論文『弘学 ~科学を進化させる≪統合≫の力~』を公開しました。

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『弘学 ~科学を進化させる≪統合≫の力~』(PDFファイル、23ページ)を2018年10月1日にGoogleドライブに公開しました。

以下のリンクからアクセスできます。

https://drive.google.com/file/d/1zTyw6twpUf6HBbtlY0SstgKBeDuULQ-T/view?usp=sharing

この論文は、筆者が弘学(ぐがく)を志した2015年1月に、弘学の基本的なアイデアを示す目的で初めて書いた初版に、最小限の改訂を加えたものです。インターネット上に広く一般公開するのは今回が初めてです。

2015年の初版の執筆当時は中心となる用語の概念がまだ曖昧で、特に「弘学」という言葉は、「科学」と対になるものではなく、「科学」に含まれるものとして、「無門科学」と定義していました。(現在は「弘学」は「科学」と対になる概念として定義して使っています。)

この初版にほぼ手を加えることなく今回、改訂版として公開したのは、この初版(改訂版)を『弘学』の始まりとして、言わば「たたき台」として発信し、これから読者と共同で『弘学』の完成版を目指して書き上げていこうと考えているからです。すなわち、学問探究を結果だけではなく過程の段階から共有することが、弘学の『共創』という理念にも適っていると思うからです。


この論文の内容については、詳しくは上記のリンクからアクセスして読んで頂ければと思いますが、要旨を引用しますと、

『弘学(ぐがく)』とは、『弘(ひろ)く学問する』と『学問を弘(ひろ)める』という二つの意味を持つ、筆者による造語である。

近代から現代まで続いている専門科学と専門科学者の≪分化≫の力に、それとは対になる弘学と弘学者の≪統合≫の力が合わさることで、科学は新たな段階へと進むことができる。

筆者の目標は、弘学研究を自ら実践して範を示すと共に、弘学教育を実現して科学を前進させることである。

となります。


また、目次は、

序論

1 夏目漱石の嘆きとさらに分化が進んだ現代の科学

2 「T型かI型か」論争の根底にある専門性への固執

3 誰が場を創れるのか

4 誰が専門分化した科学を≪統合≫できるのか

序論のまとめ 弘学の提案

本論

第1章 弘学とは何か

1-1 『無門』の定義:「専門」の対義語

1-2 『弘学』の定義:『弘く学問する』・『学問を弘める』

1-3 専門を持たない『一型』という選択肢

1-4 I型と一型の間にあるバリエーション:T型、π型、X型

第2章 弘学者の本質的な意義

2-1 集団を進化させる要素:多様性と関係性

2-2 関係構築の効用性と実現性を決める要因:相違点と共通点

2-3 弘学者は関係性を担う

2-4 科学を創る二つの力:分化と統合

2-5 弘学者は科学の≪統合≫を担う

第3章 弘学者の具体的な役割

3-1 弘学研究の二つの方向性:無門的研究と専門的研究

3-2 弘学者が組織の中で果たす二種類の役割:インテグレーターとメディエーター

3-3 インテグレーター(統括者)の役割:場を創る

3-4 メディエーター(仲介者)の役割:異分野への架け橋

3-5 専門科学者の選択肢と視野も広がる

3-6 両極の間にいる科学者の役割:T型・π型・X型について

3-7 弘学ネットワーク構想:≪統合≫という新しい力を生み出す

第4章 弘学教育の提案

4-1 進路の選択は学生に任せ、大学は選択肢を増やすことに専念する

4-2 無門家・弘学者を育てる

4-3 弘学部・弘学科・弘学研究室を創設する

4-4 各研究室に一人は弘学者がいるようにする

4-5 弘学教育の実現に向けて:まず私が弘学者になる

結論

1 夏目漱石の嘆きへの解答:無門家・弘学者

2 専門性という呪縛からの解放:一型

3 弘学者が場を創る:インテグレーター

4 弘学者が科学の≪統合≫を担う:メディエーターと弘学ネットワーク

5 弘学教育を実現する

始まりの時 弘学は科学を新たな段階へと進める

参考

となっています。


『弘学』の内容については、筆者の3年間の実践を踏まえた現在の考えも含め、今後、改めてこのサイト上でも論じていきたいと思います。ご関心のある方は時々このサイトへお立ち寄りください。

また、弘学や科学、学問、研究に関してご意見・ご提案・アイデア・情報のある方は、TwitterやGoogle+で筆者にコメント頂けると幸いです。


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