人通貨の取引や為替レートは分散台帳、ブロックチェーンで管理される。中央政府は全ての個人に計算資源を提供する。


・個人通貨の本質的な革新は何か?

→従来の貨幣が即時的な「交換」のための手段であったのに対して、個人通貨は長期的な『贈与』の関係を構築するための手段となるのか。価値が変動し得るからである。

→個人通貨はもっと大きな問題、例えばデフレを解決する機能があるのではないか。

→個人通貨は貨幣と株式を統合させることに本質があり、これによって実体経済と金融経済の乖離を防ぐ役割を担えるのではないか。これこそ資本主義が抱える最大の問題であろう。個人通貨は株式(会社)によって始まった資本主義を終わらせるのだ。貨幣には価値を保存する機能がある。従来の通貨は生産を行った者の貢献に対して交換によって対価を与えるという利他的関係の創発の役割が確かにあった。しかし一旦通貨が支払われると、その通貨の価値は受け取った当人のその後の生産への寄与ではなく主に国家全体の人々の生産と連動して変化することになる。これによって資産はそれを持つ者の努力とは独立に自己増殖するようになる。資産を持つ者がこのようにして得た新たな富はもちろん不当なものであり、この一方的関係、利己的関係はその反対で不当に奪われる者を生み出し、利他的関係の創発すなわち経済の成長を阻害する。このような過程が具体的には実体経済と金融経済の乖離として現れる。バブルは富の自己増殖の暴走によって起こる。デフレも物価の下落の反対側で貨幣価値の増大を招き、富の自己増殖は生産者、特に労働者による貢献を安く買い叩くという形となって利己的関係、経済の縮小を生じる。

貨幣に保存の機能があるのに対して、株式は価値が変動する。貨幣は国家経済全体と価値が連動するが、株式は個人(あるいは企業)の生産の努力と連動して価値が変動する。株式の方が個々人の生産への貢献をより正確に反映したものであるが、決済には使えず、交換の手段としては一般に用いられない。価値の変動が速過ぎて管理できなかったというのも交換の手段に用いることができなかった本質的理由であろう。しかし現代のブロックチェーン、分散台帳の情報技術であれば、個人の株式を通貨の如く決済、交換の手段に採用することは可能である。これによって個人の生産への寄与を直接反映した個人通貨が誕生する。

古代には貨幣が価値を保存する手段として生まれ、これが国家全体で交換のために用いられるようになった。近代には株式が価値を生み出す変化の手段として現れ、これによって個人は新天地を開拓していった。そして現代では貨幣と株式を統合した個人通貨が全体・保存と個人・変化を融和させる手段として情報技術によって実現し、これが全国民、全人類の協力的関係の創発、普遍救済の経済の完成を可能としようとしている。個人通貨は全人類を救う。『我は金なり』、”I am money.”。

→indivisual money?personal money?


・資本主義の本義は「資本」すなわち生産手段にあるが、これと個人通貨の本質はどう関わるか?

→資本は一旦導入されれば継続的に富を生み出し続ける。対して労働は人間が提供したその時にだけ即時的な交換として対価が支払われるだけである。しかし労働も人々の生活の向上を通して長期的な恩恵を与えている。従来の貨幣は価値を保存するだけであり、価値の変化は国家全体の生産の向上に連動するのみであるから。個々人の生産への長期的貢献は反映されない。加えて富を多く持つ者は貨幣を長期的に保有することができ、それによって国家全体の生産の向上の恩恵を余分に受けられる一方で、富を持たない者は貨幣を短期間しか保有できず、国家全体の生産の向上の恩恵をあまり受けられず、割を食っている。

個人通貨は労働を含む生産の対価として支払われる時、もちろんその時点では即時的な交換となるが、その生産の恩恵を受けた買い手が将来自らの生産を増やしさらなる他者へ恩恵を与えると、その買い手の個人通貨の価値の上昇を通じて元の売り手の保有資産の増大ひいてはその売り手自身の個人通貨の価値の増大を生じる。個人通貨はこのようにして労働も含む個人の生産への長期的な貢献を当人の個人通貨の価値に反映させることができる。

→他者から支払われたその人の個人通貨は受け取り手が他との決済に直接用いるのではなく、その受け取り手の保有資産もとい信頼関係の創発の記録としてその受け取り手が自身の個人通貨を発行する際の担保となり、受け取り手が別の他者と決済する際にはその受け取り手自身が発行した自分の個人通貨を用いる、というシステムが良いのだろう。

→個人の生産への長期的な貢献も個人通貨の価値に反映されるということは「期待」によっても個人通貨への投資を通じた個人への支援が促されるということだ。将来成長が見込まれる個人の個人通貨は他者から個人通貨の兌換による投資が為されることになる。

個人通貨は保存の性質を持つ貨幣に変化の性質を持つ株式の機能を与える。


・個人通貨は変化の性質を持つ株式に保存の性質を持つ貨幣の機能を与えることにもなると考えられるが、具体的にはどういうことか?

→株式は本来はモノの生産の向上のために発行されるが、それ自体はモノではなくモノの生産の向上を必ずしも保証しない。加えて株式には決済の機能がなく、それ自体は貨幣と交換する形で売り買いされる。この結果貨幣市場と株式市場の閉じた系の中で無際限な売り買いすなわち投機が起こり、金融経済と実体経済が乖離して実体経済を疲弊させる。個人通貨は他者から買うことはできるが、買った他者の個人通貨は転売することができないようなシステムの設計となっていて、ブロックチェーンによって監視される。買った他者の個人通貨はその他者の他の他者への貢献すなわち生産によってしか価値が上昇しない。たとえ個人間で個人通貨の売買を拡大しても、それが二者や少数の個人間の利他的関係、金融経済に閉じている限りはそれらの個人が得られる富は増えない。個人通貨は株式の価値を適正に保存し、利他的関係の拡大、モノの生産の向上を通じた確実な実体経済の成長、開かれた高次の系の創発を促す。


・個人通貨のシステムはどのようなアルゴリズムで実現できるか?

特に各個人の個人通貨の貨幣価値、信頼度をどのようにして算出するかが問題だ。

→基本的には他者から受け取った個人通貨の総資産がその人の個人通貨の貨幣価値を決めるのか。当人が発行した自身の個人通貨の流通量には反比例することになるか。他者から受け取った個人通貨も発行量やその人が保有する総資産によって貨幣価値が変動することになるから、かなり多重の計算を常時繰り返す必要がありそうだ。

→このシステムはダイアログラムで表現できるのではないか。決定論的なアルゴリズムと個々の人間の発行や売買の選択という確率論が合わさった選択論による関係創発を表現するシステムとなるだろう。

→この個人通貨の選択論による関係創発のシステムは量子コンピューターによって意識を創造する過程と同形の構造を持つのではないか。あるいは逆に個人通貨のシステムを現実的に運用するには量子コンピューターの実用化が必要となるのかもしれない。両分野の研究・開発は協力して為されるべきだ。

→ある人の個人通貨の貨幣価値の計算式:

ある人の個人通貨の貨幣価値=(その人が受け取った他者の個人通貨の貨幣価値×保有量)の合計/その人の個人通貨の発行量(流通量)

以上より以下の等式が成り立つ。

ある人の個人通貨の貨幣価値×発行量=(その人が受け取った他者の個人通貨の貨幣価値×保有量)の合計

⇒その人が受け取る富(インプット)=その人が与えた富(アウトプット)

重要な点は従来の通貨が二者の交換の利他的関係を成立させた時点での貨幣価値に保存されるのに対し、個人通貨はその後も他の他者との贈与の利他的関係を創発する度に貨幣価値が変化し続ける点である。すなわちある人が富を与えた人がさらに他の人に富を与えると、その人自身の受け取る富が増えるのと合わせて元の人の受け取る富も増えることになる(再帰計算される)。すなわち個人通貨は即時的な交換だけでなく長期的な贈与をも実現する手段となる。


・政府の役割は個人通貨システムの導入後はモノの生産の元になる資源・エネルギーの管理・分配となるか。


・政府が各個人にベーシックインカムとして政府通貨を与えれば、全ての個人が最低限度の富を受け取れる。


・その人が死んだらその人の個人通貨はどうすべきか?

→永久に保管・記録しておけば良いのか。

その人が死んだ時点でその人の個人通貨が新たに発行されることはなくなるが、生前にその人が使った個人通貨は死んだ時点でその人が保有している他者の個人通貨に基づく貨幣価値が保存された状態でその人の個人通貨を保有している他者の個人通貨の貨幣価値を担保することになる。その人の個人通貨を保有している他者が死んだ場合も、同様にしてまた別の他者の個人通貨の価値を担保し続ける。このようにして個人通貨の価値は世代を経て蓄積され続けるのであり、それが人類の利他的関係(信頼関係)の創発の歴史となっていく。


・個人通貨の下で物価はどのように定義されるのか?

また個人通貨の下では物価はどのように推移するか?あるいはどのように調整するべきか?個人通貨制度の下での物価調整の目標および方法とは?あるいは特に調整しようとしなくてもシステムが最適化するようにビルトインされているのか?


・個人通貨のやり取りは現行の国家間の通貨のやり取り、為替に相当するか。『個人間貿易』と見れば既存の経済学の知識を活かせるかもしれない。


・個人通貨制度の下では企業はどうなるのか?

→各企業が『法人通貨』なるものの発行主体となり、他企業や個人と取引し、外部からの収益は一旦法人通貨として受け取り、そこから各構成員の個人通貨に利益を分配する形となるか。これなら個人通貨制度の下でも個人が組織を作って活動できそうだ。


・個人通貨を実現するには量子コンピューターがパソコンもといスマホ位のサイズで携帯できるような形で実用化されないといけないのか。かなり先になりそうだ。

→量子コンピューター自体はサーバーに置いておいて携帯端末はサーバーにインターネットでアクセスするという方法でも良いのだろうか。ブロックチェーンの技術は必要ないのかもしれない。


・権力分立を徹底していくと最終的には『個人分権』へと行き着く。SNS選挙は各個人の直接投票を原則とし、個人通貨は各個人が貨幣発行権を有するものだ。


・従来の通貨は国家が発行主体であり、一国家に一つの通貨しかなく、市場の需要と供給の関係もマクロ経済全体で決まるため、個とのギャップが避けられなかった。

個人通貨は各個人が発行主体となるから、一人に一つの通貨が対応し、需要と供給の関係も各個人のインプットとアウトプットに相当し、個の選択論を直接反映できるシステムとなる。


・個人通貨で財やサービスを買う時はその財やサービスの『標準価格』と等価となるだけの量の自分の個人通貨を発行してそれを売り手に入金する。

自分の個人通貨は、他者から受け取る個人通貨の保有資産が増えない限り、新規発行するにつれて貨幣価値が下がっていくので、無際限に財やサービスを買うことはできない。


・『標準価格』の概念をもっと考察した方が良いか?


・個人通貨制度の下でも経済の景気変動は起こるのだろうか?


・『個人経済』⇔「国民経済」、個人主体としての生産と消費。


・以下、従来の貨幣を『共同通貨』と呼んで、『個人通貨』と対比する。


・貨幣の基本的機能①価値尺度は、共同通貨では同一の通貨を用いることで実現していた。人間が管理するためにはあまり多くの種類の通貨を流通させることはできなかったからこれは妥当であったろう。一方現代では仮想通貨をシステムに管理させることができ、多くの通貨が流通しても貨幣価値は自動で算出できるから、各個人が異なる貨幣価値を有する自分の通貨を持つことができる。

共同通貨の貨幣価値は一国家の全国民の努力によって増大するため、必ずしもそれを保有する個人の貢献を適正に反映しない。対して個人通貨の貨幣価値はそれを発行する個人の他者への貢献を適正に反映する。具体的には、その人のインプット(=自分の個人通貨の発行量×貨幣価値)やアウトプット(=他者の個人通貨の保有量×貨幣価値)が正確に計算される。

従来の貨幣が持っていた価値尺度の機能を個人通貨は適正に実現する。


・貨幣の基本的機能②交換手段は、共同通貨では具体的な品物が持つ価値や国家が持つ信用によって担保されていた。人間が管理することを考えると多種多様な個人が発行した貨幣は信用できるものではなかっただろう。一方現代では仮想通貨のシステムによって個人の生産と消費の関係からその人の信用、個人通貨の貨幣価値を算出でき、交換手段に利用できる。

共同通貨は全国民の経済活動と貨幣価値が連動するため、必ずしもそれを保有する個人の貢献と報酬を長期的に公正に均衡させるものではなかった。対して個人通貨は常時貨幣価値を再計算して、その人のインプットとアウトプットが等価となるようにバランスさせる。

従来の貨幣が持っていた交換手段の機能を個人通貨は公正に実現する。


・貨幣の派生的機能③貯蔵手段は、共同通貨では品物の価値や国家の信用によってほぼ担保されていた。素性の分からない個人が発行した貨幣ではその信用や価値は判断できず、富を貯える手段にするには難しかっただろう。一方現代では仮想通貨のシステムによって各個人の生産と消費の取引の記録が共同で管理できるので、その人の個人通貨の貨幣価値も確実に算出でき、他者が保有資産とできる。

共同通貨は全国民の経済活動と貨幣価値が連動するため、短期的な取引による資産や負債が長期的に引き伸ばされて増減し、その人の経済活動と乖離するものとなり得た。対して個人通貨は常時その人のインプットやアウトプットを再計算して変化させ、その人や取引した人々の経済活動の実態を完全に反映する。

従来の貨幣が持っていた貯蔵手段の機能を個人通貨は完全に実現する。


・貨幣の派生的機能④支払手段は、共同通貨では信用が担保されていることで、それを貸し借りすることで他者に信用を与えて生産活動の糧とすることができた。個人が発行した貨幣では信用が担保されないので、信用取引の清算に用いることもできなかっただろう。一方現代では仮想通貨のシステムによって個人通貨の信用も担保されるので、それを他者に投資することで生産活動を助力することができる。

共同通貨は短期的な交換で信用の取引が為されるため、長期的に取引相手に不利益を与えても自分は一方的に利益を得ることが起こり得た。対して個人通貨はお互いのインプットとアウトプットは永続的にリンクしていて、互いが長期的に受ける利益や不利益も互いに反映される。そうして個人通貨の取引は健全な経済的関係の構築を確実に進めていく。

従来の貨幣が持っていた支払手段の機能を個人通貨は健全に実現する。


・個人通貨の貨幣の機能を整理(参考:貨幣の機能)

①適正な価値尺度:各個人のインプットやアウトプットを適正に算出する。

②公正な交換手段:各個人のインプットとアウトプットを公正に均衡させる。

③完全な貯蔵手段:各個人のインプットやアウトプットを完全に推移させる。

④健全な支払手段:個人間のインプットとアウトプットを健全に連動させる。


・貨幣の派生的機能⑤世界貨幣は個人通貨ではどうなるか?

→基本的に個人通貨制度の導入は当初は国家単位で為されるだろうが、システムの基本式はシンプルで普遍的であるから、個人通貨制度を採用する国同士ではすぐにシステムの連係が検討されるだろう。システムが国を超えて連結されれば国家間の経済統合の最重要基盤が構築されたことになる。

個人通貨制度を導入した国の企業や個人が従来の国家通貨を維持する国の企業や個人と経済的な取引を行う時には、まず自国の政府と個人通貨を兌換してリアルの国家通貨を取得し、それを外国為替で相手国の国家通貨と両替した後、取引を行う、という手順となるだろう。

個人通貨は必ずしも従来の国家通貨を維持する国を排除するものではないが、この普遍的な経済制度を導入する国々の経済的連携は確実に拡大していき、やがては世界中に広がるだろう。

まさに個人通貨は普遍の『世界貨幣』の機能を実現するのだ。


・個人通貨はミクロの需要(インプット)と供給(アウトプット)を均衡させるものだが、マクロの経済の需要と供給の関係にはどのように寄与するか?

→マクロ経済では潜在成長率と実際の経済成長率のギャップすなわち供給能力と実際の生産量の乖離が取り沙汰されるが、その反対側には潜在的な需要の欲求と実際の消費量のギャップの問題が真因として存在し、それはお金の配分が適切でないことから生じる。

個人通貨は各個人のインプットとアウトプットを公正に均衡させることを通して、各個人に適切な量のお金が配分されることを実現できるだろう。これによって上述のマクロ経済の需要と供給の乖離の問題も解消できるか。言い換えれば個人通貨制度の下では過度なインフレやデフレ、あるいはバブルの膨張と崩壊は起こらなくなるのではないか。政府(中央銀行)ではなく各個人が貨幣発行権を行使することで物価調整は自然に果たされるということか。


・個人通貨制度の下で寄付すなわち対価を受け取らずに自分の個人通貨を他者に与えた場合、その人の消費、生産の向上によってその人と繋がる人々の消費や生産も向上していくこととなるだろう。元の寄付をした人は相手の個人通貨を対価として受け取っていないので、直接的にその人の生産向上の恩恵を受けることはない。一方でそのような生産向上が回り巡って寄付をした人の保有資産の増大ひいては生活向上に繋がる可能性は確かに在る。

一方個人通貨制度の下で無償労働すなわち他者の個人通貨を対価として受け取らずにその人を助けた場合、これは個人通貨のシステム上に計上されない形でしかし他者の生産向上をもたらし、そこから先に繋がる人々の消費や生産の向上に繋がっていくこととなるだろう。それが回り巡って無償労働をした人の保有資産の増大や生活向上に至る可能性も多分に在る。

基本的に寄付や無償労働は各個人のインプットとアウトプットの均衡を図る個人通貨制度の下では(あるいは従来の貨幣制度の下でも)イレギュラーな行為ではあるが、それらの意義は新制度においても否定されることも禁止されることもない。言い換えれば個人通貨制度は贈与の経済を実現するものであって、純粋贈与や供犠という在り方は新制度の下でも特異点で在り続けるということか。存在を創造する無は決して捉え切ることはできないというわけだ。


・実際の利用を考えると、個人通貨の保有資産は『標準価格』に換算されていた方が財やサービスの『標準価格』と比較する時に計算しやすいか。それでも保有財産が他者の貨幣価値と連動して変動することで真の富の量を示すことには公正を実現するという実際上の意義がある。


・自分の個人通貨は財やサービスを買うなど必要な時に必要量を新規に発行するという形となるだろう。この『発行量』と既に発行して使った『流通量』とを用語として区別する。また、財やサービスを売るなどして対価として新規に受け取った他者の個人通貨は『受領量』と呼び、過去に受け取った全体である『保有量』と区別する。

個人通貨の貨幣価値は基本式によって『流通量』と『保有量』から算出されるが、それらはそれぞれ総負債と総資産に相当するものである。実際に月給を得たり月々の支払いをしたりする時にはそれぞれ『受領量』や『発行量』を見ることになる。

『保有量』(資産)、『流通量』(負債)、『受領量』(収入)、『発行量』(支出)、いずれも普段は『標準通貨』に換算して見る方が経済活動を従来通りに行える。


・ある人が自分の個人通貨を発行した時、その人の個人通貨の貨幣価値の変化はその個人通貨を保有する人々の個人通貨の貨幣価値を変化させ、それがまた他の人々の個人通貨の貨幣価値を変化させ、元の人にも影響が返ってくるとなると計算処理は無限に続くことになる。基本的に個々の個人通貨の貨幣価値は極限においてある特定の有限な値に収束すると考えられるから、その値を算出すれば良いのだろうが、個人通貨の数が人口分だけ存在し、それぞれの移動量だけでなく貨幣価値も他の個人通貨との関係式の中で計算しないといけないとなると、現在流通している仮想通貨よりも遥かに膨大な計算処理が必要となると予想される。

個人通貨のシステムを実現するには処理速度や電力消費の問題を解決するような新しい情報技術が必要なのかもしれない。例えば、量子コンピューターや分子トランジスタなど。新技術の開発に合わせてソフトウェアの研究も必要となるか。人工知能も必要か。

→ある人の個人通貨の発行や取引の選択が他の個人通貨の貨幣価値に影響を与え、またそれがはね返ってくるというプロセスは無が正負根子対を生成し、その存在質量の影響が瞬時に宇宙全体に及んで、また影響が返ってくるという過程にも似ている。個人通貨のシステムの実現には無や正負根子を動作原理とする『根子コンピューター』のようなものが必要なのかもしれない。


・多数の他者から受領した個人通貨を元手にして自分の個人通貨を発行し、それを他の誰か一人との財やサービスの取引に用いるというプロセスは脳科学の情報の統合と選択の過程と同じだ。個人通貨のインプットとアウトプットの基本式には普遍性があるようだ。


・同じ額の自分の個人通貨を他者に投資する場合、富める人よりも貧しい人に投資した方がその人の消費・生産の向上を通じたその人の個人通貨の貨幣価値の増大を実現しやすく、対価として受領した自分の保有資産もより大きく増える公算が高い。

個人通貨制度は当人の生産向上の努力がその人の受け取る富に反映される資本主義の性質と貧しい人により多くの投資が向かいその人の生活の向上を促進する社会主義の性質を併せ持つ。「富が富を生む、富める者はますます富む」という従来の制度を改め、『努力が富を生む一方で、富が貧しい者に集まる』のが個人通貨のシステムだ。


・自分が消費や投資のために自分の個人通貨を発行する度にその貨幣価値の減少の影響が自分の個人通貨を保有する他者の保有資産に及ぶので、責任のある消費や投資の選択が求められる。

同様に自分が生産や投資によって自分の保有資産を増やす度に自分の個人通貨の貨幣価値の増大の恩恵が自分の個人通貨を保有する他者の保有資産に届くので、生産の努力や投資の判断をする励みともなる。


・個人通貨は他者との取引という形で投資が可能であり、生産向上によって貨幣価値が増大するので、株式としての機能も持っている。一方で他者の個人通貨は一旦受領したら他者に転売することはできず、自らの保有資産として持ち続けることになるから、従来の株式のように短期的な売買で利益を得ることはできず、長期的な生産向上に資する投資が促されることになる。


・市場は需要と供給の関係を通じて商品の価格の自動調節機能を持つが、これに加えて個人通貨はインプットとアウトプットの均衡を通じて人間の労働(貢献)の価値の自動評価機能を実現する。


・個人通貨制度の下では富は消費性向の高い貧しい者に集まり、消費が増え、生活改善が促されると共に、貧しい者への投資がさらなる生産の増大を呼ぶので、不況が発生せず持続的な経済成長を実現できるのではないか。

→むしろ投資が(商品の)生産だけではなく(人間の)消費の拡大に向けて行われることになり、これが最適化されることで健全な経済発展が実現されるのか。


・個人通貨制度の下では労働者は企業の法人通貨を賃金として受領することになり、その企業の法人通貨の貨幣価値の増大の恩恵は賃金の支払いを受けた後の労働者の保有資産にも継続的に及ぶことになる。これによって労働力によって生み出された剰余価値の利潤も資本家だけでなく労働者にも分配されることになる。この労働者すなわち家計への分配によって社会全体の消費力も増大するから、資本家の生産が社会全体の消費力を超えて恐慌をもたらすこともなくなるだろう。

→労働者が株式としての機能を併せ持つ企業の法人通貨を賃金として受領し保有資産とすることは従来の自社株買いにも似ているが、従来の自社株買いでは年収の全てを株として受け取ることは労働者の生計として難しかった。法人通貨ならば賃金の全部が株式としての機能も果たすことになり、労働者が生み出した剰余価値も適切に分配されるようになると考えられる。


・個人通貨制度の下で労働者に支払われた賃金が全額所属する企業の株式としての機能も有するとなると、人件費が生産費に占める割合から考えて労働者全体でかなり大きな影響力を株主総会もとい企業の経営に行使できることとなるだろう。

個人通貨制度の下でこそ労働者の団結は真に影響力を持つことになる。『個人通貨制度の実現に向けて』、「万国の労働者よ、団結せよ」。


・個人通貨制度は弱い企業に投資が集まることを促進することで市場の独占を防ぐ効力もあるのか。

→個人通貨制度の下でも規模の経済が働く市場では独占は防ぐことができないし、防ぐ必要もないのかもしれない。そのような財・サービスは公企業が供給したり公共料金を設定したりするべきか。

一方個人通貨制度は少なくとも「富が富を生む」という従来の貨幣の性質によって強い企業が不当に力を増して市場を独占することは防げるのではないか。


・日本銀行の役割①発券銀行は、個人通貨制度の下では貨幣発行権が各個人に移るため、中央銀行は役割を終える。

→一方で各個人の個人通貨の発行限度額を設定しておかないと、無際限に自分の個人通貨を発行して貨幣価値が下落し、その個人通貨を保有する他者に損害を与えてしまうことになるか。おそらくその人の他者からの個人通貨の保有資産によって最大発行限度額を決めれば良いのだろうが、どのようにして計算すれば良いのだろうか?

→よく考えると、個人通貨は発行量が増えるにつれて連続的に貨幣価値も下がっていくから、これで財やサービスを買うには発行量と貨幣価値の関係を表すグラフの積分値が買おうとしている財やサービスの標準価格と一致するだけの発行量を算出するという複雑な計算が必要だ。実用上はユーザーが理解しやすい表示にできるとは思うが。:発行量と貨幣価値のグラフの図、発行量×貨幣価値=保有資産≒定数、面積(積分値)=買おうとしている財・サービスの価格


・日本銀行の役割②政府の銀行は、個人通貨制度の下では政府の金融の役割も個人が各自で果たすことになるため、中央銀行は役割を終える。具体的には各個人は自分の生産から得た収入は他者からの個人通貨として受領し、自らの保有資産として記録される。各個人が消費を行う時は自分の個人通貨を発行して相手に支払うことで為される。また個人間で投資の取引をする時には両者の個人通貨を相手に振り込むことになる。以上のようにして各個人は自身の個人通貨をシステム上で管理し、商品の売り買いやお金の貸し借りを行うのである。


・各自の個人通貨には当人の保有資産に基づく発行限度額があるが、発行可能なお金を使い切って破産してしまった場合には政府が政府通貨をその人に入金することで生活保護とすることができる。一方で無際限に生活保護を受け続けさせるわけにもいかないので、当人が生産向上の努力を行うように行政が監督・指導する必要性は現行制度と同様にあるだろう。

また予め政府が各個人に一定の政府通貨を入金して最低限度の所得を保障するベーシックインカム(BI)も個人通貨制度の下で簡便に実現できるだろう。


・日本銀行の役割③銀行の銀行は、個人通貨制度の下では中央銀行というマクロな経済主体が銀行を含むミクロな経済主体から成るマクロな経済全体を制御する必要がなくなり、ミクロな経済主体である各個人の選択によってボトムアップでマクロ的にも健全な経済的関係を実現できるようになるため、中央銀行のこの役割も不要となるだろう。

強いて言えば個人通貨のシステムを運営・管理する重大な役割が政府あるいは中央銀行に新しく与えられることとなる。


・日本銀行の役割④金融政策は、個人通貨制度では各個人の利益追求とインプットとアウトプットの均衡、長期的な利他的関係の構築の機能によって自然に経済の安定的な発展を実現できるようになるため、やはり中央銀行は役割を終える。


・銀行の信用創造の仕組みは、個人通貨制度の下では各個人が商品を売り買いするために各自の個人通貨を発行・受領したり、信用を貸し借りするために個人通貨を取引したりすることで実現するだろう。銀行という一部の経済主体だけでなく全ての個人・法人・政府が個々の利益計算を基に経済活動を行う中で個人通貨の信用創造を実現していくなら、通貨の量が経済の実態からかけ離れることもなくなるのではないか。


・人間の脳の中に在る他者の利他的行動等を分散台帳のようにして記録していると言う「ブレイン・コイン」はおそらく個人通貨のシステムと同型のシステムを原始的な形で実現しているのだろう。脳の個人通貨のシステムは質的にはかなり優れているだろうが、一方で量的には有限なリソースしか持たない脳では完全なシステムは実現できなかっただろう。現代の、あるいは未来の情報技術なら質的にも量的にも完全な個人通貨システムを実現できる可能性があるのではないか。


・財政政策の機能①景気の調整は、個人通貨制度の下では経済全体に対してではなく個人や社会の部分集団の単位で利他的関係の創発の程度から景気動向を定義し、システムから算出、把握して必要な施策を実行して景気を調整するという形になるだろう。景気の自動安定装置の機能もシステム自体に組み込めそうだ。奇しくも現在のコロナ禍のように業界によって経済状況が異なっている場合に個人通貨制度の下での財政政策は威力を発揮しそうだ。


・財政政策の機能②所得の再分配は、個人通貨制度の下では政府が各個人に政府通貨を入金することでベーシックインカムや生活保護といった施策を実施できる一方で、個人通貨のシステムによって各個人の保有資産を把握することで資産課税も含めた徴税も容易に実現できるようになるだろう。さらに政府だけでなく個人や企業も投資という形で貧しい個人や企業に富を集める性質も個人通貨のシステムには備わっている。


・財政政策の機能③資源配分の調整は、個人通貨制度の下でも個人や企業ではなく政府が中心となって果たさなくてはならない役割だ。社会資本(公共財)の供給はSNS選挙のシステムを通して政府が適切に実施すべきだ。


・租税の原則①公平の原則②明確性の原則③便宜の原則④徴税費最少の原則は、どれも個人通貨のシステムの下でならこれ以上はない位に完全な形で実現できる。


・個人通貨制度の下で政府は公債を発行する必要はあるか?

→基本的に従来の貨幣が政府の債券であったように、各個人が発行する個人通貨は当人の債券としての機能も持っている。個人通貨の貨幣価値の上昇によって保有者が得る利得が個人通貨という債券の利子となり、これは出来高払いとなるわけである。

個人通貨制度の下では各個人・各法人が各自で通貨を発行して用いるため、政府は共同通貨(政府の債券)を発行する必要がない。同様に政府は各個人・各法人の通貨を徴税する権限を持ち、これを財政政策の財源とすることができるため、公債を発行する必要もない。むしろ政府が投資や負債という形で政府通貨を投資家と取引してしまうと、これらの投資家は政府通貨の貨幣価値が増大する度に利益を得ることになり、政府が私物化されることになってしまう。したがって政府は租税という形で保有資産の多い者から個人通貨を徴税し、逆にこれらの個人通貨の貨幣価値の上昇による富も回収して、財政政策という形で保有資産の少ない者に政府通貨を給付するべきだ。

→系を構成する要素同士の心理値が平等化して調和に向かうように、個人通貨というシステムも最終的には全ての人間の平等と調和を実現することになるのである。それが人類の悲願の達成なのだ。


・企業が倒産して社員が解散した後もその企業の法人通貨は抹消する必要はなく、システムに記録を残しておくことになる。その企業は新規に法人通貨を発行したり他者の個人通貨を受領したりすることはなくなるが、その企業が過去に関わった他者の個人通貨の貨幣価値の変動に合わせてその企業の法人通貨の貨幣価値も変動を続けて他者の個人通貨の貨幣価値に影響を与え続ける。企業としての役割を終えて死を迎えても、それまでに築いた社会的関係は永遠に残り続けるのである。

→個人や企業、あるいは生命の死とはこのようなものであり、高次の系としての選択論の座は失われても他者との関係構造の中で存在は永遠に残り続ける。それが「純粋記憶」か。


・第一次・第二次・第三次産業に続く第四次産業としてサービスを通して人々の心を繋ぐ、関係を創成する産業が望まれるのではないか。21世紀の『心』の時代において。

→日本はSNS選挙や個人通貨のシステムの開発を主導して他国とも協力し、人々の心を繋いで世界平和に貢献すれば良い。『大和の国』の役割は人類の統合意識を創発することだ。

→人と人とを繋ぐ弘学者・無門家もこの第四次産業の発展に寄与できる。弘学革命による社会変革だ。


・個人通貨制度は各個人が自分の個人通貨を有し、そのやり取りによって貨幣価値が変動することで、ちょうど国際通貨の為替相場の仕組みで個人間の経済収支を均衡させることができる。個人通貨制度は国家間の共通通貨のように個人が皆、同一の通貨を用いていた従来の共同通貨制度にはなかった、経常収支を均衡させる機能、個人間の経済格差を是正する効果が組み込まれている。


・SNS国会の国家間への拡張はまず隣接する国同士の地域統合や関係が深い国同士の国際統合といった形で部分的、段階的に政治統合を進めていって最終的に全人類を統合する世界政府の確立を目指すこととなろう。個人通貨システムの国家間への拡張も同様にして経済統合を実現する。


・現在の情報社会では情報の共有や活用ばかりが追求されているが、今後は人間の意識の表現や統合を目指す『意識社会』へと向かっていくべきだ。

SNS選挙や個人通貨もこの『意識社会』の実現に向けたアイデアである。


・個人通貨は市場では短期的な交換を仲介する手段として商品の価格には直接影響しないが、対価を受け取る者は相手のその後の長期的な生産すなわち贈与に寄与することで個人通貨の貨幣価値の上昇の恩恵を受けられるようになるため、搾取は避けるだろう。


・寡占自体は組織化による効率化の結果でもあり、分業化の効果でもあるから必ずしも悪いものではない。一方、寡占価格によって大企業が超過利潤を得ようとすると、その搾取によって消費者や中小企業の生産が伸びなくなり、これらの個人通貨の貨幣価値が上昇しなくなるため、長期的には利益を得られなくなる。結果として長期的な利益を見込む大企業は価格の不当な吊り上げを避け、消費者や中小企業の生産向上に寄与するのに最適な価格を志向するようになる。


・協調的寡占による管理価格の設定や非価格競争も、それが価格に転嫁されて消費者を搾取するものであったならば、受け取った個人通貨の貨幣価値の伸び悩みとなって自らに損失がはね返ってくる。結果、適正な価格を志向するようになる。


・個人通貨の三面等価(参考:国民所得の三面等価)

①他者が支払った個人通貨の価値=生産

②自分が受け取った個人通貨の価値=分配

③自分が支払える個人通貨の価値=支出

各個人について①生産=②分配=③支出


・個人通貨のフローとストック

フロー…受領した他者の個人通貨(=所得)と発行した自分の個人通貨(=消費)

ストック…受領分(所得)-発行分(消費)=個人通貨の資産


・個人通貨も受領分である資産と発行分である負債はそれぞれ他者の負債と資産となるから、国全体としては正味の資産はゼロになる。すなわち家計が資産を持つためには企業か政府が負債を持たないといけない。全ての経済主体に資産内での発行上限を課すことは不可能となる。

→日銀券が日本銀行すなわち政府の負債であったことを考えれば、それに代わる個人通貨のシステムにおいて一国全体の負債を引き受ける役割も政府が担えば良いのだろうか。すなわち家計と企業は政府のお蔭で自らは資産を持つことができる。

→政府が負債を拡大している今の日本の状況はむしろ個人通貨制度へと至る自然な流れにあるのか。


・個人通貨のシステムが豊かさの指標ともなるには負の関係創発を表現すること、あるいは系の外部の存在を内部化することが必要か。どうすれば良いのだろう?

→個人通貨制度の下で富を得るには閉じた系で利他的関係を創発するだけではダメで系を外部に開いて利他的関係を拡大していく必要がある。この性質と負の関係創発は長期的に確実に自らにはね返ってくる性質を合わせれば、上述の目的も実現できるか。


・個人通貨システムの下ではインフレ・デフレすなわち貨幣価値の下落・上昇は個人あるいは社会の部分集団の単位で起こると考えられるから、その対策もシステムに基づいてきめ細やかに、かつ迅速に実施できるだろう。具体的には増税・減税や給付・補助金、生活指導・体質改善を個人・企業毎に行うわけである。問題が生じている経済主体に対してのみ対策を採れるので他に副作用も出にくい。『オーダーメイド経済対策』と言った所か。システムと連動させて自動化すれば公平かつ効率的である。


・個人通貨のシステムで企業が負担する社会的費用は取引した消費者までであるから、その他の人々が受ける外部不経済に対する社会的費用の負担はやはり経済ではなく政治で解決するべき問題なのか。


・個人通貨のシステムを全ての個人に一人残らず利用できる環境を整備するにはシステムの規模にしても財源にしても国家的事業として進めていくしかないと思われる。

むしろSNS選挙等を通じて民意が反映される政治を実現し、『個人が国家を統制しよう』という発想が必要だろう。


・やはり仮想通貨は取引自体は秘密が保たれるシステムなのか。個人通貨も同様のシステムとするべきだ。


・取引システム自体には信用は必要ないが、取引で交換されるものの価値を担保するためには信用が必要になる。そしてその信用は人間と人間の関係性から生まれる。この人間の関係性を貨幣価値の基準とすれば良い。


・個人通貨(法人通貨)は投資家と企業が互いに自身の通貨を発行して相手の通貨と交換すれば投資(信用の貸し借り)が可能である。企業の法人通貨がその後、貨幣価値が上がれば、それを保有している投資家の資産が増えて利益が還元される。


・個人通貨は各自が消費や投資をする時には自分の個人通貨を発行して相手に渡し、それが相手の保有資産として記録され続けるという仕組みであるため、個人通貨の又売りはできない。金融商品の又売りというのは付加価値を生み出さないわけであるから、不要な慣習だったのではないか。


・ボラティリティ(変動性)は投機によって儲けたい人が求めるものであって、実体経済の成長と発展には不要だろう。既存の貨幣制度に付随している副作用みたいなものだ。


・個人通貨(法人通貨)の場合は会社に保有資産が残っていれば、その限度内で会社の法人通貨を追加発行して投資家に返すこともできる。


・法人通貨はその企業の貨幣価値がまだ低い時に投資したエンジェル投資家は企業の成長による貨幣価値の上昇で多くの利益を受け取れる。


・個人通貨(法人通貨)にも事前入金(時間差換金)や返金の仕組みも必要なのか?


・個人通貨のシステムの運営・管理は誰がやるべきか?


・とりあえず個人通貨のシステムの技術開発は利害関係に囚われない学術機関が主導していくべきなようだ。これも弘学革命の一環というわけか。


・個人通貨はピア・トゥーピアシステムで運用するべきか、それともクライアントサーバシステムで運用するべきか?あるいは両者を統合したようなシステムか?量子コンピューター等の新しい情報通信技術も必要か?


・企業と投資家の直接の取引が可能であることがブロックチェーンの技術の特長であることを考えると、個人通貨のシステムもブロックチェーンの技術で運用するべきなのだろうか。


・個人通貨は各個人・各法人が通貨の発行主体となるから究極の分散型経済を実現する。個々の個人や法人が豊かな関係性で結び付く有機体経済が生まれるのだ。


・個人通貨のシステム上で自然資本も可視化や管理ができるようになるか?


・「ハンバーガー通貨」のような仕組みも個人通貨のシステムに必要か?

→ハンバーガー通貨では貨幣の機能(例えば価値尺度、交換手段)が失われてしまっている。単に自分とハンバーガーとの関係を安定させたいだけなら予約やサブスクリプションなど商品や資材の取引の内容を工夫すれば良いだけではないか。通貨の側に多様性を押し付けるのは無理があると思われる。

→貯蔵手段としての機能も後で変更できないという形で裏目に出てしまう。保存性が悪になる。


・個人通貨も貨幣価値が変動するが、よく考えれば為替は国という大きな経済主体の関係がそれより小さな企業という経済主体に降り掛かってきて大きな変動を及ぼすが、個人通貨は個人や企業など小さな経済主体との関係の中で保有資産が変動するだけなので影響は小さいものになるだろう。

さらに家計や企業は債権者となり、債務者の役割は政府が一手に引き受けるなら、個人や企業は有限責任となり、貨幣価値も取引時より上がることはあっても下がることはないなら、保有資産が他の影響で下がることはなく、為替は不安やリスクではなくなるか。

→さすがに貨幣価値が全く下がらないようにはできないか。それでも関係した他者全体の純資産が継続的に増えていれば自身の保有資産も減ることはないだろう。


・個人通貨の会計、貨幣価値の計算式はシンプルで普遍的な基本式が既にある。


・個人通貨システム外での金融商品の取引や貨幣発行は全て禁止するべきか?

→案外、禁止しなくても個人通貨システムの方がそれ以外の金融システムよりも優れていて各個人が利益を増やせるために、そのような個人通貨システム外での闇取引は自然に廃れていくのかもしれない。『良貨が悪貨を駆逐する』的な。


・純粋贈与(供犠)はやはり市場経済のシステムでは捉え切れないのは個人通貨以後の世界でも同じか。


・個人通貨のシステムは純粋贈与はもちろん贈与を扱うこともできず、ただ交換の関係を従来のシステムよりも精密にするというものなのだろうか。

→あるいは『見返りは求めないけど返礼も拒まない』という間の関係で贈与の関係を実現可能にするのだろうか。


・個人通貨のシステムはとりあえずは人間の選択によって生じた関係から生まれる「価値」をこれまでよりも正当に測ることができるシステムとなるだろう。


・SNS選挙も個人通貨も自然科学の科学革命を通じた私自身の価値観の変化から生まれたアイデアだ。世界観の変革は価値観も変革する。


・政治学と経済学のアイデアは人々のマインドセットも変えられるだろうか。


・個人通貨制度の下では政府が負債を一手に引き受けることで個人や企業は資産を上限とする完全な有限責任の下で挑戦し、イノベーションを実現していけるのか。


・個人通貨のシステム上では政府がAIのエージェントを組み込み、各個人・各企業の経営状況を見て必要な支援を自動で行うことも可能か。周辺の個人や企業の経営状況も総合的に分析して施策を採るといったこともできそうだ。

→生活保護や資金繰りなど基本的な措置はブラックボックスなAIよりもシステムにプログラムとして組み込んだ方が合理的で倫理的か。


・技術革新(=生産効率を上昇させること)の源泉は利他的関係の創発だろう。

→人類という系の外部に在る自然資源(石油や鉱産資源など)との関係創発によってこれまでの経済成長が実現されてきたのか。

→人類の内部での人間と人間の関係創発も重要だったはずだ。


・個人通貨(法人通貨)は常に新規発行できるので流動性は確保されていて、収益率やリスクは投資する相手の選び方で決まり、リスクの上限は定まっている。


・個人通貨の発行額と貨幣価値の変化の計算の例(?)

→人数や保有資産の分布も考慮した方が良い。


・個人通貨制度でハイパワードマネー、マネーサプライ、貨幣乗数に相当するものは何か?


・個人通貨制度で公定歩合に相当するものは何か?


・個人通貨制度で準備率に相当するものは何か?


・個人通貨にも債券の償還額と利子率のような関係が使えそうだ。


・資産選択は個人通貨制度の下では個人通貨を財・サービスの売買のために発行するか、投資すなわち信用の貸し借りのために発行するかで一元的に実現できる。


・個人通貨制度の下では賃金や価格の代わりに貨幣の発行量や価値が自由に変動することで短期の問題を解決するのか。


・個人通貨(法人通貨)制度の下では労働者の賃金はその企業の法人通貨として支払われ、法人通貨の貨幣価値が上がればそれが労働者の保有資産の増加として、言わば「配当(インカムゲイン)」の様にして利益が還元される。


・労働者は賃金として受領したその企業の法人通貨の貨幣価値の変動が自身の保有資産にも影響を与えるから、企業に「経営参加」する権利と責任を持つことになる、労働が経営を内包する概念へと変わるのだ。


・個人通貨制度の下では株式も債権も個人通貨(法人通貨)に統合され、従来の国家通貨も国債も政府通貨に統合される上に、政府が家計や企業の負債を一手に引き受けることになるから、市場調整機能を組み込んだシンプルなシステムとなる。


・その人が亡くなった時には予め設定しておいた額で個人通貨を自動発行し、遺産として分配することが可能か。


・個人通貨システムにおいて取引の記録はブロックチェーン、分散台帳で管理しつつ、貨幣価値の計算は中央の量子コンピューターのサーバーで処理するという併せ技がベストか。


・政府通貨は経済主体の経営状況に応じて一旦給付したものを回収することも必要か?


・契約や取引の取り消しがあれば入金した個人通貨を返金できる仕組みも必要か。

→個人通貨は従来の通貨の様に人から人へと移動していくことはないから、不正に奪われてもすぐに相手の保有資産から取り戻せるだろう。


・倒産した会社の保有資産で法人通貨を追加発行すると貨幣価値が下がって労働者を含め関係者が損害を受けることになるから、適切な分配の方法を考える必要がある。


・純資産を多く持っている人はそれが減ると貨幣価値が大きく下がるリスクがある一方、純資産がゼロに近い人は貨幣価値がそれ以上下がらず上がる可能性だけがあるので、前者よりも後者に投資が向かいやすくなり、貧富の格差が是正されることになる。


・MMT(現代貨幣理論)でも政府の負債が家計と企業の資産になると考えるのか。個人通貨制度も同じ考えだ。


・暗号通貨の「希少価値=ストック/フロー」の理論式も個人通貨の基本式と一致する。この発想で良さそうだ。『個人通貨の貨幣価値=保有量/流通量』である。


・個人通貨は両者での交換が成立した後で相手のその後の経済活動における主体的な選択に応じて返礼が為されるという意味で贈与の経済を実現するシステムだ。


・個人通貨の基本式において自分や他者の通貨の区別とそれに基づく貨幣価値の定義を無くせば従来の共同通貨のシステムと同じになる。仮想通貨を国家的に導入するに当たって最初はそのような単純な計算式で表せる通貨制度として運用した方が技術的制約は少なくなるだろう。もちろん将来的には個人通貨のシステムにアップグレードした方が公平な経済を実現できる。


・個人通貨の貨幣の機能を整理する。

①価値尺度…価値の尺度は「同じ」でないといけないと思われていたが、個人通貨では『異なっていていい』。異なっていても各個人の個人通貨の貨幣価値はシステムで算定できる。そしてこれによって各個人の貢献を適正に評価できるようになる。

②交換手段…交換の手段は価値が「止まって」いないといけないと思われていたが、個人通貨では『動いていい』。動いても個人通貨の貨幣価値はシステムで算出できる。そしてこれによって各個人の収支を公正に均衡させる。

③貯蔵手段…貯蔵の手段は価値が「定まって」いないといけないと思われていたが、個人通貨では『変わっていい』。変わっても個人通貨の貨幣価値はシステムに記録される。そしてこれによって経済活動の実態を完全に推移させる。

④支払手段…支払の手段は価値が「共有されて」いないといけないと思われていたが、個人通貨では『違っていていい』。違っていても個人通貨の貨幣価値はシステムで担保される。そしてこれによって長期的に健全な関係を構築する。

⑤世界貨幣…貨幣は主権を持つ国家毎に「閉じて」いないといけないと思われていたが、個人通貨では『開いていい』。開いても各個人が発行主体となる個人通貨のシステムは連結できる。そしてこれによって全人類の経済統合の最重要基盤が確立し、普遍救済を実現する。


・中央銀行の役割を整理する。

①発券銀行…貨幣発行権は各個人に移る。限度額が切れたら政府が保護する。

②政府の銀行…政府も一発行主体になる。租税や政府通貨(国債)の発行・給付を行う。

③銀行の銀行…各人の商取引はシステム上で行う。政府はシステムの管理・運営を担う。

④金融政策…各人の利益追求と均衡で健全な経済発展を実現する。システムで支援する。


・財政政策の役割を整理する。

①景気の調整…部分集団で景気動向を把握、施策を実施、システムに組む。

②所得の再分配…政府通貨で生活保護、資産課税、個人間の分配も促進。

③資源配分の調整…政府が中心に、社会資本の供給はSNS選挙で適切に。


・経済学が扱う中心的な対象は「貨幣・通貨・価格」である。しかし、経済学という学問の見えない本質は『価値』にある。個人通貨はこの『価値』を見えるようにする制度である。



参考文献

(1)『学研パーフェクトコース中学社会』(学研教育出版、2012年)

(2)『シグマベスト 理解しやすい政治・経済』(文英堂、2014年)

(3)『東大生が書いたやさしい経済の教科書』(インデックス・コミュニケーションズ、2005年)

(4)『東大生が書いたやさしい株の教科書』(インデックス・コミュニケーションズ、2004年)

(5)『最新情報の科学(文部科学省検定済教科書 高等学校情報科用)』(実教出版、2015年)

(6)『最新社会と情報(文部科学省検定済教科書 高等学校情報科用)』(実教出版、2015年)

(7)『教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン』(NHK出版新書、2018年)

(8)『世界は贈与でできている ―資本主義の「すきま」を埋める倫理学』(ニューズピックス、2020年)

他、「現代貨幣理論(MMT)」や「仮想通貨」などのキーワードでWikipediaの関連する記事を適宜参照。



イースターエッグ

研究内容の共有は以上ですが、最後に私の思いを書いておきたいと思います。


元々このアイデアの経済学編の原稿を書く時、「イースターエッグ」を仕込むつもりでした。イースターエッグとはゲームなどのソフトウェアに開発者が密かに隠したメッセージや悪意の無いいたずらのことです。私はこのイースターエッグという遊びをSF映画『レディ・プレイヤー1』(原題:Ready Player One)をテレビで観た時(ちょうど1年前の今日でした!)に知りました。

(以降、ネタバレ注意です!)

『レディ・プレイヤー1』では「オアシス」というVR世界の中でオアシスの創始者ハリデーの遺言に基づき、オアシスの所有権と莫大な遺産を争うゲームが開催されています。主人公ウェイドはゲームに参加し、オアシスの中に隠されたイースターエッグを探し求めます。

物語の最後でウェイドはイースターエッグに辿り着き、そこでハリデーと出会います。ウェイドはハリデーに「作者は死んだ。アバターでもない。じゃあ、あなたは誰?」(うろ覚えなので細かい文言が間違っているかもしれません。)と問い掛けます。ハリデーは何も答えません。

頭に残っていた壮大なVR世界のイメージが個人通貨システムと重なるように私には思えました。地球規模に広がるゲームの仮想世界、そこで人々が匿名のアバターとして活動する様子は、暗号化された自分固有の仮想通貨をやり取りして経済活動を行う個人通貨システムにも通じるものがあるかもしれません。

そして、作者が死んでもゲームという作品の中に作者の魂は生き続けている、とでも言いたいかのような無言のメッセージに私は心を打たれました。個人通貨システムにおいても死者は信頼関係の創発の歴史として記録に残り、生者の関係の担い手として世界に影響を与え続けるという洞察を得た時、このシーンを思い出しました。そこで、「レディ・プレイヤー1」の頭文字や「あなたはだれ?」というセリフを今回の原稿の中のどこかに隠そうと画策していました。結局、それは叶わなかったのですが。


私が『レディ・プレイヤー1』を引用したかった理由は他にもあります。物語のクライマックスで主人公ウェイドがイースターエッグを手にしたのと同時に、敵方のソレントがウェイドを見つけて銃を向けます。しかし、イースターエッグを手にして光輝くウェイドの姿を目にしたソレントは息を呑み、銃を下ろします。壮大なゲームをクリアした感動が敵意を喪失させたのだと私は感無量になりました。

私はずっと怖かったのです。21世紀の科学革命のアイデアを得て、出版や発信を続ける中、思う様に研究は広まりませんでしたが、広まったら広まったでそれは大変な困難を私にもたらすだろうと憂慮していました。世界的に影響力のある有名人になれば、暗殺されることもあるかもしれない。実際、アインシュタインもヒトラーから命を狙われ、アメリカに亡命したのでした。家族にも危害が及ぶかもしれない。早く研究を世に広め、人々に希望を示さなければならないという想いと、できれば殺されたくない、天寿を全うするまで平穏に学問の探究を続けたいという思いの板挟みにありました。ずっと怖かったのです。


しかし、研究は広めなければならない。人々の心に希望が無ければ、人類は滅亡に向かうでしょう。人類が滅亡すれば、どの道、私も死ぬことになります。人類の滅亡と共に私も死ぬか、私が死んでも人類が存続できるか、では選択の余地がありません。「黒神家の家長は死ぬのも大切な仕事のうちだ」(『めだかボックス』21巻第184箱)。自ら死して人類を救うことが私の天命であるならば、私は引き受けるしかありません。

アニメ映画『天気の子』の「グランドエスケープ」という曲も私は好きなのですが、この曲を聴くといつも寂しい気持ちになります。歌い出しは「空飛ぶ羽根と引き換えに 繋ぎ合う手を選んだ僕ら」なのですが、私の名字が「羽根」なので、この曲は私の死を暗示しているように聴こえてしまうのです。また、夏生まれの私には「夏は秋の背中を見て その顔を思い浮かべる 憧れなのか、恋なのか 叶わぬと知っていながら」という歌詞がその先の未来に共に進んで行けない自分の心情を歌っているように思えてしまいます。それでも「怖くないわけない でも止まんない」という想いで、「行け」と心が言うのです。


統合失調症から来る妄想と不安症に過ぎないのかもしれません。しかし、政治学と経済学のアイデアを得て、ますます私の責務は重くなっていきました。政治や経済については自然科学の研究に取り組むようになる以前からここ10年ほど明に暗に問題意識を持ち続けていました。自然科学は真を探究するものであり、応用に活かされるとしてもそれはかなり先のことです。だから、必ずしも私は研究の普及を焦る必要はなく、気長に専門科学者の説得を続けようと思っていました。対して、社会科学は善を実践するものであり、人々の生活と生命に直結する重大問題です。私の研究の普及が遅れれば、その間に希望を失った人々が死を選ぶかもしれません。「善は急げ」と言う様に、私は今年4月に政治学と経済学の具体的なアイデアを着想した時点で、自然科学の学究を進めるという計画をすぐに変更し、これら社会科学の研究に着手しました。それから約2ヶ月の間、自らの頭脳を急き立てて、勉強と考察、原稿の執筆を進めてきました。

同時に、私の心情としても政治学と経済学は大きく重いテーマとなっていました。政治学のアイデアも経済学のアイデアも全ての人を幸せにするものだと私は信じていますが、権力や富を求める人々の中には私の存在を快く思わない人も現れるかもしれないからです。アイデアを発信した時点で私が命を狙われる危険はさらに上がるのではないかと懸念しました。『レディ・プレイヤー1』をオマージュしたかったのはクライマックスで敵方が主人公の勝利に感動して銃を下ろす私の理想のシーンがこの現実の世界で実現することを望んでいたからです。


しかし、改めて考えると、イースターエッグを仕込んで、隠されたメッセージとして伝えようとするよりも、直接『私を殺さないでくれ』と言う方が伝わるのではないかと思い、この文章を書いています。「ちゃんと 話して 伝える 正喰(しょーじき)に ね☆」(『めだかボックス』11巻第89箱)。私は全人類の一人一人の幸せを願っています。今までは至らぬ所も多々ありましたが、政治学編の原稿を書き進めている間に私はこの文章に値する人間となるために己の身を正さなければならないという倫理意識が無意識のレベルで自然と芽生えるようになりました。私は過去の自分の罪とも真摯に向き合い続ける所存です。私のアイデアは全ての人の幸せのためになると信じています。どうか共に生きて一緒に実現して頂けないでしょうか。私はそれを望んでいます。

最近はこの世界には優しさも在って、ちゃんと自分の心配事を話せば、私の事を守ろうとしてくれる人も現れるのではないかと思えるようになりました。二本目の経済学編の原稿の完成は叶いませんでしたが、未完成でも公開して共有すれば、そこからさらに議論を進めてくれる人もいるだろうと頼ることもできるようになりました。人に私を信じてもらうために、私も人を信じることから始めようと思います。


枯れない夢がほしかった

「僕」という意味がほしかった

宇宙にぽつンと咲いている

静かな理由がほしかった


それを君と二人ならば

見つけられる気がしたんだ

僕は君のを 君は僕のを

見つけられる気がしたんだ

(RADWIMPS『鋼の羽根』)


アイデアの実現に向けてやるべきことは山のようにあります。当然一人で実現できるものではありません。皆様の協力が必要です。

SNS選挙と同様に、個人通貨システムの開発も日本の私たち若い世代が中心になって進め、世界に発信していきましょう!


誰もが笑い合える明るい未来を共に創りましょう!!